革ジャンに生えたカビの取り方
革ジャンは着込んでいくほど体に馴染み、メンテナンスをして同じ革ジャンを購入してから10年以上愛用しているという方もいらっしゃる一生もののアイテムです。
しかし、久しぶりに革ジャンを着ようと思って取り出してみたらカビが生えていてがっかり!捨てるしかないの?という経験がある方は多いと思います。
一年を通して高温多湿である日本はカビが発生しやすいのですが、革ジャンが汗や雨に濡れた場合など、湿ったまま保管しているとすぐにカビが発生してしまいます。
カビは一度発生すると根がはってしまい、表面をきれいにしても内部にカビの根が残り、完全に取り除くことは困難で嫌なにおいも消えません。
一番良い対処法は、カビが発生する要因を作らないことです。
革ジャンを買ったけれどカビが生えてしまって対処に困っている方、革ジャンを購入してみたいけど手入れが難しそうというイメージがある方にも革ジャンのカビ対処法やメンテナンス方法をご紹介していきます。
目次
革ジャンにカビが生える原因とは?
革ジャンは動物の革でできており、タンパク質が主な成分のためカビが発生しやすい素材です。
皆さんは服を着たら毎日洗濯をしていますよね。
革ジャンも服なので着たら手入れが必要なのです。
革ジャンはそもそもカビが発生しやすい素材なので、そこに汚れや湿気が加わるとさらにカビが発生しやすくなってしまいます。
革ジャンのカビの原因となるのは、皮脂や汗、雨に濡れたなどの汚れと湿気が原因です。
カビが発生する条件は、温度20℃~30℃、湿度60%以上、汚れなどの栄養源の3つの条件がそろったときです。
革ジャンのカビの取り方
比較的軽度なカビの場合には、固く絞ったタオルで革ジャンを水拭きし、乾いてから消毒用エタノールをつけて拭き取るだけでカビが落ちることもあります。
消毒用エタノールは革ジャンの色落ちや変色などのおそれもありますので、必ず目立たない部分で試してから全体に使用するようにしてください。
上記の方法では落ちないカビの場合には、以下の方法でカビを落としていきましょう。
用意するもの
- 革製品専用カビ取り剤
- 布
- 歯ブラシ
- レザートリートメント
- マイクロファイバークロス
- スポンジ
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①革製品専用カビ取り剤を乾いた布に染み込ませ、カビを拭き取ります。(細かい部分には歯ブラシを使用するのがおすすめです。)
②2~3時間経ってから、レザートリートメントをスポンジに少量取り、革ジャンの表面に薄く塗ります。
③最後にマイクロファイバークロスで乾拭きして仕上げます。
※注意点※
革ジャンが湿っていたり、汚れがひどいとカビ取り剤が浸透しないので汚れをあらかじめブラシなどで落とし、乾燥させてからカビ取りをするようにしてください。
スエードやヌバックなどの起毛素材のものには適しませんので注意してください。
詳しくは使用する革製品専用カビ取り剤やレザートリートメントの種類によっても異なるので、それぞれの取り扱い説明書や注意事項を確認してからおこなってください。
革ジャンのカビ取りをする日はなるべく天気が良く、湿度の低い日に合わせておこなうと良いです。
他の革ジャンのカビ取り方法
革製品専用シャンプーや洗剤も販売されています。
自宅の洗濯機で革ジャンをネットに入れて丸ごと洗ってカビを落とすことができます。
また、革製品に使用できるカビ用ミストなども販売されています。
カビの生えた部分に直接スプレーし、タオルで拭き取ります。
防カビ効果がある製品や革ジャンだけでなく他の革製品などにも使用できますので購入しておくと便利です。
革ジャンを着たあとのメンテナンス
革ジャンを着用後はハンガーにかけ、撥水スプレーをかけておきましょう。
汚れが気になるようなら全体をブラッシングし、ファスナーやステッチなどの細かい部分はホコリや汚れがたまりやすいので歯ブラシを使用すると良いです。
このときにカビやシミがないか汚れのチェックをしておくようにしましょう。
普段から着用後にチェックをしておく習慣をつければトラブルの早期発見ができます。
雨などで濡れてしまったときは、水分をタオルで拭き取り、完全に乾く前にオイルで保護しましょう。
その後、ハンガーにかけて陰干ししてください。
速く乾かしたいからと乾燥機やドライヤーを使用すると革ジャンが傷んでしまうので気を付けましょう。
ドライヤーを使用するのであれば冷風にするか、サーキュレーターや扇風機を使用したり、革ジャンの内側に新聞紙を入れると新聞紙が湿気を吸ってくれるので速く乾かすことができます。
新品の革ジャンはおろす前に手入れをしましょう
革ジャンの大敵は水です。
新品の革ジャンをおろすときには、撥水スプレーを必ずしておきましょう。
撥水スプレーをしておくと、水を防ぐのはもちろん、汚れが付着するのも防いでくれます。
