安全に衣類の黒カビを落とすための3STEP&カビ予防法
「濡れたまま服を放置していたらいつの間にか黒カビが生えていた」
「洗濯しても黒カビが落ちない。どうやって除去すればいいの?」
カビには様々な種類がありますが、特に黒カビは取り除くのが難しいとされています。
実際クリーニング業者でも対処できない場合があり、その結果衣類を捨てざるを得ないことも少なくありません。
しかし、衣類の素材や対処方法によっては、黒カビを落として再発を防ぐことは可能です。
また、自力でカビ取りができなかったとしても、技術力が高いクリーニング業者に依頼することで、大事な服を捨てずに済むでしょう。
この記事では、自力で衣類の黒カビを落とす方法や、自力で除去が難しい場合の対処方法について詳しく解説します。
日常生活でできるカビの予防方法についてもあわせて紹介するので、この記事を参考にして大切な衣類をカビの脅威から守りましょう。
この記事でわかること |
・自力で衣類の黒カビを落とす方法 ・自力で衣類の黒カビを落とせなかった時の対処方法 ・衣類にカビが発生する原因 ・衣類のカビを防ぐための対策 |
目次
1.衣類のカビを放置してはいけない!その理由は?
衣類に生えたカビに気付いた時、絶対にやってはいけないのはカビの放置です。
カビはただ見た目が不快なだけでなく、さまざまな問題を引き起こす恐れがあります。
1-1.健康への悪影響
カビはアレルゲンとして働くことがあり、アレルギー反応や呼吸器系の疾患を悪化させる可能性があります。
特に黒カビの一種である「アスペルギルス」は、肺炎や喘息の発作を引き起こすことが知られています。
カビの胞子は空気中を浮遊し、衣類から容易に人体に入り込むため、健康を守るためにも迅速な対応が必要です。
1-2.衣類の損傷や悪臭の原因
カビは衣類の繊維に深く根を張り、構造を破壊します。
これにより衣類は強度を失い、穴が開いたり、引き裂けやすくなったりします。
また、カビは悪臭の原因となり、この臭いは通常の洗濯では取り除くことが難しいでしょう。
1-3.保管場所全体へのカビの拡散
衣類に生じたカビを放置すると、カビの胞子が空気中に放出され、保管しているクローゼットや押入れ全体に広がる可能性があります。
これにより、1つの衣類から始まったカビが他の衣類や収納スペースにも拡散し、さらに大きなカビの被害へと発展します。
結果として、多くの衣類にカビが発生し、清掃や対策にかかる労力とコストが大幅に増加することになるでしょう。
2.安全に衣類の黒カビを落とすための3STEP
1.衣類のカビを放置してはいけない!その理由は?でお伝えした通り、衣類のカビは決して放置してはいけません。
そのため、衣類にカビが発生していることに気付いたら、カビが生えた衣類を隔離し、その後適切な方法でカビ取りを行ってください。
【STEP1】素材の確認
黒カビが発生した衣類のカビ取りには漂白剤を使用しましょう。
漂白剤には塩素系漂白剤と酸素系漂白剤の2種類がありますが、色柄物に塩素系漂白剤を使用すると色落ちしてしまうので、酸素系漂白剤を使用するのが安心です。
ただし、衣類のカビ取りをする前に必ず洗濯表示マークの確認をしてください。
特に注意して見てほしいのが、『洗濯』と『漂白』のマークです。
「家庭での洗濯禁止」や「塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止」のマークが記載されている場合は、酸素系漂白剤を使用したカビ取りをすることができません。
もし洗濯表示マークを無視してカビ取りを行うと、色落ちしたり、生地が傷んだりして、二度と着用できなくなる可能性があるため注意しましょう。
酸素系漂白剤を使用したカビ取りが出来ない衣類の場合は、自宅で黒カビを落とすのが難しいため、クリーニング業者に依頼しましょう。
3.自力で落とせないならクリーニング業者に依頼するで詳しく解説するので、そちらを参考にしてください。
【STEP2】必要なものを準備する
自力でカビ取りできることを確認出来たら、次は必要なものを用意しましょう。
- 酸素系漂白剤
- 桶
- 綿棒
- 洗濯用洗剤
- マスク
- ゴム手袋
カビの胞子を吸い込んだり、手が荒れたりするのを防ぐために、マスクとゴム手袋を身に付けてください。
