高気密住宅こそ要注意!壁や玄関・浴室に生えるカビの原因と安全な対策法を解説
「新築なのに壁や玄関にカビが生えている」
「高気密住宅なら湿気対策も万全だと思っていたのに…」
そんな悩みを抱えていませんか?

実は、最新の高気密住宅ほどカビのリスクが高くなる傾向にあります。
しっかりとした断熱性や気密性は快適な住まい環境に欠かせませんが、一方で湿気がこもりやすく、気づかないうちに壁の内部や靴箱の奥など、見えない場所にカビが生えてしまうケースも多いのです。
せっかくの新築住宅に、カビが広がってしまうと思うと不安になりますよね。
この記事では、なぜ新しい家ほどカビが生えやすいのかを具体的に解説します。
壁や玄関、浴室など場所ごとの対処法や、普段から取り入れやすいカビ予防策についてもについて詳しくご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
この記事で分かること |
・新築住宅にカビが生える原因 ・新築住宅に生えたカビを取る方法 ・新築住宅のカビを防ぐ方法 |
目次
1.なぜ今どきの家ほどカビが生えやすいのか
古い建物だと隙間風が拭いていて暖房も効かない、夏は夏でエアコンが効かず暑、なんてことはよくありました。一方今どきの建物は、エアコンだけでも冬は暖かく夏涼しく、しかも省エネといいことづくめ。
なぜ、こんなにも家の快適さが大きく違うのか。それは家のつくりの進化、特に壁の構造が変化してきたからなんです。今は断熱材を使用した高気密・高断熱の家がスタンダード。逆に昔の家は、断熱材なんて入っておらずスカスカだったのです。しかしこの高性能の家だからこそ、外気との温度差が大きく結露しやすくなり、カビが生えやすい原因となるのです。
1-1.壁紙にカビが生える原因とは?

カビが繁殖するための条件は、栄養(埃・アカなど)、酸素、温度(20℃~30℃)、そして水分の4つになります。この条件がそろえば、カビは簡単に繁殖していきます。そして、この条件の中で私たちが一番コントロールしやすいのが水分。
住居環境が快適になった反面、温められた水分をたっぷり含んだ空気が冷えることで結露し、新築でも数カ月で壁紙にカビが生えてしまった!なんて声も少なくありません。湿度や結露に関して、こまめにケアすることが大切です。
■関連記事■結露によるカビ発生を防ぐ方法とは?湿気対策の基本と予防策7選
1-2.壁の内部に発生するカビの原因とは?

壁紙に発生するカビと違い、知らない間にどんどん増えるのが壁の内側に発生するカビです。
現在の一般的な住宅の壁の構造は、部屋と設定している面には防湿シート、さらに外壁側には空気の通り道、その間に断熱材という構造になっています。この断熱材の使用により、省エネでありながらも冷暖房が効くようになりました。
1-3.コンクリートの水分がカビの原因になることも!

木造の建物や軽量鉄骨造の建物であれば、漏水が無い限り壁の内部にカビが発生する可能性が低いのですが、鉄筋コンクリート造の場合はカビが生える危険性があります。
鉄筋コンクリート造の新築時はまだコンクリートの水分が抜けきらず夏場の天井裏はかなりの湿度になります。それにより知らず知らずにカビが大量発生することがあります。部屋中カビだらけになって取り返しのつかない状況になる前に、しっかりと対策しておきましょう。

2.新築の家に生えたカビを取る方法
では、ここからは実際に生えてしまったカビを取る方法をご紹介します。
靴箱の端や、お風呂の壁の四隅など小さい範囲でしたら自力でカビ取りをすることが可能です。
2-1.お風呂のカビ
お風呂にカビが発生した場合には、カビキラーなど塩素系のカビ取り剤を使います。
- カビ取り剤
- ゴム手袋とマスク、ゴーグル
- お風呂洗剤
- スポンジ
を用意しましょう。
①まず、カビの気になる部分をお風呂用の中性洗剤で洗います。
②その後、カビ取り剤を吹きかけます。5分ほど放置し、流水でしっかりと洗い流します。
タイル目地などに生えた頑固なカビには、カビ取り剤を吹きかけてラップで浸透させるか、粘度の高いジェルタイプのカビ取り剤を使って落としましょう。
ただし、妊娠中などで塩素系のカビ取り剤を使いたくない場合もあるかと思います。その場合には、重曹の研磨効果活用して、重曹と水に濡らしたスポンジ(もしくは使い古しの歯ブラシ)でカビ部分をこすり、タオルなどで拭きあげた後に消毒用エタノールで除菌するという方法もあります。
重曹や消毒用エタノールには、カビの色素が沈着してしまった部分の漂白効果はないので、表面のカビを落とすのに適した方法です。

ジョンソン カビキラー
出典:Amazon
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2-2.靴箱や玄関のカビ
靴箱や玄関に生えてしまったカビは、消毒用エタノールで落とすことができます。
- タオル
- 消毒用エタノール
- マスクとゴム手袋
を用意し、靴箱や玄関のカビが気になる箇所に消毒用エタノールを吹きかけ5分ほど置いた後にタオルや雑巾で拭きとります。消毒用エタノールは殺菌効果の高い70~80%濃度のものを使用しましょう。ドラッグストアなどで手に入れることができます。
ただし、こちらもカビの色素が沈着していれば漂白することができません。

