食器洗い乾燥機のカビ対策

「食器洗いの手間を防ぐために、食器洗い乾燥機を購入したのですが、内側にカビが生えてしまいました。食洗器は専用の洗剤を使わないといけないくらいセンシティブな機械だと思うのですがどのようにしてカビを除去すればよいのでしょうか。またカビを防ぐためのお手入れ方法を教えてください。」

食後シンクにたまった食器たちをみるとため息がでそうになりますよね。そんなときに役立つ救世主のようなアイテムの食器洗い乾燥機ですが汚れを落とすものにもかかわらずカビが生えることがあります。

そこで今回は食器洗い乾燥機に生えたカビのカビ取り方法とカビを防ぐお手入れ方法についてご紹介していきます。

1. 食器洗い乾燥機のカビを落とす方法

食器洗い乾燥機のカビ取りは次の方法で行います。

1-1. 用意するもの

  • ゴム手袋
  • 塩素系漂白剤
  • 清潔なタオル2~3枚
  • メーカー指定の食器洗い乾燥機専用洗剤
  • 綿棒や歯ブラシ

1-2. 手順

① ゴム手袋をつけ皮膚を保護します。

② かごや残菜フィルター、排水口など取り外せるものは取り外します。

③ 取り外したパーツは規定量で希釈した漂白液に5~10分ほど浸け置きします。そのまま使えるスプレータイプの漂白剤であればパーツに直接吹きかけて5~10分程度放置します。

④ 庫内のカビが生えている部分に漂白剤を噴射、またはタオルを漂白液に浸しカビを拭き取ります。

⑤ 細かい箇所は綿棒や歯ブラシを使ってカビを擦り落とします。

⑥ 浸け置きしていたパーツを取り出し、漂白剤を洗い流します。また、水で濡らした別のタオルで庫内の漂白剤を拭き取ります。

⑦ パーツを元に戻し、食洗機専用洗剤で空運転(お手入れモードや標準モード)~乾燥までおこないます。

⑧ 運転終了後はすぐに扉をあけて内部に風を通し、水滴が残っていれば乾いたタオルで拭き取って終了です。

2. 食器洗い乾燥機のカビ取りのNG行為

食器洗い乾燥機のカビ取りをするにあたって、やってはいけないNG行為があります。それは、台所洗剤を使用して食洗機内を洗うことです。

台所洗剤は泡の発生量が多く、気密性の高い食洗機内ではすすぎきれず溶け残りが出やすいのです。また泡の影響で洗浄ノズルがうまく回らないこともあるようです。

洗剤の溶け残りはカビの栄養分になり、カビを取るどころかカビを再発させてしまいかねません。食洗機に台所洗剤を使用することはやめましょう。

他にも、重曹やクエン酸でもカビが取れるのではと考える方もいるかもしれません。確かに付着した油汚れは重曹で、水垢はクエン酸で落とすことが可能ですが、カビ取りとなると漂白剤の方が殺菌・漂白力ともに効果が高いです。重曹やクエン酸ではカビの黒い色素までは落とすことができません。

また、重曹は食洗機によっては溶け残りが出やすくつまりの原因になる場合もあるので使用は控えた方がいいでしょう。クエン酸でのカビ取りもある程度は可能ですがクエン酸が食洗機に残ってしまうと、残ったクエン酸もカビの栄養源になってしまうため使用はおすすめしません。食器洗い乾燥機のカビ取りには、漂白剤と専用洗剤を使うようにしましょう。

3. 食器洗い乾燥機にカビが生える原因

そもそもなぜ食器洗い乾燥機にカビが生えるのでしょうか。食器洗い乾燥機はその名の通り食器を洗い、乾燥させる機械です。汚れを落としてなおかつ乾燥させるならカビも生えようがない気もします。しかしながら食器洗い乾燥機にもカビを招く要因があるのです。カビが生える要素には次のようなことがあります。

① 食材の残りカスや洗剤成分がカビの栄養源になっている

食器洗い乾燥機には食材の残菜フィルターがついています。食器に残っている残菜が排水される際に詰まらないようにするためのストッパーの役割をしていますが、定期的にフィルターの掃除をしていないとその残りカスを栄養源にカビが生えてしまいます。

また、庫内に付着した油汚れや水垢、洗剤の溶け残りなどもカビにとっての栄養源となります。先ほどもお伝えしましたが、食器洗い乾燥機専用の洗剤ではなく台所用洗剤を使用していると、その泡の発生量の多さから溶け残りが出やすくなります。

さらに台所用洗剤には食器洗い乾燥機用の洗剤に比べて界面活性剤が多く含まれています。界面活性剤を特別に好んで栄養にするカビもいるため、専用の洗剤ではなく台所洗剤で代用している場合も食器洗い乾燥機にカビが生えやすくなります。

② 庫内に食器を放置している

食器洗い乾燥機を使用後、扉を閉めたまま放置していると庫内の湿気によりカビが生えやすくなります。乾燥させているから大丈夫と思ってしまうかもしれませんが、庫内の温度低下とともに庫内に残っていた水蒸気が庫内で再結露してしまいます。乾燥しているとはいえすすぎ後の水滴も多少は残ってしまいます。

