シロアリの発生しやすい家とカビとの関係は?!

家の中に潜み私たちの住環境を蝕んでいくシロアリ。巣ができてしまいシロアリがどんどん繁殖していくことで家の耐久性が著しく下がってしまうことも。

そこで、今回はそんな恐ろしい害虫”シロアリ”の生態と対処方法をお届けする為に、シロアリに詳しいハウスマイル代表の米山さんに、お話を伺いました。

編集部「白アリの発生しやすい家の特徴は?」

米山さん「そうですね。シロアリは湿気を好むので、ジメジメとしたお風呂場やトイレの床下などに発生しやすいですね」

ジメジメということは、カビの好む環境とも似ていますね。それでは、早速シロアリの生態について伺っていきたいと思います。

シロアリとはどんな生き物?!

シロアリはアリの仲間だと思う方も多いと思いますが、実はアリとは全く違い、ゴキブリに近い昆虫で、女王、王、副女王、副王、働きアリ、兵アリなどの階級があり、それぞれに仕事を分担して集団生活をしています。

シロアリは地中や地面近くの木材などに巣を作り、そこに多いものでは10万匹以上が住んでいます。

米山さん「シロアリが発生しやすい住居の特徴として、やはりマンションよりも戸建て住宅の方が多いです。理由は木造建築が多いのと、床下がある為だと考えられます」

巣になってしまった木材は食いあらされてボロボロになり、最悪のケースでは倒壊することもあります。

住宅にみられるシロアリ

日本には約20種類のシロアリが生息していますが、建築物を加害するシロアリは

  • ヤマトシロアリ
  • イエシロアリ
  • ダイコクシロアリ

などの3種です。

米山さん「特にイエシロアリは、天井まで上がってしまうので、一度大量発生してしまうと非常に厄介なんです」

シロアリが好む家とカビの好む家の共通点

編集部「シロアリが好む家とカビが発生しやすい家の共通点はありますか?」

米山さん「そうですね。先ほども言いましたが、湿気が多く、通気性が悪い場所。日当たりの悪い場所がシロアリとカビの好む家の共通点だと思います。暗くて風通しが悪く温暖で湿気のある場所を好み、木造建築物などを加害します」

シロアリもカビも湿気が多く日当たりの悪い場所を好むようです。湿気対策が害虫やかびを防ぐためのポイントとなりそうですね。

シロアリは〇〇にも危害を加える?!

シロアリは雑食性で、木材だけでなく

  • 紙類
  • プラスチック
  • ゴム
  • 皮革
  • スチロール樹脂の建材
  • ケーブル
  • 電線や動物の死骸

などありとあらゆるものを加害します。

米山さん「顎が強いので、コンクリートに危害を与えるシロアリもいるんですよ!」

編集部「シロアリは木造住宅が好きというイメージでしたが、コンクリートまで食害するんですね?!」

米山さん「特に建物の断熱材として、発砲スチロールや発砲ポリウレタンはシロアリが特に好んで加害する傾向があります。加害しないものはガラス、石、金属などですが、金属は比較的柔らかいアルミや鉛などは加害されることもあります。」

シロアリが発生しやすい場所

シロアリは比較的弱い昆虫で、湿った環境でないと生きていくことができません。外にはシロアリを餌食とする昆虫もいます。

ですので、外敵と乾燥から身を守るため家屋に侵入してくるのです。

ヤマトシロアリは、浴室、台所、洗面所などの水をよく使う湿ったところに発生することが多いです。また、床下に被害が出ることが多く、建物上部に被害が及ぶことはほとんどありません。ヤマトシロアリは水を運べないので、乾燥した木材を加害することはありません。

これに対しイエシロアリは、水を運ぶ能力があり、家屋から家具のほかに建物下部だけでなく柱や壁を伝って二階や屋根裏など建物全体に被害が及びます。

ダイコクシロアリは、建物のほかにピアノ、ステレオ、家具などの乾材に加害します。

シロアリとカビの関係

シロアリは暗くて湿気が多く風通しが悪い場所を好みます

カビが生える環境も同じような環境なため、カビが生えるということは、シロアリが好む環境ということにもなります。

米山さん「シロアリの駆除をしたときのことですが、カビを食べる”カマドウマ”という虫を発見したことがあります(バッタ科の害虫)おや?!と思って床下を潜ってみると...大量のシロアリが発生していました。それくらい、カビと同じ環境を好む害虫だと思います」

しかしカビ対策をすればシロアリ対策にもなるかというと、カビが生えていないからといってシロアリが発生しないというわけでもありません。

というのも、イエシロアリは水分を運ぶことができるため、乾燥した場所にも巣を作ることができます。

シロアリ駆除用の薬剤には木材の防腐、防カビ成分が配合されたものもありますので、シロアリ対策と防カビ対策を併行して行うのがおすすめです。

シロアリを発見してしまったら?!

