着物にもカビが?!桐ダンスのカビ対策

桐タンスは高温多湿な日本の気候に合わせて作られた家具です。

桐のタンスは木目が美しく上品な雰囲気で着物などの衣類を収納するのに使われています。

桐のタンスの特徴は白無垢で軽く、燃えにくい、調湿効果や防虫効果もあります。

その歴史は古く、江戸時代初期から民間でも桐のタンスを用いていたそうです。

桐タンスにカビが発生するのはタンスの内側が多いですが、設置場所の環境によっては外側にカビが発生することもあります。

桐ダンスにカビが発生すると、見た目が悪いだけでなく、カビの臭いがついてしまうこともあります。

すると、桐ダンスの中に収納している着物などの衣類にもカビや臭いが発生する原因にもなってしまいます。

カビは一度発生すると完全に除去するのが困難ですので、きちんとお手入れをすることでカビが発生する前に予防していきましょう。

桐ってどんな植物?

昔は「女の子が生まれたら桐を植えよ」と言われ、桐で作られたタンスは嫁入り道具として欠かすことのできないものでした。

桐は1週間で20㎝も伸びるので、15~20年でタンスや家具の材料にできます。

タンス以外にも積み木やイス、下駄、羽子板、米びつなどさまざまな物に加工されています。

桐ダンスの特徴とは?

1、軽量

桐は乾燥すると重量が原木の3分の1になるため、軽量で配置換えなどの際にも扱いやすく便利です。

2、防火性

桐は火に強いため燃えにくく、火災が発生し外側が燃えても中の衣類は燃えずに残ったということがニュースになることがあります。

3、防虫効果

桐に含まれているタンニンは虫がつきにくいという特徴があります。

そのため、桐ダンスは防虫剤を入れておく必要がありません。

4、調湿効果

桐ダンスは内部が一定の湿度に保たれています。

桐は、湿った空気を吸い込み膨張することで外からの湿気を防ぎ、空気が乾燥してくると湿気を発散させる調湿効果があります。

桐ダンスにカビが生える原因とは?

桐ダンスにカビが生える原因は湿気とホコリによるものが多いです。

桐ダンスは湿気を吸収し、中に収納している衣類をカビから守ってくれるはたらきがあります。

そのため、カビが桐ダンスにだけ発生し、中の衣類にはカビが生えていなかったということがあります。

しかし、そのはたらきにも限度がありますので、そのまま放置しておくとやがて桐ダンスだけでなく中の衣類にもカビが発生してしまいます。

桐ダンスに湿った衣類を入れてしまうと桐ダンス内に湿気がたまりカビが発生することがあります。

着用した衣類はしっかり洗って乾燥させてから桐ダンスにしまうようにしましょう。

桐ダンスは砥粉を塗布したあとにロウでつや出しをしており、撥水効果もあるのですが、使用年数が長くなるにつれてその効果が薄れていきます。

桐タンスを触るときには手をしっかりと洗って汚れを落とし、きちんとタオルで拭いて乾いた手で触るようにしましょう。

桐ダンスを冷房の風が直撃する場所に設置したり、壁や天井にぴったりとくっつけて設置していると、風通しが悪くなり湿気がこもることで桐ダンスの表面にカビが発生することがあります。

カビが発生する条件は温度20℃~30℃、湿度60%以上、汚れやホコリなどの栄養源の3つの要素がそろうことです。

桐ダンスの表面にホコリが付着しているとこのホコリを栄養源としてカビが発生します。

また、最近は高気密住宅が増えており、湿気がこもりやすく、換気がスムーズに行われていないことが多いです。

こまめな換気を心がけることでカビを防ぎましょう。

桐ダンスが黒ずんでくるのはなぜ?

