カボチャのカビは食べても大丈夫?カビの種類や正しい保存方法は?
カボチャを丸ごと1個買って食べきれなくて保管している間にカビが生えてしまった!
という方は多いのではないでしょうか?
しかし、食べきれないからとカットされているカボチャを買ってもすぐにカビが生えてしまったりすることがあります。
カボチャだけでなく食品全般に言えることですが、食品にカビが発生すると食品本来の風味を害するだけでなく、カビ臭などの不快臭が発生し、腐敗し、変色して見た目も悪くなります。
もったいないと思いながらも廃棄せざるを得なかった経験って一度はありますよね。
目次
カボチャにカビが生える理由
カビは水分の低い食品でも発生しますが、水分を多く含むものほど発生しやすいです。
さらに、糖度を含む食品やデンプン性の食品もカビが発生しやすいです。
カボチャは水分も糖分も豊富なのでカビがとても生えやすい野菜のひとつなのです。
特にカボチャの種やワタの部分は皮などに比べてカビが生えるスピードがとても早いです。
カボチャに生えるカビの種類とは?!
食品分析開発センターによると、食品に発生したカビによる苦情が増えるのは6月~10月に多く、冬は少ない傾向があるそうです。
また、検出されるカビの種類としては
- アオカビ
- コウジカビ
- クロカビ
が最も多いという結果が出ています。(食品分析開発センター『食品のカビ危害と防御』より)
カボチャに生えるカビの種類としては、検出されるカビ同様にアオカビ、シロカビ、クロカビなどがあげられます。
部屋の温度、湿度によってもカビの種類は異なります。
さらに食品に生えるカビの種類は、食品が含む水分の量や糖度、塩分濃度によって変わります。
また、同じ食品であっても含んでいる水分量や糖度、塩分濃度などの個体差によって発生するカビの種類が異なることもあるのです。
水分活性とカビの関係
糖質はカビにとって栄養源ともなってしまいます。カボチャは糖質を多く含む食品の1つです。
しかし、食品の塩分や糖分が高くなるとカビが生えにくくなるのです。これを一般的には糖蔵法や塩蔵法と言います。
この現象を利用したのが、保存食であるジャム、漬物や塩辛、梅干し、佃煮などです。
これらは高濃度の砂糖や食塩を加えて作られており、常温で数日おいてもカビが生えることはありません。
実は食品の中に含まれる水分には、微生物の利用できる「自由水」と微生物の利用てきない「結合水」の2つに分かれます。この仕組みを水分活性と言います。
(参考:水分活性について)
砂糖や食塩の量が多くなると、食品中の自由水が結合水となるため、微生物が利用しにくくなるのです。
そのため、糖分や塩分濃度を高くすることで微生物さらに、糖度が高い甘いお菓子なども同じ理由で腐敗を防いでいます。
カボチャに生えるカビはカビ毒を産出するの?
これらは好乾性のカビで家庭にあるほとんどの食べ物の腐敗の原因菌になります。
ユーロチウム・・・カワキコウジカビとも言います。やや乾燥した環境を好むカビです。和洋菓子、魚介類、乾物、ジャム、佃煮などの塩分濃度・糖度の高い食品や乾燥食品によく生えます。
ワレミア・・・乾燥に強く、直径2~3ミリの小さな濃茶色で、チョコレート、カステラ、羊羹、干し柿など糖度の高い食品を汚染します。カビ毒は産生しません。
アスペルギルス・・・コウジカビとも言います。まだらにいろいろな色に変化し、カビ毒を分泌し、発がんなどの慢性中毒症を引き起こします。
ペニシリウム・・・俗名をアオカビと言います。名前の通り青緑色をしています。餅、柑橘類、魚肉練り製品、清涼飲料水、乳製品に生えます。カビ毒を生成し、肝臓がんや肝硬変を引き起こします。
クラドスポリウム・・・クロカビとも言います。黒色でさまざまな食べ物に生えます。アレルギーの原因にもなります。
フザリウム・・・俗名をアカカビと言います。赤色の綿毛状のカビで、赤色以外にも白色、黄色、青色の種類もあります。
ムコール・・・やや乾燥した環境を好むカビで、灰白色で綿あめ状です。食品によく発生し、発育はきわめて早く2~3日で食品の表面を被ってしまいます。
カビが生えたカボチャを食べるとどうなる?
カビが生えたカボチャを食べてしまった場合、少量であれば細菌の食中毒のような症状は見られないかも知れません。
食べてしまっても強酸性の胃酸でカビを殺菌しますのでほとんど影響はないと考えられています。
しかし、小さなお子様などは抵抗力が弱いので嘔吐や腹痛など体調を崩したり、アレルギーを発症することがありますので気を付ける必要があります。
また、カビが生えた部分を削り取って食べるという方法もありますが、カビの菌は内部にも食い込んでいるため、ほとんど害はありませんがカビが生えていることで風味は落ちてしまいますし、完全に無害ではありません。
そのため、カボチャにカビが生えてしまったらもったいないですが、捨てた方が良いでしょう。
このようなムダをなくすためにもカボチャのカビには注意しましょう。
表面の白い膜のようなものはカビ?
まだカボチャを買ってきて間もないのに、カットしたカボチャの表面に膜のような白いカビが生えているのを見たことがありませんか?
これはカビではなくでんぷんなので食べても問題ありません。
でんぷんは白いのでカビと間違えやすいですが、カビの場合には綿菓子のような状態になります。
綿菓子のような状態であればカビなのでもったいないですが廃棄しましょう。
カボチャのカビは調理で除去できる?
