カビの生えにくい中古物件を探す際に注意したいこと

質問
郊外で、都心へのアクセスも良く、のびのびと子育てもできそうな場所で中古マンションを検討しています。
喘息持ちの子供がいるため、アクセスや住みやすさと同じくらい「カビの生えにくい家」も高い優先順位です。
物件選びをする際に、カビの生えやすい家を避ける方法やコツを教えてください。

中古物件探しを始める前に、何を使って調べますか?

昔は町の不動産屋さんのお店の前にチラシがたくさん貼ってありそれを見たりしていた方もおられるかと思います。

最近ではWEBサイトから探す方法が当たり前になりましたよね。

自分の好きな条件を選択して、絞り込みをしていくのです。

条件としては、物件価格、立地、駅徒歩、広さなんかを見ていきます。

絞り込んでいくと、意外と数が残らなかったなんて方も多いのではないでしょうか?

また、良いな~と思う物件が見つかっても、実際に見てみるとイメージと違うなんてこともざらにあります。情報の見方を知っていれば、事前に候補から外せたな~と思うはずです。

そして「カビの生えにくい物件」になると販売サイトにはそのような情報載っていません。

購入する前からカビを意識して条件整理をする方はなかなかいないかなと思います。

ですので物件探しをする際に「大前提としてこういう物件には注意しよう」という項目と、「カビが生えにくい物件の条件」について解説していこうと思います。実際にもう探している方も、これから探す方も是非読んでくださいね。

1.図面上やサイト上で分かる、注意すべき項目

まず、現地に行かなくても候補から外せる内容についてご紹介します。

1-1.ハザードマップ

不動産取引において、2020年8月より水害リスク情報の重要事項説明を義務化することが決まりました。例えば、「浸水時はここのエリアは高さ〇mまでが浸水します」ということを不動産屋さんがお客様に説明しなくてはいけません。

2019年10月の過去最大規模と言われた台風19号以降、不動産をこれから探そうというお客様の中で「ハザードエリアを避ける」という意識がかなり高まったようにも思います。

事前にハザードマップで、気になる物件が該当しているかを調べられれば、先に候補から外すことができます。例えば都内東側の河川が多いエリアはほとんどがハザードマップ上は浸水のエリアになっていたりします。事前に知識があると意思決定も早くできます。

1-2 マンションの場合は管理形態・管理状況

まず、マンションには管理会社というものが入っています。管理会社の役割は、マンションの区分所有者をまとめて、マンションの修繕計画や管理人の派遣や掃除、財務などを行ってくれる管理にプロです。マンションには管理費と修繕積立金というものがあり、毎月管理会社へ支払う必要があります。管理費は管理会社へ、修繕積立金は貯蓄され、マンションの修繕工事の費用に充てます。

ここで注意しないといけないのは、「自主管理」という管理形態のマンションです。

簡単にいうと、自主管理は管理会社が入っていません。しかし管理をしないというわけではなく、マンションの区分所有者の中で、修繕計画、財務、清掃などを分担して行う方式をとっているのです。

自主管理がダメというわけではありませんが、管理のことはプロへ任せた方が良いという方も多く、安心感があることでしょう。

管理費や修繕積立金

管理会社が入っている場合でも、注意すべき点はあります。それは、マンションの総戸数と管理費・修繕積立金のバランスです。一般的に、マンションのお部屋の広さや築年数によって、管理費・修繕積立金の総額には相場感があります。しかし総戸数の少ないマンションは修繕積立金が貯蓄しずらい為、相場よりも割高になる可能性が高いです。この総戸数や管理費・修繕積立金も事前に確認できる情報です。

  • 図面上やサイト上で分かる、カビが生えにくい条件
  • 戸建てであれば家の密集はさける。マンションであれば1~2階は避ける

カビの発生要因は、「温度・湿度・栄養・酸素」です。

イメージしやすい内容かと思いますが、風通しが悪いと湿気がたまりやすく、上階より下階の方が気温が湿気が降りてきます。マンションの場合は1~2階は戸建ての高さを同じで南側にバルコニーがあっても採光・通風が遮られていることが高確率であります。

また、将来的に高い建物ができて、採光・通風が遮られる可能性もありますので、周辺環境には気を付けましょう。

マンションの場合、北側が外壁面に面してるお部屋は避ける

マンションには各階に角部屋があると思います。窓がたくさんあり明るく開放的ですが、

角方向が北側なら注意です。カビの原因になりやすいのが結露です。結露は、外と室内の気温差がある場合に発生しますので、マンションの場合、角部屋より、両側が部屋(コンクリート)で囲われているお部屋の方が気温差が生まれにく結露が起こりにくいのです。

角部屋の場合は、風通しを良くできるメリットはありますので結露が起こりやすいことを念頭におき、換気をこまめにすることを心がげましょう。

■関連記事■北向きの部屋のカビ対策

■関連記事■北側の窓周辺のカビ取り方法

1-3.湿気の溜まりやすい土地は避ける

土地そのものも確認が必要です。水分を含みやすい土地は湿気を溜めるからです。

例えば、こんな条件の土地が該当します。

  • 田んぼや河川が近い
  • 昔、水田や沼だった土地
  • 坂の下にある土地

坂の下にある土地は、雨水が集まりやすい為湿気の原因になります。

気になる物件のある土地が、昔どんな用途で利用されていたかを確認するとよいでしょう。

■関連記事■床上・床下浸水後のカビ対策

2. 現地に行って確認すべきこと

ここからは実際に内覧した際、現地に行って確認すべき項目になります。

実際に内見してみて、あまり優先順位が高くなかった物件が思いのほか良くて購入に至るケースもあります。逆に期待していたけど全然良くなかったということも多いのです。

2-1.マンション共用部分

共用部分というのは、正面玄関やメールボックス、廊下、エレベーターなどです。

内見の際に一番初めに目にするところなので、イメージの良し悪しでその後の室内を見た後の気持にも影響します。共用部が良い雰囲気だと見るだけで「あ~なんかこのマンション雰囲気いいな~」という気持ちになるはずです。

