金魚鉢の水にカビが生えてしまったら?
金魚は気軽に飼えるペットとしても人気があります。縁日で金魚すくいをした後に、金魚を購入されるという方もいるのではないでしょうか。
そんな可愛い金魚を育てる際に使用する金魚鉢。金魚鉢などを使えば小さなスペースで金魚を飼うことができますし、金魚は暑さにも比較的耐性があるため夏頃に買い始める方も多いのではないでしょうか。金魚鉢の中を泳ぐ金魚を見ていると気分もなんだか癒されてきますよね。
ですが金魚鉢のお手入れが不適切であったり金魚のお世話が不十分だと金魚鉢の水にカビが生えてしまうことがあるのです。
そこで今回は金魚鉢の水にカビが生えてしまったときの対処法をご紹介していきます。
目次
なぜ金魚鉢にカビが生えるのか
金魚を飼われたことがある方であれば金魚の魚体に白いふわふわした綿のようなものがついていたり、綿状のものが水に浮かんでいるのを見たことがあるという方もいるのではないでしょうか。その綿の正体はミズカビと呼ばれるカビの一種です。
このミズカビが金魚に寄生すると金魚は水カビ病という病気にかかってしまいます。では、水カビ病とはどのような病気なのでしょうか。
水カビ病とは?
水カビ病の原因は、ミズカビ科に属する糸状菌の寄生が原因です。通常、金魚鉢の水の中には遊走子と呼ばれるミズカビの胞子が存在しています。この遊走子が健康な金魚に遭遇しても簡単に水カビ病にかかることはありませんが、金魚に傷などの外傷があるとそこに遊走子が接触すること発病します。金魚すくいの金魚が死にやすいと言われるのは、輸送や過密飼育により受けた傷や酸素不足による体力の消耗などが主な理由なのです。
金魚に寄生し、成長したミズカビは新たに遊走子を作り出し、同じ金魚鉢にいる他の金魚にも感染させてしまいます。ミズカビは既に傷がある部分に付着するため、水カビ病は二次的な病気と言えますし、カビを取るためには金魚の治療も必要になるというわけです。金魚に付着したカビは金魚の栄養分を吸い取って成長していくため、放っておくと次第に金魚は衰弱し、死んでしまいます。
水草にカビが生えることも
また、このミズカビは金魚だけでなく金魚鉢の中にある水草などにも生えることがあります。枯れた水草に生えることが多いですが、そのミズカビが遊走子を放出し、弱った金魚に付着することで金魚が水カビ病にかかってしまうこともあります。
水の中でも増えるカビもいる
水の中なのにカビが生えるのか、と思われる方もいるかもしれません。普段私たちが生活している空気中にはカビの胞子が存在しています。そして、繁殖できる場所を見つけて、白や黒、青などの目に見えるカビとして成長していきます。水の中も同様で、遊走子と呼ばれるカビの種が目に見えない状態で存在し、水草や怪我をした金魚を栄養分として成長していくのです。つまり、水の中にカビにとっての栄養分が多いほど金魚鉢がカビに侵されてしまうということです。
水草や金魚そのもの以外にも金魚鉢の水の中にはカビの栄養分になるものがあります。具体的には
- エサの食べ残し
- 金魚のフン
- それらによって汚れた水
などです。カビはそういったものも栄養分にしてしまうので金魚鉢の中の状態が悪いとカビも増えてしまいます。また大きな水温の変化も水草を枯れさせたりや金魚を弱らせてしまい、カビが生えてしまうことがあります。金魚鉢は小さな空間ですから、一度水の中にカビが生えてしまうと金魚や水草、残餌などがお互いにカビの種を撒き合い、鉢の中はあっという間にカビが広がってしまうのです。
金魚鉢にカビが生えたときの対処方法
では、金魚鉢の水にカビが生えてしまったらどうしたらよいのでしょうか。ここからは金魚鉢の水に生えたカビの取り方をお伝えしていきます。水の中のカビを除去するには金魚鉢の中を清潔な状態に戻し、薬剤を使ってカビを取り除きます。
もし金魚が水カビ病にかかっていたらその治療薬も必要になります。今回は、カビ取り方法を
- 金魚にカビが生えている(軽度の場合)
- 金魚にカビが生えている(重度の場合)
- 金魚以外のものにカビが生えている場合
