雛人形のカビで大惨事!?雛人形のカビ対策とカビ発生時の対処方法を解説

「久しぶりに雛人形を取り出したらカビらしきものが発生していた…」
「祖父母に買ってもらった大切な雛人形にカビが生えて困っている。なんとしてでもカビ取りしたい」

日本の節句に欠かせない雛人形は、多くの家庭で世代を超えて受け継がれる伝統的な飾り物です。
雛人形は繊細な美しさと精巧な作りで知られていますが、適切なケアがなされないと、カビの被害に遭うリスクがあります。

カビは静か繁殖し、雛人形の価値を損ない、場合によっては修復不可能なダメージを与えることもあるため、しっかりとカビを防ぐようにしましょう。

この記事では、雛人形にカビが発生する原因や効果的な予防策について解説します。
カビが発生してしまった場合の対処法もお伝えするので、大切な雛人形を守るために、是非この記事を参考にしてみてください。

この記事でわかること
・雛人形にカビが発生する原因
・雛人形のカビ対策
・雛人形にカビが発生した場合の対処方法
・保管場所にカビが発生した場合の対処方法

1.なぜ雛人形にカビが発生するのか

カビが発生しやすい場所といえば、お風呂場などの水回りを思い浮かべる方が多いでしょう。
確かにカビが発生する場所には「水分(湿度)」「温度」「栄養源」「酸素」が必要なので、水回りはそれらの条件が揃いやすい傾向にあります。

しかし、水回りとは無縁の雛人形でもその条件が揃ってしまうことがあります。
その理由について詳しく見ていきましょう。

1-1.高湿度の環境での保管

雛人形は一般的に年に一度しか使われないため、残りの期間は保管されます。
この長期間の保管中に高湿度の環境に置かれていると、カビの発生リスクが高まります。

押入れやクローゼットなどの換気が不十分な場所は湿気がこもりやすいため、カビが繁殖する理想的な条件を提供してしまいます。
湿気はカビの成長に必要な水分を供給し、雛人形の繊細な素材はカビの栄養源となり得るため注意が必要です。

1-2.埃などが蓄積している

雛人形を飾っている時や保管中に、が蓄積してしまうこともあるでしょう。

埃はカビの栄養源となる有機物を多く含んでおり、これがカビの成長を促進します。
雛人形は装飾や細部に埃が溜まりやすく、湿気と結びつくことでカビの発生しやすい環境が形成されます。

さらに、埃の中にはカビの胞子自体が含まれていることもあり、それが適切な条件下で活性化し、雛人形にカビを発生させる原因となることがあります。

そのため、長期間の保管中にカビが繁殖し、久しぶりに取り出した時には雛人形がカビだらけになっていたということもあるのです。

1-3.天然素材が使用されている

伝統的な雛人形は、木、布、紙などの天然素材で作られていることが多いです。
これらの素材は見た目も質感も良いのですが、同時にカビの発生に対して非常に脆弱です。

実は天然素材は湿気を吸収しやすく、また有機物としてカビの栄養源にもなり得ます。

例えば、木製の部分は湿気を吸収して膨張し、長期間にわたって湿った状態が続くと、カビの発生や木材の劣化を招く可能性があります。
布製の部分は、湿気とともにカビの胞子が付着しやすく、カビが成長しやすい環境を提供します。
また、紙製の部分は、特に湿気に弱く、一度濡れるとカビが生じやすく、その損傷も深刻になりやすいです。

このような理由から、天然素材はカビが発生しやすいのです。

2.雛人形にカビが発生することの危険性

雛人形にカビが発生することで、いくつかの被害が発生することがあります。
ここでは雛人形のカビにどのような危険性があるのか詳しく解説します。

2-1.健康への悪影響

カビの胞子は、空気中に拡散しやすく、これを吸い込むことで健康に悪影響を及ぼします。

カビの胞子によるアレルギー反応で、くしゃみ、鼻水、目のかゆみ、喉の刺激、皮膚の発疹などの症状が引き起こすかもしれません。
また、喘息の発作が起きる場合もあり、特に小さな子供や高齢者にとっては深刻な健康被害が発生する恐れがあります。

他にも、カビの一部には有害な毒素(マイコトキシン)を生成する種類も存在し、さらに重篤な症状を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

2-2.修復が難しい

一度カビに侵された雛人形は、修復が非常に困難になります。

カビは雛人形の表面に根を張り、布や紙、木などの素材に染み込むことがあります。
これらの素材からカビを完全に取り除くことは通常の清掃方法ではほぼ不可能であり、専門の復元技術を必要とします。

