本(書籍)に生えたカビを除去し、再発を防ぐ方法
「何だかこの本(書籍)、カビ臭くない?!」
電子書籍で読める本が増えた昨今ですが、お気に入りの本は手元に置きたいもの。しかし、紙は湿気や手汗、手垢等の汚れに弱いため、気づけば書籍がカビ臭くなり、カビ汚れが付着しているということも起こりがちです。
そのまま放置するとカビの菌を吸って健康を害したり、カビの胞子が他の本に伝染する恐れもあります。書籍のカビを拡散させずに除去する方法、再発予防の方法を知って、大切な書籍をカビから守りましょう。
ショック!大事な本(書籍)にカビを見つけたら?
本にカビが生えてしまうと、慌てて逆効果になるカビ取り方法をするかも知れません。そこで、まず本(書籍)に向かないNGカビ取り方法を解説していきたいと思います。
NG行動①書籍のカビをふき取る
誰でもまず思い浮かぶ書籍のカビ対策は「ふき取る」ではないでしょうか。
しかし、この方法はから拭きでも水拭きでも、逆効果になる恐れがあります。カビの特性を知らずにから拭きすれば、かえってカビの範囲を広げてしまったり、本を傷つけてしまうこともあります。水拭きすれば紙が傷むだけでなく、カビが大好きな水分を与えることとなり、繁殖を加速させてしまいます。
NG行動②掃除機でカビを吸い取る
また「掃除機で吸い取る」方法は、吸引の際に紙を傷める恐れがあるだけでなく、本に残ったカビや、吸い込んだはずのカビを排気口から部屋に拡散させてしまいます。
本棚や本に付着したホコリを取り除くのには掃除機が効果的ですが、カビをまき散らしては逆効果なので注意しましょう。
NG行動③市販のカビ取り剤を本にスプレーする
「市販のカビ取り剤をスプレーする」ことを思いつく方もいらっしゃるでしょうが、こちらも紙を傷めるだけでなく、漂白作用で印字まで消えてしまいかねません。大切なのは紙を傷めない方法で、カビをしっかり死滅させることなのです。
書籍に生えたカビを除去するには「紙の性質」と「カビの性質」両方を理解しておく必要があります。
漂白してしまうような「市販のカビ取り剤」やカビの栄養源となる「水拭き」では書籍自体が痛んでしまう原因に
では、書籍にカビが生えてしまった場合にはどのような対策をすれば良いのでしょうか。以下にまとめてみました。
慌てずに、書籍のカビ取りの準備をしよう
書籍のカビを見つけたら慌てずにビニール袋等に入れ、別室に移動させます。これは、室内や他の本にカビを飛び火させないために必要なことです。その後、できればお天気の良い日に屋外で、難しいようでしたら風通しの良い部屋で窓を開けてカビ取りの作業を行いましょう。その際、直接カビに触れたり吸い込んだりしないようゴム手袋とマスクをつけ、気になる場合はめがねやゴーグルも装着しましょう。
エタノールとやすりで!大事な書籍のカビ取り方法
書籍のカビ取りはエタノールで
水分と漂白剤がだめなら、頼りになるカビ取りアイテムはエタノールです。薬局で購入できるエタノールには「無水エタノール」と「消毒用エタノール」があります。無水は字のごとく、水分が含まれない100%エタノールです。
消毒用は水で70~80%に希釈されています。一般的には消毒用のほうが適度な揮発と浸透力で、殺菌効果も見込めます。ただ今回は紙に使用するので、水分の多いものを吹きかけすぎるとカビは退治できても紙がふにゃふにゃになってしまう恐れがあります。表紙やカバーなどコーティングされた紙には消毒用、中身には揮発性の高い無水と、使い分けるとよいでしょう。
①乾いた布かペーパータオルにエタノールを含ませる
コーティングされた紙は消毒用エタノールで、それ以外は無水エタノールがよいでしょう。
②目立たないところを拭き、変色や退色、紙の変質が起こらないか確認する