の3つに分けてご紹介していきます。
①金魚にカビが生えている:軽度の場合
金魚にカビが生えているということは金魚が水カビ病にかかっている状態です。発見が早く、カビの程度が初期段階であれば食塩を使ってのカビ取りと金魚の体力の回復を図ることができます。
用意するもの
- 食塩
- バケツ
- ピンセット
続いて、手順です。
手順
①飼育している金魚鉢とは別にバケツを用意し、金魚鉢と同じ温度の水と食塩を入れます。塩浴とも呼ばれる一般的な治療方法で、金魚の病状を回復させる効果があります。塩分濃度は水の量に対して0.3~0.5%です。
②カビの生えた金魚を取り出し、ピンセットでカビを取り除きます。
③カビが取り除けたら金魚を塩浴用のバケツに入れます。回復するまではバケツの中で様子を見ます。塩浴の期間は1週間程度みてあげるとよいでしょう。水質の状態を見ながら2~3日に一度は塩浴の水を入れ換えます。
④金魚の病状が回復したら元の金魚鉢に金魚を戻してあげます。戻す際には、金魚鉢の中の水の入れ替えや水草の交換・汚れの除去なども同時におこなってください。
注意点
ここで塩浴について注意点があります。塩浴の際の塩分濃度ですが、金魚の体内の塩分濃度は0.5~0.6%と言われています。それに近い濃度での塩浴がよいとされていますが塩浴が必要な金魚は体が弱っていますから初めのうちは0.1~0.3%程度の濃度からおこない、徐々に0.5~0.6%に近づけるようにしてください。0.7%以上になると金魚によっては耐えられなくなってしまうので塩の量は十分に気をつけましょう。
②金魚にカビが生えている:重度の場合
次に、金魚の水カビ病が重度の場合です。カビの程度がひどい場合やカビの生えた部分が荒れているときの治療に有効です。用意するものは以下の通りです。
用意するもの
- ニューグリーンFなどの動物用医薬品
- ピンセット
- バケツ
ニチドウ グリーンFクリアー
出典:楽天市場
続いて、カビ取りの手順です。
手順
①金魚鉢とは別にバケツを用意し、そこに元の金魚鉢と同じ温度の水とニューグリーンFなどの薬品を規定量入れます。
②金魚を取り出し、ピンセットでカビを取り除きます。
③薬品を入れたバケツに金魚を入れ1週間程度様子を見ます。塩浴同様、水質と金魚の状態を見ながら2~3日に一度は水を入れ換え、入れ換えた水量に合わせた薬も同時に入れます。
④金魚の病状が回復したら、金魚をもとの金魚鉢に戻します。戻す際には水草の交換・汚れの除去・半分程度の水の入れ替えをおこない、きれいな状態の鉢の中に戻してあげましょう。
ニューグリーンFなどの治療薬を直接患部に塗布することも病状を早く改善させることに効果的と言われていますが、素人目には判断がつかないこともあるかと思います。命にかかわることですから迷ったときは金魚を購入されたお店の飼育スタッフの方など詳しい方に尋ねてみることをおすすめします。
また、塩浴・薬浴中はエサやりの必要はありません。金魚は1~2週間食べなくても平気ですし、弱っている金魚にエサを与えると消化不良を起こしさらに体力を消耗させてしまいます。
また塩浴・薬浴中の水の中にはバクテリアがいないためエサを与えることで食べ残しやフンにより水質悪化を招いてしまいます。塩浴も薬浴も正しく行えば金魚をカビから救うことができますが、誤った方法でおこなうと金魚にとってとどめの一撃になりかねないため注意が必要です。
塩浴・薬浴のポイント
塩浴・薬浴のポイントを簡単にまとめると、
- 病気になった金魚を別の容器に移し、隔離する
- 塩浴は軽度のカビ治療・金魚の体力の回復が目的
- 薬浴は重度のカビ治療・根本的な傷の治療が目的
- 金魚は急激な環境の変化に弱いため金魚鉢とバケツの水温は同じにし、食塩や薬剤の量も移すタイミングに合わせて調整していく。
となります。
次に、金魚以外のものにカビが生えている場合です。
金魚以外のものにカビが生えている場合
水草やフン、食べ残したエサにカビが生えていたり、水にカビが浮いているような場合は以下の方法でカビ取りをおこなっていきます。用意するものは以下の通りです。
