カビキラーの放置時間は何分が正解?効果を最大限に引き出す使い方と注意点をプロが解説

「お風呂にカビが生えたからカビキラーを使いたいけど、どのくらい放置するのが一番効果があるの?」
「ひどいカビを除去したい場合、長時間そのままにしておいた方が効くの?」
カビ取り剤を使う際、このような疑問を抱く方は少なくないでしょう。
浴室などの水回りにカビが発生した場合に、カビキラーを使うという選択をする方も多いかと思いますが、実は放置時間がカビ取り効果を左右する重要なカギになります。
この記事では、カビ取りのプロの視点から、カビキラーの正しい使い方や効果的な放置時間、使用時の注意点についてわかりやすく解説します。
また、ここでご紹介する内容は「カビキラー」だけでなく、カビハイターなど他の塩素系カビ取り剤を使用する場合にも役立つポイントが満載です。
塩素系カビ取り剤の効果をしっかり引き出したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること |
・カビキラーの成分や用途など ・カビキラーの放置時間ごとの変化 ・カビキラーを長時間放置してはいけない理由 ・カビキラー以外にカビに効果がある製品 |
目次
1. カビキラーとはどんなカビ取り剤なのか

カビキラーは、ジョンソン株式会社が販売している塩素系カビ取り剤で、強力な浸透力によってカビの根までしっかり除去できるのが特長です。
その強力な効果から、塩素系カビ取り剤の定番商品として多くの家庭で使用されています。

ジョンソン カビキラー
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また、ジョンソン株式会社ではスプレータイプだけでなく、洗濯槽専用や排水口のヌメリ取りに特化したタイプなど、さまざまな用途に合わせたラインナップが展開されています。
目的に応じた使い分けができるのも、カビキラーの魅力です。

ジョンソン 洗たく槽カビキラー
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ジョンソン カビキラー キッチン こすらずヌメリとり&除菌
出典:Amazon
1-1. カビキラーの成分
カビキラー公式サイトによるとカビキラーの成分は、以下の通りです。
- 水(溶剤)
- 次亜塩素酸塩(酸化剤)
- 安定化剤
- 水酸化ナトリウム(アルカリ剤)
- アルキルアミンオキシド(界面活性剤)
- アルキルスルホン酸ナトリウム(界面活性剤)
- アルキル硫酸エステルナトリウム(界面活性剤)
- 香料

この製品の主要成分である次亜塩素酸塩は、カビの色素を除去し、細胞内に浸透してカビの組織や酵素を破壊します。
水酸化ナトリウムはカビの細胞壁に作用し、次亜塩素酸塩の効果を高めてくれます。
界面活性剤は分解したカビ汚れを浮かび上がらせ、水で洗い流しやすくします。
また、カビキラーは他社製品と比較して約3倍の浸透スピードがあるとされています(※2016年 ジョンソン調べ)。
これは単にカビの色を脱色するだけではなく、カビの根までしっかり浸透して組織を破壊することを目的とした設計になっているためです。
1-2. カビキラーの用途
続いて、カビキラーの用途について解説します。
カビキラーはカビの除去に非常に効果がありますが、カビが生えている場所ならどこでも使えるというわけではありません。
カビキラー本体の裏面の用途の欄を見てみると、以下のような記載があります。
- 浴室内のカビ汚れ
- 壁やタイル・目地
- マット・小物類
- シャワーカーテン
- 扉等のゴムパッキン
逆に「使えないもの」のところには以下のような記載があります。
- 砂壁
- 繊維壁
- 漆喰
- 布張りの壁
- ユニットバスの化粧鋼板壁(磁石がつくタイプ)
- ホーロー・アルミ・しんちゅう等の金属製品(サビの原因になる)
- 木製品
- 獣毛のハケ、ブラシ
このように推奨されていない場所はたくさんあります。
そのため基本的には浴室内で使用するのが正しい用途と言えるでしょう。
1-3. カビキラーの使用方法

