
久しぶりに双眼鏡を使おうとしたら、レンズに白い模様やくもりが見えて、「もしかしてカビ?」と不安になることがあります。
ただし、白い模様がすべてカビとは限りません。
ホコリや水滴跡、指紋、結露などがカビのように見えている場合もあります。
また、外側のレンズ表面に付着した汚れであれば自分で清掃できることがありますが、内部にカビが発生している場合は、無理に分解すると故障や見え方の不具合につながる可能性があります。
この記事では、双眼鏡のカビの見分け方や、自分でできる安全なレンズ清掃について解説します。
あわせて、内部にカビがある場合の対処法や、カビを防ぐための保管方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
| この記事でわかること |
| ・双眼鏡のカビ、汚れ、くもりの見分け方 ・自分でできるレンズの清掃方法 ・内部にカビがある場合の対処法 ・カビ取りでやってはいけないこと ・カビを防ぐための保管方法 |
目次
1.双眼鏡にカビが生えたら?まず確認したいポイント

双眼鏡にカビのようなものを見つけても、すぐにこすったり分解したりするのは避けましょう。
まず確認したいのは、白い模様やくもりが「外側のレンズ表面に付着しているものなのか」「双眼鏡の内部にあるものなのか」という点です。
状態によって、自分で清掃できるケースと、修理を検討した方がよいケースに分かれます。
1-1.表面の汚れなら自分で清掃できる
対物レンズや接眼レンズの外側に付着したホコリ、指紋、水滴跡などであれば、自分で清掃できる場合があります。
レンズ表面にホコリや砂があるときは、いきなりクロスでこすらず、まず柔らかいブラシやブロワーなどで取り除きましょう。
その後、指紋や水滴跡などをレンズ用のクロスでやさしく拭き取ります。
なお、製品によって適したお手入れ方法が異なるため、清掃前に取扱説明書も確認しておくと安心です。
1-2.内部のカビは無理に分解しない
外側のレンズを清掃しても白い模様やくもりが残る場合は、内部のカビやくもり、レンズ表面の変質などが考えられます。
双眼鏡は、左右の像が正しく見えるように光学系や光軸が精密に調整されています。
自分で分解すると、組み立て直しても見え方に不具合が生じたり、防水性能に影響したりするおそれがあります。
内部のカビが疑われる場合は無理に分解せず、メーカーや双眼鏡の修理業者へ相談しましょう。
1-3.自分で掃除するか修理するかの判断目安
自分で清掃するか、修理を検討するか迷った場合は、次の表を目安にしてください。
| 双眼鏡の状態 | 対応の目安 |
|---|---|
| 外側レンズにホコリや砂がある | ブロワーや柔らかいレンズ用ブラシで除去する |
| 外側レンズに指紋や水滴跡がある | レンズ用クロスなどでやさしく清掃する |
| 清掃しても白い模様やくもりが残る | それ以上こすらず、メーカーや修理業者へ相談する |
| レンズの奥やプリズム付近に模様が見える | メーカーや修理業者へ相談する |
| 温度変化で一時的にくもった | 自然にくもりが消えるまで乾燥させる |
| 乾燥後も強いくもりが残る | メーカーや修理業者へ相談する |
| 二重に見える、左右の像が合わない | 眼幅・視度調整を確認し、改善しなければ点検を依頼する |
基本的には、外側の汚れであれば自分で清掃できますが、レンズ内部に模様が見える場合や、清掃しても改善しない場合は無理に作業を続けないことが大切です。
次のフローチャートも参考にしながら、状態に合った対処を選びましょう。

住まい全体のカビリスクも確認しておきましょう
双眼鏡にカビが発生している場合、保管している押入れやクローゼット、周辺の湿気など、住まいの環境が影響している可能性があります。
次のカビリスク診断で、ご自宅がカビの生えやすい環境かどうかを確認し、双眼鏡の再発防止や日常の湿気対策に役立てましょう。
2.双眼鏡のカビはどんな見た目?汚れ・くもりとの見分け方

