七五三の着物のカビを落とす方法とカビを防ぐ保管方法

七五三はお子様の健やかな成長を祝い、神社にお宮参りに行く日本の伝統的な家族の行事ですよね。

七五三に新しく着物を購入するご家庭やご両親などの着物を代々引き継いでいるご家庭などさまざまなご家庭があると思います。

新品の着物を購入してすぐに七五三であれば問題はないと思いますが、しばらく保管していた着物にはカビが発生している可能性があります。

当日に着物を出してみてカビを発見してしまったら大変ですよね。

記念写真も撮るし、思い出として一生残るもの…カビが生えてたら台無しです。

事前に七五三の準備として保管している着物を取り出してカビや汚れがないか着物全体をチェックするようにしましょう。

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1.七五三の着物のカビを落とす方法

七五三の着物のカビ取り方法は3つあります。

ご自宅にあるものを使用してできるカビ取り方法もありますので参考にしてみてください。

1-2.ベンジンを使用したカビ取り方法

使用するもの

  • ベンジン
  • いらない布やタオルなど
  • ビニール手袋

1、タオルを着物の汚れの下に敷きます。

2、ベンジンをガーゼにたっぷりと含ませます。

3、汚れの上から下のタオルに移すようにたたきます。

  汚れが落ちるまで②~③をくり返してください。

4、汚れが落ちてきたらベンジンが乾く前に素早くその周りも広範囲にたたきます。

  こうすることで輪ジミを防ぐことができます。

5、最後に着物を自然乾燥かドライヤーの冷風で乾燥させて完了です。

※注意点※

ベンジンの取り扱い説明書をよく読んでから使用してください。

ベンジンは空気に触れると揮発しますので、すぐにフタをしましょう。

ベンジンを使用する際には換気を必ずしてください。

また、火気厳禁ですので、火元が近くにないか確認してから作業してください。

ガーゼにベンジンを含ませるときに量が少ないと輪ジミの原因になりますのでたっぷりと染み込ませてください。

輪ジミなどが心配な方は他の布などで練習してから着物でおこなうのも良いでしょう。

ドライヤーを使用して乾燥させる場合には温風を使用すると生地が傷んでしまうことがありますので、必ず冷風を使用するようにしましょう。

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1-3.消毒用エタノールを使用したカビ取り方法

比較的軽度なカビの対処法になります。

消毒用エタノールやアルコールスプレーは家に常備しているというご家庭も多いと思います。

白カビなどの軽度はカビは消毒用エタノールがあればすぐに落とすことができます。

使用するもの

・消毒用エタノール

・タオルや布

1、タオルや布に消毒用エタノールを含ませ、着物のカビが生えている部分をたたくようにして拭き 

  取ります。

2、その後、日陰干しして乾燥させて完了です。

※注意点※

消毒用エタノールはカビによる着色を落とすことはできません

また、着物の色落ちなどのおそれもありますので、目立たない場所で試してから実施するようにしましょう。

消毒用エタノールもベンジンと同様に火気厳禁です。

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1-4.酸素系漂白剤を使用したカビ取り方法

使用するもの

  • 液体の酸素系漂白剤(ワイドハイターなど)
  • 食器用中性洗剤(除菌効果のないもの)
  • 重曹
  • 歯ブラシ
  • ボウル
  • いらないタオル
  • バケツや桶など

1、ボウルに液体の酸素系漂白剤を小さじ3入れ、重曹小さじ1を加えます。

2、そこに食器用中性洗剤を3滴加えます。

3、歯ブラシを使用して5周程度軽く混ぜます。

4、カビが生えている箇所の下にタオルを敷き、歯ブラシに3の液をつけて軽く押し付けるようにた

    たき込みます。

5、タオルをずらしながらカビがタオルに色移りしなくなるまでくり返します。

6、バケツや桶に水をはり、カビを取った部分を浸してやさしく揺らすようにしてよくすすぎます。

7、すすいだあとは速やかに普段通りの洗濯をして乾かします。

※注意点※

洗えるタイプの着物に限ります。

酸素系漂白剤は粉末のものを使用すると成分が異なり、生地を傷めることがあるので必ず液体のものを使用してください。

食器用中性洗剤は除菌効果があるものは色落ちのおそれがありますので使用しないでください。

混ぜすぎると化学反応により効果がなくなるので注意してください。

目立たない場所に液をつけ、タオルで拭き、色移りしないかを確認してからおこなってください。

色移りした場合にはクリーニングなどの専門店へ依頼してください。

最後に普段通りの洗濯をしないと輪ジミなどができることがありますので必ず最後に丸洗いしてください。

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2.七五三の着物のカビを防ぐ保管方法

七五三の着物のカビを防ぐには着たあとのお手入れと保管方法に気を付ける必要があります。

2-2.七五三の着物を着たあとのお手入れ

着物を着たあとは衣紋掛けに掛けて2~3時間風を通して湿気を飛ばしましょう。

着物専用の衣紋掛けを使用すれば袖をのばしてかけられますので、シワになる心配もなく乾かすことができます。

全体のホコリなどもきれいなタオルを使用してやさしく払うように落とします。

特に汚れやすいポイントは衿、袖、裾です。

衿の部分は汗や化粧品等がつきやすいので、汚れたまま放置してしまうとカビやシミになってしまうことがあります。

袖は前の部分が特に汚れやすいですが、前後とも汚れがないかチェックしましょう。

裾は砂ボコリがつきやすいのでたっぷりベンジンをつけてまわり全体をよく拭きましょう。

2-3.七五三の着物の保管方法

着物をクリーニングに出したあとや購入した直後に包まれていたビニールに入ったまま保管していませんか?

