マンションと一戸建て、どちらのほうがカビやすいのか
マイホームを検討する時、マンションと一戸建てで迷われる方は多いと思われます。では、マンションと一戸建てではカビの発生しやすさに違いがあるのでしょうか?構造や設備の違いによるカビの発生しやすさに焦点を当てて考察してみたいと思います。
目次
マンションと一戸建て立地の違い
マンションは都市部に多く建つ
共同住宅であるマンションは、人の流れの多い都市部や、建設に適した良好な土地に建築されることが多いです。
一戸建ては建築可能な場所ならドコでも建つ
これに対し、一戸建ては建築可能であれば、海や川の近く、断崖の上、谷底、山間部にも建てることができます。地盤が緩く湿度が高い土地、日当たりの悪い土地などに建つ一戸建てにはカビが発生しやすいということも。
基準の違い
マンションは都市計画法、建築基準法、消防法などにより、設備構造に多くの基準が設けられています。
耐震基準が引き上げられるなど多くの基準を遵守する必要があり、その基準をクリアしているということは、マンションがより耐久性、快適性の両面で進化してきているという証左にもなります。よって、より最新の建築基準をクリアしているマンションの方が、カビによる健康被害を防止する為の設計、設備も整っていると考えられます。
一方、一戸建てにおいても高機能住宅がハウスメーカーから発売されており、耐久性や快適性の進化という意味では負けておりません。
建築構造による違い
建物の構造は、柱・壁の材料によって主に4種類に分類されます。
1:木造
木質材料で構成された建物構造。窓を閉めた状態でも木が呼吸をするため調湿性が最も高く、その点においては最もカビが生えにくい構造であると言えます。
2:鉄骨造
柱や梁といった骨組みの部材を鉄や鋼にした建築構造。主に体育館や工場など大空間に使用されます。
3:鉄筋コンクリート造
鉄筋でコンクリートを補強した建築構造。コンクリートは圧縮力に強く、鉄筋は引っ張る力に強いという、双方の利点を併せ持つことで強度を高めています。多くの中低層マンションで採用されている構造です。ただ結露が生じやすく、カビも発生しやすいという難点があります。
4:鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリートの芯部に鉄骨を内蔵させた建築構造。鉄筋コンクリート構造に比べ耐風・耐震性等に優れており、主に高層建築物に用いられます。多くの中高層マンションで採用されている構造です。こちらも結露が生じやすく、カビも発生しやすいという難点があります。
木ではなく鉄骨を使うとナゼ結露しやすいのか?
理由は簡単、ヒートブリッジが起こるからです。熱伝導率が高い鉄骨やコンクリートは寒さや暑さを室内に伝えやすいのですが、この熱を伝える現象のことをヒートブリッジと呼びます。この現象を最小限に抑えるために、外壁と内壁の間にある鉄骨を断熱材で包み込んで熱の伝導を防ぐなど、工夫が必要となります。
木造は通気性が格段に高い
一方、木材はきわめて熱を伝えにくい物質であり、鉄の約350倍、コンクリートの約10倍という断熱性を持っています。よって、木造は結露ができにくい構造であると言えます。この点においてはマンションか一戸建てかという比較ではなく、木造かそうでないか、で比較することの方が重要そうですね
室内の暖房設備による比較
①マンションはエアコン中心
分譲、賃貸を問わず、マンションでの燃焼系器具の使用は禁止される傾向にあります。灯油やガスが危険物であるという理由だけでなく、燃焼時に発生する水蒸気で気密性の高い室内を結露させてしまうからです。
代わりに使用されるのがエアコンです。エアコンには湿気を屋外へと排出し、室内の空気を乾燥させる仕組みがあるため、結露対策になります。
②一戸建ては燃焼系暖房器具が好まれる傾向にある
マンションほど気密性が高くない一戸建ての場合、エアコンでは暖房効率が悪く、また設置が困難な場合もあります。そのためよりパワーのある石油・ガスストーブが重宝される傾向があります。ただ、結露防止の観点からするとエアコンを導入し、補助するような床暖房やオイルヒーターを使うのがベターでしょう。
換気システムによる比較
24時間換気システムと自然換気
建築基準法の改正で2003年より新築住宅を建築する場合は、24時間換気システムの機器設置が義務付けられました。マンションだけでなく一般戸建て住宅などにも設置義務があります。
目的は次の2点です。
- シックハウス症候群の予防
- 住宅の高気密化・高断熱化による結露への対策
24時間換気システムは、自然換気とは異なり、室内の空気の入れ替えを換気設備で強制的に行うものです。構造上風の通り道を作りづらい場合が多いマンションだと、室内のカビ対策に非常に有用です。
ただ、一戸建ての場合はこれにプラス自然換気も利用できる場合があり、その場合は一戸建ての方がよりカビ対策が優れていると言えるでしょう。
マンションと戸建てのカビ予防法
換気と清掃
それぞれ、カビを生やさないようにするために大事なポイントは
空気の入れ替えをすること
です。マンションであっても、戸建てであっても、こまめに窓を開けて、換気を行いましょう。空気の入れ替えをすることで、湿気を取り除きカビを防ぎます。カビは空気の停滞している場所を好み、水分や栄養源などがあれば増殖します。そのため、部屋全体の風通しを良くすることは、カビを防ぐためにもっとも重要なことなのです。
そして換気と同時に必要なことが、掃除です。ホコリや汚れなどに湿気が蓄積すると、カビの栄養源となります。
また、空気清浄機を活用することで、空気中のホコリやカビの胞子を吸い込むことができるので、カビの発生を抑制できます。
布製品は、定期的に洗濯をし、またホコリや汚れはこまめに除去しましょう。特に部屋の四隅にはホコリが溜まりやすいため、掃除機や箒などを使ってゴミを除去しましょう。
窓のない部屋、湿気のたまりやすい部屋、換気のしにくい部屋に関しては、サーキュレーターや除湿機を用いて湿気を取り除きます。例えば、北側の部屋や倉庫、屋根裏部屋、床下などです。
靴箱や玄関も湿気が溜まりやすい場所なので、こまめに換気と除湿をしてカビを防ぎましょう。
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出典:Amazon
不用品を処分
また、物が所狭しと置かれている家は、マンション、戸建て関係なくカビが生えやすくなってしまいます。また、物が多いと、モノからモノへ、モノから部屋へと部屋中にカビが広がってしまう恐れがあります。
カビだらけの家で生活していると、シックハウス症候群をはじめ、カビによる健康被害を受ける可能性もあるため、カビが広がる前に対策しましょう。不用品は処分し、室内の空気の通り道をつくりましょう。
カビの生えやすい家の場合、なるべくモノは床に置かないように意識して、吊るす収納がおすすめです。
また、結露が起きている場合にはこまめに水滴を拭きとりましょう。
部屋のカビが自力では取れないほど広がってしまった場合には、カビ取りの専門会社へご相談ください。
まとめ
マンションと一戸建てではカビの発生しやすさに違いはあります。ただしこれはあくまで典型的なマンションと一戸建てを想定した比較となっております。実際は風の通り道が確保されているマンションもあるでしょうし、エアコン完備の一戸建てもあるでしょう。個々の物件ごとに、立地条件や建築構造などから検討していくことを忘れてはいけません。きちんと検討して、なるべくカビの生えにくいマイホームを手に入れましょう。