コーヒー豆のカビ発生を防ぐ方法とは?!
友人にコーヒー豆も気を付けないとカビが生えるよと言われました。食品なのでカビは絶対に防ぎたいと思います。カビを生やさない方法や、カビの生えにくいコーヒーの種類などもあれば教えてください。
味だけでなく香りも楽しみの一つであるコーヒー豆にカビが生えてしまうのはショックですよね。そこで今回はコーヒー豆のカビ発生を防ぐ方法や、カビが生えにくいコーヒーの種類についてご紹介していきます。
目次
1. コーヒー豆のカビを防ぐ方法
1-1. 購入後にハンドピックを行う
ハンドピックとは、コーヒー豆の中から、カビ豆や発酵豆、黒豆、虫食い豆といった欠点豆を手作業で取り除く作業のことです。コーヒー豆専門店ではすでにハンドピック済みのものが販売されていますが、市販のコーヒー豆にはこういった欠点豆が紛れ込んでいることがあります。
焙煎前に比べ焙煎後は見分けがつきにくいですが、明らかにカビが生えている、他の豆と色が違うといったものは購入後最初の段階で取り除くようにします。カビの生えた豆が、開封後空気にさらされることでカビ汚染が広がることは十分に考えられますので、コーヒー豆は購入後すみやかに欠点豆の有無を確認し、あれば除去することをおすすめします。
1-2. 密閉容器に入れて保存
コーヒー豆は湿気に弱いです。吸湿しやすいので保管の際は密閉容器で保管します。購入した袋は開封後クリップで止めるなどし、その袋のままごとビンや他の密閉できる容器にいれて、二重で保管しておくのがおすすめです。コーヒー豆専用の保存容器も販売されていますので、そういったアイテムを使うのもいいでしょう。
1-3. 高温多湿・直射日光を避けて保管
カビを防ぐために湿度の高い場所で保管しない、というのはもちろんのこと高温になる場所や直射日光の当たる場所は避けましょう。
高温保管はコーヒー豆を劣化させ、紫外線はコーヒー豆を酸化させてしまうからです。高温多湿・直射日光を避けた場所なら、冷蔵庫や冷凍庫は保存場所として最適なのでは?と思われた方もいるかもしれません。
たしかに、冷蔵庫や冷凍庫に入れておけばカビの発生は抑制されますが、出し入れのたびに外気との温度差によって容器(袋)内に結露が生じてしまいます。コーヒー豆を頻繁に使用するのであれば常温保管の方がよいと言えるでしょう。もし冷蔵庫で保存する場合は使う分ごとに小分けにして保存しておきましょう。
2. カビが生えにくいコーヒーの種類は?
コーヒーと一口に言っても良質な豆からインスタント、カフェインレスのものなど様々な種類があります。それぞれにもカビの生えやすい・生えにくいといった違いがあります。カビの生えにくさを左右する主なポイントは次の通りです。
① カフェイン含有量
② 欠点豆の混入量
コーヒー豆に含まれるカフェインはカビの生育と毒の生成を抑制する働きがあると言われています。そのため、カフェイン含有量が少ないものよりも多いものの方がカビは生えにくいと言えます。
通常のコーヒー豆よりもノンカフェインやカフェインレス、デカフェコーヒーはカビが生えやすいと考えられます。
また、欠点豆の混入率もカビの生えやすさに影響を与えます。欠点豆が多いと傷んだりカビ豆が含まれているということですのでカビも生えやすくなります。インスタントコーヒーや缶コーヒーなどの安価なコーヒーには欠点豆を多く含む豆が使用されているためカビが生えやすくなります。
逆に、栽培段階・品質管理・味・欠点豆の少なさにおいて優れた評価を得ている、いわゆるスペシャリティコーヒーと呼ばれるコーヒー豆にはカビが生えにくいです。適切な環境下で保管がなされていれば、あらゆるコーヒーの中でスペシャリティコーヒーが最もおいしく、カビも生えにくいと言えるでしょう。
カビの生えやすい・生えにくいコーヒーを分類すると次のようになります。
カビが生えにくい
- スペシャリティコーヒー
- 市販のコーヒー豆
カビが生えやすい
- インスタントコーヒー
- カフェインレス、デカフェ、ノンカフェインコーヒー
- 安価なレギュラーコーヒー
もちろん保管状態がカビの生えやすさを左右する大きな要因であり、適切に保管されたインスタントコーヒーよりも、湿気の多い場所で不適切に保管されたスペシャリティコーヒーの方がカビは生えやすくなります。
3. コーヒー豆にカビが生える原因