双眼鏡のレンズに白いものが見えても、それだけでカビと断定することはできません。
レンズには、カビのほかにもホコリ、指紋、水滴跡、結露などが現れることがあります。
まずは、それぞれの違いを大まかに確認することが大切です。
2-1.カビに見られる特徴
光学面に発生したカビは、進行すると白い糸や細い枝、網目が広がったような模様に見えることがあります。
一方で、小さな点や白っぽいくもりだけでは、カビ、ホコリ、水滴跡、結露などを見分けられないこともあります。
特に結露によるくもりは、一時的なものであれば自然に乾燥すると消える場合があります。
そのため、見た目だけでカビと決めつけず、まずは外側のレンズ表面をやさしく清掃し、変化があるか確認することが大切です。
2-2.ホコリや指紋との違い
ホコリは、小さな粒や繊維のように見えることが多く、レンズ表面に付着している場合はブロワーや柔らかいハケなどで取り除けることがあります。
一方、指紋や皮脂は、レンズ表面に薄い膜や跡のように見えることがあります。
無理に指でこすると汚れが広がるだけでなく、レンズ表面を傷つけるおそれもあるため注意しましょう。
2-3.レンズのくもりとの違い
寒い場所から暖かい室内へ双眼鏡を持ち込むなど、急激な温度変化があると、一時的にレンズがくもることがあります。
このようなくもりは、自然に乾燥させることで消える場合があります。
時間が経つと消えるようであれば、結露の可能性があります。
反対に、十分に乾燥させても模様やくもりが残る場合は、別の原因が考えられます。
2-4.表面か内部かを確認する方法
カビのような模様が表面にあるのか、内部にあるのかは、次の順番で確認しましょう。

① 明るい室内でレンズを見る
レンズを斜めから見て、白い模様やくもりの位置を確認します。
双眼鏡を太陽へ向けたり、太陽をのぞいたりすることは絶対に避けてください。
② 外側のレンズを清掃する
ホコリや指紋などがある場合は、レンズ表面をやさしく清掃します。
③ 清掃後の状態を確認する
清掃して模様が消えれば、表面の汚れだった可能性があります。
模様が残る場合やレンズの奥に見える場合は、無理に清掃を続けず、メーカーや修理業者へ相談しましょう。
3.なぜ双眼鏡にカビが生えるの?
カビの発生には、湿度など周囲の環境が大きく関係します。
特に、使用後の双眼鏡やケースに湿気が残ったまま保管すると、カビが発生しやすい環境につながることがあります。
3-1.湿気の多い場所で保管している
カビ対策で特に注意したいのが湿気です。
温度や湿度の高い場所では、レンズ面にカビやくもりが生じやすくなります。
押入れやクローゼットなどで長期間保管する場合は、収納場所の湿度にも注意しましょう。
3-2.濡れたままケースに収納している

野鳥観察やスポーツ観戦、アウトドアなどでは、双眼鏡が雨や夜露に濡れることがあります。
濡れたままケースへ戻すと、ケース内に湿気が残りやすくなります。
水分が付着した場合は、乾いた布で拭き取り、十分に乾かしてから保管しましょう。
3-3.皮脂やホコリが付着している
双眼鏡は顔や手に触れるため、使用しているうちに指紋や皮脂、ホコリなどが付着します。
指紋由来の油分や、繊維くず、ホコリ、汚れなどは、光学面に付着したカビの栄養源になり得ると報告されています。
使用後はレンズだけでなく、本体の水分や汚れも確認してから保管するとよいでしょう。
3-4.ケースに入れたまま長期間保管している
「ケースに入れてあるから安心」と思いがちですが、長期間入れたままにする場合は注意が必要です。
ケースは湿気の影響を受けることがあるため、長期保管ではケースから出し、湿気がこもりにくい環境で保管しましょう。
参考:Community Eye Health Journal「Fungus: how to prevent growth and remove it from optical instruments」
参考:株式会社ニコンビジョン「使用上の注意|Sport Optics Guide」
4.双眼鏡の外側レンズを自分で清掃する方法
双眼鏡の外側レンズにホコリや指紋、水滴跡などがある場合は、レンズを傷つけないよう慎重に清掃します。
ここでは、外側レンズ表面の汚れを取り除く方法を紹介します。
内部に発生したカビを除去する方法ではないため、無理に分解しないようにしましょう。
4-1.用意するもの
- ブロワー
- 柔らかいレンズ用ブラシ
- レンズクリーニングクロス
指紋や水滴跡などの汚れは、レンズに使用できるクリーニング用品を使ってやさしく拭き取りましょう。
製品によって適したお手入れ方法が異なるため、使用前に取扱説明書を確認しておくと安心です。

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出典:Amazon
4-2.外側レンズを清掃する手順
外側レンズは、次の順番で清掃しましょう。

① ホコリや砂を取り除く

まず、ブロワーや柔らかいレンズ用ブラシを使って、レンズ表面のホコリや砂を取り除きます。
砂などが付いたままこすると、レンズ表面やコーティングを傷つけるおそれがあります。
② レンズ表面をやさしく拭く

