将棋盤・碁盤にカビは生えやすい!?カビを防ぐためのお手入れや対策を詳しく解説

「久しぶりに遊ぼうと押入れから将棋盤を取り出したら、カビ臭くなっていた」
「数十万円する高級な碁盤を購入したから、絶対にカビを生やしたくない」

将棋や囲碁は、日本の伝統的なボードゲームで、ご自宅に将棋盤や碁盤を持っているという方もいらっしゃるでしょう。
これらの盤は一般的に天然木材で作られており、高湿度の環境や汚れが蓄積している状態だとカビが発生することがあります。

カビは見た目の問題だけでなく、盤の表面を損傷し、長期的な品質を低下させる可能性があります。
また、カビは胞子を飛ばしているため、それを吸い込むことで健康が脅かされることも考えられます。
そのため、日頃からカビが生えないように対策することが重要です。

この記事ではカビを防ぐためのお手入れ方法や、日々の生活でできる対策などをご紹介します。
自宅に将棋盤や碁盤を持っているという方は、是非この記事を参考にしてみてください。

この記事でわかること
・将棋盤や碁盤にカビが発生する原因
・将棋盤や碁盤のお手入れ方法
・駒や碁石のお手入れ方法
・将棋盤や碁盤のカビ対策方法

1.将棋盤・碁盤にカビが発生するとどうなる?

将棋盤や碁盤は、人によっては使用頻度が少なく、しばらく押入れの中に入れっぱなしという方もいらっしゃるでしょう。
保管状況が悪いと気付かないうちにカビが発生していて、取り返しがつかなくなることがあります。

まずは将棋盤や碁盤にカビが発生した場合、どのようなことが起こり得るのか解説します。

1-1.見栄えの悪さや不快な臭いの発生

将棋盤や碁盤に発生したカビは、美観を大きく損ないます。
黒、緑、白などの色をしたカビが、盤の美しい天然の木目を覆い隠し、その価値を下げてしまうでしょう。

さらにカビは繁殖する時に不快な臭いを放つため、それを嗅ぐと『カビ臭い』と感じてしまうかもしれません。
この臭いは室内に長く留まるため、換気をしても容易に消えません。

このような視覚的、嗅覚的な問題は、使用する際の楽しみを大幅に減少させ、遊びの質を低下させてしまうでしょう。

1-2.損傷や劣化の恐れ

カビは木材を分解し、損傷を与える生物です。
将棋盤や碁盤にカビが生じると、物理的な構造が徐々に弱まります。
表面の変色はもちろん、木材の脆弱化が進み、最終的には盤の使用寿命を短縮する恐れがあります。

もしそれを直すために業者に修理を依頼すれば、それだけ費用が発生します。
また、長期間放置されると修復が困難になり、処分して新しく買い替えるしか選択肢がないというケースもあります。

高級な盤を持っている場合は金銭的被害も大きくなりますし、思い入れがあるものだと処分するという選択をするのは非常に苦しいものになるでしょう。

1-3.カビが別の場所にも拡散

カビは胞子を飛ばして拡散するため、将棋盤や碁盤に生じたカビが周囲の環境にも広がるリスクがあります。

カビの胞子は空気中に漂い、他の木製品、布製品、さらには室内の壁や床にも着地し、新たなカビの発生を引き起こす可能性があります。

特に湿度が高い環境ではカビの胞子が繁殖しやすくなり、最悪のケースの場合、家全体にカビが拡散することも考えられます。
その場合は、カビ取りだけでなくリフォームも必要になり、莫大な費用が発生する恐れもあるのです。

1-4.健康への悪影響

空気中に放出されたカビの胞子を吸い込んでしまうと、健康被害が発生することがあります。

特にアレルギー体質の人や呼吸器系に敏感な人にとって大きな健康リスクです。
症状としては、アレルギー反応、呼吸困難、喘息の発作などを引き起こすことがあります。

またカビには毒性のある種類も存在し、これらが放出する毒素は重大な健康被害をもたらすかもしれません。
特に子供や高齢者、免疫力が低い人は影響を受けやすいので十分注意しましょう。

