【Q&A】布製品に生えたカビはどうやって除去すれば良いの?!
【ご相談】「布製品のカビを自力で除去するには?」
布製品にカビが生えてしまいました。そのまま使用するのも心配ですが、まだポツポツと一部だけなので、処分するのも勿体ないと思って躊躇しています。
どうにかして布製品のカビを自力で取る方法はないでしょうか?!
衣類やシーツ、クッションカバーやタオル、布巾など普段からよく使う布製品。特に布製品は肌に触れることが多いので、カビの生えたまま使用するのは衛生的にも心配ですよね。
例えば↑の写真。布製品でできた椅子なのですが「シミのようなポツポツ」があるのは分かるでしょうか。
このシミ汚れのように見える部分、実は”カビ”であることも。しかし布製品の家具やベッドマットなど大きなものは丸ごとクリーニングに出すのも難しく、市販のカビ取り剤を吹きかけると布の柄が脱色しそうで、どう処理して良いか迷いますよね。
そこで、布製品のカビを除去する方法を カビ取り事業「ハーツクリーン」の穂苅代表に聞いてみました。
穂苅氏「布製品のカビはやや落としにくいですが、用途の合う方法を行えば除去することも可能です」
そこで今回は、布製品のカビを除去する方法を布製品の大きさ、カビの範囲や種類、布の種類に応じた手順をご紹介したいと思います。
★目次★「布製品のカビを除去する方法」
①小物類は煮沸消毒
②大物家具や衣類はアルコール消毒
③黒カビによる色素沈着は酸素系漂白剤
④布製品の種類別カビ対策方法(カーテン、タオル、寝具、ソファー、衣類)
⑤布製品のカビを防ぐ方法
⑥まとめ
布製品のカビを除去する方法
結論「布製品の大きさとカビの種類によって方法が違う」
穂苅氏「まず、布製品のカビを除去するには布製品の大きさそしてカビの種類(黒カビか否か)を区別する必要があります」
布製品のカビを除去するには大きく分けて、3つの方法を用います。
1:布製品の大きさ
2:カビの範囲
3:布製品に生えたカビの種類
図解でしますとこのように↑なります。
これによって、カビ取り方法が異なりますので、それぞれ①「小物布製品(タオルなど)」の場合②「大型衣類の場合(家具含む)」③「黒カビの場合」の場合でそれぞれ説明していきたいと思います。
①タオルや小物布製品は煮沸消毒
★適している布製品★
・台拭きやキッチンクロス
・タオル
・スタイ
・ハンカチ、ガーゼ
など小さな布製品
小さな布巾やタオルの場合は大きな鍋にお湯を沸騰させ、その中で煮沸するという消毒方法があります。なぜ、煮沸消毒でカビの除去ができるかと言うと煮沸することでカビのタンパク質が失活し、カビを殺菌できるからです。
煮沸消毒で布製品のカビ除去を行うメリットとしては
- 薬剤が不要
- すぐに行える
という点です。しかし、シーツや衣類など大きすぎる場合や熱湯NGな衣類では難しい方法です。
黒カビの場合は...
また布製品に生えたカビが黒カビの場合は、煮沸消毒で色素まで除去することは出来ません。その場合は、煮沸消毒した後に、残った色素の部分だけをキッチンペーパーなどに布用の酸素系漂白剤を染み込ませて”ポンポン“と軽くたたき込んで色素を除去するという方法もあります。
また、タオルや台拭き、布巾類の場合、あまりにカビが酷く生えている場合には、そのまま使用することでカビを広げてしまう恐れもありますので、処分して新しいものに交換することをお勧めします。
(防カビのクロスも売っています、次回購入時にはカビの生えにくいものを揃えるというのも良いかも知れません)
②衣類や家具類はアルコール消毒剤
市販のアルコール消毒剤を用いて、布製品のカビを除去するという方法も有ります。エタノールの殺菌効果でカビを殺菌するという方法です。
★適している布製品★
・衣類
・ベットマット
・寝具
・ソファー
・カーテン(黒カビ以外)
