要注意!カビが生えた餅は削って食べても危険
お正月で余ったお餅の表面にカビが…そのまま削って食べても良いの?
お正月と言えば「お餅」ですが、お雑煮やきなこ餅など色んな食べ方をしても飽きてしまったり、買い過ぎて余ってしまったりして、冷蔵庫に保存しておいたお餅。いざ「食べよう!」と思って取り出すと、表面に緑や白のほわほわとしたカビが生えていた!という経験はありませんか?!
目次
お餅に生えたカビ部分だけ削れば食べられるの?
よくおばあちゃんの知恵袋などで“お餅に生えたカビが悪くないから削って食べれば大丈夫”と聞きますが、実際にはいくらお餅に生えた表面のカビ部分を削って食べたとしても「見えないカビ」を摂取し、カビの種類によっては毒素による体調不良や食中毒を起こしてしまう危険性も!
カビの良し悪しは見た目では判断が難しい
お餅に生えたカビでも身体に害をもたらす理由として、良いカビなのか悪いカビなのかは肉眼では判断が難しいことが挙げられます。緑や白だから大丈夫、黒だから危険とは単純にいかないのです。
そこで、お餅の表面に生えたカビの危険性や生えないようにするコツについてご紹介していきたいと思います。
お餅にカビが生える条件
お餅にカビが生える条件と、家庭でカビが生える条件は同じです。
- 水分(湿度)
- 栄養素
- 温度
- 酸素
この4つの条件が揃うと、カビは発生します。日本のお正月は冬の季節なので外気の湿度や温度は低いですが、室内は暖房などで温度が高くなりやすく、キッチンやリビング付近は自然と湿度が上がりやすくなります。
その為、冬でも油断するとカビが発生してしまうのです。
また、お餅自体もデンプン(炭水化物)や水分、脂質などを含んでいるため、カビによっても好条件な場所です。冷蔵庫も栄養素や湿度はありますので、カビは発生してしまうのです。
お餅のカビ部分だけカットして食べることをおすすめできない理由
お餅に生えるカビの種類
では、お餅に生えやすいカビの代表的な種類についていくつか挙げていきたいと思います。
青カビ
ペニシリウム属のカビで、みかんなどの柑橘類などにも生えやすいカビです。
青かびの恐ろしさは有害なものと無害なものがある点です。無害なものはチーズなどにも利用されますが、有害なものは「マイコトキシン」といって強い毒性があるものも。
また、青かびは呼吸器系のカビアレルギーの原因となるものもありますので「青いカビだから大丈夫」とは安心できません
赤カビ
加湿器や洗面所、お風呂などで生えやすいカビです。これはロドトルラという酵母菌の一種です。
根を張って繁殖するカビではありませんが、繁殖スピードが非常に早いという特徴もあります。また、赤かびが生えると黒かびも発生しやすくなる為、注意が必要です。
また赤カビにもマイコトキシンというカビ毒をもつものが多く、特にマイコトキシンの中には猛毒の「アフラトキシン」もあるので、赤いカビが生えたお餅は絶対に食べないようにしましょう。
(参考:厚生労働省「カビ毒評価書」より)
黒カビ
室内でも発生しやすいカビの一種です。色素が残りやすく、生命力も非常に強いという特徴があります。また、一度根を生やすと見えない部分にも菌糸を広げている可能性があります。これが「カビが生えている表面の部分だけを削って食べても危険」と言われる理由です。また、黒カビはハウスダストの原因になると言われています。
カビが生えていない部分は食べても良いの?!
黒カビの話でも書きましたが、カビは実際に見えていない部分でも「菌糸」を張って繁殖しようとしています。その為、カビが生えてしまったお餅は、いくら表面のカビ部分をカットしても見えていない部分のカビを摂取している可能性が高いです。
アレルギーやカビ毒による食中毒を防ぐためにも、カビが一度生えてしまったお餅は食べないようにした方が無難です。
お餅のカビは加熱したり冷凍すれば無毒化するの?