撥水スプレーをかける際には、いきなり全体にかけずに裏側の見返し部分に吹き付け、シミにならないかを確認してからおこなうようにしてください。
確認ができたら、ムラにならないようにゆっくりとスプレーし、襟元や袖口はこすれるため撥水スプレーが落ちやすいので、丁寧にかけると良いです。
全体がしっかり濡れている感じになったらOKです。
しばらくそのままにして乾いたらクローゼットにしまいましょう。
ハンガーは肩幅に合った、厚みがあるものが望ましいです。
厚みのないハンガーを使用すると、あたりが出てしまうので気を付けてください。
厚みのあるハンガーがない場合にはハンガーにタオルを巻き付けて使用すると型崩れを防ぐことができます。
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革ジャンの保管とカビ予防方法
革ジャンを保管するのは低温で風通しがよく、湿気が少ない場所がベストです。
クローゼットにしまう際に、奥の方にしまうとカビが生えやすくなるので比較的風通しの良いクローゼットの手前にしまうようにするのがおすすめです。
クローゼットに革ジャンをしまっている場合には、ときどき出して風にあてたり、除湿剤を活用するようにしましょう。
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週に1回は着るようにすると風通しがよくなり、カビの発生を防ぐことができますので定期的に着用するのも革ジャンのケアのひとつです。
しばらく着用せずに保管する場合でも、月に一度は出してカビのチェックと風にあてて湿気をとばすようにしましょう。
また、長期保管する際には普段よりも念入りにカビの栄養源となる汚れを落とすようにしましょう。
汚れを落としたあとは保湿クリームで適度な油分を与えます。
クリームを塗ると表面に薄い皮膜ができ、汚れやキズから革ジャンを守ってくれます。
このときに注意したいのは、厚塗りしないことです。
余分なクリームはカビの栄養源となってしまうので、革ジャン全体に薄くムラなく塗った状態にしてください。
クリームを塗り終わったら、ハンガーにかけて、ホコリ除けに市販の不織布をかけて吊るしておくとカビ予防に効果的です。
クリーニングに出したあと、戻ってきた革ジャンがビニール袋などに入れられていることがあります。
これは持ち帰り用に革ジャンが汚れないようにするための簡易的なものですので、長期保管するのには不向きです。
袋の中に湿気がたまっていたり、ドライ溶剤が乾ききっていない場合もあるので家に着いたら袋はすぐに外し、しばらく風を通したあと、不織布のカバーをかけて保管するようにしてください。
レザークリーニング専門店などへ依頼も検討しましょう
カビやシミなどの革ジャンのトラブルは革専門のプロにクリーニングを依頼するのが確実です。
カビやシミだけでなく断裂などのさまざまな革ジャンのトラブルを解決してくれます。
革ジャンのクリーニングの金額はだいたい6、000円~、仕上がりまでは2週間~となっています。
クリーニング店では、特殊なソープと色落ち防止剤などを使用して汚れを落としています。
つけ込み時間は材質や汚れやダメージなど革の状態によって変更しており、これが素人にはマネできない職人技の真骨頂です。
革ジャンのメンテナンスとして素人が施せることは決して多くはありません。
革ジャンはしばらく使わないから押し入れなどにしまっておくと、カチカチに固まってしまったり、カビが発生することもあります。
そうなると、ご自身で再び最良の状態に革ジャンを戻すのは至難の技になります。
時間と料金はかかってきますが、カビ取りに失敗して革ジャンが取り返しのつかないことになる前にプロに依頼しましょう。
レザー専門店では、まだまだ知らない情報やメンテナンスの意外なコツなど得るものが多いはずです。
落とすのが困難なカビ
めずらしい例ですが、革ジャンに青カビや黒カビが発生することがあります。
その際に青カビや黒カビの色素が浸透して定着していると、落とすのが困難になります。
また、香水などの香料や、革内部のなめし脂が酸化した臭いは除去するのが困難です。
これらは革専門のクリーニング店でも除去が難しいそうなので気を付けたいですね。
まとめ
・革ジャンのカビは対処法よりも発生させないことが大切です。
・革ジャンのカビには革製品専用カビ取り剤を使用して落としましょう。
・革ジャンは湿気と汗や皮脂などの汚れに注意しましょう。
・革ジャンは保管するときはときどき出して風を通し、長期保管の前には念入りな手入れを!
・革ジャンのカビは専門のクリーニング店に依頼するのが安心です。
<参考文献>
・風早健史『男のレザーグッズ・メンテナンスBOOK』2010年、成美堂出版
・角謙二『愛用品のお手入れ術』2012年、枻出版社
・三田村美保『お気に入りを長く着る衣類のお手入れ洗濯・しみ抜き・つくろい・しまい方』2016年、NHK出版
・一間堂株式会社『モノ・メンテナンス』2016年、実業之日本社