梅雨時期のカビを防ぐ換気方法のコツ

梅雨の時期は雨が長く、普段窓を開けて自然の風を取り入れて換気をしているご家庭では、窓を開けられずに換気方法に困ってしまうということもありますよね。

また、梅雨の時期は洗濯物を外に干せずに部屋干しをすることも多くなり、家の湿度が上がりやすく、その影響でカビも発生しやすくなります。

今回は、そんな梅雨の時期の換気方法やカビ予防方法などをご紹介していきます。

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1.梅雨の時期のカビを防ぐ換気方法

家の中でカビが発生しやすい場所は浴室やキッチンなどの水周りや日当たりの悪い部屋や物が多く置かれている部屋、植物や水槽が置かれている部屋などさまざまです。

室内の湿度の上昇は、木材腐朽菌やカビが発生する原因となり、これが長期間続くと建物としての寿命を短くする原因にもなってしまいます。

梅雨の時期に一番簡単な換気方法は、換気扇を回すことです。

家の中で発生する水蒸気を換気扇ですばやく外に排除することで室内の湿度を下げることができます。

晴れている湿度の低い日であれば、窓を開けて換気すれば良いのですが、梅雨の時期で窓が開けられないときには換気扇を回しましょう。

2.窓を開けれないときにもできる換気や除湿方法

特に、北側の部屋は温度が低いことが多く、部屋の角部には湿気が滞留しやすいです。

室内に湿度計を設置し、湿度を45%~60%程度に保つようにしましょう。

また、換気だけでカビを防ぐのは難しいため、換気と併せて除湿と掃除で清潔にすることも心がけると良いでしょう。

・エアコン

夏季のエアコンの除湿もしくは冷房の使用は室内の湿度を下げ、カビが発生しにくい環境になります。

また、梅雨や夏期にカビを防ぐためには建材等の含水率を低下させる必要もあります。

目安として、8畳程度の広さの部屋で湿度80%の状態であれば、1時間程度の除湿もしくは冷房の使用でカビが発生しにくいとされる湿度60%程度になります。

しかし、床材や畳や絨毯などに含まれている湿気は数日程度除湿しないと湿度が下がらないこともあります。

エアコンを使用する際に気を付けたいのが、エアコンの内部やフィルターの汚れやカビです。

エアコンの内部やフィルターにカビが生えているとカビをまき散らすことになりますので、こまめに掃除するようにしましょう。

エアコンのカビを予防するには、除湿もしくは冷房を使用したあとに送風運転を2時間程度することです。

送風運転によってエアコンの内部を乾燥させることができます。

・除湿機

手軽に湿度を下げるには除湿機を使用するのがおすすめです。

日本は冬の晴天が続いた日以外は基本的に湿度が高いです。

特に雨が続く梅雨の時期は長く、ジメジメしますよね。

外に洗濯物が干せないため、室内干しをして家の湿度が上昇します。

湿度が高いとカビが発生しやすくなる以外にも人に不快感を与えます。

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・除湿剤

押し入れやクローゼット、下駄箱などの収納はすのこを設置したり、除湿剤を利用すると湿度を下げることができます。

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・扇風機やサーキュレーター

室内に洗濯物を干すときには除湿機と扇風機やサーキュレーターを併用すると早く乾かすことができます。

室内でカビが発生しやすい場所があれば、そこを重点的に扇風機やサーキュレーターを使用して空気を循環させるように心がけると湿気が滞留しにくくなります。

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3.換気の目的

換気には、わたしたち人間の活動で発生する一酸化炭素、二酸化炭素、粉塵、臭いなどの汚染物質や水蒸気(湿気)を室外に排出し、新鮮な外気を取り入れ、室内を常にきれいな空気に保つ役割があります。

家を建てる際や、賃貸を検討するときには間取りや窓、ドアの配置は風の通りや空気の溜まりを考えると良いでしょう。

現在の住宅は断熱性能も気密性も高まり、24時間換気なども備わっているので、以前の古い住宅ほど風通しを意識する必要はありませんが、自然の風を利用して換気したい方には重要です。

