みかんがカビやすい部屋はどんな部屋?

「みかんにカビが生えてしまいました。冬はカビやすいと思っていたのでショックです。このまま食べても大丈夫でしょうか?また、みかんにカビが生えやすくなる部屋の環境ってあるのでしょうか?」

みかんを食べようと手に取ったら白や青緑のカビが生えている・・・多くの人が経験したことがあるのではないでしょうか。

そこで今回はカビの生えたみかんは食べてもいいのか、置いておくとみかんにカビが生えてしまう部屋とはどんな部屋なのか、についてご紹介していきます。

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1. みかんにカビが生えたら?

1-1. カビが生えたみかんは食べても大丈夫?

カビの範囲も小さいし、皮を剝いてみたら中身の見た目はきれいだし食べられそう・・・と思うかもしれません。

結論からお伝えすると、カビの程度に関わらずカビが生えてしまったミカンは食べずに廃棄した方がよい、です。

ひどくカビに侵されたみかんを食べようと思う人は少ないかもしれませんが、剝いたときに食べられそうだと判断し、実際にカビの生えたみかんをカビの部分だけ取り除いて食べたことがあるという方もいると思います。

カビの生えたみかんを食べない方がよい一番の理由は、生えているカビが毒を持っている可能性があるからです。みかんに生えるカビに毒性はないと言われていますが、どんな種類のカビが生えているか素人目には判断できないため毒性がある可能性も否定できません。

また、一つ食べてみて大丈夫でも二個、三個と食べ続けることで身体に影響がでてくることもあります。

免疫力が低いお子様や高齢者は特に食べない方がいいです。そもそもですがカビが生えたみかんは、腐敗している、水分が失われている、カビ臭がするといったこともあり食べてもおいしくありません。

もったいないかもしれませんがカビが生えてしまったみかんは廃棄しましょう。

1-2. 箱入りみかんの一部にカビが生えた場合は?

箱に入った一部のみかんにカビが生えてしまったら、念のためにカビの生えたみかんと、隣接してカビの付着したみかんも、カビ臭さなどが気になるようでしたら廃棄されることをおすすめします。

カビの生えたみかんがあるということは、箱の中全体にカビの胞子が浮遊してしまっているので、カビに汚染されているというリスクがあります。

ですが、まだまだたくさん残っていると捨ててしまうのはもったいなく感じてしまいますよね。ですので、みかんは皮を剥いて食べるものということをふまえて、カビの生えたみかんとそれにくっついていたみかんは食べずにそれ以外は臭いや状態を確認して食べられそうなら食べてもいいでしょう。

ただし、カビの生えたみかんに触れた手で他のみかんに触れないように注意してください。そしてカビが生えたみかんはゴム手袋をするなどして直接触れず速やかに廃棄し、カビに侵されていないみかんと切り離してください。

2. みかんに生えるカビはどんなカビ?

2-1. みかんに生えるカビの種類

みかんに生えるカビといえば青緑色のイメージがあるかと思います。あのカビの正体はペニシリウム・ジキタータム(ディキタータム)やペニシリウム・イタリカムと呼ばれるアオカビの一種です。

これらのカビはみかんやレモンなどの柑橘類に生えるという特徴があります。

ペニシリウム・ジキタータムは傷ついたみかんに生えやすいです。みかんが傷つくと、リモネンやアセドアルデヒド、エチレン、エタノールなどの揮発性物質を発するのですが、これらによってカビの発芽が促進されてしまいます。

そのため、傷ついた状態で売られているみかんや、押しつぶされて保管されているみかんにはカビが生えやすいと言えるでしょう。

また、これらのカビは腐敗が進むにつれカビの成長速度も早まります。初めは白っぽい粉のようなもの(白カビ)だけだったものが、腐敗が進むにつれ青緑色が濃くなり範囲も広がっていきます。

油断せずカビたみかんを放置しないようにしましょう。白カビが生えたものを見つけたらカビが深刻化する前に取り除くなどの対処をしましょう。

2-2. みかんのカビに毒はある?