ホコリや砂を取り除いたら、レンズクリーニングクロスなどで表面の汚れをやさしく拭き取ります。
強く押しつけたり、何度もこすったりしないようにしましょう。
③ 汚れや模様が残っていないか確認する
清掃後にレンズを確認し、指紋や水滴跡などが取れているか確認します。
白い模様やくもりが残る場合は、無理に清掃を続けず、別の原因がある可能性を考えましょう。
参考:株式会社ケンコー・トキナー「双眼鏡クリーニングキット ビノフォー〈BINO4〉」
4-3.取れない場合は無理に清掃を続けない
外側のレンズを清掃しても白い模様やくもりが残る場合は、何度も強くこするのはやめましょう。
内部のカビやくもり、レンズ表面の変質などが考えられるため、それ以上無理に清掃を続けず、メーカーや修理業者へ相談してください。
5.双眼鏡のカビ取りでやってはいけないこと
双眼鏡は精密な光学機器のため、誤った方法で清掃するとレンズや本体を傷めるおそれがあります。
ここでは、カビのような模様が見えたときに避けたい行為を紹介します。

5-1.自分で分解する
内部にカビが見えるからといって、自分で双眼鏡を分解するのは避けましょう。
双眼鏡は左右の光学系が精密に調整されているため、分解すると見え方に不具合が生じることがあります。
内部カビが疑われる場合は、無理に触らず、メーカーや修理業者へ相談するのが安心です。
5-2.家庭用のカビ取り剤を使う
浴室などで使う家庭用のカビ取り剤は、双眼鏡のレンズや本体に使用することを想定した製品ではありません。
用途に合わないものを使うと、レンズのコーティングや本体を傷めるおそれがあるため使用しないでください。
5-3.メラミンスポンジなどでこする
メラミンスポンジは光学レンズ専用の清掃用品ではありません。
レンズ表面をこすると傷や劣化の原因になるおそれがあるため、双眼鏡には使用しないようにしましょう。
清掃には、レンズ用ブラシやクリーニングクロスなどを使用します。
5-4.レンズに大量の液体をかける
クリーナーなどを使う場合も、必要以上の液体をレンズへ直接かけるのは避けましょう。
液体がレンズ周辺の隙間から内部へ入り込むおそれがあります。
使用する場合は、説明書を確認したうえで、必要最小限にとどめることが大切です。
5-5.ドライヤーなど高温になる方法で乾燥させる
双眼鏡を早く乾かそうとして、ドライヤーの熱風を当てたり、炎天下の車内やヒーターの前など高温になる場所へ置いたりするのは避けましょう。
高温は、本体の変形や故障につながるおそれがあります。
濡れた場合は、乾いた布で水分を拭き取り、風通しのよい場所で十分に乾燥させてください。
6.内部にカビがある場合はどうする?修理と買い替えの判断

外側のレンズを清掃してもカビのような模様が残る場合は、内部のカビやくもり、レンズ表面の変質などが考えられます。
無理に清掃や分解を続けず、必要に応じて修理や買い替えを検討しましょう。
6-1.メーカーや修理業者へ相談する
まずは双眼鏡のメーカーと型番を確認し、修理を受け付けているか調べてみましょう。
古い製品などは修理受付が終了している場合もあります。
メーカーで対応できない場合は、双眼鏡や光学機器の修理を行っている業者へ相談する方法もあります。
6-2.内部のカビは専門的な調整が必要になることがある
双眼鏡は、左右の像が正しく見えるように光学系が細かく調整されています。
内部を分解して清掃する場合は、組み立てたあとに光学系の調整が必要になることがあります。
また、防水型には気密性を持たせた製品もあるため、自分で分解すると本来の性能を維持できなくなるおそれがあります。
内部のカビが疑われる場合は、無理に分解せず修理を依頼するのが安心です。
6-3.カビ取り修理にかかる費用の目安
一例として、河本カメラサービスでは、口径77mm以下タイプの双眼鏡について、カビ清掃の技術料を48,000円(税別)と掲載しています。
ただし、製品によっては修理できない場合もあります。
まずは型番を確認し、修理の可否や費用について相談するとよいでしょう。
6-4.修理と買い替えの判断基準
修理するか買い替えるか迷った場合は、次のような点を比較してみましょう。
- 双眼鏡の購入価格
- 同等製品の現在の価格
- 修理費用
- 購入からの年数
- 修理対応の有無
- 思い入れのある製品か
購入価格に対して修理費用が高い場合は、買い替えた方が経済的なこともあります。
一方、高価な双眼鏡や長く使いたい製品、思い入れのある製品であれば、修理を選ぶ価値もあります。
まずは見積もりを確認し、費用と製品の価値を比べて判断するとよいでしょう。
7.双眼鏡にカビを生やさない保管方法
双眼鏡のカビを防ぐには、使用後の乾燥と保管方法が重要です。
湿気を残さず、長期間保管するときもカビが発生しにくい環境を整えましょう。