しかし、復元作業は非常に繊細で時間を要し、完全な回復を保証するものではありません。
そのため専門業者に復元を依頼しても、場合によってはカビの汚れが残ったまま戻ってくることもあるのです。

2-3.価値の低下

雛人形は単なる飾り物ではなく、家族の思い出や伝統、芸術的価値を持つ貴重な資産です。

カビによってその美観や状態が損なわれると、雛人形の価値が大幅に低下します。
特に、伝統的な技法で作られた雛人形や、代々受け継がれてきた古い雛人形は、その独自性と歴史により高い価値を持っています。

これらの雛人形がカビにより損傷を受けると、修復が困難または不可能になることがあり、その結果として雛人形の価値を低下させることになってしまうのです。

2-4.他の場所への拡散リスク

雛人形に発生したカビは、その場所に留まらず、他の場所への拡散リスクがあります。
カビの胞子は非常に小さく、空気中を容易に漂い、換気や人の動きにより他の部屋、家具、布製品にまで広がることも少なくありません。

その結果、家全体がカビの影響を受ける恐れがあるのです。

そのような事態になると、部屋や家具のカビ取りを専門業者に依頼することになるでしょう。
また、衣類にカビが付着した場合、クリーニング業者への依頼が必要になることがあります。

そして部屋のカビが深刻な場合、カビ取りだけでは不十分で、結果的にリフォームが必要になるケースもあります。
このような場合には、高額な費用が発生し、家計に大きな負担をもたらすことになるでしょう。

したがって、雛人形にカビが発生した初期段階で適切な対処を行うことが、これらの問題や費用を避けるために重要なのです。

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3.雛人形をカビから守るための対策

雛人形にカビが発生すると、費用面の被害だけでなく健康被害などあらゆるデメリットがあります。
そのためしっかりと対策を行い、雛人形をカビから守るようにしましょう。

  • 保管前に汚れを取り除く
  • 通気性の良い場所で保管する
  • 湿度管理を行う
  • 定期的に乾燥させる
  • 定期的にメンテナンスをする

3-1.保管前に汚れを取り除く

雛人形を出し入れしたり、飾ったりしている間に、埃や手垢などが付着することがあります。

そのため、保管前に雛人形の汚れを除去しましょう。
そうすることで、カビの発生リスクを下げることが可能です。

柔らかいブラシや乾いた布を使用して、雛人形の表面のほこりや汚れを優しく取り除きます。
細部にわたる装飾や繊細な部分は注意深く掃除してください。

そして雛人形をしっかりと乾燥させて、湿気を飛ばしてから箱に戻すようにしましょう。

3-2.通気性の良い場所で保管する

雛人形を保管する際は、通気性が良く、湿気が少ない場所を選ぶようにしてください。

湿気が多いとカビの繁殖に適した環境が生まれてしまうため、密閉された箱やプラスチック製の容器の使用は避けるべきです。
これらの容器は、内部に湿気を閉じ込めることがあり、結果としてカビの発生を促進する可能性があります。

代わりに通気性のある布製カバーや木製の箱を使用することが望ましいです。
布製カバーは空気の流通を促し、木製の箱は自然な湿度調節能力を持っています。

これらは、雛人形をカビから守る上で効果的な手段となるでしょう。

3-3.湿度管理を行う

カビは湿度が60%を超えると活発に繁殖し始めるため、湿度が高い場合は除湿することが大事です。
ただし、過度の乾燥は雛人形にダメージを与える可能性があり、特に天然素材で作られた雛人形においては、ひび割れや変形、色褪せのリスクが高まります。

そのため、湿度は50~60%の範囲内で保つことが理想的です。
この湿度レベルでは、カビの成長を抑制しながら雛人形の素材を適切に保護することが可能です。

また、押入れなどの保管場所では、除湿剤の使用をお勧めします。
これにより押入れ内の湿気を効果的に吸収し、カビの発生を防ぎます。

さらに、雛人形の保管ケース内に湿度調整剤を入れることで、直接的な湿度コントロールを行うことが可能です。

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3-4.定期的に乾燥させる

長期間保管する場合は、定期的に雛人形を取り出し、風通しの良い場所で自然に乾燥させるようにしてください。
これにより、雛人形に含まれている湿気を無くし、カビの発生リスクが下げることが可能です。