次に基本的なカビキラーの使用方法を見ていきます。
- ノズルの「出」をきちんと黄色部品中央の溝に合わせる。
※顔に向けて操作しない - カビ汚れから約15cm離して直接スプレーする。
※目線より上にはスプレーしない。
壁や天井等、高い所に使う時は柄つきのスポンジ等に駅をつけ、塗り付ける。 - 数分後、水で充分洗い流す。
※ひどいカビ汚れには、約20~30分置くと効果的。 - 使用後はノズルの「止」を黄色部品中央の溝に合わせ、冷暗所に立てて保管する。
作業後は必ず手を洗い、その後、顔、目も洗う。
ここで気になるカビキラーの放置時間ですが、使用方法には「数分後、水で充分洗い流す。※ひどいカビ汚れには、約20~30分置くと効果的」との記載があります。
要するに軽度のカビであれば数分、カビが酷くても30分が上限ということになります。
1-4. カビキラーがさらに効果を発揮するポイント
上記の基本的な使用方法に加えて、次のような工夫をするとより効果的にカビを除去できます。
- ① 表面の汚れをあらかじめ落として乾燥させる
すべてカビに見える汚れでも、実は皮脂や石鹸カスなどの汚れが付着している場合が多いです。
表面を軽く洗剤などで洗って汚れを落とし、しっかり乾燥させることで、カビキラーが薄まらず浸透力を高めることができます。
- ② ラップやキッチンペーパーで覆う
カビキラーをスプレーしたら、ラップやキッチンペーパーを被せて乾燥させないようにするのがポイントです。
これにより塩素成分が長くカビ部分に留まるため、しっかり浸透して根本的にカビを破壊できます。
- ③ カビが目立つところ以外にも広範囲に吹きかける
見た目ではわからなくても、胞子が周囲に飛んでいることがあります。
カビが発生している箇所の周辺にも広めに吹きかけることで再発を防ぎやすくなります。
- ④ ジェルタイプや他のラインナップを活用する
カビキラーには洗濯槽用やヌメリ取り用のほか、ジェルタイプも存在します。
ジェルタイプは粘度が高く、ゴムパッキンや窓枠のように液だれしやすい場所でもしっかりと留まるのでおすすめです。

ジョンソン ゴムパッキン用カビキラー
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2. カビキラーの放置時間による違いを検証してみた
今回は浴室のゴムパッキンに生えたカビを対象に、カビキラーの放置時間の違いがカビ除去効果にどのように影響するかを検証します。
ちなみに塩素系カビ取り剤を使用する際は、以下のことに注意しながら行う必要があります。
- 換気を良くする
塩素系の漂白剤は刺激が強いため、換気の良い場所で使用してください。
換気扇を使用し、窓があれば窓を開けて空気の流れを確保しましょう。
- 保護具を着用する
塩素の蒸気は目や肌、呼吸器に刺激を与える可能性があるため、ゴム手袋、マスク、ゴーグルを着用してください。
可能であれば、長袖の服を着用し、肌の露出を避けてください。
- 直接肌や目に触れないようにする
塩素系カビ取り剤が肌や目に直接触れると、刺激ややけどを引き起こす可能性があります。
万が一触れてしまった場合は、すぐに大量の水で洗い流してください。
- 混合しない
塩素系カビ取り剤は他の清掃剤、特に酸性のものやアンモニアと混ぜると有毒なガスが発生することがあります。
他の化学物質との混合は避けてください。
- 使用後はよく洗い流す
カビ取り作業後は、残留する漂白剤をすべて洗い流してください。
これにより、塩素の残留による追加的な刺激や材料への損傷を防ぎます。
2-1. 1日目の検証【使用前~10分経過】
検証方法は以下の通りです。
- カビキラーを噴射後、5分経過した時点で洗い流し、カビの除去状況を確認します。
- まだカビが残っている場合、再度カビキラーを噴射し、さらに5分間放置した後に洗い流し、10分経過時の状態を記録します。
- カビキラー使用前