一度生えてしまったカビのカビ毒は、加熱をしても凍結をしても無毒化しません。ですので、焼いたら大丈夫だから…とカビが生えたお餅を加熱して食べないようにしましょう。今は大丈夫でも、マイコトキシンによってカビ毒が少しずつ蓄積して、将来ガンを引き起こす…という可能性もあります。
(参考:農林水産省「お餅に生えたカビ」)
カビがお餅に生えてもカビ臭がしなかったら大丈夫?
カビには特有の「カビ臭さ」というものがありますが、お餅にカビが生えてしまったとしてもその”カビ臭いにおい”がしなければ食べて良いわけではありません。カビにも色んな種類があり、中にはカビ臭くないものもあります。少しだけでもお餅の表面にカビが生えていたら、全くカビ臭くなかったとしても食べない方が良いでしょう。
お餅に生えたカビは水で洗えば大丈夫?
これも、よく聞く話ですが、カビは一度生えてしまったら見えない部分にも根を生やしてしまっている可能性があります。また胞子を飛ばしている可能性も。なので、お水で表面だけ洗ったとしてもあまり意味がありません。
「カビたお餅はお水で洗ったから食べられる」と過信しているとカビ毒による食中毒や発がんの原因となります。
つまり、カビの生えたお餅は食べない一択!
ここまでお餅に生えるカビの種類や、危険性、カビの特徴によってお伝えしてきましたがまとめると
「カビが生えたお餅は、有害か無害かは見分けがつかないから食べない方が良い」ということです。少量食べて今は大丈夫だったとしても、少しずつ影響を受けている可能性もあります。
つまり、一番大事なことはそもそもお餅にカビを生やさないことなのです。
お餅に生えたカビが有害なのか無害なのか、肉眼で判断が難しい。加熱しても冷凍しても一度生えてしまったカビは無毒化できない。だからこそ、一部分でもお餅にカビが生えてしまったら食べない方が良い
お餅にカビを生やさない保存方法
では、ここで、お餅にカビを発生させない保存のコツをご紹介します。
①湿度の低い場所に保存
湿度や温度が高い台所やリビング付近でなく、湿度の低く乾燥した倉庫などに保存するというのも1つの方法です。しかし、湿度や温度管理を徹底しないとカビは発生してしまいますので、油断は禁物です。
②冷凍保存
もっとも手っ取り早いお餅の保存方法が冷凍することです。凍結することでカビの発生しにくい温度にするという狙いがあります。ただし、冷凍庫の保管スペースには限りがありますので、大量のお餅は保存できません。冷凍庫を開け閉めした際に霜が付いたり、劣化する可能性もありますので冷凍したお餅は2~3週間で食べきった方が良いでしょう。
③殺菌効果のあるワサビや唐辛子と保存
殺菌力のあるワサビや辛子、唐辛子などと一緒にお餅を保存するという方法です。短期間の保存では効果が期待できますが、過信はしない方が良いでしょう。
(チューブワサビを紙にくるんでお餅を保存でも良いですが、米びつ用のわさびや唐辛子と一緒に保存というのもおススメです)
つまり、保存には限界があるので食べきれない量のお餅は買い過ぎない、貰い過ぎない、作り過ぎないようにする方が良いかもしれません。
まとめ
お餅にカビが生えやすい家=いたるところにカビの胞子がいるかも?!
さて、ここまでお餅に生えたカビの有毒性や、カビが生えないするようにするための保存方法についてまとめてみましたが、お餅にカビが生えやすい環境(お家)ということは、壁や窓、洋服などお部屋全体にカビが生えやすい環境と言えます。
その為、しっかりと換気を行い掃除をこまめに行う、また消毒用エタノールでカビを取り除くなど室内のカビ対策も見直すようにしましょう。
また「毎年お餅にカビが生えるけれど、もしかしたら家全体にカビが生えているのかも?」と心配になったらカビ取りのプロに相談して、根本的にカビの除去をする方が良いでしょう。