コーヒー豆は多孔質構造をしており、コーヒーに消臭・脱臭効果があるのはこの多孔質な構造がいやな臭いを吸収しているからです。
しかし一方で、多孔質構造であるがゆえに、湿気も吸収しやすいという特徴があります。そのため、コーヒー豆の素材そのものがすでにカビが生えやすいにつくりになっているのです。その上で、次のような要素が加わるとよりカビ発生リスクが高まってしまいます。
3-1. 保管場所の湿度が高い
ただでさえ吸湿しやすいコーヒー豆を、湿度の高い場所に保管しているとコーヒー豆にカビが生えてしまいます。
3-2. カビ豆が紛れ込んでいる
コーヒー豆の中に、貝殻豆や発酵豆、黒豆といったいわゆる欠点豆と呼ばれる豆が紛れ込んでいることがあります。欠点豆の中にはカビが生えたカビ豆もあり、それがコーヒー豆の中に入ってしまっていると他の豆もカビに汚染されてしまいます。
コーヒー豆専門店や自家焙煎所では手作業でこの欠点豆をハンドピック作業により除去しているところがほとんどですが、スーパーやコーヒーチェーン店で販売されている市販のコーヒー豆にはカビ豆などの欠点豆が入っていることは珍しくありません。
ぱっと見ただけでは素人目には見分けがつきにくいということもありカビ豆があっても気づかず、その間にカビが広がってしまう、という事態になってしまうのです。
3-3. 濡れたスプーンを袋(容器)に入れてしまった
コーヒー豆を取り出す際に、袋から直接コーヒーミルに豆を入れたり乾いたスプーンを使ったりせず、濡れたスプーンをコーヒー豆が入った袋に入れてしまうと当然ながら袋の中の豆に水分が付着し、カビが生えてしまいます。水を含みやすいコーヒー豆にダイレクトに水分を与えてしまうとあっという間にコーヒー豆はカビに侵されてしまいます。
3-4. 保存容器(袋)が密閉されていない
保存容器が密閉されていないと、コーヒー豆が周囲の湿気を吸収してしまいカビが生えてしまいます。それだけでなく、コーヒー豆は空気にふれることで酸化が進みコーヒー本来の風味も損なわれてしまいます。
4. コーヒー豆にカビが生えてしまったら?
コーヒー豆にカビが生えてしまったら、残念ですがそのコーヒー豆は使わない方がいいです。目視で確認できるカビの範囲がわずかでも、容器内のコーヒー豆には胞子が大量に付着しています。
5. コーヒー豆に生えるカビはどんなカビ?毒性は?
コーヒー豆には、主にアスペルギルス属とペニシリウム属のカビが生えます。特に気をつけたいのがアスペルギルスです。
アスペルギルスの一部の種には発がん性のあるオクラトキシンAと呼ばれるカビ毒を産生するものがあります。日本国内でも輸入コーヒー豆からオクラトキシンAが検出された報告があります。
コーヒー豆に含まれるオクラトキシンAによって身体に影響がでる可能性は低く、カビ毒に汚染されたコーヒーを大量に飲まない限り健康に害が出ることはないと言われています。現在日本においても健康被害の報告はありません。
ですが、コーヒー豆に生えているカビがどんな種類で毒はあるのかどうかも素人目にはわかりません。何よりカビの生えたコーヒー豆から挽いたコーヒーはおいしくありません。絶対に安全、とは言い切れない以上カビの生えたコーヒー豆を使用することはやめましょう。
6. まとめ
今回はコーヒー豆のカビを防ぐ方法や、カビの生えにくいコーヒーの種類、コーヒー豆に生えるカビの特徴などをお伝えしてきましたがまとめると、
● コーヒー豆のカビを防ぐには、購入後ハンドピックを行い、欠点豆を除去する。
● コーヒー豆は高温多湿・直射日光を避けた場所で保管する。
● コーヒーはカフェイン含有量が多く、欠点豆が少ないものほどカビは生えにくい。
● コーヒー豆は多孔質構造をしており、吸湿しやすい。さらに高温多湿な環境にさらされる、密閉されていない容器に入れている、欠点豆を多く含んでいるといった要素が加わるとカビが発生しやすくなる。
● コーヒー豆に生えるカビにはカビ毒を産生するものがある。健康への影響は低いと考えられるが、念のためカビが生えたコーヒー豆は使用しない。
<参考>
- 厚生労働省 『食品中のオクラトキシンAの規格基準設定について』
- 坪内 春夫 他 『輸入生コーヒー豆のマイコトキシン汚染調査と毒素産生菌について』
- 田端 昭子 『東京都におけるカビ毒に関する調査研究』
- 日本スペシャルティコーヒー協会