中でもマンションの掲示板は要確認です。掲示物の内容や貼り方などでなんとなくマンションのキチンと感が伺えます。掲示物にしっかり画鋲が止められているか、ラミネートされているかなどキチン感=安心感につながります。

2-2 窓からの眺望

室内はリフォーム、リノベーションをすることができても眺望は変えられません

WEBサイトの写真と違っていたり、思ったより目の前の建物が気になったり、電線があり視界に入って気になったりと様々です。眺望が良いことや抜け感があることは、マンションを選択される方の場合は優先順位を高くされているケースが多いです。MAPである程度の判断はできるでしょうけど、変えられない眺望は実際に目で見たいですね。

2-3.梁は低くないか

こちらもマンションの話です。マンションには構造上、梁が存在しています。梁のは高さは築年数が古くなればなるほど、低くなります。私がご案内の際に見た梁の中で一番低いのは184㎝で、身長の高い旦那様はもう少しで頭が当たりそうでした。当たらなくても梁の下を通る度に圧迫感があるのはいやですよね。

リフォームでも梁はそのままで変えられないので、中古物件を買ってリフォームで間取りを変更する方は見ておきましょう。

3.現地でカビが発生しにくい物件かどうかを判断する方法

3-1.今、カビが発生していないか

カビは、マンションであれば2階以下のお部屋でかつ北側のお部屋に発生することが多いです。3階以上になると被害件数もそこまで多くはありません。一般的にカビの原因になる湿度は下階に留まりやすく、北側は採光が悪い為カビが殺菌されないのです。

中古物件になれば、カビ発生案件も増えていきますが、そもそもカビやすい環境のお部屋かどうかは買う前にわかれば安心です。

リフォームでカビを防げる場合

たとえカビが発生していても、リフォームで改善することも可能です。

例えば、北側に窓の小さい納戸がありカビているとします。この納戸周辺をリフォームで間取り変更をして他の部屋と合体させればどうでしょうか。納戸は物置なので普段あまり人が出入りしません。すると空気の循環が悪くなります。特にお部屋の隅は循環が悪いため湿った空気が留まりカビの原因になるのです。

現状がカビが発生する部屋でも、リフォームで部屋の役割を変えてあげると改善されるケースもあります。

3-2.サッシの性能がどうか

例えばリフォームをされていて、内装はきれいになっていてもサッシは古い状態になっているお部屋があります。サッシの性能が低いと、結露が起こりやすくなります。

冬期結露は、外気によって冷やされたサッシに、室内の暖房の空気が触れることで

結露が生じます。暖かい空気の方が冷たい空気より水分を多く含む為、サッシに触れて空気の温度が下がると、閉じ込められていた水分が結露に変身してしまうわけです。

こまめに結露を拭き取れば良いですが、なかなか難しいのでサッシを2重にしたり、ペアガラスにような高性能なサッシに交換するとよいでしょう。

3-3.脱衣所に換気扇がついているか

お風呂、脱衣所は部屋の中でも特にカビが発生しやすいです。

カビが生える為の条件である湿度は70%以上になるのですが、この2部屋は余裕で上回っています。そこにカビの栄養になる、皮脂や石鹸カスなどがある環境になるからです。

たまに、脱衣所に換気扇が設けられていない物件がありますが、扉を常に開放しても湿気が廊下や他の部屋を循環することになるので好ましくありません。

リフォームで換気扇を新たに設置するか、そもそもその物件は買わないというように決断する必要があります。

3-4.日中、しっかり日当たりはあるか

紫外線には殺菌効果があるので、なるべく採光のとれる物件を選ぶべきです。

南、南東、南西を好む方が多いですが、カビ対策の点からも同じこと言えるでしょう。

他の建物で日陰になりやすかったり、建物同士が密集しているものはなるべく避けるようにしたほうがよいです。

中古物件を探す際に、ついつい好きな条件を入れて探してしまいますが、絞り込んだ挙句、

上記のような「注意したほうが良い物件」しか該当しないことがよくあります。

土地権利や、マンションの管理戸数などは普段あまり意識しないと思いますので、気になった場合は、不動産屋さんに懸念はないのかを良く確かめた方がいいでしょう。

中古物件はたくさんありますが、自分の本当に優先したい条件を整理しておかないと

「本当はどんなのがほしかったんだっけ?」

という状態に陥ります。これから探す方、もう探しているが行き詰っている方、もう一度優先順位を整理してみましょう。

まとめ

カビが生えにくい物件という点でのまとめですが

①3階以上の南向きで日当たりの良い物件を選ぶ

②物件の土地の歴史や周辺の地理を確認する

③室内のカビの痕跡を確認する

④サッシの性能を確認する

⑤換気設備を確認する

このような項目になります。

物件探しは条件整理が重要ですし、条件通り購入できたとしても将来カビに悩まされることになったら、「あーもうすこし別の条件にすればよかったな~」と後悔してしまいます。

エリアは融通がきいたり、駅徒歩はもう少し頑張れたりするのではないでしょうか?自分だけで答えが出ない場合は、第三者に相談するか信頼できる不動産屋さんに整理してもらうといいでしょう。