窓が1カ所のお部屋の場合には、ドアから窓の部分だけが空気の流れ道となり、それ以外に空気の滞留が起こります。

窓または換気扇を追加できると空気の流れ道が増えるので空気が滞留しにくくなります。

しかし、窓や換気扇の追加となると、手軽にすることは難しいですよね。

そこで、空気を滞留させないために、扇風機やサーキュレーターを使用して室内の空気を強制的に循環させましょう。

タンスや棚などを壁にぴったりくっつけて置いていると、壁との間に空気が通るすき間がなくなり、カビが発生しやすくなります。

タンスや棚は壁から少し離して設置するようにしましょう。

4.カビが発生するメカニズム

カビの胞子は常に空気中をただよっています。

カビは空気中1㎥あたり80個程度のカビの菌がただよっているという研究データがあります。

そして、特定の環境がそろったときにわたしたちの目に見える状態のカビという形で増殖していきます。カビは

①温度→15℃~30℃で発育。20℃を超えると激しい繁殖が見られ、28℃が最も繁殖が盛んになります。

②高い湿度→60%以上で80%を超えると繁殖が激しくなります。

③栄養→有機物すべてが栄養分となります。木材、紙などの建材やゴミやホコリなどもカビの栄養源となります。

日本では一年を通して室内の温度はカビが発育できる温度に保たれていることが多く、温度でカビを防ぐのは難しいです。

また、洗濯物を室内干しにしたり、調理をしたりすると蒸気が上がり部屋の湿度が高くなります。

ここにホコリや汚れなどが加わるとカビの栄養源となり、繁殖が始まります。

そのため、湿度の調節とカビの栄養源となるホコリや汚れなどを掃除によって取り除くことでカビを防ぐことが大切です。

5.効果的な換気

カビを防ぐためでも、むやみに換気量を増やせば良いというわけではありません。

大切なことは、空気中に浮遊しているカビなどを室内全体に拡散させることなく、屋外に排出することなのです。

そこで梅雨の時期に活躍してくれるのが空気清浄機です。

空気清浄機は、室内の空気を取り込んでホコリや汚れた空気をフィルターで浄化してから排出しています。

各メーカーによってさまざまなものが販売されており、消臭機能がついたものもあります。

さらに最近では空気清浄機1台で除菌、除湿までできるという便利なものも販売されています。

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6.室内の湿度が高くなる原因

室内の湿度が高くなり、一定期間、排出されないでいるとカビが発生します。

カビだけでなく、湿度が高いと木材を腐らせ、鉄骨にサビが発生し、建物を急速に劣化させてしまいます。

室内の湿度が高くなる原因は、洗濯物の室内干しや調理をしたり、植物や水槽を置いていると湿度が高くなりやすいです。

7.換気と併せて掃除も心がけましょう。

カビを抑制するためにはこまめな掃除が大切です。

研究機関が室内の空気中に浮遊しているカビの数を調査した結果によると、毎日掃除をする家では、空気1立方メートルあたりのカビ数は20~30個以下でした。

この数は、消毒されている病院の室内に近いレベルで、非常に衛生的な状態といえます。

反対にあまり掃除をしない家では、カビ数は500個以上となるため、カビを抑制するためには掃除が有効であることがわかります。

室内のカビの数は少なければ少ないほど良いので、日ごろから掃除をしてカビを増やさないように心がけましょう。

換気のために窓を開けると、外からホコリが入ってきます。

だからといって窓を閉め切っていてもホコリは発生します。

ホコリの発生源は、衣服、絨毯、布団、カーテン、ソファーなどの布製品から出る繊維や糸くずが綿ボコリとなるからです。

また、ホコリ以外にもわたしたち人間の体から剥がれ落ちるアカやフケがカビの栄養源となります。

これは毎日お風呂に入っていても人間は動いたときに衣服と肌がこすれてアカとなって剥がれ落ち、大人一人で一日約1グラムものアカやフケを落としているというデータがあるそうです。

8.カビが頻繁に発生する場合には専門業者に相談を!

換気や湿度に気を付け、普段の掃除もこまめにしていてもカビが発生してしまったら早めにカビ取り専門業者に相談しましょう。

カビは一度目に見える状態まで繁殖すると、掃除で取り除けたように見えても時間が経過すると再発をくり返すことがあります。

さらに、家のカビがひどくなると、家具や大切にしている物を処分しないといけなくなってしまうことや健康被害が出ることもあります。

カビ取り専門の業者は、豊富な知識や経験で家のカビの原因の特定や薬剤を使用してカビを除去します。

カビのよる被害で困っているという方は一度相談してみることをおすすめします。

カビ取りのプロに相談

9.まとめ

・梅雨の時期でもできる換気方法は換気扇を回すことです。

・エアコン、除湿機、除湿剤、扇風機、サーキュレーターを活用しましょう。

・換気の目的は空気を排出し、きれいな空気に入れ換えることです。

・換気と併せて除湿と掃除で清潔にすることが大切です。

・カビが頻発する場合には専門業者に相談をしましょう。

<参考文献>

・小峯裕己『室内微生物汚染ダニ・カビ完全対策』2007年、井上書院

・李憲俊『おもしろサイエンスカビの科学』2013年、日刊工業新聞社

・「木の家リフォーム」プロジェクト『木の家リフォームを勉強する本』2011年、農山漁村文化協会

・小林伸吾『木の家をつくりたい』2010年、日本建築出版社

・松本忠男『カビ・ホコリ・菌を撃退!家の「正しい」掃除ワザ』2019年、宝島社

・岩倉春長『呼吸する家』2010年、エル書房

・堀清孝『図解入門よくわかる最新断熱・気密の基本と仕組み』2015年、秀和システム

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