木の家にカビが発生!対策方法をカビ取りのプロが伝授
木造住宅に住んでいるのですが、柱や天井部分のカビが気になっています。木材は市販のカビ取り剤が使えないと聞き、何を使って対処したら良いのか困っています。良いカビ対策はないでしょうか。
木の家は冬場であっても家の中が乾燥しすぎるということはなく寒さを防ぎ、夏は暑さをしのぎ、木は吸湿性もあり、湿度をコントロールしますので高温多湿の日本に適しています。

しかし、木は湿気を吸う性質があり、結露や漏水などにより、吸った湿気を放出できないとカビてしまうことがあります。
いつの間にか木に黒い点々のようなカビが生えていたり、白いカビが広がっていた...ということも。
そこで、この記事では木の家にカビが生えてしまった場合
- おうちでカビを取る方法
- どうしてカビが生えたのか原因を分析
- 木造住宅のカビを防ぐ日ごろのお掃除方法のポイント
について解説していきます。
目次
木の家は調質効果があるが...

コンクリートの建築物の夏場の室内は60~80%以上の湿度があるのに対し、木の家は60%を上回ることがほとんどありません。
冬場など湿度が低い場合には、それまで体内に蓄えていた水分を放出してくれることもわかっています。
しかし、木造住宅でも室内が化学材料であれば結露が発生し、それにともないカビも発生します。
無垢の木の特徴
また、無垢の木には断熱性があり、触っても冷たくなく、適度にやわらかく肌触りが良いです。
吸音性と湿度の調整をしてくれるので心地よい空間づくりに最適な素材です。
その反面、工業建材と比べてやわらかく傷がつきやすく、汚れやすいです。また、水や湿気が多いとカビの発生や腐朽の原因となります。
このような特徴をふまえて木の家のメンテナンスを心がけていきましょう。
木の家のカビ取り方法

では、木の家にカビが生えた場合には、まずどんな対策をすれば良いのでしょうか。
先に結論から言いますと、木の家にカビが広がっている場合や再発を繰り返している場合には、業者に相談されることをおすすめします。理由は、カビが木の繊維の奥まで菌糸を伸ばして増えている場合、表面だけカビ取り剤を塗布しても、完全に除去することは難しいからです。
また、市販の塩素系のカビ取り剤は、流水でしっかりと洗い流せる場所の除カビには適していますが、木の天井や木の床など、木材の除カビ、特に広範囲となると適していません。また、自力でやることで液剤によって体調を崩す恐れもあります。
数センチ程度、ちょこちょこっとカビが生えている程度や、白カビが表面にふわっと生えている場合でしたら、以下の方法で落ちる場合があります。おうちのカビの状態や規模を確認して、お試しください。
1.消毒用アルコールで落とす(軽度)
使用するもの

- 消毒用エタノール 70~80%濃度
- スプレーボトル
- 液体の酸素系漂白剤
- 紙やすり
- ぞうきん
- キッチンペーパー
- マスク
- ゴム手袋
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手順
①消毒用エタノールを雑巾にたっぷり浸透させます。
②カビの気になる部分を中心に、塗布していきます。
③5分ほど時間を置いて、別の雑巾で乾拭きしていきます。
④扇風機の風を当ててよく乾燥させます。
2.紙やすりで削る(軽度)
次に消毒用エタノールではカビを取り除けなかった場合には液体の酸素系漂白剤と紙やすりを使用します。
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ただし、この方法は漂白剤を使用するため木の繊維を破壊しザラザラとした触感になったり変色してしまうおそれがあります。
また、紙やすりを使用してカビを削り取るため、周囲と違った見た目になってしまう可能性もありますので注意が必要です。
酸素系漂白剤でぞうきんを濡らしカビが生えている箇所を拭きます。
この工程でカビが取り除けない場合には、拭いた箇所が乾いたら紙やすりで削ります。
注意点
変色や脱色がないか必ず目立たない場所で試してからおこなってください。
必ず換気をしながら作業するようにしてください。
紙やすりで削るとカスが出ますので新聞紙やビニールシートを敷いて作業すると片付けがラクです。
3.木材・木部用のカビ取り剤を使用する方法

木材や木部用のカビ取り剤が販売されています。スプレータイプのカビ取り剤なので噴射して放置することでカビが取れます。
この場合も、必ず換気を行い、ゴーグル、や手袋を装着した上で除カビしましょう。
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4.カビ取り業者レベルの液剤を使用

業者に依頼するのは料金が高い。だけど、おうちで、プロレベルの液剤を試したい。という方には、業者レベルの液剤であるカビ取りマイスターキットがおすすめです。
刷毛やカップがセットで付いており、手軽に除カビを始められます。
壁や床など、気になる部分の除カビそして、防カビを行うことができます。
木の家にカビが生える原因とは?

