
本は紙でできているため湿気の影響を受けやすく、気づかないうちにカビが発生してしまうことがあります。
特に、長期間読んでいない本や、段ボール・押入れ・本棚の奥に保管していた本は、カビやカビ臭が発生しやすくなります。
放置すると本そのものの劣化が進むだけでなく、他の本や室内環境に影響することもあります。
さらに、健康リスクにつながる可能性もあるため、早めの対処が重要です。
この記事では、本に生えたカビの正しい取り方から、天日干しの効果と限界、再発を防ぐための保管方法までをわかりやすく解説します。
大切な本をできるだけ良い状態で残すためにも、正しい対処法を確認しておきましょう。
| この記事でわかること |
| ・本にカビが生えたときの正しい初動対応 ・やってはいけないNGなカビ取り方法 ・天日干しでカビは落ちるのか、その効果と限界 ・本のカビの除去手順とエタノールを使う際の注意点 ・カビを再発させないための保管方法と対策 |
目次
1. 本にカビが生えたときの正しい初動対応

本にカビを見つけたら、大切なのは「慌てて触らないこと」です。
対応を間違えると、胞子が広がって他の本や家具にも被害が及ぶことがあります。
カビを広げないように、正しい初動対応を行いましょう。
1-1. 本にカビが生えたら最初にやること
まずは、カビを周囲に広げないための対応から始めましょう。
ビニール袋に入れて隔離する
カビが生えた本を見つけたら、まずはビニール袋に入れて隔離しましょう。
白カビや青カビは舞いやすく、少し動かしただけでも胞子が飛散することがあります。
ただし、長時間そのまま密閉すると湿気がこもることがあるため、応急処置として一時的に行いましょう。
作業は屋外または換気できる場所で行う
作業は、他の本や人から離れた場所で行いましょう。
屋外で行う場合も、建物の吸気口の近くは避けてください。
室内では、窓を開けるだけでなく、胞子を周囲に広げない対策が必要です。
適した作業場所を確保できない場合は、専門家に相談しましょう。
マスク・手袋で体を保護する
カビの胞子を吸い込むと、咳やくしゃみ、喉の違和感などの不調が出ることがあります。
作業時はマスクとゴム手袋を着用し、必要に応じてゴーグルも使って体を保護しましょう。
1-2. やってはいけないNG行動
本のカビは対処を誤ると悪化や本の傷みにつながるため、次の方法は避けましょう。
水拭きでカビを取る
紙は水分に弱いため、水拭きはおすすめできません。
本が波打つだけでなく、湿気が残ることで再発しやすくなります。

家庭用掃除機でカビを吸い取る
カビの胞子は非常に小さいため、家庭用掃除機では十分に捕集できないことがあります。
排気と一緒に再び空気中へ広がり、部屋全体に拡散するおそれがあるため、使用は避けたほうが安心です。

カビ取り剤をスプレーする
市販のカビ取り剤を本に使うと、紙が傷んだり、インクや印字が消えたりするおそれがあります。
大切な本ほど、紙を傷めにくい方法で対処しましょう。

本にカビが出たら、まずはカビリスク診断
本にカビが生えた場合、原因が本そのものではなく、部屋の湿気や結露、空気の流れにあることも少なくありません。
再発や他の持ち物への広がりを防ぐためにも、まずはカビリスク診断で住まいの環境を確認してみてください。
2. 本のカビは天日干しで落とせる?

本を乾燥させることはカビ対策に役立ちますが、天日干しだけで付着したカビを取り除くことはできません。
また、直射日光は紙や表紙を傷めることがあるため、本に合った乾燥方法を選びましょう。
2-1. 乾燥はカビの増殖を抑えるために役立つ
本に含まれる湿気を減らすことは、カビの増殖を抑えるために役立ちます。
ただし、乾燥させても、付着したカビや胞子がなくなるわけではありません。
軽度のカビであっても、乾燥と除去を分けて考えることが大切です。
2-2. 重度のカビには効果が不十分
ページの内側までカビが入り込んでいる場合は、天日干しだけでは十分な効果は期待できません。
日光が届くのは主に表面部分のため、内部に残ったカビが再発するおそれがあります。
そのまま本棚に戻すと、他の本へ広がる可能性もあるため注意が必要です。
2-3. 本は直射日光を避けて乾燥させる