必ず確認してから、本拭きに入りましょう。
③本のカビを拭く
ゴシゴシこするのは厳禁です。やさしく、カビを広げないよう一方向に拭きます。
④ふき上げた部分を刷毛のようなもので払い落とす
この時に、カビを吸い込んだり室内に残さないように注意しましょう。
天、地、小口はやすりを使って
「天」、「地」、「小口」などの、束ねた紙の裁断面がむき出しの部分は、表紙やカバーのようにコーティングされていないものがほとんどです。そのためページをめくるときに手垢や手汗で黒ずみ、カビが発生しやすくなります。この部分は紙やすりや、100円ショップでも購入できる握り手がついた小さなやすりを使って削りましょう。紙やすりは粗さに段階がありますが、目が細かいものを使用してください。
小さな木片に巻き付けると作業がしやすく、本の断面を均等に削ることができます。仕上がりが気になる場合は、古い文庫本など失敗しても気にならないもので試してみてから行いましょう。細かい削りかすはモップのようなものでしっかり取り除き、仕上げに無水エタノールを吹きかけて除菌すれば完了です。
書籍のカビ取り便利アイテム番外編
カビ取りをしてもカビ汚れが残るときには、消しゴムが便利です。とくにざらっとしたタイプの紙の汚れは、消しゴムで落とせます。また、固着したカビを取るときには、練り消しゴムをそっと押し付け、吸着させるとかなりとれます。どちらの場合も、力を入れすぎると紙を傷つけますので、そっと行いましょう。
書籍のカビ取り、仕上げと再発予防法
書籍のカビの臭い除去は重曹で
しっかりカビを除去したはずなのに、どことなくカビ臭さが残る場合は、仕上げに重曹で消臭しましょう。ビニール袋に書籍と粉末の重曹を入れ、しばらく放置します。臭いがひどい時は、数日間そのまま放置すると良いです。
書籍のカビの再発予防に必要なこと
水分や湿気に弱い書籍をカビから守るためには、まず室内の換気をよくすることが大切です。室内の通気性が良くない場合は、本棚に本を詰めすぎないようにし、時々扇風機やサーキュレーターを回して適度に風を通しましょう。また、埃や手汗、手垢は紙を痛めるだけではなく、大好きな水分やえさをカビに与えることにつながります。本を読む前には必ず手を清潔にするよう心掛けましょう。
まとめ
書籍のカビを取る為には、まずカビの生えた書籍をビニール袋に入れて日光消毒をする。それでもカビが除菌できない場合は
①消毒用エタノールを吹きかける
②15分~30分ほど放置させる
③ふき取る
といったステップを優しく行う事で、書籍を傷めずに行いましょう。また、消毒用エタノールだけでカビの除去が出来ない場合には、やすりを使って表面を削り取るという方法も有効です。
また、書籍のカビを取る際には
- 掃除機をかけてカビを吸い取る
- 水拭きをする
- 塩素系の漂白剤でカビ取りする
ことはカビをまき散らしたり増殖させたり、書籍を傷めたりする原因になるので避けましょう。
以上のことを注意しながら、書籍に生えたカビを取り除いてください。
書籍は年月が経てばどうしても劣化してしまいます。日焼けや破れは仕方ありませんが、カビを放置すると室内環境の悪化や体の不調につながります。
これまでご説明した方法は、数冊でしたら出来ますが、まとめて作業をするのにはかなりの労働だと思います。その場合はEOGガス滅菌でも対応が出来ますので、冊数が多い場合は検討することをお勧めします。
カビで捨てるしかなくなった書籍は「ガス滅菌」で対策!
ガス滅菌は、日本で唯一の家具・衣類・小物類専用のガス滅菌庫を用いることで、通常では除去しきれないカビを完全に除去します。書籍意外にも、衣類、小物などのカビ取りにもおススメです。
一番はカビの発生を防ぐことです。少しの手間でカビから本を守り、快適な読書ライフを楽しみましょう。