まずはカビキラー使用前の状態です。
ゴムパッキンの部分に汚れやカビが発生していることが分かります。
- 放置5分後

カビキラーを使用してから5分経過した状態です。
使用前より汚れもカビもかなり落ちたように感じますが深く根をはったカビはまだ残っています。
- 放置10分後

10分経過したカビの状態です。
まだうっすらとカビが残っていますが5分経過時点よりもさらにきれいにカビが取れていることがわかります。
今回は、特にカビが取りにくいゴムパッキンを対象に実験を行いましたが、放置時間10分の時点で9割ほどのカビを除去することができました。
カビの程度や生えている部分の材質によって結果は異なるかもしれませんが、一般的にカビキラーを噴射してから10~15分の放置で大部分のカビが取れると考えられます。
特にひどいカビの場合は、製品ラベルに記載されている通り、放置時間を20~30分に延長してみることをお勧めします。
2-2. 2日目の検証【30分経過~1時間経過】
1日目の検証でお伝えした通り、放置時間について通常は10分~、長くても30分程度に留めておくことがベストでしょう。
では、カビキラーを噴射してから30分以上放置してしまった場合はどうでしょうか。
放置時間を長くすることでさらに効果が期待できると考えて、あえて長く放置している方もいるのではないでしょうか。
ここでは、カビキラーを長時間放置するとどうなるか見ていきます。
先の検証をおこなった翌日に、同じ箇所で追加の検証を行いました。
検証方法は以下の通りです。
- カビキラーを噴射後、30分経過した時点で一度洗い流し、カビの除去状況を確認します。
- その後、再度カビキラーを噴射し、さらに30分間放置します。これにより合計放置時間が1時間となるので、その状態を観察し、記録します。
- 放置30分後

カビキラーを噴射して30分経過した時の状態です。
昨日の10分経過時点よりもさらにカビや汚れが落ちたことがわかると思います。
ゴムパッキンのようにカビが落ちにくい場所は30分ほど放置した方が良いのかもしれません。
- 放置1時間後

カビキラーの放置時間の合計が1時間経過した時の状態です。
30分の時点ではゴムパッキンの下の部分にまだカビや汚れが残っていましたが1時間後にはそれも消え、綺麗になりました。
放置時間が30分では取れなかったカビが1時間では取れたということは、「放置時間は長ければ長いほどいいのでは?」と思うかもしれません。
ではなぜカビキラーの本体には放置時間について20~30分と記載があるのでしょうか?
その理由について、次の項目で詳しく解説します。
3. カビキラーの放置時間は30分までが良い理由
先ほどの検証のように1時間放置することでカビ取り剤の効果をより感じられましたが、長くても放置時間は20~30分と推奨されています。
カビキラー本体の裏面にも「一度に大量に使ったり、長時間連続して使わない」と記載があります。

では、何故30分以上だといけないのかその理由を解説します。
3-1. カビ取り剤の臭いによる体調不良の発生

カビキラーは次亜塩素酸塩を主成分とする塩素系の漂白剤で、使用すると強い塩素臭を発します。
長時間放置すると、その間も強いにおいが持続します。
検証中は換気扇を使用し、浴室の扉も開けて行いましたが、においは浴室内に留まらず少し離れた場所にまでツンとした臭いが広がっていました。
今回の検証でも、1日目の放置時間が10分程度だった場合はあまり気になりませんでしたが、2日目の1時間放置した際には、臭いを吸い込んだことによる気持ち悪さと少しの頭痛を感じました。
もしご家庭に呼吸器系に疾患のあるお年寄りや小さなお子様がいる場合、使用した本人に影響がなくてもそういった方たちに悪影響を与えてしまう恐れがあります。
3-2. カビ取り剤で素材を傷める可能性がある
カビキラーなどの塩素系カビ取り剤に含まれている成分は非常に強力で、長時間放置することによって、ゴムやプラスチック、金属などの素材に腐食や変色を引き起こす可能性があります。
たとえば、ゴムパッキンのような柔軟性のある素材は、長時間漂白剤にさらされると硬化するか、もろくなりやすいです。
また、塗装された表面や金属についても、塩素が反応して錆びやすくなることがあります。
これは、塩素が素材の保護層を破壊し、その下の素材を脆弱にするからです。
そのような事態にを避けるためにも、放置時間は守るようにしましょう。
4. カビキラーを30分放置しても除去しきれない場合
もし、カビキラーを30分放置してもカビが完全に除去できない場合は、別の日に再度処理を行うことをおすすめします。
なお、カビキラーが意図しない場所に垂れてしまい、その部分が変色してしまったという声もあるようですが、これはカビキラーによる変色ではなく水アカによる汚れです。
カビキラーの公式サイトでも、以下のような記載があります。
皮脂汚れや石鹸カス汚れは「カビキラー」など、浴室用の洗剤で落とすことができますが、水アカ汚れは、浴室用洗剤やカビ取り剤では落とすことができません。白く見えるのは、皮脂汚れや石鹸カス汚れがクリーナーで除去された後に、落とすことができない水アカ汚れが目に見えるようになったものです。
水アカの汚れは、専用のクリームクレンザーなどで取り除くことができますので、カビキラーで落ちない汚れがある時はそちらを試してみてください。
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5. カビキラー以外にもカビ取りできる製品は?
カビキラー以外にもカビ取りに適した製品はたくさんあります。
ここでは代表的なものをいくつか紹介します。
5-1. ドラッグストアなどで購入できる製品
- 塩素系
カビキラーと同じくらい有名な塩素系カビ取り剤の「カビハイター」や、塩素系漂白剤の定番の「キッチンハイター」などは、カビキラーと同じような成分で作られているため、非常にカビに効果があります。

