長期間留守にする場合のカビ対策
近年では共働きなどで昼間に家を留守にする世帯が増えています。
また、旅行や里帰りでしばらく家を留守にするというご家庭もありますね。
特に蒸し暑い時期などは家を留守にしている間に換気や掃除ができないため、カビが発生してしまうことがあります。
今回は長期休暇などで、長い間家を留守にする際のカビ対策をご紹介していきます。
目次
1.留守時の家のカビ対策
留守にすることが多いご家庭と留守にすることが少ないご家庭でカビの生え方を比較したデータがあります。
そのデータによると、洗面所、台所、寝室、居間、お風呂場、押し入れにおいて、押し入れ以外は留守にすることが多いご家庭の方が多くカビが発生しているということがわかっています。
留守時にできるカビ対策には以下のことがあげられます。
①室内のドアや扉を開放しましょう。
室内のドアや押し入れやクローゼットなどの扉をすべて開放し、どの部屋の空気も循環できる状態にしてください。
その際に扇風機やサーキュレーターを回しておくと湿気が一部に滞留するのを防ぐことができます。
壁際にタンスなどの家具を設置している場合には、壁から少し離して空気の通り道を作るとカビを予防することができます。
②換気扇を回しておきましょう。
浴室やトイレなど換気扇がついている場所は回しておくのがおすすめです。
2003年に建築基準法の改定により、住宅は24時間換気が義務付けられました。
昔の家ではすき間風が入ったので意識的に換気をする必要がなかったのですが、最近の住宅はサッシや石膏ボードが使用されており気密性が高くなっています。
そのため、建物全体の空気を入れ換えるパワーを持った換気設備の設置がされています。
その換気扇のスイッチを電気代がもったいないからと切ってしまう方がいますがつけっぱなしにしてください。
換気扇をつけっぱなしにしても、月の電気代は300円程度です。
換気をしないでいると建物が結露し、耐久性にも影響し、結露が発生することでカビやダニが発生します。
カビやダニを吸い込んでしまうとアレルギー性喘息や肺炎などの病気を引き起こすおそれがあります。
これは電気代を大きく超える損害になります。
③ゴミを残したまま留守にしないようにしましょう。
特に生ゴミは出掛ける日までに出しておくようにし、家の中にゴミを残したまま留守にしないようにしましょう。
生ゴミはカビが発生するだけでなく、害虫が発生する原因にもなりますので特に注意が必要です。
留守にする前には排水溝のトラップ部分に多めに水を入れておきましょう。
長期間留守にしていると、排水トラップの水が蒸発し、下水の臭いが室内に充満してしまうおそれや害虫が侵入するおそれがあります。
④洗濯物の放置にも気を付けましょう。
洗っていない洗濯物を放置したままにしていませんか?
洗っていない洗濯物を放置するとカビが発生することがあります。
留守にする前に洗濯物はすべて洗濯し、乾燥させておきましょう。
⑤押し入れの布団にも注意しましょう。
普段布団を押し入れに収納しているご家庭の場合には、留守にする際には部屋の中央にすのこを置き、その上に布団を置くようにすると押し入れに湿気がこもらずにカビを予防することができます。
また、衣類などカビの発生が心配なものは、クリーニングに出したり、温度と湿度を管理し、カビが発生しにくい環境で預かってくれる収納サービスの業者もあります。
⑥室内に除湿剤を設置しましょう。
押し入れやクローゼットの湿気対策に使用する除湿剤を室内にも置いておきましょう。
除湿剤は粉末の重曹でも代用することができます。
重曹の除湿効果は3か月~6か月と言われています。
除湿剤として使用したあとの重曹は掃除に使用することもできます。
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⑦常温で保管している食品も冷蔵庫へ入れましょう。
お米や野菜など、普段は常温で保存している食品類も留守にする際には冷蔵庫に入れるようにしましょう。
食品類は腐敗するとカビが発生するだけでなく、生ゴミと同様に害虫が発生する原因にもなりますので気を付けましょう。
⑧出かける前には掃除をしましょう。
長期間留守にする際には、いつもより念入りに掃除をしておくと安心です。
特に浴室や排水溝などは汚れているとすぐにカビが繁殖しやすいです。
掃除機をかけたり、
留守にしている際にはカビが繁殖していてもしばらく放置することになるため、帰宅してから大繁殖
したカビの対処をするのは大変です。
⑨雨戸やシャッターはどうする?
長期間留守にする際に雨戸やシャッターを閉めるという方もいらっしゃると思います。
カビを予防するという観点から考えると、雨戸やシャッターは閉めない方が良いです。
雨戸やシャッターを閉めてしまうと日光が入らなくなります。
日光には電磁波の一種である紫外線が含まれており、紫外線は細菌の増殖を防ぎ、カビを殺菌する効果があります。
カーテンもできれば薄手のレースカーテンだけ閉めておくことがカビ予防の観点からは望ましいですが、部屋の中が見えてしまうなどの防犯対策を考慮するとどちらを優先すべきか難しい部分があります。
※注意点※
家を留守にするときは戸締りに気を付け、防犯対策も実施するようにしましょう。
⑩除湿機を運転したままにする。
デシカント式の除湿機は水がたまると捨てなければなりません。
特に梅雨の時期などは水がすぐにたまってしまうため留守にしている間に水をそのままにしてしまうと、カビが発生する原因となるので注意が必要です。
そんなときに水を捨てる手間なく使用できる除湿機というものがあります。
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出典:楽天市場
カビを予防するために換気が大切なのですが、外気が湿っている場合には換気が逆効果となってしまうことがあります。
そんなときでも除湿機を運転させておけば留守中もカビの発生をかなり抑えることができます。
2.カビが発生してしまったら
広範囲にカビが発生した場合には、水漏れや雨漏り、くりかえし発生する場合には、結露が原因であり、部分的にカビが発生した場合には、湿気や汚れがたまりやすい場所であるということが多いです。
発生してしまったカビの除去だけでなく、カビの根本的な原因を改善することが再発防止するのに大切です。
部分的にカビが発生した場合であれば自力で対処することもできますが、広範囲に発生してしまった場合には早めにカビ取り専門業者に依頼することで被害の拡大を防ぐことができます。
3.帰宅が夜遅いという方にも
旅行や帰省などで長期間家を留守にするという方以外にも、普段帰宅する時間が遅いという方にも今回ご紹介したカビ予防方法は有効になります。
24時間の換気や、除湿機の設置、こまめな掃除などに気を付けてカビを防ぎましょう。
4.まとめ
・留守時の家のカビ予防方法は、除湿と換気を心がけることが大切です。
・他にも、留守にする前に掃除をして清潔な状態で出かけるようにしましょう。
・カビが発生してしまったら、早めに専門業者に依頼するなど対処するようにしましょう。
・長期間留守にする以外にも、帰宅が夜遅いという方にも今回のカビ対策は有効です。
<参考文献>
・吉川翠ほか『住まいQ&A ダニ・カビ・結露』1989年、井上書院
・小峯裕己『室内微生物汚染ダニ・カビ完全対策』2007年、井上書院
・玉水新吾ほか『住宅メンテナンスのツボ』2013年、学芸出版社