日光消毒ってカビ殺菌効果があるの?

よく「日光に当てると殺菌効果がある」と聞きますが、それはどうしてなのでしょうか。

私たちも日々の生活で

  • 布団
  • 布巾
  • まな板

などを日光に当てる(お日様で干す)ことによって、日光消毒の恩恵を受けています。この記事では日光消毒の原理やカビに対する効果について解説していきたいと思います。

日光消毒がカビにも効果的な理由

紫外線によるカビ殺菌の仕組み

布団や洗濯ものは晴れた日に天日干ししている方が多いかと思います。天日干ししたあとのタオルや布団はふかふかで良い香りで気持ちが良いですよね。

日光には電磁波の一種である紫外線が含まれており、紫外線は細菌の増殖を防ぎ、日光の熱と外気による乾燥で殺菌効果があります。紫外線の種類として

100~400nm(波長)をもったものがあり

  • 100~280nmのものをUV‐C
  • 280~315nmのものをUV‐B
  • 315~400nmのものをUV‐A

と呼びます。

殺菌効果が高いものは250~260nmで、UV‐Cがこれにあたります。

工場や病院等では紫外線を用いた殺菌には紫外線ランプが使われますが、家庭内で使用する方はいないでしょう。日常生活では日光に当てる天日干しにより太陽光に含まれる紫外線によってカビを殺菌することができます。太陽から発散される紫外線はカビにとって大敵となります。

晴れた日に日光に当てることで、紫外線と乾燥によってカビを死滅させることができます。

カビを死滅させる温度

カビは30℃より高温になるにつれて死滅していき、青カビや黒カビなどは55~60℃になると10分以内でほとんど死滅します。

夏の晴れた日に布団などを天日干しすると、布団の表面温度は50℃近くになります。黒い布やカバーをすると表面温度はさらに上昇し、速く乾燥させることもできてカビを殺菌することもできます。

カビを殺菌させるためには乾燥も重要です。カビの増殖には水分が欠かせないので、速く乾燥させるためにも日光に当てることは有効といえます。

カビに日光を当てた場合、どれくらい効果があるのか

綿布にブドウ球菌を含む水を染み込ませ日光に当てて菌数を計測した実験では、気温5℃、湿度40%の晴れの日に日光がよく当たる屋外に天日干しして

  1. 10分
  2. 30分
  3. 60分

の時間経過ごとに菌数を検査したところ、開始直後の菌数8100万cfu(cfuは菌量の単位)でした。これに対し

  1. 10分間日光に当てたものは1万3000cfu
  2. 30分間で360cfuとなり
  3. 60分間は0cfu

となり、菌は検出されませんでした。

また、日陰に置いたものは10分間で1600万cfu、30分間で470万cfu、60分間で270万の菌が残存していました。

これらの実験から気温の低い冬場でも晴れた日であれば、天日干しによる日光消毒が有効であるということがわかりました。

日光消毒の方法

日光消毒に適する時間帯は?

日光消毒とは、日光がよく当たる屋外で消毒したい物を日光にさらし、紫外線を利用して殺菌する方法です。

一日のうち太陽の高度がもっとも高くなる12時前後が紫外線の量が多く、日が沈むにつれて紫外線の量は落ちていくので、日光消毒をする時間帯は湿度も低い10時から14時頃がおすすめです。

また季節によっても紫外線の強さは変わってくるので、夏であれば1~2時間、冬であれば2時間~3時間程度日光に当てるのが効果的です。

布団などの場合は太陽に当たっている面の日光消毒は効果がありますが、表面だけの消毒になってしまうので、2時間程度干したら裏返して両面まんべんなく日光に当てることが大切です。

日光消毒に適するもの・適さないもの

紫外線はプラスチックや塗料を激しく劣化させるので、これらは日光消毒に適さないでしょう。一方で

  • 靴やカバンなどの皮革製品
  • 布団や洗濯物などの布製品
  • 木製のまな板

などは日光消毒に適しているといえます。

長時間の日光消毒はNG

ただし、木製のまな板は長時間日光に当てると変形したり、割れたりする原因となることもあります。

また、皮革製品も長時間にわたり直射日光に当てると日焼けで変色したり、乾燥して割れてしまうことがあります。布団や洗濯物も長時間にわたり直射日光に当たることで生地が傷んで劣化してしまうことがあります。長時間にわたって直射日光にさらさないようにしたり、日陰干しするなどの注意が必要です。

日光消毒する物の性質を把握し、日光消毒を上手く活用していきたいですね。

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まとめ

日光消毒はこのように安心安全でお金もかからないので手軽に行えるなどメリットが多いのですが、日照時間や天候に左右されてしまうことや場所によっては行えないこともあります。日光消毒はカビが殺菌できたかが目に見えてわかるわけではないので、本当に殺菌されているのかが実感できないということもあります。

紫外線は強い殺菌効果がある一方で物にダメージも与えてしまいます。

あまり長く直射日光にさらして干していると紫外線を吸収しやすい色や素材の物は変色や劣化が起きてしまいます。長くても2時間程度で取り込むようにしましょう。

また、晴れていても雨が降った翌日は湿度が高いことがあるので、干さない方が良いでしょう。

このように日光消毒にはメリットとデメリットがあるので、素材の性質や日光に当てる時間に注意しながら有効活用すると良いでしょう。

まとめますと、日光消毒を行う場合は

  • 日光のあたる10~14時の間に行う
  • 30~120分までが目安
  • 布団の場合は裏返して両面に紫外線を当てる
  • 2時間以上の日光照射は素材へのダメージがありNG
  • 素材によっては日光消毒が向かないものも

以上の点に気を付けて、晴れの日に日光消毒を行いましょう!

日光消毒ではカビ取りが難しい場合

外に干せる布類や革類のカビ殺菌は、日光消毒でできたものの

  • 壁のカビ
  • 天井のカビ
  • 床のカビ

など、日光消毒が難しい場所のカビ取りはカビ取り専門のプロにお任せください。無料カウンセリング実施中です!

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参考文献

・朝倉邦造『カビのはなし‐ミクロな隣人のサイエンス‐』2013年、朝倉書店

・新名史典『ビジュアル図解洗浄と殺菌のはなし』2013年、同文舘

・高麗寛紀『図解入門よくわかる最新抗菌と殺菌の基本と仕組み』2012年、秀和システム

・産経新聞:2014年2月14日(金)掲載記事