2.将棋盤・碁盤にカビが生える原因

そもそもカビというのはどのような状況で発生するものなのでしょうか。

まずカビは、以下の4つの条件が揃っている場所に発生しやすいと言われています。

  • 水分・湿度(60%以上)
  • 温度(20~30℃)
  • 栄養源(埃や手垢、食べカスなど)
  • 酸素

そのため、この4つが将棋盤や碁盤に揃ってしまうと、カビの発生リスクが非常に高くなります。

ではこの条件がどのようにして揃ってしまうのか、詳しく見ていきましょう。

2-1.高湿度の環境での保管

カビは水分を好むため、濡れている場所や高湿度の場所に発生しやすいものです。
そのため将棋盤や碁盤を高湿度の環境で保管していると、非常にカビのリスクが高くなります。

木材は湿気を吸収する性質を持っているため、湿度が高い空間では木材内部に水分が蓄積しやすくなるります。
梅雨のように湿度が高くてジメジメしている時は特に注意が必要です。

2-2.手垢などの汚れ

一般的な使い方をしているだけでも、将棋盤や碁盤には手垢や食品の油、埃などの汚れが付着することがあります。
これらの汚れはカビの栄養源となり、カビの成長を助長してしまいます。

盤の定期的な清掃を怠ると、これらの汚れが蓄積し、カビが繁殖しやすい環境を作り出してしまうのです。

2-3.天然の木材が使用されている

多くの将棋盤や碁盤は天然木材で製造されています。

まずは将棋盤や碁盤によく使用されている木材の種類と特徴を紹介します。

本榧(ほんかや)

本榧はイチイ科カヤ属の常緑針葉樹で、将棋盤・碁盤の素材として最高峰と言われています。
この木材は適度な弾力性と美しい木目を持ち、上品な香りが特徴です。
木目は非常に細かく、油分を豊富に含んでいるため、手触りが良く、見た目にも美しいです。
耐久性が高く、自然に傷などが修復される性質を持っているため、長年愛用されている方が多いのです。

新榧(しんかや)

新榧と呼ばれる木材は、実際には榧の木ではなく、北米原産のマツ科に属するスプルという種類の木です。
この木材は、木目が非常にまっすぐであり、白っぽい色をしているのが特徴です。

ヒバ

ヒバはヒノキ科に属する常緑針葉高木で、古くから建築材として使用されるほど丈夫で加工されやすい木材です。
黄白色をしていて、打ち味が少し柔らかいのがヒバの特徴です。

本桂

本桂はカツラ科に属する落葉樹木で、その特徴は茶褐色の木材であり、木目が美しいです。
打ち味はやや硬めで、時間が経つにつれて色は徐々に黒っぽく変化します。

新桂

新桂は東南アジア原産のナンヨウスギ科アガチスの木材で、本桂とは別物です。
木目がまっすぐできめが細かく、加工しやすいのが特徴ですが、反りやすいという難点もある木材です。

天然木材はその美しさや質感で魅力的ですが、湿気に非常に敏感です。
結露などで濡れている場所の近くや高湿度の環境などに置いていると、木材の高い吸湿性によりカビが発生しやすくなります。
天然木材はカビが発生しやすいということを理解し、十分に取り扱いに注意してください。

3.白カビ発生!?実はカビではないケースも

将棋盤や碁盤に白い粉状の物質が現れると「白カビが生えてしまった」と思う方も多いですが、実はこれは白カビではないことがあります。
長期間使用されずにいる将棋盤や碁盤では、表面に塗られたから白い粉が出ることがあるのです。