7-1.使用後は湿気を取り除く
屋外で使用したあとは、双眼鏡に水分や汚れが付着していないか確認しましょう。
濡れている場合は、乾いた布で表面の水分をやさしく拭き取ります。
レンズや本体に水分を残さないことが、カビ予防の基本です。
7-2.濡れたままケースに入れない
湿った状態の双眼鏡をそのままケースに入れると、ケース内に湿気がこもりやすくなります。
特に雨や夜露に濡れたあとは、すぐに収納せず、風通しのよい場所で十分に乾燥させましょう。
ケース自体が湿っている場合は、ケースも乾かしてから使用してください。
7-3.乾燥剤を活用する
長期間保管する場合は、乾燥剤を活用する方法もあります。
乾燥剤を入れた密閉性のあるケースなどで保管すると、湿気対策に役立ちます。
ただし、乾燥剤は時間とともに効果が低下するため、交換や再生の時期も確認しておきましょう。

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7-4.長期保管には防湿庫も検討する
双眼鏡のほかにカメラや交換レンズなどの光学機器を複数所有している場合は、防湿庫を利用する方法もあります。
保管中の湿度を管理しやすいため、長期間使わない場合の湿気対策にも役立ちます。
7-5.定期的に状態を確認する
長期間使用しない場合でも、ときどき取り出して状態を確認しましょう。
- レンズにくもりや白い模様がないか
- ケースや収納場所が湿っていないか
- 乾燥剤の交換時期を過ぎていないか
定期的に確認しておくことで、カビやくもりの早期発見につながります。
収納場所そのものの湿度が高い場合は、双眼鏡だけでなく、収納環境全体の湿気対策も検討しましょう。
参考:株式会社ケンコー・トキナー「しばらく使う予定のない双眼鏡を保管する、良い方法はありますか?」
8.双眼鏡のカビ取りに関するQ&A

双眼鏡のカビ取りでは、内部カビやアルコールの使用、防水性能などについて迷うことがあります。
ここでは、よくある疑問をまとめます。
Q1.双眼鏡の内部カビは自分で取れますか?
内部カビの除去には、双眼鏡の分解が必要になる場合があります。
しかし、双眼鏡は光学系が精密に調整されているため、自分で分解するのはおすすめできません。
外側を清掃しても模様が残る場合は、メーカーや修理業者へ相談しましょう。
Q2.双眼鏡のカビにアルコールは使えますか?
無水アルコールは、外側レンズについた指紋や水滴などの清掃に使える場合があります。
ただし、内部カビを取り除くための方法ではありません。
使用する場合は、事前に取扱説明書を確認しましょう。
Q3.双眼鏡のカビを放置するとどうなりますか?
カビが進行すると、双眼鏡をのぞいたときの見え方に影響する可能性があります。
状態によっては、レンズのコーティングやガラス面にダメージが残ることもあります。
カビが疑われる場合は、放置せず早めに状態を確認しましょう。
Q4.防水双眼鏡ならカビは生えませんか?
防水型でも、カビ対策が一切不要になるわけではありません。
濡れたまま保管すると、表面や周囲に湿気が残ることがあります。
使用後は十分に乾燥させ、湿気の少ない環境で保管しましょう。
9.まとめ
双眼鏡に白い模様やくもりが見つかった場合は、まずそれが表面の汚れなのか、内部にあるものなのかを確認することが大切です。
外側のレンズ表面に汚れがある場合は、次の手順で清掃しましょう。

清掃しても白い模様やくもりが残る場合は、内部のカビやくもり、レンズ表面の変質などが考えられます。
その場合は無理に清掃や分解を続けず、メーカーや修理業者へ相談しましょう。
また、カビの発生や再発を防ぐためには、日頃の取り扱いやお手入れ、保管方法も重要です。

双眼鏡を長く快適に使うためにも、適切な清掃と湿気をためない保管を心がけましょう。


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