本は他の本から離し、直射日光を避け、湿気がこもらない場所で乾燥させましょう。
重ねずに置き、本を開く場合も、背やページを傷めない範囲にとどめてください。
胞子を周囲に広げないよう、扇風機などの強い風を直接当てることは避けましょう。
■関連記事■日光消毒でカビは死滅する?天日干しの効果と正しいカビ対策
2-4. 日焼け・再発のリスクに注意
天日干しは湿気を飛ばせる一方で、紙の黄ばみや反り、表紙の色あせにつながることがあります。
また、胞子が残っていれば再発する可能性もあります。
乾燥だけで対処を終えず、カビの状態に合った除去や、保管環境の見直しも行いましょう。
なお、見た目だけではカビなのかシミなのか判断しにくいこともあるため、迷う場合は次の記事も参考にしてください。
■関連記事■本の茶色いシミはカビ?フォクシング?見分け方と対処の考え方
3. 本のカビの状態別の見分け方

本のカビは、状態によって適した対処法が変わります。
無理に作業を始める前に、まずは軽度か重度かを見極めることが大切です。
3-1. 軽度:表面に付着している状態
軽度のカビは、表紙や小口など本の表面にうっすら付着している状態です。
範囲が狭く、臭いもそれほど強くないことが多いため、自力で対応できる可能性があります。
ただし、見た目は軽くても内部まで進んでいることがあるため、表面だけで判断せず、ページの間や臭いの有無もあわせて確認することが大切です。
3-2. 中度:内部まで広がっている状態
中度になると、表面だけでなくページの内側にもカビが広がっていることがあります。
白い・黒い付着物が見られたり、ページをめくったときにカビ臭を感じたりする場合は、この段階に入っている可能性があります。
表面だけ処理しても十分でないことが多いため、自力で対応する場合もより慎重な作業が必要です。
3-3. 重度:広範囲に進行している状態
重度のカビは、本全体に広がっていたり、胞子が目に見えるほど発生していたりする状態です。
開いた瞬間に強いカビ臭を感じる、複数ページにわたって広がっている、触るだけで粉っぽく舞う場合は、重度と考えたほうがよいでしょう。
ここまで進行すると自力での対処はあまりおすすめできないため、大切な本や冊数が多い場合は専門業者への相談も検討したほうが安心です。
4. 本のカビ取りのやり方と注意点

ここからは、本のカビを取り除く基本的な方法を解説します。
紙は傷みやすいため、カビを除去するだけでなく、本を傷めないよう注意しながら作業を進めましょう。
また、湿っている・ふわふわしたカビは無理に拭かず、まずは隔離と乾燥を優先することが大切です。
以下は、一般的な本の表面に付着したカビへの対処例です。
貴重な本や傷みの大きい本、本文ページにカビが広がった本は、自己処理する前に書籍・紙資料の修復に対応した専門家へ相談してください。
4-1. 用意するもの
本のカビ取りには、以下のものを用意します。
- 消毒用エタノール
- ペーパータオル
- マスク
- ゴム手袋
作業中にカビの胞子を吸い込まないよう、マスクとゴム手袋を着用しましょう。