用意するもの
- 汚れを取り除く網
- ピンセット・スポイト(アクアリウム用)
※汚れやカビの程度に合わせていずれかをご用意ください。
続いて、手順です。
手順
- 網を使って水に浮いているフンや食べ残しのエサ、カビを取り除きます。水草が枯れていたりカビが生えている場合は水草を交換します。
- 飼育水を半分程度交換します。
水を入れ替える際は水温に注意してください。水温が低すぎたり温度差が大きいと金魚にとって大きな負担となります。また、水の交換が半分程度の理由としては、水の中にはバクテリアなど水質維持に役立ってくれるものがすでに存在しています。全て取り換えてしまうとバクテリアがいなくなってしまい水質悪化を招いてしまうため水の交換は多くても半分程度にしましょう。
金魚鉢のカビ予防方法
以上が金魚鉢の水のカビ取り方法になります。ここからは、普段からできる金魚のカビ対策をお伝えしていきます。基本的にはこまめな観察とお世話を心がけるということになりますが、具体的には以下のようなことが挙げられます。
①こまめな水交換をおこなう
金魚鉢は小スペースで少量の水で金魚を飼うことができますが、その反面ろ過フィルターなど設置できないため水質が悪化しやすいです。水質の悪化は水草を枯らし、金魚を弱らせてしまい金魚鉢の中にカビが生える原因となりますので定期的に水の交換をおこないましょう。水の状態にもよりますが夏場は一週間に一度を目安に交換するといいでしょう。
②水温は15~28℃を保つ
水温は15~28℃を保つようにしましょう。欲を言えば20~26℃が理想的です。日常的な水交換や塩浴・薬浴の際の水温もこの範囲でおこなうと金魚の負担が少ないです。金魚鉢にはヒーター機能がないため水温が下がる冬場に金魚鉢で飼育することはやめましょう。
急激な水温の変化や低すぎる・高すぎる水温は金魚の免疫力を下げてしまい、病気にかかりやすくなります。
③金魚鉢の中には水草を入れる
金魚鉢で金魚を飼うときは、水草を合わせて入れることをおすすめします。水草は金魚の小腹を満たすおやつがわりにもなりますし、水草の光合成によって水の中に酸素を生み出したり水をきれいにしたりする役割があります。フィルターが設置できない金魚鉢では、水草は大きな役割を果たしてくれますのでぜひ取り入れてください。そして水草がばらばらになったり枯れそうになっているのを見かけたら交換するようにしましょう。
④エサは適量を与え、食べ残しやフンは見つけたらすぐに取り除く
当たり前のことですが、フンやエサの食べ残しはカビの栄養分となるだけでなく水質悪化を招き、カビの増殖につながります。エサは適切な量を与え、食べ残しやフンを見つけたらすぐに取り除きましょう。
⑤飼育は金魚鉢一つあたりに1~2匹まで
金魚鉢の大きさにもよりますが、一般的なサイズの金魚鉢ですと一匹~せいぜい二匹までがよいでしょう。金魚鉢のように小さな鉢に複数匹飼ってしまうと、金魚が酸素不足になってしまったり、金魚同士がぶつかりあって怪我をし、水カビ病などの病気にかかってしまいます。たくさん飼育することは金魚にとって非常にストレスになり、場合によっては一度の大量死にもつながりますので金魚鉢での飼育は1~2匹までにしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は金魚鉢の水にカビが生えた時の対処法と対策をお伝えしてきましたが、まとめますと、
- 金魚鉢の水の中にはミズカビと呼ばれるカビが存在している。
- ミズカビが原因で金魚が水カビ病になってしまうことがある。
- 水カビ病の治療には塩浴・薬浴の2つの方法がある。
- 金魚鉢の水に生えるカビを防ぐには、きれいな水と適度な水温の維持、金魚のこまめな観察が大切。
金魚は生き物ですから、カビが生えたからといって替えがきくものではありません。正しくお世話をして、水槽とは違った金魚鉢ならではの風情を楽しんでくださいね。
参考:日本動物薬品株式会社