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出典:Amazon
シャボン玉石けん 酸素系漂白剤
出典: Amazon
【STEP3】酸素系漂白剤で黒カビを除去
続いて、カビ取りを行っていきます。
以下の手順で行ってください。
①綿棒でカビの部分に酸素系漂白剤を塗る
②桶にぬるま湯と酸素系漂白剤を入れる
③桶に衣類を漬ける
④洗濯する
⑤完全に乾くまで干す
①綿棒でカビの部分に酸素系漂白剤を塗る
綿棒に酸素系漂白剤を付けて、カビの部分に塗り込んでいきます。
②桶にぬるま湯と酸素系漂白剤を入れる
桶にぬるま湯を入れて、酸素系漂白剤を溶かします。
③桶に衣類を漬ける
桶に衣類を入れて、しばらく漬けます。
目安としては1時間程度ですが、カビの状況を見て判断してください。
④洗濯する
洗濯機での洗濯が可能な製品の場合は、軽く絞ってから洗濯機に入れて洗ってください。
手洗いのみ可能なものは洗濯機を使わず、流水でもみ洗いして、漂白剤が残らないようにしてください。
⑤完全に乾くまで干す
乾くまでしっかり干してください。
水分が残るとそれがカビの発生原因になります。
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3.自力で落とせないならクリーニング業者に依頼する
黒カビは非常に頑固なカビのため、自力での除去が困難なことがあります。
カビが広範囲に及んでいる場合や、漂白剤が使用できない素材の場合は、無理に自力で除去しようとするのではなく、速やかにクリーニング業者などのプロに依頼しましょう。
プロの技術で衣類を傷めずにカビを取り除くことで、衣類の寿命を延ばすことにも繋がります。
3-1.店舗によっては黒カビの衣類は断られるため注意
クリーニング業者に黒カビ取りを依頼する際は、事前に対応可能かどうかを確認することが重要です。
黒カビは除去が難しいため、一部のクリーニング店では受け付けを断られる場合があります。
その理由は、カビが他の衣類に移るリスクがあるためや、カビを完全に除去する自信がないためなど、さまざまです。
店舗に持っていって断られてしまうと手間になってしまうため、事前に電話などで確認するのがいいでしょう。
また、最近では宅配クリーニング業者も増えているため、黒カビに対応している業者を探して依頼するのもおススメです。
3-2.カビ取り専門のクリーニング業者がおススメ
カビ取りに特化したクリーニングサービスは、通常のクリーニング店よりも高い成功率を持つことで知られています。
これらの専門業者は、カビの種類を正確に識別し、最も適した処理方法を選ぶための深い知識と技術を有しています。
また、カビを除去する過程で使用される薬品や機器は専門的なものであり、衣類を損傷することなく安全にカビを取り除くことができます。
カビ取り専門のクリーニング業者のハーツクリーニングなら、老舗のクリーニング業者と提携しているため、高度な技術により、繊維に染み付いたカビの色素も取り除いてくれます。
さらに、医療機器の消毒に使用されるほどの強力なエチレンオキサイドガスによるガス滅菌も行っているため、頑固なカビの菌や害虫の卵までも確実に死滅させることが可能です。
大切な衣類にカビが発生してお困りであれば、カビ取り専門のクリーニングサービスの利用を検討してみてください。
4.衣類だけでなく収納場所もカビ取りする
衣類にカビが発生した場合、衣類だけでなく保管場所にもカビが生息している可能性が高いです。
もし衣類のカビを根絶できても、収納場所にカビが残っていると、そこからカビが移って再発してしまいます。
そのような事態を避けるためにも、衣類のカビ取りを行う際には、収納場所のカビ取りも行うようにしましょう。
4-1.タンスやクローゼットのカビ取り
タンスやクローゼットは、カビが発生しやすい場所の1つです。
しかし、木材が使用されているため、一般的なカビ取り剤で除去することはおススメ出来ません。
もし市販のものでカビ取りするなら、消毒用エタノールを使用しましょう。
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出典:Amazon
消毒用エタノールは木材を傷めることなく、効果的にカビを除去することができます。