さきほども少しお伝えしましたが、みかんに生えるペニシリウム・ジキタータムとペニシリウム・イタリカムには人の身体に有害なカビ毒は今のところ報告されていません。

ですが、同じペニシリウム属(アオカビ)の中にはオクラトキシンやパツリンといったカビ毒を産生する種もあります。また空気中にはこれら以外にもさまざまなカビ種類の胞子も浮遊しています。

みかんに生えているカビが何であるか分からない以上、絶対に無害であるとは言い切れないため、食中毒を防ぐという観点から見ても、勿体ない気持ちはありますが、カビの生えてしまったミカンは食べない方がよいでしょう。

3. みかんがカビやすくなる部屋はどんな部屋?

カビの生えてしまったみかんは、健康被害を防ぐためにも処分した方が良いですが、農家の方が愛情込めて育ててくれたみかんをできるだけ無駄にはしたくないですよね。

そのためには、保管方法にも注意したいところ。

では、どんな環境にみかんを置いておくとカビが生えてしまうのでしょうか。

みかんのカビに限らずカビは、水分・酸素・栄養・温度の4条件が揃うと発生します。カビはあらゆる有機物を栄養源にすることができるので食品であり栄養源そのもの、なおかつ水分たっぷりのみかんはカビにとって格好の生育材料なのです。また、温度にも気を付けなければなりません。

みかんを暖房が効いたぽかぽかの暖かい部屋で保管していませんか?カビは0~40℃の間であれば生育可能ですが、中でも25~28℃が最も生育に適した温度です。

25~28℃といえば人にとっても過ごしやすく快適な温度ですよね。冬場の暖房の設定温度もこの辺りの温度で設定している人も多いと思います。程よく暖房が効いた部屋にみかんを置いているとカビが生えやすいと言えるでしょう。

4. みかんの保管は低温・高湿度が理想だけど・・・

みかんの水分をできるだけ失わず新鮮さを保つには高い湿度(80~85%)での保管がよいとされています。しかし、湿度が高いと当然カビは生えやすくなります。

また、湿度が低すぎると水分が失われ乾燥し、シワができ味の劣化につながります。そのため、湿度に関しては極端に低いもしくは高い場所でなければあまり気にする必要はないでしょう。

そこで、みかんの鮮度を保ちながらカビも防いでいくために湿度以上に重要なってくるのが温度です。まずカビにとって最適な生育温度となる25~28℃の部屋での保管は避けます

また、みかんは高温に弱いため日当たりの良い部屋での保管もNGです。みかんは低温(5~10℃)で保管するのが良いです。さきほど、カビは0~40℃であれば生育可能とお伝えしましたが0℃に近くなるにつれ成長スピードは落ちていきます。ちなみに、みかんは氷点下になるとカビは生えませんが細胞が壊れ、味が落ちます。2℃以下だと皮が黒ずんできます。カビ対策とみかんの鮮度維持を両立させるためには、極端に高い(低い)湿度を避け、5~10℃の低温で保管するのがいいでしょう。

5. みかんのカビを防ぐ方法

カビが生えやすいみかんですが、防ぐ方法はないのでしょうか。みかんのカビを防ぐには次の方法を試してみてください。

5-1. 箱入り・袋入りみかんは購入後状態をチェック

箱入り・袋入りのみかんは購入後中のみかんの状態を確認します。傷み始めているものや傷がついているみかんがあれば別の入れ物に移します。そして、傷がついたみかんから先に消費していくようにします。

5-2. 通気性のよい入れ物やかごで保管

できれば、箱や袋のままではなく通気性の良い竹かご等に入れることをおすすめします。特にダンボールは通気性が悪く湿気を溜めこみやすいので別の入れ物に移し替えることをおすすめします。傷み始めており、優先的に食べたいみかんだけでも通気性の良い入れ物に入れ替えましょう。

