日光消毒にカビの殺菌効果はあるの?正しい天日干し&紫外線の仕組みを解説

「カビ臭い布団を外に干したけど、これって効果があるの?」
「天日干しするとカビやダニが死滅するって聞くけど本当?」

日光には殺菌効果があるという話をよく聞きますが、「それって本当なの?」と思っている方も多いでしょう。

実際、日光の中にはカビや細菌、ダニなどの微生物にとっては有害な紫外線が含まれており、これが強力な殺菌効果を発揮します。
特にカビの場合、紫外線によってその成長を抑えることができるため、布団を外に干すことは非常に有効な方法の一つとされています。

しかし、日光消毒の効果は、ただ単に外に干すだけでは十分ではありません。
素材や干す時間、天候など、様々な要因が影響するものです。

この記事では、日光消毒によるカビの殺菌効果について、科学的根拠と共に詳しく解説していきます。
天日干しの正しい方法や、カビ除去に効果的な日光利用のコツなども紹介するので、カビに悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

この記事でわかること
・日光消毒が何故カビに効果があるのか
・正しい日光消毒のやり方
・日光消毒で気を付けなければいけないこと

1.日光消毒がカビに効果的な理由

晴れた日に布団や洗濯物を天日干ししている方も多いと思います。
天日干ししたあとのタオルや布団はふかふかで良い香りで気持ちが良いものです。

そしてこの天日干しはただ気持ちが良いというだけでなく、カビや微生物の成長を防ぐ科学的根拠が存在しています。

1-1.紫外線によるカビ殺菌の仕組み

日光は、生物に影響を与える電磁波の一種である紫外線を含んでいます。
この紫外線は、カビや細菌の増殖を阻止し、さらには日光の熱と外気による乾燥効果を合わせ持ち、強力な殺菌作用を発揮します。

紫外線には、その波長によって以下のように分類されます。

UV-C(100~280nm)
最も殺菌効果が高いとされ、特に250~260nmの波長がその効果を最大限に発揮します。

UV-B(280~315nm)
皮膚に影響を与えることで知られており、ある程度の殺菌効果も持ち合わせています。

UV-A(315~400nm)
殺菌効果は比較的低いものの、一部の微生物に対しては効果を示すことがあります。

工場や病院では、紫外線ランプ(特にUV-Cを放出するもの)を用いて殺菌が行われますが、家庭でそのような装置を使用することは一般的ではありません。
しかし、日常生活においては、日光にさらされることにより自然に含まれる紫外線でカビを殺菌することが可能です。

太陽光が放つ紫外線は、カビのDNAを破壊し、その生育を抑制します。
そのため、晴れた日に布団や洗濯物を日光にさらすことで、紫外線と乾燥の相乗効果により、カビを効果的に死滅させることができるのです。

1-2.カビを死滅させる温度

カビを死滅させるためには、高温にすることも一つの手段です。

一般に、カビは30℃を超える高温に弱く、特に55~60℃に達すると、ほとんどの種類が10分以内に死滅します。
夏の日に布団を天日干しすることで、表面温度が50℃近くまで上昇し、この高温がカビを殺菌します。

乾燥もカビの増殖を防ぐために重要であり、水分が奪われることでカビの成長が抑制されます。
布団乾燥機を使用する際も、同様に60℃程度に温めることで、カビやダニを効果的に死滅させることができます。

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1-3.カビに日光を当てた場合、どれくらい効果があるのか

カビや細菌に対する日光の殺菌効果についての実験結果をご紹介します。
、綿布にブドウ球菌を含む水溶液を染み込ませ、気温5℃、湿度40%の条件下で晴れた日に屋外に天日干しするという実験です。

実験開始時、綿布のブドウ球菌の菌数は8100万cfu(cfuは菌の量を示す単位)でした。
日光にさらした後の菌数は、以下のように変化していきました。

10分後→約1万3000cfuに減少
30分後→360cfuに減少
60分後→菌は完全に検出されない(0cfu)

対照的に、日陰に置いた綿布では、以下のような結果です。

10分後→約1600万cfuに減少
30分後→約470万cfuに減少
60分後→約270万cfuの菌が残存

この実験によって、冬のように気温が低い環境でも、晴れた日に屋外で天日干しをすることで、日光による消毒が非常に効果的であることが明らかになりました。
特に紫外線が強い晴れた日には、短時間で顕著な殺菌効果が得られることが証明されたということです。

