カビを防ぐ室外機のお掃除方法
エアコンがカビ臭いので、フィルター掃除などできることはやってみたのですが、室外機の汚れも原因と聞きました。室外機はどのようにお手入れすればよいのでしょうか。
室外機のお手入れ、やった方がいいのかなと思ってもどこからどう手を付けていいやら分からないですよね。自分で触っていいものかも分からないという方も多いと思います。そこで今回は自分でできるエアコンの室外機のお手入れ方法とエアコンのカビ臭の原因についてご紹介していきます。
目次
1. 室外機のお掃除方法
1-1. 室外機の掃除は自分でできる?
そもそも室外機の掃除は自分でできるものなのでしょうか。結論からお伝えすると、室外機は外側に限り自力での掃除が可能であり、内部は業者に任せた方がよい、となります。
室外機の天板や内部のファン、熱交換器(フィン)は取り外しが大変ですしそれを元に戻すのも慣れた人でなければ難しく、怪我につながることもあります。加えて、外からは見えませんが内部には細かく複雑な電気系統があり配線や電気盤などが入り組んでいます。怪我や室外機の故障につながることもありますので、前提として分解を伴うお手入れはやめましょう。
1-2. 室外機のお手入れ方法
残念ながら自分で室外機内部のお手入れをすることは難しいですが、外側の汚れを落とすことでエアコンの効率をよくしたり内部にカビを生えにくくすることができます。
~室外機の掃除に必要なもの~
- ゴム手袋
- マスク
- 雑巾
- ブラシ(歯ブラシでもOK)
- ホウキ
- 割りばし(必要に応じて)
- 消毒用エタノール(必要に応じて)
ドーバー パストリーゼ77
出典:Amazon
~手順~
① マスク、ゴム手袋をつけて身体を保護します。
② ホウキで室外機周辺のゴミや落ち葉、砂などを掃除します。
③ ブラシや歯ブラシを使って、熱交換器に付着したホコリを落とします。
④ 水で濡らした雑巾で室外機表面の汚れを拭き取ります。
⑤ 排水ホース(室外機の下部)に詰まった泥や落ち葉などを割りばしで取り除きます。
⑥ 排水ホースにカビが生えている場合は、消毒用エタノールをカビ部分に吹きかけてその後拭き取ります。
1-3. 室外機のお手入れでやってはいけないこと
室外機の内部にカビが生えているのを見つけると、カビキラーなどの市販のカビ取り剤を使ってみようと考えたり、ホースを使ってその水圧で落としてみようと試みたりする方もいるかもしれません。
分解できないからと室外機の隙間から内部にカビ取り剤や水をかけてみようとするかもしれませんが、それらはNGです。室外機は雪や雨、台風にも耐えられるつくりになっていますが、あくまでも上方からくることを想定しています。
下方から大量の水がかかることは想定されていません。やみくもにカビ取り剤や水を噴射することで内部の電気系統が故障するおそれもあります。エアコン専用の洗浄スプレーも販売されていますが、きちんと洗い流せない状態での使用は、やめましょう。
内部に残った洗浄成分が機械を錆びさせることもありますし、洗浄成分そのものもカビの栄養源になってしまいます。
2. 室外機の掃除をしてもエアコンのカビ臭が消えないのはなぜ?
室内機のフィルターの掃除もしたし、室外機のお手入れもしたのにカビ臭が消えない・・・なぜなのでしょうか。実は、室外機のカビは室内機のカビとは無関係なのです。
室内機のフィルターを掃除してもカビ臭がよくならない場合は、
- 室内機内部の送風ファン
- 室内機のルーバー(吹き出し口)
- 室内機内部の熱交換器(アルミフィン)
- ドレンパン・ドレンホース
のいずれかにカビが生えている可能性があります。これらは室内機の奥にあり素人には取り外しも難しいです。送風ファンやルーバーを無理に外そうとすると樹脂部分が折れてしまうこともあります。
また、取り外した後正しく元に戻すことができないとファンやルーバーがスムーズに動かない、異音を発するなど故障の原因になってしまいます。熱交換器については、フィルターの裏側にあるためフィルターを外せば掃除も可能な場所で、掃除機やハタキである程度のホコリや汚れは落とすことができます。
しかし、カビが生えているとカビの胞子が部屋中に舞ってしまいますし、アルミフィンを直接手で触ると怪我の恐れがあります。安易にカビ取り剤を使うことで機械が壊れてしまうこともあります。
室内機・室外機ともにお手入れ方法は取扱説明書に則り、上記の場所にカビが生えている場合は、購入元のメーカーに問い合わせる・エアコンのカビ取り業者に依頼するなどプロに相談しましょう。
3. 室外機のカビが室内に入ってくることはある?