桐材の中にはタンニンが多く含まれています。

タンニンはお茶などにも含まれている渋みの成分です。

このタンニンによって桐ダンスは防虫効果が発揮されるのです。

桐は丁寧にあく抜きされたものほど黒ずんでくるのが遅いと言われていますが、いずれは必ず黒ずんでしまうのです。

しかし、これは樹液の成分によるものなので桐ダンスを使用するのに問題はありません。

また、木材にはカビと似た見た目の腐朽菌が発生することがあります。

腐朽菌はカビではないのでカビ取り剤等を使用しても除去することができません

桐ダンスに腐朽菌が発生した場合にはカンナで削り取るしか除去する方法がありませんので、業者に依頼することを検討しましょう。

桐ダンスにカビが生えたら確認したいこと

桐ダンスにカビが発生した場合には他にもカビが生えている場所がないか確認が必要です。

まず、桐ダンスに収納している着物があれば着物にもカビが生えていないか確認しましょう。

さらに、桐ダンスを置いている部屋の壁にもカビが生えていないか確認してみてください。

特に桐ダンスの後ろ側の壁や側面の壁などは桐ダンスを置いていることによって空気が流れにくくなっており、壁の表面の湿度が上昇してカビが発生しやすくなっています。

桐ダンスにカビが発生した場合の対処法

桐ダンスに発生したカビが軽度の場合には、乾拭きによるお手入れを続けてカビがこれ以上ひどくならないようにします。

カビがかなりひどい状態になると、カビの殺菌と桐の交換やカンナで削る作業が必要になります。

これには特別な材料や技術が必要になり、素人にはできませんのでプロに依頼するしかありません。

桐ダンスには砥粉が塗られており、デリケートなため水拭きやカビ取り剤を使用すると塗装がはがれて汚くなってしまうことがあります。

桐ダンスの塗装方法によっては、消毒用エタノールを使用できるものもあります。

その場合には、消毒用エタノールを布に染み込ませカビを軽く拭き取ります。

カビは放置しておくとどんどん繁殖していきますので、状況が悪化する前になるべく早めに購入した店舗か専門の業者に相談するようにしましょう。

出典:Amazon

桐ダンスのカビ対策のポイント

日ごろからできる桐ダンスのカビ予防対策を紹介します。

これらのうちすべてを行えばカビ対策は万全ですが、どれかだけでも実施できればカビは発生しにくくなります。

今日からできることを少しずつでも始めてみてください。

1、通風

カビは空気が動かない場所に発生しやすい性質があります。

そのため桐ダンスを置くときは、壁から10cm程離し、側面や後ろを風が通るようにするとカビの発生を抑えることができます。

桐ダンスを置いている部屋を閉めきったままにせず、ときどき窓や扉を開けて風を通したり、風の通り道を物でふさがないことも大切です。

桐ダンスに収納している衣類を年に1~2回は出して陰干しするようにしましょう。

桐ダンスから衣類を出して陰干しすると桐ダンスだけでなく衣類のカビ防止にもなります。

梅雨時や風通しの悪い部屋の場合には、扇風機やサーキュレーターで強制的に空気を動かすことも有効です。

2、湿度の上昇防止

カビに水分を与えないように室内の湿度の過度な上昇を防ぎましょう。

湿度の変化は体感ではわかりにくいこともあるので、湿度計を設置し、こまめにチェックしましょう。

風を通すだけでは湿度が下がらない場合には、除湿機やエアコンのドライ運転なども活用し、湿度が高い環境が持続しないようにしてください。

梅雨の時期などは、桐ダンスに除湿剤を入れておくとカビの繁殖を防ぐことができます。

桐ダンスに衣類を収納する際には、きちんと乾いた状態でしまうようにすることもポイントです。

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3、ホコリや汚れを除去

桐ダンスにホコリが付着していると、カビの栄養源になってしまいます。

こまめにハタキや柔らかいタオルで乾拭きをしてホコリを取り除くだけでも十分にカビを防ぐことができます。

手垢や皮脂などの汚れが付着しないように桐ダンスの木部にはできるだけ触れないようにしてください。

普段は桐ダンスには油単と呼ばれるカバーをかけておきましょう。

油単はホコリや汚れ、傷などから桐ダンスを守ってくれます。

しかし、油単もずっとかけたままでは湿気がこもってしまいますので、油単もときどきはずして風を通すようにしましょう。

桐ダンスの修理やリニューアルを検討しましょう。

桐ダンスにカビが発生すると、軽度なものであれば消毒用エタノールで拭き取るかカンナでカビを削り取るしかありません。

自分で桐ダンスのカビを除去する自信がないという方は無理になさらずに購入した店舗または専門の業者に依頼することをおすすめします。

専門の業者に桐ダンスのカビ取りを依頼すると、まずは桐ダンスをお湯で洗浄し、熱を加えることでカビを殺菌し、カンナをかけることでカビを除去することができます。

桐ダンスは桐の持つ通気性という特性を最大限に活かすためには、昔ながらの仕上げをしない木地のままが一番良いのですが、手垢などの汚れやカビを防止するためには防水加工や防カビ加工を施し、より簡単に扱えるようにリメイクするという方法もあります。

また、その他の傷んでいる部分の修理や金具の締め直しや付け替えなども希望すれば実施してもらうことができます。

カビ取りをしてもらったあとも、桐ダンスを置く場所の環境やお手入れを怠るとカビが再発してしまうこともありますのでしっかりとメンテナンスをしてカビを防いでいきましょう。

まとめ

・桐ダンスには調湿効果や防虫効果など優れた機能があります。

・桐ダンスが黒ずむのは樹液、腐朽菌、カビによるものが考えられます。

・桐ダンスのカビ除去には、カビの殺菌やカンナがげが必要になります。

・桐ダンスのカビは通風、湿度管理、ホコリや汚れ除去がポイントです。

・桐ダンスのカビは購入した店舗または専門の業者に依頼をしましょう。

<参考文献>

・八重樫良暉ほか『地域資源を活かす生活工芸双書桐』2018年、農山漁村文化協会