押入れの閉めっぱなしと開けっぱなしどちらの方がカビが生えやすい?

「押入れの中はいつも湿気がこもっていて、カビが生えないか心配…」
「押入れは閉めたままと開けた状態どっちがいいんだろう?」

押入れは密閉された狭い空間のため、空気が滞留し、湿気がこもりやすいです。
これが原因で、押入れ内部の湿度が高まり、カビが発生しやすい環境が作られてしまいます。
特に、湿気を含んでいる布団や衣類などを収納していると、この問題は顕著になるでしょう。

では、押入れの扉を開けっ放しにする方が良いのでしょうか、それとも閉めたままが良いのでしょうか?
今回この記事では、どちらの状態がカビ予防にベストなのか解説します。

他にも、押入れにカビが発生した場合の対処方法や予防方法についても解説するので、カビにお困りの方は是非この記事を最後までお読みください。

1.押入れは「閉めたまま」と「閉けたまま」どっちがいいの?

押入れの湿気対策のために開けたままにするべきか、それとも閉めておくべきか迷うこともあるでしょう。
どちらが良いのか解説する前に、まずは押入れにカビが発生する原因や仕組みについて解説します。

1-1.カビが発生する4つの条件

カビは正式には真菌と呼ばれる菌類の一種で、その胞子は常に空気中に漂っています。
これらの胞子は、適した条件下で急速に増殖することができます。

そしてカビが繁殖しやすい環境は、4つの条件が揃っている時です。

  • 暖かい温度
  • 高湿度
  • 栄養源
  • 酸素

繁殖に適した温度は20℃~30℃で、湿度は60%以上が必要です。
また、ホコリや人の皮脂、古い皮膚細胞などが栄養源となり、酸素の存在も繁殖には不可欠です。

これらの条件が揃うと、カビは急速に増殖し、見える範囲でのカビの発生に至ります。
したがって、これらの条件を理解し、適切に管理することがカビ予防には重要です。

1-2.押入れにカビが発生しやすい理由

押入れは通常、閉じたままで使われることが多く、そのため空気の流れが非常に少なくなります。

加えて、物を詰め込み過ぎると通気性がさらに悪化し、湿気がこもりやすい環境が形成されます。
このような環境はカビの成長に最適な条件を提供します。

特に、押入れに保管されている布団や衣類が湿った状態であれば、湿度はさらに上昇します。
これらの布団や衣類には汗や皮脂が付着していることも多く、これらがカビの栄養源にもなります。

こうして閉ざされた空間で湿気や栄養源が集まりやすい押入れは、カビが発生しやすい場所になってしまうのです。

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1-3.基本的に押入れは開けたままがベスト!

結論から言うと、基本的には押入れは開けっ放しにするのがベストです。
開けておくことで湿気がこもりにくくなり、カビ予防に繋がります。

ただし、押入れの扉を常に開けっ放しにすることは、ホコリが内部に入り込みやすくなるため、定期的な掃除が必要になります。
また、見た目の乱れも気になる場合があります。

このようなデメリットを考慮しつつも、カビの発生を防ぐためには通気性を確保することが最も重要です。
日中は扉を開けておき、夜間や来客がある際などは閉めるという運用をお勧めします。
これにより、押入れ内の湿度管理を効果的に行いつつ、必要な時には見栄えを保つことができます。

また、押入れの中の物の配置も工夫することで、より効果的に空気の循環を促進することが可能です。
物を詰め込み過ぎずに適度なスペースを確保し、空気が流れやすい環境を作ることがカビ予防には重要となります。
このような工夫を積極的に行うことで、押入れを清潔で快適な収納空間として維持することができます。

2.押入れにカビ発見!まずやるべきことは?

押入れでカビを発見した場合、まずは全ての収納物を押入れから取り出しましょう。
取り出した物はビニール袋に入れて外に運ぶことで、室内へのカビの飛散を防ぐことができます。

カビが生えている物は、適切な方法でカビを除去するか、場合によっては処分する必要があります。
カビが生えた物を押入れに戻すと、カビが再発する原因となります。

衣類や布団のカビ取り方法は以下の記事を参考にしてください。

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収納物を全て取り出した後、カビ取り作業を始めます。
作業を行う際には部屋をしっかりと換気し、マスクやゴム手袋、ゴーグルを着用してください。
これにより、カビの胞子を吸い込むリスクを減らし、安全に作業を進めることができます。

また、子供やペット、高齢者はカビの影響を受けやすいので、彼らが外出している間に作業を行うのが最適です。

3.押入れのカビを除去する方法

続いて、押入れのカビ取り方法を紹介します。
「消毒用エタノール」「酸素系漂白剤」「塩素系漂白剤」「プロレベルのカビ取り剤」の4つの方法をそれぞれ詳しく解説します。

3-1.消毒用エタノールを使用する方法

押入れに発生したのが白カビや軽度のカビの場合には消毒用エタノールを使用してカビを除去しましょう。
エタノールには無水エタノールと消毒用エタノールの2種類がありますが、カビの殺菌には消毒用エタノールがおススメです。