花王 カビハイター
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花王 キッチンハイター
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- 酸素系
「オキシクリーン」や「ワイドハイターEX」のような酸素系漂白剤は、塩素系のものと比べると漂白効果は弱いため頑固な黒カビにはあまり向きません。
ただし、塩素系漂白剤のような強いにおいはなく、素材を傷める心配もないため安心して使用できます。
また、脱色の心配な衣類や繊維・小物類などのカビ取りにもおススメです。
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グラフィコ オキシクリーン
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花王 ワイドハイター EXパワー
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5-2. プロレベルのカビ取り剤もおススメ

徹底的にカビ取りや防カビをしたいのであれば、カビ取り業者のハーツクリーンが開発したカビ取りマイスターキットをおススメします。
この製品は実際に業者が使用している液剤を誰でも使えるように改良した商品なので、自宅でプロレベルのカビ取りができます。
また、塩素系カビ取り剤には水回り以外で使用することは推奨されていないですが、この製品は危険な成分が含まれていない為、壁や家具などのカビ取りにも使用できます。
さらに防カビ剤もセットなので、カビの除去だけでなくカビの再発も防いでくれます。
しっかりとカビ取りと防カビをしたい場合は、是非こちらも検討してみてください。

6. 自力でカビを除去できない場合はカビ取り業者に相談
塩素系カビ取り剤でも落とせない頑固なカビが発生した場合、カビ取りの専門業者に依頼することを検討すると良いでしょう。
プロのカビ取り業者は、一般家庭では手に入らない専門的な化学薬品や機器を使用してカビを根本から除去します。
さらに、カビの発生原因を特定し、再発防止のための対策も提案してくれます。
カビ取り業者に依頼する際には、以下のポイントに注意して選ぶようにしましょう。
- 実績と評判
長年の実績と良い評判を持つ業者を選ぶことが重要です。
口コミやレビューをチェックし、信頼できる業者かどうかを確認してください。
- 使用する薬剤と方法の説明
どのような薬剤を使用するか、どのような方法でカビを取り除くかを事前に説明してくれる業者を選びましょう。
安全性や健康への影響についても質問し、納得できる回答を得ることが大切です。
- 保証の有無
サービスに満足できなかった場合や、カビが再発した場合の保証があるかどうかも確認してください。
保証があることで、安心して依頼することができます。
- 見積もりとコスト
複数の業者から見積もりを取り、コストを比較検討します。
ただし、最安値の業者が最良のサービスを提供するとは限らないため、コストとサービス内容を総合的に評価することが重要です。
プロによるカビ取り作業は、アレルギーや喘息など健康に不安を抱えるご家庭にとって、安心・安全な選択肢となります。
自分では対処が難しいカビの広がりや、何度掃除しても再発するような場合には、専門業者に相談することをぜひ検討してみてください。

7. まとめ
今回はカビキラーの放置時間や効果的な使用方法ついて解説しました。
この記事で紹介した内容をまとめると、以下の通りです。
- 通常のカビの場合、カビキラーの放置時間は10~15分がよい(MAXでも30分)
- 放置時間を長くすることで落とせるカビもあるが、健康や素材に悪影響を与えることもある
- カビキラーは記載通りの使用方法・放置時間で使用する
- 事前に表面の汚れの除去やラップパックなどの工夫をすることで効果UP
今回の記事では数多くのカビ取り剤の中からカビキラーに焦点を当てて解説しましたが、カビキラー以外にも効果的なカビ取り製品は多数存在します。
また、カビキラーよりも費用は掛かりますが、安全性の高いプロレベルのカビ取り剤などもあります。

カビが発生した場合は早急な対応が求められるため、カビに効果がある製品を使ってしっかりと除去してください。
そして、もし自力では対処できないほどカビが広がってしまった時にはカビ取り業者などのプロに任せるようにしてください。
この記事によって、皆さまのカビの悩みが解決することを願っています。