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2.正しい日光消毒の方法

正しい日光消毒の方法について、科学的根拠に基づいた最適なアプローチをご紹介します。

日光消毒は、特に紫外線が豊富に含まれる日光を利用して、衣類や布団、その他の物品の表面に存在する細菌やカビを効果的に減少させる方法です。
このプロセスを最大限に活用するためには、以下のステップを踏むことが重要です。

2-1.適切な時間帯を選ぶ

日光消毒を行う際には、紫外線が強い時間帯を選ぶことが重要です。
具体的には、紫外線が最も強いと言われる10時から14時の間に干すようにしましょう。
この時間帯は太陽が天空で最も高い位置にあるため、地表に到達する紫外線の量が最大になるのです。

2-2.消毒時間を管理する

日光消毒における適切な露出時間の管理は、効率的な殺菌と物品の保護のバランスを取ることが重要です。
一般に、2時間程度の日光露出が推奨されますが、紫外線の強さは季節によって変わります。

夏季は紫外線が強いため、1〜2時間の露出で十分な効果が期待できます。
一方、冬季は太陽の位置が低く、紫外線が弱いため、2〜3時間の露出が望ましいです。

露出時間が長すぎると、布団や衣類などの物品が色あせたり、材質が劣化する可能性があります。
色褪せや素材への影響が心配な場合は、最初は短時間で試し、物品の状態を観察しながら徐々に露出時間を延ばしていくことをお勧めします。

2-3.物品を完全に露出させる

日光消毒を最大限に活用するためには、布団や衣類などの物品を完全に露出させることが重要です。
これは、紫外線が物品の隅々まで届くようにするためです。
折り畳んだ状態や重なっている部分は、日光が直接当たらず、消毒効果が低下します。

特に布団の場合、一方の面だけが日光にさらされると、消毒効果が表面に限定されてしまいます。
そのため、効率的な日光消毒を行うには、布団を広げて可能な限り太陽光が直接当たるように干し、2時間ごとに裏返して両面が均等に日光にさらされるようにすることが推奨されます。

このようにして、物品全体に紫外線を行き渡らせることで、より効果的な消毒が可能となります。

2-4.乾燥状態を確保する

日光消毒を行う際、物品が完全に乾燥している状態を確保することが、その効果を最大化する上で極めて重要です。

湿気を含んだ状態では、紫外線が直接カビや細菌に作用する力が弱まり、結果として殺菌効果が著しく低下します。
そのため、消毒を計画する際は、晴天の日を選び、空気が乾燥している条件下で実施することをお勧めします。

また、乾燥はカビの成長に不可欠な水分を奪うため、物品を完全に乾かすこと自体が、再発防止にも繋がります。

2-5.定期的に行う

日光消毒は、細菌やカビを一度で完全に取り除く魔法の方法ではありません。
特に、湿度が高くカビが繁殖しやすい環境では、その効果を持続させるためには定期的な実施が必要です。

紫外線による殺菌作用は強力ですが、新たなカビの胞子が空気中から降着したり、湿度が再び上昇したりすることで、カビや細菌が再発する可能性があります。
そのため、日光消毒を日常的な習慣として取り入れ、季節の変わり目や湿度が高くなりがちな時期には特に注意して、布団や衣類、その他の物品を定期的に日光にさらすことが推奨します。

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3.日光消毒する時に気を付けなければいけないこと

日光消毒は、自然の力を利用して細菌やカビを減少させる効果的な方法ですが、正しく行わなければ期待した効果を得られないことがあります。
また、適切な注意を払わないと、物品を損傷させる可能性もあります。

以下は、日光消毒を行う際に気を付けるべき点です。

3-1.日光消毒に適するもの・適さないものを知っておく

日光消毒は全ての物品に適しているわけではありません。
紫外線はプラスチックや塗料などを激しく劣化させる恐れがあるため、これらの素材の物品は日光消毒に向いていません。

逆に、以下のような物品は日光消毒に適しています。

皮革製品(靴やカバンなど)
紫外線による殺菌効果を受けやすく、適切に管理すれば効果的に消毒できます。

布製品(布団や洗濯物など)
布製品は日光にさらすことでカビや細菌を効率的に減らすことができます。

木製品(まな板など)
木製のまな板は水分を含みやすくカビが生えやすいため、日光消毒によってカビの発生を抑制できます。

しかし、日光による褪色や素材の劣化が心配な物品には注意が必要です。
色鮮やかな布地や紫外線に敏感な素材は、直射日光に長時間さらすと褪色や劣化のリスクが高まります。
このような場合は、日光消毒を避けるか、物品を直射日光から保護するための措置を講じることが重要です。

