欠陥住宅が原因でカビが発生した場合どうしたらいいの?
きちんと掃除も換気もしているのにカビがひどい、やけに水回りの配管が詰まりやすい、特定の場所でカビを繰り返している、築浅なのになぜ・・・。
それは住宅の欠陥が原因かもしれません。最近も某タレントさんの自宅が欠陥住宅だったことが判明し、カビが漏水トラブルが発生したとのニュースがありました。欠陥住宅によるトラブルは、住宅に住まう私たちの生活と隣り合わせかもしれません。
そこで今回は欠陥住宅の例や欠陥が原因でカビが発生したときの対処法にご紹介していきます。
目次
1. 欠陥住宅とは
そもそも欠陥住宅とはどのような住宅を指すのでしょうか。欠陥住宅と呼べるものは、住宅の主要構造部分(基礎、柱、床など)に何らかの欠陥があり、住宅の安全性や健康に影響を与えるものを指します。一方で、住宅に設置した設備(エアコン、ガス機器等)に不具合があったとしても、住宅としての安全性や健康を害するものでないため欠陥住宅とは呼びません。
2. 欠陥住宅によりカビが生えるケース
欠陥によりカビが生えてしまうケースの多くが漏水、もしくは結露によって引き起こされています。具体的には次のような例があります。
2-1. 配管の接続不良による漏水
家の天井や床下、壁には多くの配管が通っています。しかし、水が通る配管がきちんと繋がっておらずズレが生じているとそこから水が漏れ、カビが生えてしまいます。
配管から漏水すると室内の天井や壁、フローリングにまでカビ汚染が広がる恐れがあります。天井や二階部分を通る配管からの漏水であれば天井のカビや雨漏りといった形で見ることができ、早めの対処も可能ですが床下の配管が漏水しているとなかなか気が付けず発見が遅れることもあります。
2-2. ひび割れによる漏水
外壁や基礎コンクリートのひび割れは経年劣化や地震によるものもありますが、実はコンクリートの品質が不良だとひび割れやすくなります。ひび割れが生じるとそこから雨水が入り込みカビが発生します。特に基礎部分のコンクリートにひび割れがあると床下にカビが生えてしまったりひび割れの程度によっては住宅の耐久性に影響を及ぼします。基礎コンクリートのひび割れに加え、床下の配管の漏水が重なると住宅の傾きや倒壊の危険性が増します。
2-3. 断熱材の施工不良による結露
室内の極端な温度変化を防ぐために用いられる断熱材ですが、断熱材にスキマがあったり配管周りの断熱材が欠損しているなどの断熱材に施工不良があると室内に結露が発生しやすくなります。
特に外気の影響を受けやすい窓周りは結露によるカビが生えやすい場所になります。足元が異常に冷たい、家の中の特定の箇所だけやけに冷え、結露もカビも発生しやすいといった場合は床下の断熱材が不足している可能性があります。
2-4. 防水シートの施工不良による漏水・結露
防水シートとは屋根や外壁の内側に使われるシートで雨の進入を防ぐ役割をしています。主には、屋根や外壁で雨を防いでいますが(一次防水)屋根材等が劣化して防水機能がなくなってきた場合でも室内に雨が入らないようにするために防水シートにより雨水の侵入を防いでいます。
しかし、その防水シートに施工不良があると雨を食い止めることができず、水分が内部に浸透してしまい建材や天井、室内の壁紙にカビが生えてしまいます。
3. 欠陥住宅か調べるには?
今住んでいる家がもしかすると欠陥住宅かもしれない、中古住宅の購入を検討しているけれど欠陥がないか心配・・・でもハウスメーカーや施工業者には直接確認しづらい・・・。そんなときは「ホームインスペクション」を依頼するという方法があります。
ホームインスペクションとは、住宅診断ともいい、専門的な知識を持った住宅診断士や建築士が第三者的な立場から住宅の劣化状況や不具合事象の有無、改修すべき個所やそこにかかるおおよその費用などを見極めます。
中古住宅の購入前や住宅の売り出し前に依頼することが多いですが、住んでいる途中に漏水やカビなどの異変に気付き、そこでホームインスペクションを依頼することもできます。基本的には目視による調査になりますが、場合によっては機器等を使って調べることもあります。
天井や外壁の欠陥は気が付きやすいですが、床下は見えない分欠陥にも気が付きにくいです。気づいたときには状態がかなり悪化している、といったこともあります。
日頃生活をする中でカビが生える原因に心当たりがないにもかかわらず家の湿度が高い傾向にあったりカビを繰り返している場合は家の中の見えない箇所で不具合が生じている可能性があります。何かおかしい、と思ったらホームインスペクションを依頼してみてもいいでしょう。
4. 欠陥住宅を放置するとどうなる?
住宅の欠陥を放置してしまうと、漏水や結露、それによるカビの被害が拡大します。カビ汚染が進むと健康にまで悪影響を及ぼす恐れがあります。もっとひどくなるとシロアリが発生したり木材が腐食する、ひび割れが広がるといった住宅の安全性を揺るがすような事態にもなりかねません。
欠陥を放置しても状態がよくなることはないですし、被害が大きくなる分いざ補修をしようと思ったときに余分に費用がかかってしまうということもあります。また、欠陥を知りながら放置していた場合その期間によっては本来受けられるはずの保証が受けられなくなる可能性もあります。欠陥を見つけてからでは遅いこともあるため住宅の異変に気付いた時点でホームインスペクションを依頼したりハウスメーカーに連絡するなど速やかに対処しましょう。
5. 欠陥住宅だと分かったら?
悩まされていたカビの原因が住宅の欠陥にあることが判明したら具体的にどのような対処が必要なのでしょうか。
① 売主であるハウスメーカーや不動産会社に連絡する
まずは売主(ハウスメーカーや不動産会社)に連絡します。欠陥の原因が施工を請け負った業者の手抜き工事であったとしても保証は売主が行います。欠陥が見つかったら速やかにハウスメーカーに連絡し、保証等の交渉を実施します。
② 交渉が進まない場合は専門機関に連絡
売主との交渉がスムーズに進まなかったり、専門知識がなく交渉や書類作成に自信がない場合は以下の場所に相談してみてください。
- 国民生活センター
- 住まいるダイヤル(公共財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)
- 弁護士に相談
建築や法律の専門家に協力してもらうことで交渉が進みやすくなります。中でも、住まいるダイヤルは一級建築士の資格を持つ相談員が対応し、トラブルの解決を手助けしてくれます。
6. まとめ
今回は欠陥住宅のカビについてお伝えしてきましたが、まとめると
- 欠陥住宅とは、住宅の主要構造部分に何らかの欠陥があり住宅の安全性や健康に重大な影響を与えるものを指す。
- 欠陥によりカビが生えるケースには、配管の接続不良やひび割れ、防水シートの施工不良による漏水や断熱材の施工不良・欠損による結露が多い。
- 住んでいる家が欠陥住宅かもしれないと思ったら「ホームインスペクション」を依頼し住宅の欠陥の有無を調べてもらう方法がある。
- 住宅の欠陥を放置すると、漏水や結露によるカビ被害が拡大するだけでなく、ひび割れや木材の腐食があれば住宅の傾きや倒壊の危険性も出てくる。欠陥に気付きながら放置したことで保証期間が過ぎ保証が効かなくなることもある。
- 欠陥住宅と判明したら速やかに売主(ハウスメーカーや不動産会社)に連絡する。補償内容の交渉がスムーズに進まない、自信がないといった場合は専門機関に相談する。
<参考>