木の家にカビが生える原因の1つは結露です。結露は温度差が生じることによって発生します。
温度差が生じると、空気に含まれている水蒸気が温度の低いところに集まり、その結果結露が発生します。まず、水蒸気というものは温度の高いところから低いところへと動く習性があります。
具体的には家の中で暖かい場所から寒い場所(北側の部屋、押し入れ、タンスのうしろ、トイレ、壁、床下、屋根裏など)に侵入して、そこに結露が発生するのです。
結露は物体の表面の温度と室温の差が大きいほど起こりやすくなります。
室内で結露が発生する主なケースは、冬場に気温が下がり、室内の壁面温度が低くなるときや梅雨の時期など大気の湿度が高いときです。
この結露水によりカビが発生してしまうのです。
その他、換気不足、日当たり不足、漏水などが原因でカビが発生します。
結露は木の家を腐らせてしまうことも!?
木の家は結露が発生することで構造を支える柱や土台となっている木材を腐らせ、鉄筋コンクリート造りであってもコンクリートを劣化させたり、鉄筋を錆びさせたりしてしまいます。
これは、家の窓などで見かける結露ではなく、見えない壁の中で生じる結露のしわざなのです。
この被害は10年20年しないと生活していても気づかないのでたちが悪いです。
木の家を長持ちさせるためにも結露は危険なのです。
木に直接結露しなくてもアルミサッシ枠に結露し、そこに接する木枠が水分を吸って黒くカビが発生することがあります。
浴室の入り口の木枠は塗装を施した方が良いでしょう。
脱衣所などにバスマットを置いている場合には使用後に干して床も乾燥させるとカビを防ぐことができます。
木の家にカビが生えないようにするためには?

カビが発生する条件は温度、栄養分、水分、酸素の揃った環境です。
温度は私たちが生活しやすい温度とかぶっている部分があるため、温度でカビが発生しないようにするというのは困難になってきます。
次に栄養分ですが、カビは家の中のありとあらゆるものを栄養分とすることができるのです。
食べ物、ホコリ、汗、皮脂、髪の毛、フケ、木などもカビの栄養分となります。
木はカビが特に好むもののひとつでもあります。
木の家では家そのものがカビの栄養分となってしまうので、栄養分を絶つことも難しくなります。
しかし、少しでもカビに余計な栄養分を与えないためにきちんと手入れをすることが大切です。
ホコリやゴミ、汚れはこまめに掃除することで拭き取りましょう。
また空気清浄機を置いて空気中の埃やカビの胞子などを吸い込むことで、カビの発生を抑制することができます。
最後にに水分ですが、カビは湿度が減少すると活動が鈍くなることがわかっています。

湿度が60%を超えるとカビは活発になりますので、湿度は60%以下に保つことがカビを防ぐ方法になります。また、晴れた日は窓を開けて換気をし、家中の空気を循環させましょう。
通気性の悪い場所には、サーキュレーターや扇風機を用いて通気を工夫します。日当たりが悪くジメジメとして湿度の高まりやすい場所は、除湿機を設置するのもおすすめです。また、不用品は処分して、なるべくモノを減らすこともカビ予防につながります。カビ予防方法をまとめると以下の通りになります。
- こまめに掃除をしてカビの栄養源を取り除く
- 晴れた日は換気をする
- サーキュレーターや除湿機で湿度を管理する
- 不用品を処分し室内の空気の循環を良くする
このほか、既にカビ臭い小物類や衣類がある場合には早めにクリーニングに出すなどして対策しましょう。
湿度を下げる方法
エアコンのドライ運転や除湿機、扇風機を活用したり、換気扇や天気の良い日は窓を開けて換気をすることで湿度を下げることができます。
湿度計を設置して湿度が60%以下になるように調節することを心がけましょう。
北側に位置する部屋やあまり人が出入りしない部屋なども湿度が高くなる傾向がありますので、そのような部屋は特に除湿をこまめにするのが良いです。
また、晴れていても前日が雨などで湿度が高い日には窓を閉め、外の湿気を家に取り込まないようにしましょう。
水分は大敵なので、定期的にオイルやワックスなどで脂分を補っておくと耐久性が高まります。
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木の家の普段のお手入れ方法
木の家の掃除は基本的には乾拭きで掃除をしてください。
落ちにくい汚れがあるときには家庭用洗剤を水で薄めてぞうきんに浸し硬く絞って拭いてください。
汚れがひどいときにはクリーナーワックスを使用すると落とすことができます。
ワックスは汚れ防止に役立ちます。
無垢の木の場合には蜜蝋ワックスや植物系オイルワックス等の自然素材で浸透性のあるものを使用するのが良いでしょう。
再発を繰り返す場合にはプロにご相談を
自分でカビ取りをするとなると、木の家はカビ取り剤によっては使用できないものや脱色・変色してしまうこともあります。
また、広範囲にカビが生えている場合には作業もかなり大変になります。
さらに、小さいお子様やペットがいるご家庭では薬剤の使用に抵抗があるという方もいらっしゃると思います。
専門のカビ取り業者であれば木の家をなるべく傷めずに、小さなお子様やペットに害のない薬剤を使用したカビ取りも実施しています。
自分でカビ取りをしてみたけどできなかったという方は専門業者への依頼も検討してみましょう。木材が既にカビにより浸食し、剝がれている場合などはリフォーム工事なども必要な場合があります。家中にカビが広がる前に、除カビをしてカビ被害を食い止めましょう。
まとめ
・木の家は湿度の調整をしてくれるなどメリットがたくさんあります。
・しかし、吸った湿気を放出できないとカビてしまうこともあります。
・木の家のカビが既に広がってしまっている場合は早めに業者に相談しましょう。
・木の家にカビが生えてしまったら消毒用エタノールを使用しましょう。
・頑固なカビには酸素系漂白剤や木部用のカビ取り剤を使用しましょう。
・湿度を低く保つ工夫がカビを発生させないために重要です。
・再発を繰り返す場合はカビ取り業者に依頼しましょう。
<参考文献>
・「木の家リフォーム」プロジェクト『木の家リフォームを勉強する本』2011年、農山漁村文化協会
・小林伸吾『木の家をつくりたい』2010年、日本建築出版社