使用する際は、まずタンスやクローゼットの中身をすべて取り出し、内部のホコリや汚れを乾いた布で拭き取ります。
その後、消毒用エタノールを柔らかい布に少量含ませ、カビが生息している部分を丁寧に拭き取りましょう。
エタノールで拭き取った後は、換気を良くしてエタノールが完全に蒸発するまで待ちます。
これにより、カビだけでなくカビの胞子も除去することができます。
さらに、定期的にタンスやクローゼットの扉を開けて空気を循環させることで、湿気を減らしカビの繁殖を防ぐことができます。
タンスやクローゼットの詳しいカビ取りは以下の記事でも紹介しているので、参考にしてみてください。
■関連記事■クローゼットにカビが生えている場合、衣類にもカビが移るの?カビ対策方法をプロが伝授
■関連記事■効果的なタンスのカビ取りと再発を防ぐカビ対策
もしすでにカビが広範囲に渡っている場合は、自力でのカビ取りは難しいでしょう。
収納場所のカビは、少しでも残っているとそこから再発して大惨事になる恐れがあるため、自力では難しいと感じたらすぐにカビ取り業者に相談しましょう。
4-2.衣装ケースのカビ取り
プラスチック製の衣装ケースもカビの温床になり得ます。
衣装ケースをカビ取りする際には、まず中身を空にしてから、温水に薄めた中性洗剤で内外を洗いましょう。
カビがひどい場合は、カビ取り剤を使用します。
洗浄後は、十分に水気を拭き取り、完全に乾燥させてから衣類を戻すようにしてください。
5.衣類に黒カビが発生する原因は?
ここまでカビが発生した場合の対処方法について解説してきましたが、カビ対策において重要なのはカビを発生させないことです。
そしてカビ予防をするためには、まず何故カビが発生するのかを知らなければなりません。
カビは以下の4つの条件が揃っている場所に発生するものです。
- 水分・湿度
- 温度
- 栄養源
- 酸素
使用後の扱い方や保管方法を間違えてしまうと、衣類にカビが発生しやすくなります。
特に多いのが以下のような状況だとカビの発生リスクが高いでしょう。
5-1.高湿度の環境
高湿度はカビの成長に最適な環境を提供します。
湿度が高いと、空気中に水分が多く含まれ、これが衣類に吸収されることでカビの栄養源となります。
梅雨時や夏季の高温多湿な期間は、室内の湿度管理に注意しましょう。
またクローゼットや引き出しの中など、密閉された空間は通気性が悪く、湿気がこもりやすい傾向にあります。
湿度が高い環境で保管された衣類は、カビの発生リスクが高くなり、黒カビを含む様々な種類のカビが衣類に生育しやすくなるのです。
5-2.不十分な乾燥
洗濯後の衣類が十分に乾燥していない場合、その湿った状態はカビの成長にとって理想的な条件を提供します。
特に厚手の衣類や、乾燥が難しい素材の場合は、内部まで完全に乾かすことが重要です。
また、雨に濡れた衣類をそのまま放置したり、湿った場所で衣類を干したりすることも、カビの発生原因となります。
5-3.衣類に付着した汗や汚れ
人間の汗や皮脂、食べカスや外出時に付着した汚れは、カビの栄養源となり得ます。
特に夏場に多く汗をかいた衣類や、長期間洗濯せずに放置された衣類は、カビが生育しやすい状態になります。
汗や汚れが衣類に残っていると、それだけで湿度が高くなり、カビが発生しやすくなるので注意しましょう。
6.衣類のカビを防ぐための7つの対策
5.衣類に黒カビが発生する原因は?でお伝えした通り、カビは「水分・湿度」「温度」「栄養源」「酸素」が揃っている場所に発生します。
逆に言うと、その4つの条件のうちのどれか1つでも欠けさせることができると、カビの発生リスクは大幅に減ります。
カビは衣類にとって厄介な存在ですが、適切な管理と対策によって防ぐことが可能です。
衣類のカビを防ぐための対策を紹介するので、是非試してみてください。
- 汚れたまま衣類を保管しない
- 保管前に徹底的に乾燥させる
- 室内の湿度管理をする
- 密閉した空間での保管は避ける
- 除湿剤を活用する
- 収納場所の掃除と換気をする
- 衣類の変わり目に衣類の点検をする
6-1.汚れたまま衣類を保管しない
日々の生活で汗をかいたり、外出から帰ってきた後の衣類は、カビの栄養源となりうる汗や汚れが付着しています。
これらを放置することはカビの温床を作ることになります。
そのため、汗をかいた後や、食べカスや泥などで汚れた衣類は速やかに洗濯し、カビが好む水分や栄養源を取り除いてください。