3-2.長時間の日光消毒はNG

カビの殺菌で効果的な日光消毒ですが、長時間の露出は逆効果になることがあります。

例えば、木製のまな板は日光の殺菌効果で衛生的に保つことができますが、過度に長い時間日光にさらすと、木材が変形したり割れたりする原因になり得ます。

同様に、皮革製品も長時間の直射日光は避けるべきです。
日焼けによる変色や、乾燥によるひび割れが生じやすくなるためです。

また、布団や洗濯物についても、長時間の直射日光は生地を傷め、素材を劣化させるリスクがあります。

日光消毒を行う際には、対象となる物品の特性をよく理解し、適切な時間で管理することが重要です。
必要に応じて、直射日光から適度に避ける、あるいは日陰で干すなどの対策を取るようにしましょう。

4.日光消毒出来ない場所にカビが生えた場合

外に干せる布類や革類にカビが発生した場合は日光消毒できますが、壁や天井、床などにカビが発生した場合はそれは難しいでしょう。
その場合は別の方法でカビ取りするしかありません。

初期段階であれば、カビ取り剤を使用して自力で除去することも可能です。
ただし市販のカビ取り剤は危険な成分が含まれているため、部屋の壁や天井、クローゼットなど水で洗い流せない場所で使用することは推奨されていません。

そこでおススメしたいのが、カビ取り業者のハーツクリーンが開発したカビ取りマイスターです。

安全性を考慮して開発したカビ取り剤のため、壁や天井、家具などあらゆる場所のカビ取りに使用できます。
もちろんお風呂場などの水回りでのカビ取りにもおススメです。

自力でカビ取りしたい場合は是非カビ取りマイスターを検討してみてください。

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また、広範囲にわたるカビの発生や根深いカビの問題に直面している場合は、自力での対処が難しいこともあります。
このような状況では、カビ取りの専門家やプロのサービスを利用することが最善の選択肢となるでしょう。

プロのカビ取りサービスは、カビの種類や発生原因を正確に特定し、最適な除去方法を適用してくれます。
さらに、将来的なカビの再発を防ぐための予防策やアドバイスも提供してくれるため、安心して生活空間の衛生を保つことができます。

カビ問題に対処する際は、速やかな行動が重要です。
放置すればするほど、カビはさらに広がり、健康へのリスクも高まります。
特にアレルギーや呼吸器系の問題を持つ人にとっては、カビの存在は深刻な影響を及ぼす可能性があります。
したがって、日光消毒だけで対応できない場合は、早期に専門家の助けを求めることが賢明です。

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5.まとめ

日光消毒は安全かつ経済的なので、大きなメリットのある殺菌方法ですが、その効果は日照時間や天候、さらには場所によって変わる可能性があります。
また、消毒が完了したかを直接目で確認することは難しく、実際に殺菌できているかの確信が持てずに不安になることもあるでしょう。

そして、紫外線の強い殺菌力は、同時に物品へのダメージを引き起こすこともあります。
直射日光に長時間さらされると、特定の色や素材は変色や劣化の恐れも考えられます。
そのため、天日干しする物の素材や露出時間、天候などに注意しなければいけません。

日光消毒にはメリットとデメリットがあるため、以下の点に注意して行うようにしましょう。

  • 日光が強い午前10時から午後2時の間に実施する
  • 消毒時間は30分から120分が目安
  • 布団は裏返しにして両面を均等に日光にさらす
  • 2時間を超える日光照射は、素材へのダメージのリスクがあるため避ける
  • 素材によっては日光消毒が適さない場合もある

日光消毒はあくまで衛生管理の一環として捉え、その限界を理解した上で適切に利用することが大切です。
自然の恵みを活用し、上手にカビや微生物などの除菌を行いましょう。

参考文献
・朝倉邦造『カビのはなし‐ミクロな隣人のサイエンス‐』2013年、朝倉書店
・新名史典『ビジュアル図解洗浄と殺菌のはなし』2013年、同文舘
・高麗寛紀『図解入門よくわかる最新抗菌と殺菌の基本と仕組み』2012年、秀和システム
・産経新聞:2014年2月14日(金)掲載記事