この現象は、蝋が乾燥し、表面に白い粉状の残留物を形成することによるものです。
この場合は乾いた布で軽く拭いてみるだけで綺麗になるので試してみてください。

4.将棋盤・碁盤のカビを防ぐための日々の対策

2.将棋盤・碁盤にカビが生える原因でお伝えした通り、カビは「水分・湿度」「温度」「栄養源」「酸素」が揃っている場所に発生します。

そしてこれらの条件のどれか1つでも欠けさせることができれば、カビの発生を抑制できます。
そのため以下の対策を行うようにしてください。

  • 適切な湿度管理をする
  • 手を洗ってから使用する
  • 使用後に柔らかい布で拭き取る
  • 保管場所に注意する

4-1.適切な湿度管理をする

カビは高湿度の環境を好むため、将棋盤や碁盤のカビを防ぐためには、室内の湿度管理が非常に大事です。
理想的な湿度は50~60%程度とされています。
湿度がこの範囲を超える場合は、エアコンの除湿機能や除湿機を活用し、湿度をコントロールすることが効果的です。

また、エアコン自体も内部にカビが発生しやすい製品の為、エアコンのクリーニングも定期的に行ってください。

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ちなみに木材は乾燥しすぎると、ひび割れを起こすことがあります。
湿度が低すぎても盤を傷める恐れがあるため、適度な湿度を心がけるようにしてください。

4-2.手を洗ってから使用する

カビは手垢などの汚れを栄養源にするため、将棋盤や碁盤を使用する前に手を洗うことが大切です。
これにより盤に油分や汚れが付着するのを防ぎ、カビの成長環境を作らないようにすることができます。

特に食事後や外出から戻った後など、手が汚れている可能性がある場合は、念入りに手を洗ってから盤を触るようにしましょう。
これはカビ予防だけでなく、将棋盤や碁盤の美しさを保つことにも繋がります。

4-3.使用後に柔らかい布で拭き取る

将棋盤や碁盤を使用した後は、手垢などの汚れが盤面に付着しています。
これらの汚れはカビの栄養源となり得るため、使用後すぐに柔らかい布で丁寧に拭き取るようにしましょう。
布で拭くことにより、汚れを効果的に除去し、カビの繁殖を防ぐことができます。

4-4.保管場所に注意する

しばらく将棋盤や碁盤を使用しないということもあると思います。

そんな時は、直射日光や湿度が高い場所は避け、通気性の良い涼しい場所に保管することが望ましいです。
押入れなど密閉された空間で湿気が多い場合は、カビの発生や木材の変形を防ぐために除湿剤を使用すると効果的です。

また、結露している窓の近くなど、濡れている場所の周りには置かないようにしてください。

出典:Amazon

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5.カビを防ぐためには定期的なお手入れが大事

カビは汚れが蓄積している場所に発生しやすいものなので、定期的にお手入れすることが大事です。

ここでは将棋盤や碁盤だけでなく、碁石や駒のお手入れ方法も含めてご紹介します。

5-1.将棋盤・碁盤のお手入れ

まずは将棋盤・碁盤のお手入れから紹介します。
やってはいけないことなども含めて解説するので、参考にしてみてください。

5-1-1.やってはいけないこと

将棋盤や碁盤のお手入れをする時、濡れた布で拭いたり、強い洗剤を使用したりするのは避けましょう。
これらは木材を傷め、変色や変形の原因となります。

基本的には乾いた柔らかい布で拭き取るだけにして、汚れが気になる時は後ほど紹介するやり方でお手入れをしてください。

5-1-2.定期的な乾燥が大事

将棋盤や碁盤を蔵や押入れなどの密閉された空間で長期間保管している場合、保管場所の換気を定期的に行うようにしてください。
何故なら密閉された空間では湿気が溜まりやすい傾向にあり、カビのリスクが高いからです。

また、定期的に保管場所から将棋盤や碁盤を出して、通気性の良い場所でしっかりと乾燥させることもカビ予防においては大切です。

5-1-3.汚れが目立つときは植物油でお手入れする

将棋盤や碁盤の表面が汚れたり、木が乾燥してきたように感じる時は、植物油を使ったケアが効果的です。
少量の植物油を柔らかい布につけて、盤全体を優しく拭きます。
この方法で木材に必要な栄養を与え、元のツヤを取り戻すことができます。