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出典:Amazon
4-2. 本のカビ取り手順

①ペーパータオルに消毒用エタノールを含ませる

ペーパータオルに消毒用エタノールを少量含ませます。
まずは目立たない部分で試し、変色や紙の変質が起こらないか確認しましょう。
②書籍のカビをやさしく拭き取る

問題がなければ、カビがある部分を一方向にやさしく拭き取ります。
こすりすぎると紙を傷めるおそれがあるため、少しずつ慎重に進めましょう。
カビが残っている場合は、ペーパータオルのきれいな面に消毒用エタノールを少量含ませ、無理にこすらず慎重に拭き取ります。
③通気のよい場所で陰干しする
最後に、本を開いた状態で風通しのよい場所に置き、しっかり乾燥させます。
湿気が残ると再発しやすくなるため、十分に乾かすことが大切です。
4-3. 表紙・カバーを処理するときの注意点
コーティングされた表紙やカバーでも、エタノールを使えるとは限りません。
表面加工や印刷への影響を確認してから使用しましょう。
比較的丈夫な素材が多いものの、表面加工によっては変色やツヤの変化が起こることがあります。
いきなり目立つ部分に使わず、必ず目立たない場所で試してから進めましょう。
4-4. 本文ページを処理するときの注意点
本文ページは、紙や印刷の種類によって、エタノールでにじみや変形が起こるおそれがあります。
少量なら使えると判断せず、本文ページにカビが広がっている場合は、書籍・紙資料の修復に対応した専門家へ相談しましょう。
4-5. 天・地・小口を処理するときの注意点
本の「天」「地」「小口」と呼ばれる断面部分は、手垢やホコリがたまりやすく、カビや黒ずみが出やすい箇所です。
まずは刷毛や柔らかいブラシで、表面の付着物をやさしく取り除きましょう。
強くこすったり削ったりすると紙を傷めるおそれがあるため、黒ずみやシミが残る場合は無理に処理せず、専門家への相談を検討してください。
■関連記事■漫画にカビが!間違った掃除で取り返しがつかなくなる前に知っておくべきカビ取り&予防策
5. カビ臭が残るときの対処
見た目のカビを取り除いても、臭いだけが残ることがあります。
これは、紙の内部に臭い成分が残っていたり、湿気が抜け切っていなかったりするためです。
そのような場合は、仕上げとして消臭対策を行いましょう。
5-1. 重曹で消臭する
カビへの対処と乾燥を終えた本に臭いが残る場合は、重曹を使った消臭方法が補助的に役立つことがあります。
本に重曹が直接触れないようにして、密閉容器や袋の中に一緒に入れ、数時間から数日ほど放置しておきます。
軽い臭いであれば改善することがあります。
密閉中も定期的に状態を確認し、湿気や新たなカビが見られた場合は、消臭作業を中止して状態を見直しましょう。

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出典:Amazon
5-2. 陰干しで湿気を飛ばす
臭いの原因が湿気にある場合は、陰干しも有効です。
除去作業のあとに湿気が残ると臭いがこもりやすいため、風通しの良い日陰でしっかり乾燥させましょう。
本のカビ臭について詳しく知りたい場合は、次の記事も参考にしてください。
■関連記事■本がカビ臭いときの対処法|原因・脱臭方法・再発防止まで【雑誌にも対応】
6. 再発防止と保管方法
本のカビは、除去しても湿気やホコリが多い環境では再発しやすくなります。
大切な本を長く良い状態で保つために、日常的な保管のポイントを押さえておきましょう。

6-1. 湿度を60%以下に保つ
カビは湿度が高い環境を好み、一般的に湿度60%を超えると発生しやすくなります。
本を保管する部屋では、除湿機やエアコンの除湿機能を活用し、湿度を上げすぎないようにしましょう。
湿度計を置いて数値を確認する習慣をつけておくと管理しやすくなります。

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出典:Amazon
6-2. 本棚に詰め込みすぎない

本をぎっしり詰め込むと、本と本の間に空気が通りにくくなり、湿気がこもりやすくなります。
本棚には少し余裕を持たせて収納し、空気が流れるすき間を確保することが大切です。
長期間動かしていない本は、時々位置をずらしたり取り出して風を通したりすると安心です。
6-3. 本棚と壁の間に隙間をつくる
本棚を壁にぴったりつけて置くと、裏側に空気がこもりやすくなります。
そのままにすると壁際に湿気がたまり、本棚の裏側や壁面にカビが発生することがあります。
湿気をため込まないためにも、本棚と壁の間には少し隙間をつくっておきましょう。
■関連記事■本棚に白カビ発生!?本棚のカビ取りと予防法を徹底解説|本に移ったときの対処も紹介
6-4. 密閉空間に入れっぱなしにしない
本を段ボール箱や通気性の悪いケースに長期間入れたままにすると、湿気がこもりやすくなります。
特に押入れやクローゼット、倉庫などは空気が動きにくく、カビが再発しやすい環境です。
長期保管する場合は、定期的に箱を開けて風を通し、必要に応じて除湿剤も併用しましょう。