5-3. 新聞紙を敷く

みかんの保存でおすすめなのが新聞紙(またはキッチンペーパー)を使った方法です。入れ物や置き場所がなくやむを得ず箱のまま保管しておく場合にやっておくと、みかんがカビにくく持ちがよくなります。方法は、

① 箱のみかんを全て出し、箱の底に新聞紙(またはキッチンペーパー)を敷く。

② 上にあったみかんが底にくるよう順にヘタを下にして入れていく。

③ 一段入れたらその上に被せるように再び新聞紙を敷く。

④ ②・③を繰り返す。

⑤ 一番上段のみかんの上にも新聞紙を被せる。(箱は開けたままの状態にする)

こうすることで新聞紙が余分な湿気を吸収してくれるのでカビが生えにくくなります。

5-4. 下の方のみかんから食べる

みかんを箱買いした場合は、底にあったみかんから食べていきます。底の方にあったみかんは押しつぶされ、輸送時の衝撃も加わり、手元に届くころにはかなり傷んでしまっているということもあります。

上下を入れ替え、下の方にあったみかんから先に食べていくことで最後まで傷んだりカビたりすることなく消費し切ることができます。

5-5. 直射日光の当たらない低温の場所で保管する

みかんは5~10℃の場所で保管するのがよい、とお伝えしましたが、夏場であれば野菜室、冬場は常温で保存します。ただし、野菜室に入れると乾燥しやすくなるので早めに消費する、もしくは新聞紙やキッチンペーパーに包んで入れましょう。家の廊下や玄関などの冷暗所もおすすめです。

5-6.湿度の高い部屋はサーキュレーターや除湿機を使う

冬になると窓際や壁に結露が生じることがあります。この結露による湿気が原因で、傍に置いていたみかんのカビの原因となることも。

室内の湿気が気になる場合には、サーキュレーターなどを使って風を当てて、結露を防ぎましょう。

また空気清浄機を使用して、部屋の空気中に待っている埃やカビの胞子を吸い込むこともカビの発生の抑制になります。

6.みかんや食品がよくカビる家は、家自体にもカビが生えている可能性

ここまで、みかんのカビの原因や、カビを防ぐための保管方法について解説して参りましたが、みかんにカビが生えやすい環境ということは...もしかしたら、室内にもカビが発生しやすい条件が揃っているかもしれません。

  • 壁の四隅
  • 衣類やクローゼット内
  • 窓の結露やパッキン部分
  • 収納庫や食品庫
  • トイレや風呂などの水回り

などを意識してチェックしてみましょう。

そして、普段から換気をしっかりと行い、ホコリや汚れを取り除きましょう。結露はこまめに拭きとり、カビが広がって自力での除去が難しい場合には、カビ取り業者に相談してみましょう。

食品のカビも健康被害のリスクがありますが、住まいのカビも健康被害の原因となります。

7. まとめ

今回はみかんのカビについてお伝えしてきましたがまとめると、

● カビの生えたみかんとそれに隣接していたみかんは食べない方がよい。

● みかんに生えるアオカビに毒性はないと言われているが、他のカビが紛れ込みそれにより健康を害する可能性もある。

● 傷んだみかんはカビが生えやすい。

● 温度25~28℃の部屋にみかんを置くとカビが生えやすくなる。暖房が効いた部屋はNG。

● みかんのカビ対策として、みかんは通気性の良い入れ物に移したり新聞紙を使うなどして湿気をためないようにする。損傷がカビにつながりやすいため傷みかけのものや箱の下にあったものから食べる。保管の際はヘタを下にする。

● みかんの鮮度を保ち、カビも防ぐには、日の当たらない低温(5~10℃)の場所で保管する。

となります。みかんはカビるもの、と諦めずに、適切な環境で保管して最後までおいしく食べられるといいですね。

<参考>

● 文部科学省 カビ対策マニュアル

● 高鳥浩介・久米田裕子 『カビのはなし ミクロな隣人のサイエンス』 

● 篠崎 毅 『かんきつ果実腐敗に対する防除対策について』 2016