人や動物に対して有害な作用をする化学物質のことをカビ毒と言います。
カビ毒は熱に強く、ゆでる、焼く、炒めるなどの家庭での通常の調理では完全に除去することはできません。
クロカビであれば加熱調理などでカビを殺菌することができます。
シロカビやアオカビは加熱してもカビ毒が強いので毒素をなくすことができません。
カビが生えたカボチャは食べないようにした方が安全です。
カボチャは冷蔵庫に入れておけば安心?
家庭用の冷蔵庫ではカビは死滅することはなく、かなり長期間生きています。
温度が低いほどカビが増加するのを抑えることはできますが、ゆっくりと増殖していきます。
冷蔵庫に入れたからといって安心せず、早めに食べるようにしましょう。
一方で、マイナス18℃になる冷凍庫で冷凍するとカビの活動を停止させることができます。
ただし、これはカビが死ぬわけではないので温度が上がれば再び増殖しはじめます。
冷蔵庫も清潔に
また、冷蔵庫自体も清潔にしておく必要があります。月に一度程度、庫内を空にしてきれいな布で拭いて汚れを落とします。
扉を開け放って乾燥させたあとに、消毒用エタノールをつけた布で拭くのが効果的です。
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また、こまめにおこなうのは大変なので冷蔵庫でのカビを防ぐための対策もしましょう。
- 開放時間を短くする
- 開閉回数を少なくする
- 詰め込みすぎない
冷蔵庫の扉を開けると、外気が入り込み、庫内の温度が上昇します。
例えば、室温が30℃の場合には冷蔵庫を30秒開放すると、庫内がもとの温度に戻るのには約4倍の時間(この場合には2分以上)かかると言われています。
そして、この時間は庫内が食品でぎゅうぎゅうに詰まっていると冷気の通り道が塞がれてしまい、温度が下がるのにさらに長い時間がかかる場合もあります。理想的なのは、冷蔵庫の収容率は70%以下に抑えることです。詰め込みすぎないように注意しましょう。
さらに、連続して扉の開閉をすると、庫内の温度は高い状態のままになり、カビが増殖してしまいます。冷蔵庫に物がたくさん入っていると、目的のものを探すのにも時間がかかり、開放時間も長くなります。
そうすることで、結露が発生しやすくなり、内部やパッキンにもカビが生えやすくなります。
冷蔵庫の中でカビの発生しやすい場所は「野菜室」
冷蔵庫の中で最もカビの検出が多いのは野菜室だそうです。野菜室は特に清潔に保つようにしましょう。
また、冷蔵庫に食品をしまうときは冷ましてからしまうようにしましょう。
カボチャのカビ予防方法
カボチャは丸ごと1個の場合と、カットしてある場合とで保存方法が異なります。
カボチャは丸ごと1個で保存した方が長持ちしますが、食べきれないということも多いと思いますので、それぞれに適した保存方法を見ていきましょう。
丸ごと1個の場合
カボチャを丸ごと1個で購入した場合には、新聞紙で包んで冷蔵庫の野菜室で保存するか、風通しの良い冷暗所に置くとカビが生えるのを防ぐことができます。
カボチャを保存する前には洗わずに、土や汚れがある場合には払い落として乾燥した状態で保存しましょう。
食べる直前に洗うことでムダな水分を除去し、カビを防ぐことができます。また、カボチャはできるだけ傷つけないようにしましょう。
傷があるとそこからカビが侵入してしまうのです。
冷蔵庫でカボチャを保管する場合には、まず冷蔵庫の中を清潔に保ち、冷蔵庫内の結露を拭き取るようにしましょう。
カットしてある場合
カットしたカボチャは種とワタの部分から傷んでいくので、取り除いてからラップやジップロックなどに入れて冷蔵庫の野菜室で保冷しましょう。4~5日は保存が可能です。
カットしたカボチャは日持ちしないので、食べきれないときには下処理をして、冷凍保存が良いです。
冷凍保存の方法は
- 食べやすい大きさにカットする
- サッと茹でる(ブランチングします)
- 粗熱を取ったら、水気を軽く拭きとり、ジップロックに入れて冷凍保存する
冷凍保存であれば日持ちしますし、調理済みで冷凍すれば解凍してすぐに食べることができます。一度火を通しているので、煮物にすると味が染み込みやすくなります。冷凍していたカボチャに牛乳を加えて、コンソメを加えたら美味しいパンプキンスープが作れますよ。
カボチャを冷凍する際の注意点
カボチャを冷凍保存する際の注意点として、調理済みの場合には冷ましてから密閉できる容器やジップロックなどに入れてすばやく冷凍させましょう。
夏場などは調理済みのカボチャを常温で置いておくとすぐにカビが生えることがあります。
カビが生えてしまったまま冷凍し、食べようと思って解凍してびっくり!なんてことにならないように気を付けましょう。
カボチャは新鮮なうちにできるだけ早く食べるようにしましょう。
まとめ
今回は、彩鮮やかでホクホクとした食感が美味しいカボチャのカビについてご紹介しました。まとめますと
- カビが生えているとカボチャの風味は落ちてしまうので美味しくない!
- カビが生えてたら基本的に食べない!
- 一番良いのは新鮮なうちに食べきってしまうこと!
- 丸ごと1個なら風通しの良い冷暗所か新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室で保存がおすすめ。
- カットしたカボチャや食べきれない場合には冷凍保存がおすすめ。
食べきる量だけを購入し、新鮮なうちに食べること。難しい場合には冷蔵・もしくは冷凍保存をして、カビを防ぎましょう!
<参考文献>
・宮治誠『カビによる病気が増えている』2006年、農山漁村文化協会
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