ご質問内容にもあるように、室内機のフィルター掃除をしてもカビ臭が改善されないと室外機にも問題があるのでは、と思われるかもしれません。ですが先ほどもお伝えした通り、室外機のカビが室内機を通して部屋に放たれるということはありません。
室外機には、室内機から冷媒により送られてきた熱を屋外に排出し冷媒のみ再び室内機に戻すという役割がありますが、室外機が屋外から空気を吸入し、室内機に送るということはありません。
そのため室外機のカビが室内機や室内のカビに影響を及ぼすことはありません。室外機と室内機を繋ぐ配管には液体ではなく冷媒ガスが流れているだけの銅管ですので、ここにカビが生えることもないと考えていいでしょう。つまり、エアコンから出るカビ臭は室内機の内部で起こっているのです。
4. カビが生えやすい場所は?
先ほど、室内機のフィルターを掃除してもカビ臭が消えない場合は、室内機の熱交換器、ルーバー、送風ファン、ドレンパン、ドレンホースにカビが生えている可能性があるとお伝えしました。
その中でも特にカビ発生のリスクが高いのが、
- 送風ファン
- ルーバー
- ドレンパン
です。フィルターには室内から吸収したホコリが大量に付着しており、エアコンフィルターに付着したホコリからは室内の8倍近いカビが繁殖していたという研究もあります。
ですがこのフィルターと同じくらいもしくはそれ以上にカビに侵されやすいのがファンとルーバー、ドレンパンなのです。ドレンパンは熱交換器の下部にあり、熱交換器で発生する熱と冷気によって生じる結露水の受け皿の役割をしています。
結露水はドレンパンからドレンホースを通じて屋外に排水される仕組みになっていますが、直接的に結露水を受けるドレンパンにはカビが発生しやすくなります。ドレンパンで発生したカビは室内に送り出す風に乗ってファンやルーバーにも広がります。当然ながら室内にもカビの胞子が広がります。
5. 室外機にカビが生えるとどうなる?
エアコンのカビ臭の原因の多くは室内機で発生しているということがお分かりいただけたかと思います。では、室外機のカビは気にしなくてもいいのでしょうか。
室外機にカビが生えても室内機を通して室内にカビをまき散らす、ということはありません。しかし室外機にホコリや汚れが詰まり、それによりカビが生えてしまうことで排熱効率が下がってしまいます。
排熱効率が下がることでコストパフォーマンスが下がる、つまり余計な電気代もかかってしまうことになります。また、室外機のカビを放置していたことによって室外機に面した家の外壁にまでカビが広がってしまうこともあります。室外機のカビによって私たちの健康面に直接影響を与えることはありませんが、全く気にかけずにいると電気代や室外機の周りにまでカビの被害が及んでしまいます。
6. 室外機のメンテナンスはどうしたらいいの?
室外機は汚れや雨風にさらされるため内部にカビが生えやすいです。自力での取り外しが難しいことから室外機の内部にカビが発生してしまった場合は業者に依頼して除去することになります。
自分で簡単に取れるカビならいいのですが、室外機のカビはそういうわけにいきません。そのためできるだけカビの生えない環境を作ることが大切になってきます。室外機のカビを防ぐ工夫として、
① 室外機の周りに物を置かない
② 室外機カバーを使う
③ 室外機外側の汚れをとる(年1~2回)
といったことをおこなってみてください。室外機の周りに物を置かない、ということは実践されている方も多いかと思います。周囲に物がないと電気代の節約になるだけでなく、ホコリや汚れが外に出やすくなります。雨天後、内部が早く乾くので湿気もたまりにくくなります。
室外機カバーを使うのも一つの方法です。雨風による汚れを防ぐことができるのでカビの発生も抑えられます。特に雪が降るエリアにお住まいの方は雪による目詰まりを防ぐこともできます。
ただし、室外機カバーをしたままエアコンを稼働させると動作効率が落ちるため稼働中はカバーを外した方がいいでしょう。
また、室内機ほど頻繁でなくて構いませんので年に1~2回程度は室外機周辺の掃除をしましょう。本体のホコリや汚れの拭き取り、クモの巣の除去、排水ホースの詰まりを取るなどです。冷暖房を使用する前の5~6月と9~10月頃がおすすめです。
7. まとめ
今回はエアコンの室外機のお手入れ方法や室内機から出るカビ臭の原因についてお伝えしてきましたがまとめると、
● 室外機は外側に限り自力でのお手入れが可能だが、室外機内部のカビや汚れは業者に相談する
● 故障の原因になるため室外機の内部に直接水やカビ取り剤をかけない
● 室外機で発生したカビが室内機を通って室内に届くことはない
● エアフィルター以外のカビの発生源としては、ドレンパンやドレンホース、熱交換器、送風ファンやルーバーが考えられる
● 室外機のカビを放置すると外壁にまで広がることがある。エアコンの動作効率も下がり余計な電気代がかかる
● 室外機の周りに物を置かない、室外機カバーを使う、年1~2回程度は室外機周辺のメンテナンスをする、などによってできるだけカビの生えない環境を作る
となります。こまめなお手入れで室内機のカビを防ぎ、室外機はカビの生えにくい環境を整える。両方を良い状態に保つことで気持ちよくかつ経済的にエアコンを使っていきましょう。
<参考>
浜田信夫 『カビの取扱説明書』 2020 角川書店