ビニールは通気性が悪いため、ビニールに包まれたまま保管していると湿気がこもりやすくなりカビが生えやすくなってしまいます。

着物専門のクリーニング店などであれば、畳紙に包んだ状態で戻ってくることが一般的ですが、ビニールなどに包まれていた場合には取り出して、畳紙に包みましょう

純正和紙の畳紙には調湿効果が期待できます。

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タンスや収納ケースは乾燥していて室温が安定している部屋に置くのがベストです。

また、タンスは壁から少し離して置きましょう。

着物はずっとしまったままにしておくと湿気によりカビが発生しやすいです。

着物をしまったままにせず、こまめに取り出して干したり保管場所にも風を通したりしましょう。

こまめに干せない場合にはタンスの引き出しを開けるだけでも違います。

長く清潔に着物を着るために、半年に1回程度は着物を出して干してください。

干すのは1月~2月の乾燥した時期が良いですが、除湿機をかけて部屋干しでも良いでしょう。

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3.七五三の着物にカビが生える原因

カビが発生する条件は、温度20℃~30℃、湿度60%以上で汗や皮脂などのカビにとっての栄養分となる汚れがあるの3つの環境がそろったときです。

着物にカビが生えると、繊維の中にカビの根が入り込み拭き取ってカビが取れたように思えても、時間が経過すると何度もカビが再発なんてこともあります。

七五三のお宮参りの時に着物を着用していると、汗や皮脂汚れが着物に付着します。

さらに、お参りのあとにご家族でお食事をするというご家庭も多いのではないでしょうか?

食べこぼしや油はね、水はねなど着物にはさまざまな汚れが付着している可能性があります。

4.七五三の着物は洗えるの?

最近ではご自宅で洗濯できるタイプの七五三の着物も販売されています。

着物をネットに入れ、あとは通常の洗濯と同じようにして干すだけです。

ポリエステル(化学繊維)素材の着物であればシワになりにくく、お手入れが簡単です。

それ以外の絹などの素材のものは残念ながら自宅での洗濯はおすすめできません

素材が特定できないものや自宅で洗濯できないものはクリーニングに出しましょう。

クリーニングに出すまでの間には着物の内側に除菌・消臭スプレーをかけておくと汚れやカビの繁殖を防ぐことができます。

除菌・消臭スプレーを使用する際には、30センチ以上離れたところからスプレーし、着物の表地には絶対にかからないように注意してください。

着物のクリーニングは高くついてしまうこともありますので洗えるものだと助かりますよね。

七五三の着物をこれから新たに購入するという方は洗えるものを検討しても良いかもしれません。

5.七五三着物のクリーニングを利用する方法

カビや汚れを自分で落とす自信がない場合には、無理に落とそうとせずにプロに依頼するのが一番です。

七五三の着物にカビやシミ、汚れなどがあった場合には着物専門店のクリーニングを利用しましょう。

着物のクリーニングの専門店がわからない場合には着物を購入した店舗などに聞くのも良いでしょう。

着物のトラブルは早ければ早いほど手間が少なく、確実に直すことができるといいます。

■関連記事■着物のカビはベンジンで落ちるの?!

着物だけでなく複数の衣類にカビが生えた場合には「ガス殺菌」による、衣類のカビ取りもおすすめです。

特殊な技術により、衣類のカビを殺菌します。

段ボールに入れて送ることでガス滅菌をすることができるので、是非検討してみてください。

ガス殺菌を依頼する

6.まとめ

・七五三の着物のカビ予防方法は着た後のケアと保管方法がポイントです。

・七五三の着物にカビが生える原因は汗や汚れによるものです。

・洗えるタイプの着物も検討してみましょう。

・七五三の着物のカビは専門店に相談しましょう。

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⑤寝具

<参考文献>

・安田多賀子『いちばんやさしい着物のお手入れ・お直しの基本』2016年、ナツメ社

・きものすたいりすとみえこ『はじめてでもできる着物のお直しとお手入れ』2015年、日東書院

・髙橋和江『大人気の悉皆屋さんが教える!着物まわりのお手入れ』2014年、河出書房新社

・内田𠮷昭『きもののお手入れ&お直し決定版』2009年、世界文化社

・きものすたいりすとみえこ『はじめてでもできる着物のお直しとお手入れ』2015年、日東書院

・石川理恵『10年着るための衣類ケアブック』2012年、技術評論社

・阿部絢子『レタスクラブムック新・生活便利シリーズソコが知りたい!家事のコツ』2006年、   

 レタスクラブムック

・主婦の友社『プロのコツ集めた新・洗濯しみ抜き事典』1985年、主婦の友社

・横倉靖幸『「シミ抜きの神様」が教える驚きのマジック!』2017年、扶桑社

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