用意するもの

  • 消毒用エタノール
  • 雑巾
  • マスク
  • ゴム手袋

出典:Amazon

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注意点

カビを吸い込んだり、皮膚に付着しないようにマスクやゴム手袋を着用し、換気しながら作業してください。
消毒用エタノールはカビを殺菌することができますが、カビによる着色を落とすことはできません。
また、エタノールは引火しやすいため、火気の近くでは使用しないようにしてください。

カビ取り手順

  1. 押入れの中に収納している物を全て取り出します。
  2. 雑巾に消毒用エタノールを含ませて押入れを拭きます。
  3. 押入れの扉を開放したまま放置し、乾燥させます。
  4. 押入れが完全に乾いてから収納していた物を元に戻します。

3-2.酸素系漂白剤を使用する方法

消毒用エタノールで落とせないカビの着色がある場合、酸素系漂白剤を使用して漂白することができます。

酸素系漂白剤は塩素系に比べて素材へのダメージは少ないものの、一定の影響はあります。
使用する前には、目立たない場所で試し、問題がないことを確認してから作業を行うようにしてください。

用意するもの

  • 酸素系漂白剤
  • バケツ(洗面器でも可)
  • 雑巾2枚
  • マスク
  • ゴム手袋

出典:Amazon

出典: Amazon

注意点

カビを吸い込んだり、皮膚に付着しないようにマスクやゴム手袋を着用し、換気しながら作業してください。
また、目立たない場所で色落ちや変色がないか試してからカビ取り作業に入るようにしましょう。

カビ取り手順

  1. 押入れに収納している物をすべて取り出します。
  2. 酸素系漂白剤をバケツや洗面器に入れ、水で5倍に希釈します。
  3. 酸素系漂白剤の溶液を雑巾に含ませて硬く絞り、カビを拭き取ります。
  4. 30分程度放置したら、別の雑巾で水拭きし、酸素系漂白剤を拭き取ります。
  5. 押入れが完全に乾いてから収納していた物を元に戻します。

3-3.塩素系漂白剤を使用する方法

押入れのカビによる着色が強固である場合、塩素系漂白剤を使用する方法もあります。
しかし、塩素系漂白剤は木材にダメージを与えたり、変色させるリスクがありますので、黒ずみが特に気になる時のみ使用することをお勧めします。

使用する前には、必ず目立たない場所でテストを行い、問題がないことを確認してから本格的な作業に移るようにしてください。

用意するもの

  • 塩素系漂白剤
  • バケツ(洗面器でも可)
  • 雑巾2枚
  • マスク
  • ゴム手袋
  • ゴーグル
  • 長袖の服

出典:Amazon

注意点

カビを吸い込んだり、皮膚に付着しないようにマスクやゴム手袋、ゴーグル、長袖の服を着用し、換気しながら作業してください。
また、塩素系漂白剤に酸性のものを混ぜると危険な塩素ガスを発生させる恐れがあるため、別の洗剤と混ぜないようにしてください。

目立たない場所で色落ちや変色がないか試してからカビ取り作業に入るようにしましょう。
また、塩素系漂白剤は使用後にしっかりと何度も水拭きしてください。
よく拭き取れていないと押入れの色落ちや傷みの原因となるだけでなく、押入れに収納する物の色落ちや傷みの原因にもなってしまうので注意しましょう。

カビ取り手順

  1. 押入れに収納している物を全て取り出します。
  2. バケツや洗面器に水2リットル入れ、塩素系漂白剤を40グラム入れて混ぜます。
  3. 塩素系漂白剤の溶液を雑巾に含ませて硬く絞り、カビを拭き取ります。
  4. しばらく放置してから別の雑巾で押入れを水拭きし、塩素系漂白剤を拭き取ります。
  5. 押入れが完全に乾いてから収納していた物を元に戻します。

3-4.プロレベルのカビ取り剤を使用する方法

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先ほど3-3.塩素系漂白剤を使用する方法でもお伝えしましたが、塩素系漂白剤は漂白効果はあるものの、木材の変色や劣化などの恐れがあるため、押入れでの使用は危険を伴います。
そのため、可能であれば木材でも使用できる専用のカビ取り剤がいいでしょう。

カビ取り業者のハーツクリーンが開発したカビ取りマイスターキットは、危険な成分が含まれていない為、押入れなどでも安心してご使用いただけます。
また、実際に業者が使用している液剤を誰でも使えるように改良した製品なので、自宅でプロレベルのカビ取りが可能です。