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出典:Amazon
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2-3.壁のカビ
壁に生えたカビは、カビの色素が沈着していなければ消毒用エタノールと重曹を使って落とすことができます。
重曹5gを100mlのお水に溶かして「重曹水」を作ります。この重曹水をタオルに湿らせ、壁紙に塗布してカビを落としていきます。
最後は仕上げで、消毒用エタノールを吹きかけてカビを殺菌していきます。壁のカビはあまりにも範囲が広いと自力での対処が難しくなるので、目安として1㎡以下であれば自力で行い、それ以上に広がっている場合には、カビ取りの業者に依頼して、除去してもらいましょう。

シャボン玉石けん 重曹
出典:Amazon
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プロレベルのカビ取りをするならカビ取りマイスターキット

ここまでいくつかのカビ取り剤の紹介をしましたが、徹底的にカビ取りするのであれば、カビ取り業者のハーツクリーンが開発したカビ取りマイスターキットをおススメします。
実際に業者が使用している液剤を誰でも使えるように改良した商品のため、ご自宅でプロレベルのカビ取りができます。
また、危険な成分は含まれていないため水回りだけでなく、壁や押入れのカビ取りにも使用できます。

安全にカビ取りをするための注意点
また、現在妊娠中だったり、小さいお子様や高齢者などがいる場合、刺激の強いカビ取り剤を使用したり、カビを吸い込むカビ取りを行うこと自体が難しい場合もあるかと思います。
無理にカビ取りを行うとカビの胞子を大量に吸い込み、カビ毒の影響を受けたりシックハウス症候群の原因になるので、カビ取り作業が難しい場合には
①天気の良い日に窓を開けて換気を行う
②除湿剤や空気清浄機を活用する
など、なるべく無理をしないように注意しましょう。
とはいえ、そのままカビを殺菌しないと被害が広がってしまう可能性もありますので、その場合には専門のカビ取り業者に相談されることをおすすめします。
3.高気密の家だからこそ、こうしてカビを防ぐ!
カビを発生させないために私たちができることは、水分=湿度をコントロールすることです。
まずは、湿度計をおいて過度な加湿をやめ、除湿器を使いながら湿度を調整すること。これが基本です。とはいえ、寝ているだけでも湿気は出てきますし、暖房も冷房も使用しないわけにはいきません。となると、新築でも湿気をためないためにはどうしたらよいのでしょうか?
3-1.室内の24時間換気を止めない

新築の場合すべての部屋に24時間換気がありますね?それは平成15年以降に建てられた家では建築基準法により24時間換気の設置が義務化されているためです。
24時間換気の仕組みは、リビングをはじめ各部屋の給気口から外気を取り込み、浴室やトイレなどから強制的に空気を外に出す、といったものです。これにより、気密性の高い住宅でも空気の流れをつくることができ、換気がしやすくなりました。ただ、電気代が気になるから、使っていない部屋だからという理由でシステムの一部を止めたり、給気フィルターのお手入れが不十分な場合には、十分な空気の流れができません。そうするとよどんだ空気・湿気がこもる原因になってしまいます。
24時間換気はすべての部屋で常時ONとするのがキホンです。
3-2.使っていない部屋も除湿を

リビングや浴室といった普段生活する部屋だけでなく、日常ではあまり使わない納戸などの部屋にも注意が必要です。その理由は、これらの部屋にもリビングなどから暖かく湿った空気が流れ込むからです。
流れ込んだ空気は部屋間の温度差により結露し湿度が上昇、カビが生えやすい環境の形成に一役買ってしまいます。使っていない部屋でも、空気の流れを意識した換気が必要となります。
窓などがない場合にはカビ予防のために、小さいサーキュレーターでも設置しておくと良いでしょう。(自宅に眠っている扇風機でも大丈夫です)
3-3.結露はこまめに拭きとろう
新築の家は、気密性が高いため、湿気が逃げにくく結露が発生してしまうことがあります。この結露がカビの原因となるため、こまめに拭きとり水滴を放置しないことがカビ予防になります。
窓際の結露を防ぐために、1日に2回以上は窓を全て開けて空気の入れ替えをし、外気温と内気温の差を小さくします。また、壁に結露が発生してビショビショになるのであれば、こまめに拭きとり、除湿機を設置して湿気を取り除きましょう。
それでも結露が発生してしまうときには、結露防止シートを活用するなどして、結露対策をしましょう。
3-3.立地が原因という場合も
ここまで、読んできて「24時間換気もやってるし、お掃除もこまめにやっている。結露も発生していない。だけど、カビが何度も生えてしまう」という方もいるかも知れません。
新築の気密性や、コンクリートの水分などの影響ももちろんあるかも知れませんが、立地が原因という可能性もあります。例えば
- 河川の近く
- 埋立地や湿地帯
- 斜面
これらの場所は、湿気やすいため、カビが生えてしまうことがあります。立地は変えられるものではないので、今まで以上に換気、こまめなお掃除、除湿を行い、カビを防ぐ必要があります。
まとめ
新築の家にも発生してしまう、壁の内側のカビは、現在の住宅が抱える新しい問題ともいえます。しかし、壁内部のカビによる健康被害については壁内部のカビが部屋側に出てくることは殆ど無いため、特に影響がないことが多いです。しかし今後何十年と住んでいくわけですので、工務店の中では1年点検や1年保証を設けているところもあります。
1年以内に天井裏をのぞいてみてカビが発生していないか確認してみましょう。もしカビが発生していた場合は、工務店に相談し新しいボードに交換するなど対応してもらうのがいいと思います。
また、新築の壁にカビを発生させないためには、結露を防ぐこと、湿度を上げすぎないことが最重要となります。まずは過度な加湿をやめ、24時間換気システムを使いながら湿度をコントロールすることが大切です。基本的なことになりますが、防カビの基本はこまめな掃除と換気、そして適度な湿度(60%以下)に保つことです。ぜひ参考にして頂き、快適な環境を維持してください。