このお手入れをすることは、カビ予防だけでなく、盤の寿命を延ばすことにもなるので定期的に行いましょう。

5-2.将棋駒や碁石のお手入れ

将棋駒や碁石は頻繁に手で触れるため、手垢やその他の汚れが付着しやすいアイテムです。
これらの駒や石を常に清潔に保つことは、将棋盤や碁盤のカビ予防にも直接関わってきます。

5-2-1.将棋駒のお手入れ

将棋駒は細部まで丁寧に扱う必要があります。
使用後は柔らかい布を使用して、一つ一つ丁寧に拭くことが推奨されます。
これにより、汚れや油分が駒に蓄積するのを防ぎ、長期間にわたり駒の美しさを保つことができます。

5-2-2.碁石のお手入れ

碁石に関しては、白石と黒石で異なるアプローチが必要になる場合があります。
廉価品であればプラスチック製やガラス製だったりしますが、主流なのは白石は本蛤製、黒石は那智黒石というように、異なる素材が使用されています。

白石の汚れが目立つ場合は中性洗剤で軽く洗い、その後しっかりと乾燥させましょう。
一方で、黒石は時々植物油を薄く塗ってツヤを保つことが推奨されます。
これらの石の定期的な清掃とメンテナンスは、碁石の質感と美しさを長期に渡って保つことになるでしょう。

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6.それでもカビが発生してしまった時の対処方法

定期的なお手入れや日常的にカビ対策を行っていても、カビが発生してしまうことはあります。

カビを退治する為には次亜塩素酸ナトリウムやアルコールなどが有効です。
しかしそれらを将棋盤や碁盤に使用すると、色落ちしたり、シミになってしまったりするのでお勧めできません。

もし自力で行うようなら、5-1.将棋盤・碁盤のお手入れで紹介した方法でカビの汚れを除去し、日当たりの良い場所で日光消毒を行ってください。
直射日光に当てすぎると色あせやひび割れの恐れがあるため、長時間置いたままにするのは控えましょう。

また、日光消毒だけだとカビが死滅しきらないことがあるので、できれば業者に頼んでガス滅菌などをしてもらうのがいいでしょう。

カビ取り専門業者のハーツクリーンのガス滅菌は、医療機器の滅菌処理にも使われているほど強力なエチレンオキサイドガス(EOG)を使用しているので、しぶといカビの菌(真菌)でも完全に死滅させることができます。
またガス滅菌は水を使用しない為、将棋盤や碁盤のように水に弱い素材でも安心です。

もしカビの色素が奥まで入り込んでしまっている場合は、自力でのカビの汚れの除去が難しいので、将棋盤や碁盤の修理を行っている業者に任せるのが一番です。

将棋盤や碁盤は高級な物が多く、数十万円程するものもたくさんあります。
自己判断で間違ったカビ取りをして盤を傷めてしまうよりも、プロに任せてしまった方が安心でしょう。

7.まとめ

今回は将棋盤や碁盤のカビを防ぐためのお手入れ方法やカビ対策について解説しました。

カビが発生すると見栄えの悪さや不快な臭い、健康への悪影響などあらゆる被害が発生する恐れがあるため、カビを発生させないようにするのが重要です。
日々のカビ対策としては以下のことを注意して行ってください。

  • 適切な湿度管理をする
  • 手を洗ってから使用する
  • 使用後に柔らかい布で拭き取る
  • 保管場所に注意する

使用後は盤を乾いた布で拭いたり、定期的に駒や碁石を拭いたり洗ったりすることで、清潔に保つことができます。
これらのことはカビ対策だけでなく、盤の寿命を長くすることにも繋がります。

愛用の将棋盤や碁盤を長く使い続けるためにも、この記事で紹介した対策やこまめなお手入れを日常生活に取り入れましょう。

将棋盤・碁盤にカビは生えやすい!?カビを防ぐためのお手入れや対策を詳しく解説