この場合用意するのは消毒用のアルコールで70%ほどに希釈したものです。無水エタノール(100%)でも出来ますが、無水エタノールのままですと揮発していまいカビの殺菌効果を上手に発揮できません。そのため精製水で希釈するという手間が発生します。スプレータイプの消毒用エタノールでしたらそのまま使用することができて便利です。
除去方法は、布製品のカビ部分に消毒用エタノールを噴射し1時間ほど放置するだけです。
実際にアルコール消毒剤でカビを取ってみた
では、実際に洋服(ジャケットの襟部分)に生えたカビを取っていきたいと思います。準備するものは
「消毒用エタノール」のみです。
これに直接、消毒用エタノールを吹きかけていきます。
注意点は「すぐにアルコール消毒剤をふき取らないこと」です。アルコール消毒剤を布製品の奥までしっかりと浸透させ、カビを除菌していくためです。
この際、はぎれなど要らない布を下に敷いてポンポンと叩きながらアルコール消毒剤を染み込ませるとより丁寧にしっかりと浸透させることが出来ます。特に、大事な衣類や高級な布製品などのカビ取りを行う際には、この「軽くポンポンと染み込ませる方法」が生地を傷めにくくおススメです。
↑今回の衣類のカビは、小規模だったためアルコール消毒剤を吹きかけるだけでカビとカビ臭さが消えました(カビの大きさによります)大きな布製品は、クリーニング等に出せない為、アルコール消毒剤は手軽に行えるカビ除去方法の1つです。
アルコール消毒剤のメリット
このアルコール消毒剤による布製品のカビ取りのメリットは
- 手軽に行える
- 使える布製品の幅が広い
- 生地が脱色されるリスクが低い
です。
アルコール消毒剤の注意点
煮沸消毒と同じように「カビの色素が沈着してしまった場合」には色素を漂白する効果がないので、色素を落としたい場合には布製品用の酸素系漂白剤を部分的に使う方が良いでしょう。(塩素系漂白剤は柄や色も脱色する可能性があるので、色物は注意)
また、アルコール消毒剤は“水気!があると効果が激減してしまいます。布製品は乾いた状態で行い、アルコール消毒剤がしっかり浸透して効果を発揮できるように、時間も1時間ほど置くようにしましょう。
また、アルコール消毒剤は火気の近くで使用すると引火する危険性があるのでコンロやストーブなど火気の近くでは使用しないようにしましょう。
③黒カビの場合は酸素系漂白剤
黒カビなどによる色素沈着が発生している場合には酸素系漂白剤で色素を漂白しながらのカビ取りが良いでしょう。
★適している布製品★
黒カビの生えた布製品
(結露布巾のカーテン、足ふきマットなど)
なぜ、塩素系漂白剤ではダメなの?!
雑巾や白いタオルなどの場合は一般的に”ハイター“と言われる次亜塩素酸ナトリウムの漂白剤を用いてカビ取りをしても良いかと思いますが、色や柄などがある衣類の場合は脱色されてしまう可能性があります。また、真っ白な衣類の場合でも塩素系漂白剤を使用することでかえって”黄ばみ“が発生してしまうこともあります。
その為、大切な衣類などは衣類専用の酸素系漂白剤を使用しましょう。
部分的に衣類のカビ取りをしたい場合には”スプレータイプ”の酸素系漂白剤が便利です。
酸素系漂白剤で布製品のカビを取る方法
手順は、アルコール消毒剤によるカビ取りと同じように
①酸素系漂白剤を直接カビの生えた布製品に吹きかける
②端切れなど不要な布に湿らせて「ポンポン」と叩きながら漂白剤を染み込ませる
③1時間ほど放置した後、水を染み込ませ固く絞った布巾でまた「ポンポン」と叩きながら漂白剤をふき取る
④ドライヤー、天日干しなどでしっかりと乾燥させる
という方法です。高価な衣類の場合はタグの洗濯表示の部分を確認し、酸素系漂白剤が使用可能か確認しましょう。
(場合によっては、酸素系漂白剤で衣類が痛む可能性があります。カビ取りをする前にしっかりとチェックしてください)
穂苅氏「特に、窓の結露付近にあるカーテンやレースカーテン、お風呂場の足ふきマットなどは黒カビが発生しやすいので、カビの範囲が広くなってしまう前に除去しましょう。」
洗濯機に入る衣類は「コインランドリー」で高温殺菌も!