さらに防カビ剤もキットに含まれているため、カビ取りだけでなく、カビの再発の予防も可能です。
徹底的にカビ取りと防カビをしたい方は、是非検討してみてください。

4.押入れのカビを防ぐための7つの対策

カビの発生を未然に防ぐことは、発生後の除去作業よりも遥かに効率的です。
以下の予防策を実施することで、押入れのカビを効果的に防ぐことができます。

4-1.すのこや新聞紙を敷く

押入れの底や側面にすのこを敷くことで、床と物の間に空気の流れるスペースを作り出し、湿気の蓄積を防ぐことができます。

また、新聞紙を敷くことで湿気を吸収し、カビの発生を抑制します。
新聞紙は湿気を吸い取ると効果が低下するため、定期的に新しいものに取り替えることが重要です。
市販の防カビシートも同様に使用でき、より長期的な防カビ効果が期待できます。

■関連記事■すのこにカビが生えた時の効果的なカビ取り&カビを防ぐための対策

4-2.除湿剤を置く

押入れ内の湿度を効果的に管理するためには、除湿剤の活用が有効です。
角の部分や扉の近くなど、空気の流れが弱い場所に除湿剤を配置すると良いでしょう。

除湿剤は定期的に交換する必要があるため、湿度が高い季節には特に注意して管理するようにしてください。

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4-3.扇風機やサーキュレーターで空気を循環させる

押入れの空気が滞留しないように、扇風機やサーキュレーターを使って定期的に空気を循環させましょう。
これにより、湿気がこもるのを防ぎ、カビが生育しにくい環境にすることができます。

襖を真ん中に寄せて両端を開け、そこから空気を送り込むことで効率的に空気を循環させられます。

4-4.エアコンや除湿機で部屋を除湿する

押入れがある部屋全体の湿度管理も重要です。
エアコンのドライ機能や除湿機を利用して、室内の湿度を適切なレベルに保ちましょう。

目安としては、湿度は60%以下が望ましいです。
部屋全体の湿度が低いことで、押入れ内の湿度も自然と低く保たれ、カビのリスクを減少させることができます。

ただしエアコンの掃除を怠っていると、エアコン内部にカビが発生し、カビをばら撒く恐れがあります。
こまめにフィルター掃除を行い、定期的に業者にエアコンクリーニングを頼むのがいいでしょう。

くらしのマーケット

4-5.定期的に掃除や除菌をする

押入れのカビ予防には、定期的な掃除と除菌が非常に重要です。
最低でも季節の変わり目には、全ての収納物を取り出し、押入れ内部の隅々まで丁寧に清掃しましょう。

掃除の際には、消毒用エタノールを含ませた雑巾で壁面や床、棚板を拭き上げることが効果的です。
これにより、カビの胞子やほこりを除去し、環境を清潔に保つことができます。

4-6.物を詰め込みすぎない

押入れに物を過剰に詰め込むことは、空気の流れを阻害し、湿気が滞留する大きな原因となります。
通気性を保つためにも、収納する物は必要最小限に留め、適度に隙間を空けることがカビ予防につながります。

また、収納する際は、物同士がくっつき過ぎないように配置し、押入れ内の空気が自然に流れるよう工夫しましょう。
季節ごとに不要な物を整理し、押入れ内をすっきりと保つことも重要です。

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4-7.湿っているものは入れない

押入れに物を収納する前に、その物が完全に乾燥していることを確認することがカビの予防には不可欠です。

特に、洗濯後の衣類や季節の変わり目にしまう布団などは、完全に乾燥させてから収納しましょう。
湿った状態で収納すると、その湿気が押入れ内でカビの栄養源となり、カビが発生しやすくなります。

また、長期間使用していない物も定期的に外に出して風通しを良くし、乾燥させることが推奨されます。

5.カビが酷い時は専門業者への依頼も検討する

押入れには物が詰めこまれているため、カビの発見が遅れてしまうことがあります。
カビが進行してからでは自力での対処が困難なことが多く、自己対応してもカビの除去に失敗したり、再発することも考えられるでしょう。

このような状況の時は、カビ取り専門業者への依頼を検討しましょう。
プロの業者は豊富な知識と経験を持ち、押入れのカビ除去だけでなく、その原因の特定や再発防止策の提案も行います。

カビは放置すると範囲を広げてどんどん悪化してしまうので、カビ取りが自力では難しい場合はできるだけ早くカビ取り業者に相談しましょう。

カビ取り業者に相談する

6.まとめ

押入れのような閉じた空間では湿気がこもりやすく、カビの発生リスクが高くなりがちです。
そのため、押入れの扉を常に閉じておくのではなく、可能な限り開けて空気の循環を促進させるようにしましょう。

また、定期的な掃除と湿度管理もカビを予防する上で欠かせない対策です。
これらの予防措置を行うことで、カビの発生を効果的に抑えることが可能です。

もしカビが発生してしまった場合は、迅速な対応が求められます。
広範囲にわたってカビが広がっている場合や原因が不明な時は、専門業者に相談することが最善です。

カビ取り業者に相談する

カビは健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、見た目の問題だけでなく、健康を守るためにも早期の対策と適切な処理が重要です。
安全で快適な住環境を維持するために、今日からでもカビ予防を始めてみてください。

<参考文献>

  • 大津たまみ『「汚れ予防」のコツと裏ワザ』2015年、青春出版