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出典: Amazon
6-5. ホコリや手垢を防ぐ

ホコリや皮脂、手垢はカビの栄養源になることがあります。
本棚や本の表面は定期的にやさしく掃除し、ホコリをためないようにしましょう。
また、本を触る前に手を洗うことも、きれいな状態を保つための基本的な対策です。
7. 捨てるべき本・業者に依頼すべきケース

本に生えたカビは、状態によっては自力での対処が適さない場合があります。
ここでは、処分を検討したほうがよいケースと、専門業者への依頼を考えたほうがよいケースを整理します。
7-1. 捨てた方がよいケース
本全体にカビが広がっている場合や、ページを開くたびに強いカビ臭がする場合は、無理に残さないほうがよいことがあります。
また、胞子が大量に発生している状態では、少し動かすだけでも周囲に広がるおそれがあります。
特に、家族にアレルギー体質の方や小さなお子さま、高齢の方がいる場合は、安全面を優先して処分を検討しましょう。
7-2. 業者に依頼すべきケース

少ない冊数でも、本の状態によっては専門的な処理が必要です。
大量の本をまとめて処理する場合も、専門家への相談を検討しましょう。
このようなケースでは、ハーツクリーンによるガス滅菌も選択肢の一つです。
医療機器の滅菌処理にも使われるエチレンオキサイドガスを用いるため、水を使わずに書籍を処理できるのが特長です。
ハーツクリーンでは、書籍のほか衣類や小物のガス滅菌にも対応しています。
段ボールにまとめて入れて送るだけなので、大量の書籍や小物のカビに困っている場合にも利用しやすいです。
また、図書館や倉庫などで大量の書籍や小物のカビ対策をご検討の方は、以下のリンクからお問い合わせください。

8. 本のカビに関するよくある質問

本のカビは、臭いや再発、処分の判断など迷いやすい点が多くあります。
ここでは、特によくある質問をQ&A形式でまとめました。
8-1. 本のカビは天日干しだけで取れますか?
天日干しだけでは、本に付着したカビを取り除けません。
乾燥とカビの除去は分けて考えましょう。
紙や表紙を傷めないよう、直射日光を避けて乾燥させ、状態に合った対処を行ってください。
8-2. 本に生えたカビは健康に影響しますか?
カビの胞子を吸い込むことで、咳やくしゃみ、喉の違和感などの不調が出ることがあります。
特に、アレルギー体質の方や小さなお子さまがいる場合は、早めの対処が大切です。
8-3. カビ臭だけが残っている本も処分したほうがいいですか?
軽い臭いであれば、重曹や陰干しで改善する場合があります。
ただし、強い臭いが続く場合は内部にカビが残っている可能性があるため、処分や業者への相談も検討しましょう。
8-4. どんな本でも自分でカビ取りできますか?
軽度のカビであれば自力で対応できることもあります。
ただし、広範囲に広がっている場合や大切な本は、無理をせず専門業者に相談したほうが安心です。
9. まとめ
本にカビが生えた場合は、まず慌てて触らず、ビニール袋に入れて隔離し、胞子を広げないことが大切です。
本は直射日光を避けて乾燥させ、素材やカビの状態に合った方法で対処することが大切です。
本のカビ取りは、次の流れで進めるのが基本です。

カビが広範囲に広がっている場合は、自力での対応が難しいことがあります。
大切な本で不安がある場合は、無理をせず専門業者への相談も検討してください。
また、再発を防ぐには、次のような保管のポイントを押さえておきましょう。

正しい方法で対処し、適切な保管環境を整えることが大切です。
カビを防ぐ習慣を取り入れて、大切な本を長く良い状態で保ちましょう。