このように庫内の湿気と残った水滴により食器洗い乾燥機にカビが生えてしまいます。それだけでなく、中に入れている食器にもカビが生えてしまうことがあります。

食器を片付けるのが面倒で、食器洗い乾燥機が食器入れと化していたり、洗っては食洗器から直接食器を取り出して使っているといったような場合もカビが生えやすくなります。

定期的に運転させることで庫内やタンク、排水部分の洗浄ができている面もあるため、時々使ってしばらく放置といったことを繰り返していると食器洗い乾燥機がカビのインキュベーターとなり内部に残った水分や食べカスを利用してカビが生えてしまいます。

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③ 掃除が不足

最近の食器洗い乾燥機は防菌加工を施しているものがほとんどですが、それでも日頃の手入れが不十分ですとカビが生えてしまいます。各メーカーから出ている食器洗い乾燥機にはそれぞれ目安となるお手入れ頻度や決まったお手入れ方法があります。

目につく汚れだけでなく、残さいフィルターや排水口、庫内各部の溝や隙間などぱっと見ただけでは分からない汚れもあります。手入れが不十分だと付着した食べカスや汚れ、水分によりカビが生えてしまいます。

④ 容量以上の食器を入れて洗っている

2回以上に分けて洗うのが面倒だからと一度に容量以上の食器を入れて洗っていませんか?容量以上の食器を入れて洗うとすすぎきれなかった汚れが食器や庫内に残ってしまいカビのリスクが高まります。同時にフィルターや排水口の詰まりの原因になります。

4. 補足~食器洗い乾燥機にはどんなカビが生えるの?~

カビには、湿った場所を好むもの、乾燥したところを好むもの、低温でも生きられるものなど様々な種類のカビがいますが多くのカビは暖かく湿度が60%以上で栄養分があると発生します。

しかし食器洗い乾燥機に生えるカビは極限状態でも生きられる非常に強力なカビが生えます。その名も「エクソフィアラ・デルマチチディス」。E.デルマチチディスは高温のお湯や大量の洗剤、酸性やアルカリ性の水でも死なないという特徴があります。

E.デルマチチディスの病原性は低いですが、食器を通じて体内に入り、免疫力が下がっていると感染症になることもあるようで注意が必要です。食器洗い乾燥機に生えたカビを見つけたら速やかにカビを取り除きましょう。

5. 食器洗い乾燥機のカビを防ぐ方法

5-1. カビが生えやすい食器洗い乾燥機の特徴

食器洗い乾燥機には主にプルダウン式(前開き型)、ビルトイン型(キッチン一体型)、卓上型があり、日本の家庭の多くはビルトイン型もしくは据置型(卓上型)です。ビルトイン型は大容量で一度に多くの食器が洗える上、キッチンに組み込まれているため場所も取らないという良さがあります。

据置型は大掛かりな工事が不要で少人数で暮らすご家庭に向いています。それぞれに良さがありますが、同じように手入れをしていても実のところ据置型の方がカビは生えやすいのです。

理由は、据置型はビルトイン型に比べゴムパッキン部分が多くその裏側に水が入り込みやすいこと、パッキンの裏側は十分に高温にならないため殺菌されにくいということがあります。加えて、洗浄後の庫内の水滴量も据置型の方が多いと言われています。だからといって据置型は良くないというわけではなく、よりこまめな手入れの必要があると言えるでしょう。

5-2. カビを防ぐお手入れ方法

食器洗い乾燥機はパーツが細かく、カビが生えてしまうと取りにくいです。衛生的にもよくありません。普段からお手入れをおこない、カビを未然に防ぐことが鍵になります。お手入れ方法は基本的に各メーカーの取扱説明書に従って行いますが、カビを防ぐことに関しては次のことを心掛けましょう。

① 残菜フィルターの残菜は使用毎にブラシなどを使って取り除き、洗う。

② メーカー指定の洗剤・クリーナーを使用する。

③ 汚れがひどい食器は予洗いをしてから食洗機にかける。

④ 食器洗い乾燥機の容量を守る。

⑤ 月1回を目安に本体の洗浄、漂白を行う。

⑥ 付着したソースや食べカス、油汚れは気づいたら拭き取る。

⑦ 使っていないときは、庫内は空にしておく。可能なら扉はあけておく。庫内全体に消毒用エタノールを吹きかけておくと効果的。

5. まとめ

今回は食器洗い乾燥機にカビが生える原因とカビ取り方法、そしてお手入れの仕方についてお伝えしてきましたがまとめると、

● 食器洗い乾燥機のカビは塩素系漂白剤と専用洗剤で除去する。

● 食器洗い乾燥機内の残菜や水滴が主なカビの原因となっている。

● 食器洗い乾燥機には高温に強いエクソフィアラ・デルマチチディスというカビが生える。

● ビルトイン型と据置型では、据置型の方がパッキン部分・水滴量の多さなどカビが生える要素が多い。

● 食器洗い乾燥機のお手入れは各メーカーの取扱説明書に従い、こまめな掃除と消毒用エタノールによる殺菌をおこなう。

となります。

食器洗い乾燥機にカビが生えるとやがて食器にもカビが生え、その食器を使うことで最終的にカビが体内に入ってしまう可能性があります。

安心・安全な食事のためにも食器洗い乾燥機はいつもきれいな状態を保ちたいですね。

<参考>

●パナソニック株式会社

●浜田信夫 『カビの取扱説明書』 2020 角川書店

●浜田信夫 『食器洗い乾燥機は好温性カビの孵卵器か?』 日本菌学会大会要旨集 2013 日本菌学会