また、コートやスーツなど、衣類によっては頻繁に洗うことができないものの場合は、クローゼットの外にかけて、染み込んでいる雨や汗などを乾かしてください。
そして、その時に衣類用のブラシなどで表面の汚れも取り除くようにしましょう。
6-2.保管前に徹底的に乾燥させる
洗濯後の衣類は、内部まで完全に乾燥させなければなりません。
湿った状態の衣類を放置すると、カビが繁殖する最適な環境を提供してしまいます。
特に注意してほしいのが、布地が厚い衣類や、乾きにくい素材の衣類です。
これらは、表面が乾いていても内部に湿気が残りやすいため、完全に乾ききっていないのに収納場所に戻してしまうということがあります。
また、梅雨時など湿度が高い季節には、室内での乾燥に加えて除湿機を使用するなど、さらなる対策が効果的です。
6-3.室内の湿度管理をする
室内の湿度が高いと、衣類だけでなく家全体がカビのリスクに晒されます。
室内湿度は40%~60%の間に保つことが望ましいとされています。
湿度計を用いて室内の湿度を常にチェックし、除湿機やエアコンの使用、定期的な換気を行うことで湿度管理を徹底しましょう。
湿気の多いキッチンやバスルームは特に注意する必要があり、これらのエリアでの換気と湿度コントロールを心掛けることが重要です。
6-4.密閉した空間での保管は避ける
衣類を保管する際は、密閉した空間を避け、通気性の良い場所を選ぶことが大切です。
クローゼットやタンスなどの収納スペースでは、定期的に扉を開けて空気を入れ替える、通気性の良い収納用品を使用するなどの工夫が必要です。
また、衣類を詰め込みすぎずに、空気が循環しやすい状態を保つことも、カビ防止には欠かせません。
6-5.除湿剤を活用する
クローゼットや引き出し内に除湿剤を設置することで、収納スペース内の湿気を効果的に取り除くことができます。
シリカゲルや化学薬品を使用した除湿剤が一般的ですが、最近は充電式の小型の除湿機などもあります。
どちらも定期的にチェックし、吸湿能力が低下したら交換したり、乾燥させたりすることが大切です。
これにより、衣類を乾燥した状態で保管することができ、カビの発生を防げるでしょう。
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6-6.収納場所の掃除と換気をする
衣類を保管している場所も、カビの発生を防ぐためには定期的な掃除と換気が必要です。
カビの胞子が付着しやすい壁面や棚板は、消毒用エタノールで拭き取ることをお勧めします。
掃除後はしっかり乾燥させ、さらに窓を開けて換気を行うことで、カビの発生を抑えることができます。
6-7.衣類の変わり目に衣類の点検をする
季節の変わり目には、保管している衣類を一度取り出し、カビの有無をチェックしましょう。
カビが発見された場合は、速やかに対処することで、他の衣類への拡散を防ぐことができます。
また、この機会に不要な衣類を処分し、収納場所に余裕を作るのも大事です。
7.まとめ
今回は衣類に発生した黒カビの落とし方について解説しました。
自力で黒カビを除去する場合は、酸素系漂白剤を使用して行ってください。
しかし、黒カビは非常に厄介なカビなので、完全に除去できないこともあるでしょう。
もし自力で除去できないカビの場合は、無理せずにクリーニング業者に任せるようにしてください。
また、通常のクリーニング業者だと黒カビが生えた服は断られることがあるため、できればカビ取り専門クリーニング業者を選ぶことをおススメします。
そしてカビ取りが終わったら、今度はカビが発生しないように対策をしましょう。
日々の生活習慣や衣類の保管方法に注意を払うことで、カビの発生リスクを大幅に減らすことができます。
日頃からできるカビ対策は以下の通りです。
- 汚れたまま衣類を保管しない
- 保管前に徹底的に乾燥させる
- 室内の湿度管理をする
- 密閉した空間での保管は避ける
- 除湿剤を活用する
- 収納場所の掃除と換気をする
- 衣類の変わり目に衣類の点検をする
カビは一度発生すると除去が困難であり、衣類だけでなく健康にも悪影響を及ぼす可能性があるため、予防と早期対応が非常に重要です。
この記事で紹介したカビの落とし方と予防策を参考にして、大切な衣類をカビから守ってください。