布製品に生えたカビが黒カビではなく、白カビや青カビの場合には「コインランドリー」の乾燥機能で高温殺菌するという方法もあります。
穂苅氏「洗濯機に入るサイズの布製品でしたら”コインランドリー”でカビを殺菌することもできます」
クローゼットや押し入れ内の衣類全てがカビ臭く、1つ1つアルコール消毒剤をかける手間が面倒!という場合にはコインランドリー(家庭用ではなく業務用)でカビを除菌することが出来ます。
ポイントは「60℃以上で30分間以上乾燥すること」
穂苅さんによりますと、コインランドリーで60℃以上で30分以上乾燥させることでカビが死滅するとのこと!コインランドリーでは
- 低温(55℃前後)
- 中温(約60℃以上)
- 高温(約70℃以上)
と温度を選択することが出来ますので、カビ対策を目的とする場合には中温以上を選ぶようにしましょう。
(※繊維によっては低温でないと縮むものもありますので、タグをよく確認しコインランドリーで回すようにしましょう)
近所にコインランドリーがある場合には、多少荷物でも一気に布製品のカビ取りを行うメリットはあるかも知れません。
布製品の用途別カビ対策方法
では、ここで「布製品の用途別カビ対策方法」をまとめていきたいと思います。それぞれの布製品に発生しやすいカビの種類からカビ対策方法をまとめてみました。
①カーテン
カーテンは結露が原因で、カビが発生することが多いため発生しやすい種類のカビは「黒カビ」です。その為カーテンに黒カビが発生した場合には手順として
1:取り外して酸素系漂白剤で黒カビの色素を除去(殺菌)する
2:洗濯をする
(余裕があれば、コインランドリーで30分以上乾燥させる)
でカビを殺菌しましょう。
②タオル
水気の多い場所で使用しがちなタオルや、キッチンダスター、バスマットに生えやすいのは「黒カビ」です。
これらにカビが生えた場合もカーテン同様
1:取り外して酸素系漂白剤で黒カビの色素を除去(殺菌)する
2:洗濯をする
(余裕があれば、コインランドリーで30分以上乾燥させる)
でカビを殺菌するのが良いでしょう。
台所まわりの布製品はハイターでカビ・細菌の殺菌を
キッチンダスター、台拭きなど、台所回りで使用する布製品の場合は衛生面のことを考慮し「次亜塩素酸ナトリウム」(キッチンハイター等)で漂白&除菌するのもおススメです。食中毒予防にもなりますので、1日1回バケツなどに入れてスポンジなどと一緒に殺菌するのも良いでしょう。
③ソファー・クッション・寝具
ソファーやクッション、シーツや布団などの寝具類に発生しやすいのは「白カビ」「青カビ」です。これらはアルコール消毒剤で除菌することが出来ますので方法は2つあります。
方法1「アルコール消毒剤をふきかける」
方法2「洗濯をしてコインランドリーで高温殺菌する」
布製品の繊維の奥で繁殖しているカビを殺菌するため、市販のアルコール消毒剤をそのまま吹きかけて1時間ほど放置しましょう。
ソファーや布団など洗濯機に入らないもの
ソファー、お布団、ベッドマットなどの寝具のように洗濯機に入らないような大型の布製品の場合は市販のアルコール消毒剤を用いて「アルコール消毒」をするのがもっとも手軽にできるカビ取り方法です。手順としては簡単で
- カビの気になる箇所に集中的にアルコール消毒剤をふきかける
- そのまま1時間ほど放置する
- 乾いた布で軽くふき取る
という方法で行います。
↑写真は、椅子に生えたカビなのですが、アルコール消毒剤をふきかけることで簡単にカビを取り除くことが出来ました。
穂苅氏「ソファーなどの大型の布製品は、アルコール消毒剤をふきかけて様子を見ましょう。再発した場合には室内の環境から改善する必要があります」
④衣類
衣類などに発生しやすいカビの種類は「白カビ」「青カビ」です。白カビや青カビは比較的乾燥している場所でも発生しやすいカビです。これら衣類のカビを除去する為には2つの方法があります。
1:アルコール消毒剤を用いる
2:コインランドリーで高温殺菌する
もちろん、余裕がある場合にはこの手順をどちらとも行うのも良いでしょう。ただし、衣類の中には「高温NG」の繊細な生地で作られているものや、着物など高級な繊維で作られているものもあります。これらの場合にはまず「アルコール消毒」で除去し様子を見てください。
高級な衣類は専用クリーニングが無難
また、着物など高級な衣類には「カビ専用クリーニング」を取り扱っている業者もあります。コインランドリーなどで繊維を傷めたくない衣類はこのような専用クリーニングに出すという方法もあります。
衣類が全体的にカビている場合はクローゼットのカビ対策を
また、クローゼットや押入れに収納している衣類全体にカビが生えている場合には、収納場所自体のカビ対策を行わないとカビが再発してしまう可能性もあります。
カビが発生していないように見えても既に”カビ臭い”場合には
- クローゼットや押入れの衣類を全て出す
- 内部にアルコール消毒剤を吹きかけてカビ除菌する
- 扉を開けて常に換気
- 除湿剤を設置する
などして、収納場所の環境から整えてあげましょう。下記リンクに詳細な押し入れ・クローゼットのカビ対策方法を掲載していますので何度も衣類のカビに悩まされているようでしたら是非参考にしてみてください!
布製品のカビ再発を防ぐには?!