編集部「シロアリを確認する方法はありますか?!」

米山さん「家の中で羽アリが発生した場合、シロアリの被害を受けているはずです」

室内で羽アリを発見したら窓やドアを閉め、何処から羽アリが出てきているのかを確認します。

羽アリは市販の殺虫剤やお湯をかけても駆除することができますが、やはり、羽アリを大量に発見してしまった場合には、シロアリ業者へ相談することをおススメします。

シロアリを放っておくとどうなる?!

編集部「シロアリの発生に気が付かず、そのまま放っておくと、どのようなことが起きますか?!」

米山さん「そうですね。家じゅうの木材をシロアリが加害することにより、家がもろくなったり、傾いてきたりすることもあります。よく見る例では、床がポコポコと凹んでくることがあります」

シロアリによって、家が傾いたり劣化する恐れもあるとのこと!これは恐ろしいですよね。

米山さん「また、シロアリが大量に発生している家は、皆さんの大嫌いな”ゴキブリ”も大量にいることがあります。シロアリの駆除というよりも、ゴキブリの駆除をしたくて、床下に繁殖していたシロアリの発生に気が付く...!という場合もあるんですよ。」

シロアリを駆除する方法

シロアリを駆除するのはどうすれば良いのでしょうか?

米山さん「そうですね。。。やはり、専門の薬剤で駆除するのが最も確実ですね。」

薬剤による駆除は木材処理と土壌処理によって行われ、木材処理では薬剤を木材に吹き付けたり、塗布します。土壌処理ではシロアリが侵入するおそれがある箇所の土壌を薬剤で処理しておき、接触毒作用で死滅させる駆除法です。

シロアリを駆除する場合には、巣そのものの駆除が必要です。

床下へ潜り、シロアリの発生している部分に直接、薬剤を注入します。巣の発見には専門的な知識や技術が必要となるため、素人には難しい場合があります。そのため、シロアリ駆除の業者に依頼するのがおすすめです。

素人でもできる駆除法としては、市販の殺虫成分が入ったスプレー剤などがあります。

しかし、これは直接シロアリに噴射して使用するものですので巣にいるシロアリまで駆除することができません。

このほかに、毒餌を食べさせて死滅させるタイプの駆除剤などもあります。

米山さん「しかし、自力で行っていても、完全にシロアリを除去できないことはよくあります。シロアリやそのほかの害虫(ゴキブリなど)の予防の意味も含めて、築5年以上の家は一度シロアリ点検することをおススメします」

シロアリの発生を予防するには?!

侵入が予測される部分(玄関など)への薬剤による予防は有効となります。さらに家を建てる前であれば、点検可能な家屋の構造が最も重要です。

米山さん「また、シロアリは床下に発生しやすいので、床下に送風機を設置するなどして、こまめに換気するようにしましょう」

シロアリは湿った環境を好むため、雨漏りや漏水があればすぐに修理し、壁やタイルにひびが入っていないか確認して隙間があれば埋めるようにしましょう。

建物の断熱材としてはガラス繊維が最も耐蟻性が強いです。

建物の基礎は30㎝以上の高さがあるとシロアリの侵入防止になります。

シロアリの習性を考慮し、光を取り入れたり、風通しを良くして湿った環境にならないようにするなど、シロアリが生息しにくい環境にすることが大切です。つまり、窓を開けての換気やこまめな掃除がとても大事だということです。

米山さん、本日はありがとうございました!

まとめ

シロアリが発生しやすい環境は「湿気」や「ヒビ」など風通しの悪く破損した場所、また雨漏りや漏水なども原因となるとのこと。その為に、家の小さな故障や破損は早めのうちに修理するなど対処することがシロアリ予防のポイントとなります。

また、シロアリの自力での駆除は難しいので、もしも羽アリなどを何度か発見した場合にはプロの業者に相談してみることをおススメします。

カビの悩みはカビ取りの専門家へ

【お話を聞いた人】
ハウスマイル代表 米山さん
消臭・脱臭を専門とする神奈川の出張ハウスクリーニング 運営
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<参考文献>

・朝倉邦造『都市害虫百科(普及版)』2012年、朝倉書店

・工藤美也子『調べよう!身近な害虫図鑑①ハエ、ゴキブリなど』2013年、汐文社

・神谷忠弘『アナタの住まいは大丈夫?!これで安心!シロアリ対策』2010年、エクスナレッジ

・日本家屋害虫学会『家屋害虫事典』1995年、井上書院

・荒川民雄『シロアリはホウ酸でやっつけなさい!』2013年、住まいの学校