季節の変わり目や特定の時期には、雛人形を日陰で風通しの良い場所に数時間置くようにしましょう。

3-5.定期的にメンテナンスをする

雛人形を長期間にわたって美しい状態で保つため、専門業者に依頼して定期的なメンテナンスを行うのもおススメします。

専門業者は雛人形の材質や構造に精通しており、適切な清掃、修復、保護処理を施すことが可能です。
そのため、雛人形の細かな部分や繊細な装飾も丁寧にクリーニングし、汚れや埃を取り除いてくれるでしょう。

また、損傷がある場合は、専門業者が修復作業を行い、元の美しさを取り戻すことが可能です。

雛人形を清潔に保つことは、カビの発生を抑制することにも繋がるので、是非検討してみてください。

4.雛人形にカビが発生した場合の対処方法

カビは時間経過とともに広がっていくため、カビが発生したら早めに対処することが重要です。
もしカビが発生した場合は、以下のように対処しましょう。

4-1.自分でできる応急処置方法

カビは頑固な菌なので、カビ取り剤や強力な化学液体を使わないと完全に除去するのは難しいです。
しかし、これらの液体を使うと雛人形を傷めてしまう恐れがあるため、お勧めできません。

ここでは、雛人形を傷つけることなくカビを取り除く方法を紹介します。
ただし、この方法ではカビを完全に死滅させることは難しいので、あくまで応急処置として捉えてください。

また、作業時はカビの胞子が舞いやすいため、ベランダなどの屋外で行うか、十分に換気された場所で行いましょう。

用意するもの

  • 柔らかいブラシ
  • 消しゴム

カビ取り手順

①乾いた柔らかいブラシでカビを優しく除去
②布や紙部分には消しゴムを使用
③換気の良い場所で乾燥

①乾いた柔らかいブラシでカビを優しく除去
カビを払い落とすために、柔らかいブラシを使用します。
力を入れすぎず、優しく払い落としましょう。

②布や紙部分には消しゴムを使用
布地や紙製の部分にカビが生えている場合、柔らかい消しゴムを使って慎重にカビを取り除きます。

③換気の良い場所で乾燥
カビを取り除いた後、雛人形を風通しの良い場所に置き、完全に乾燥させます。

4-2.ガス滅菌でカビを根絶させる

カビは少しでも残っていると再発の危険があります。

雛人形にカビが発生し、応急処置だけした状態で再び保管してしまうと、次に取り出した際に手に負えないほどカビが広がっている可能性があります。
そうならないためにもカビを根絶することが重要です。

そこでおススメなのが、ガス滅菌です。

カビ取り業者のハーツクリーンでは、医療機器の滅菌にも使われる高い殺菌力を持つエチレンオキサイドガス(EOG)を使用しています。
この方法では、真菌(カビの菌)や害虫の卵など、通常除去が困難なものも死滅させることができます。

また、一般的な除菌とは異なり水を使わないため、雛人形のようにデリケートなものでも安心してカビ取りできます。

すでに雛人形にカビが発生してお困りでしたら、是非ガス滅菌をご検討ください。

ガス滅菌を依頼する

4-3.雛人形を修理に出す

ガス滅菌はカビを死滅させることができますが、すでに付着しているカビの色素などを除去することはできません。
そのため、カビによって変色や損傷が生じた雛人形は、専門の修理業者に依頼することが望ましいです。

専門の修理業者は、雛人形の繊細な素材や構造に対する深い知識を持っています。
彼らの高度な技術と経験により、カビによる色素の変化や損傷を効果的に修復し、元の美しさを取り戻すことが可能です。

また、早期に専門家の手による修理を行うことで、雛人形の損傷がさらに進行するのを防ぐことができます。
これは、将来的な修理コストの節約にもつながります。

ただし、修理業者にはカビの専門知識があるわけではないため、カビの根絶を考えるとガス滅菌との併用がベストな選択と言えるでしょう。

5.雛人形のカビが押入れにも広がってしまったら

雛人形にカビが発生した場合、保管している押入れなどにも広がってしまう恐れがあります。
また、逆に押入れにカビが発生することで、それが雛人形に移ることも考えられます。

そのため押入れやクローゼットにカビを見つけたら、早急にカビ取りをしましょう。

5-1.身近にあるものでカビ取りする

カビキラーなどの市販のカビ取り剤を押入れやクローゼットで使用すると、成分が残って、木材を傷めてしまう恐れがあります。
そのため、身近なものでカビ取りする場合は、消毒用エタノールを使用することをおススメします。