以上が、布製品のカビ取り方法です。しかし、せっかく手間をかけて布製品のカビ取りをしても、カビが再発してしまってはショックですよね。
そこで最後に「布製品のカビを再発させないために何をすべきか」についてご紹介していきたいと思います。
布製品のカビを防ぐ9つのポイント
まず、質問です。皆さんは一日に何回家の中の換気を行っていますか?
換気をすることで、室内に溜まった湿気を循環させることができます。湿気が溜まってしまうとカビの原因になるのです。例えば”カーテンにカビがよく生える“場合、窓際の通気性が悪く結露が原因となっていることがよくあります。
冬は寒く外気をシャットアウトしたくなりますが、定期的に換気を行いましょう。外気温と内気温の差を広げないようにするのも長い目で見てカビ予防になります。衣類にカビが生えた場合には収納場所である「クローゼット」や「押し入れ」の通気性を上げましょう。布製品のカビを防ぐ方法は以下の通りです。
- 1日に朝晩の2回、全ての窓を開ける
- クローゼットや押し入れは締め切らない
- クローゼットや押し入れの中に除湿剤を置く
- 湿気の多い部屋や日当たりの悪い部屋に除湿機を設置する
- こまめに掃除を行う
- 家具の位置をこまめに変える
- 定期的にクローゼットや押し入れ内の洋服を外に出し日光消毒をする
- お風呂やトイレの換気扇は24時間回す
- 布製品に付着した汚れはすぐに除去する
まずは「換気」から習慣にしよう
”窓を開ける”というのは、一見カビ取りと直接的な関係が無さそうに見えるかも知れません。しかしカビにとって
- 淀んだ空気
- 湿気のたまり場
等ジメジメとした場所、空気の流れのないところが格好の増殖場所なのです。ですので、イメージでいうとこのように
1日に2回以上は”部屋の窓という窓”を開け、換気扇を全て回し、クローゼットや押し入れも開放することで部屋中の通気性を上げましょう。日光に含まれる”紫外線”には殺菌効果も有りますのでカーテンは全て開けてなるべく部屋中に日光を当てるようにすると良いでしょう。
部屋の四隅のホコリに注意!
また、掃除をしっかりと行い清潔にしておくことも大事です。特に湿気のたまりやすい”部屋の四隅“もしっかりと掃除をしましょう。
溜まったホコリなどもカビの栄養源となり、カビが発生する原因となることもあります。掃除機やほうきなどでホコリをこまめに除去してカビの発生しにくい環境をつくることも大事です。
布製品に汚れが付着したら...
また布製品のカビを防ぐためにも、布製品に付着した汚れを放置しないようにしましょう。
布製品は肌に触れる頻度が高いため、人間の皮脂や汗、手あか、食べ残しなどが付着してそのままになっていることもあります。これらの皮脂や食べ残しがカビの栄養源となり、カビが発生するということもあります。
例えば、クッションカバーはこまめに洗濯をして汗ジミを放置しない、台拭きは毎回しっかりと汚れを落として消毒をし、乾燥させる。布製品のソファーは定期的にアルコール消毒剤を吹きかけて汚れを除去する。
など日ごろからカビの発生しにくい環境づくりも大事です。
まとめ
布製品にカビが生えた場合、取り除く方法としては「布製品の大きさ」と「生えたカビの種類」によって使い分けること。
①キッチン小物やタオルの場合は「煮沸消毒」
②大型布製品や衣類の場合は「アルコール消毒」
③黒カビの場合は「酸素系漂白剤」
(+洗濯機に入る布製品の場合は、洗濯後コインランドリーで高温殺菌)
を使って除去すること。また、アルコール消毒や酸素系漂白剤など薬剤を使ったカビ取りの場合は短時間ですぐにふき取らずに
「30分~1時間」くらい時間を置いて布の奥まで薬剤を浸透させること。これらのポイントを守りながら布製品に生えてしまったカビを除去しましょう。
また、カビが再発しない為に日ごろから”換気”や”掃除”を意識して、カビの発生しにくい環境づくりを行いましょう!
もしも複数の”衣類”にカビが生えてしまった場合や、着物など高級な衣類にカビが生えて自力でカビ除去を行うのが怖い場合には
最新技術であるガス滅菌を用いた「家具・衣類・小物類のカビ取りサービス」というのもあります。除去の難しい革製品のカビ取りにも対応しており
ダンボール一箱単位で依頼できますので、まとめて衣類のカビ取りを行いたい時などにご活用ください!
「あれ?!布製品だけでなく、もしかして部屋中がカビ臭い?!」
布製品だけでなくお部屋のカビやカビ臭さにお困りの方は、早めの対策をおススメします。カビ取り業者のハーツクリーンは4000件以上のカビ取り実績があり、施工スタッフもカビに関する豊富な知識を持っている専門スタッフで行います。
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