用意するもの

  • スプレータイプの消毒用エタノール
  • 雑巾
  • マスク
  • ゴム手袋

カビの胞子を吸い込んだり、手が荒れたりするのを防ぐために、マスクとゴム手袋を身に付けてください。

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注意事項

  • 換気しながら作業を行う
  • 火気の近くで使用しない
  • 目立たない場所で試してから作業する

カビ取り作業中はカビの胞子が飛散しやすいので、換気しながら行いましょう。
エタノールは引火する恐れがあるため火の近くでは使用しないでください。
全体をカビ取りする前に目立たない場所で試して、問題がなければ作業を行うようにしてください。

カビ取り手順

①消毒用エタノールを含ませた雑巾で拭き取る
②消毒用エタノールを吹きかける
③雑巾で消毒用エタノールを拭き取る

①消毒用エタノールを含ませた雑巾で拭き取る
押入れに保管しているものはすべて出してください。
それから雑巾に消毒用エタノールを吹きかけ、その雑巾を使って押入れに溜まっている埃などの汚れを取り除きましょう。

②消毒用エタノールを吹きかける
カビが発生している箇所やその周辺に消毒用エタノールを吹きかけます。
浸透するまで10~15分ほど放置します。

③雑巾で消毒用エタノールを拭き取る
雑巾で消毒用エタノールを拭き取って、しっかりと自然乾燥させてください。
また、完全に乾いたのを確認してから、保管していたものを戻すようにしましょう。

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5-2.プロレベルのカビ取り剤でカビ取りする

消毒用エタノールはカビを死滅させる効果はありますが、カビの色素を除去する効果はないため、黒カビなどが発生している場合はカビの跡が残ってしまうでしょう。
また、カビが広範囲に渡っている場合、揮発性が高い消毒用エタノールだとカビが死滅する前に乾いてしまうことがあります。

より効果的なカビ取りを求める場合は、木材でも使用できるカビ取り剤を選ぶようにしてください。

例えば、カビ取り業者ハーツクリーンによって開発された「カビ取りマイスター」は、業務用として使用されている液剤を一般向けに改良した製品なので、高いカビの殺菌効果を持っています。
さらに、このカビ取り剤には有害な成分が含まれていないため、水で洗い流すことが難しい場所での使用にも適しています。

押入れのカビ取りを徹底的に行いたい場合は、是非カビ取りマイスターを検討してみてください。

5-3.自力での対処が難しいならカビ取り業者に相談する

カビが広範囲に渡っている場合、または自力でカビ取りしたにもかかわらず再発してしまった場合は、プロのカビ取り業者に相談することをお勧めします。

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専門業者にカビ取りしてもらうと以下のようなメリットがあります。

プロの知識と技術

カビ取り業者は、カビの特性や成長条件に精通しており、様々な環境や素材に合わせた最適な対処法を持っています。
また、業者は単に表面的なカビを除去するだけでなく、カビの根本的な原因に対処し、再発を防止するための対策も提供してくれます。

安全で効果的な処理

専門業者によるカビ取りは安全かつ効果的です。
使用されるカビ取り剤は人体に無害で、カビに侵された場所や物へのダメージを抑えながら、カビを除去することが可能です。

時間と労力の節約

自力でのカビ取りは時間がかかる上に、カビの除去が不十分になってしまう場合があります。
プロに依頼することで、時間と労力を節約し、より迅速かつ徹底的なカビの対処が可能になります。

再発防止のアドバイス

カビ取り業者によっては、処理後に再発を防ぐためのアドバイスをしてくれます。
適切な湿度管理、換気の改善、掃除方法などを教えてもらうことで、カビの再発率を更に下げることができるでしょう。

カビ取り業者に相談する

6.まとめ

今回は、雛人形のカビ対策とカビ発生時の対処法について詳しくご紹介しました。

雛人形はただの装飾品ではなく、多くの家庭にとって大切な宝物であり、世代を越えて受け継がれるべき価値あるものです。
カビはこれらの貴重な品々の美しさと価値を著しく損なう可能性があるため、適切な予防策とケアが極めて重要となります。

雛人形のカビを防ぐためには、以下の対策を行うようにしましょう。

  • 保管前に汚れを取り除く
  • 通気性の良い場所で保管する
  • 湿度管理を行う
  • 定期的に乾燥させる
  • 定期的にメンテナンスをする

これらのことを注意して行うことで、雛人形を長期にわたり美しい状態で維持することができるはずです。
また、もしカビが発生しても適切な対処法を知っていれば、損傷を最小限に抑え、雛人形を守ることができます。

今回の記事を参考にして、大切な雛人形を長年にわたって美しい状態で保ち、世代を超えて受け継いでいきましょう。

雛人形のカビで大惨事!?雛人形のカビ対策とカビ発生時の対処方法を解説