珪藻土の壁に生えたカビはカビキラーで落とせるの?
珪藻土の壁がきれいだと室内は明るく見えて気持ちが良いですよね。
健康的で環境にもやさしい自然素材で室内を清浄に整えてくれると人気の珪藻土の壁です。
珪藻土の壁は湿気や臭いがこもりやすい部屋に最適です。しかし、珪藻土にポツポツと斑点のようなシミが出来ていることがあります。
この斑点のようなシミの正体はカビです。
カビが発生しているお部屋で過ごしていると、シックハウス症候群などの健康被害が出ることがあります。
珪藻土の壁はしっかりとお手入れをすればカビが発生しにくい環境を作ることができます。
そのため、快適に過ごすためにも珪藻土の壁のカビ対策をしていきましょう。
今回は、珪藻土の壁にカビが生えてしまったらカビキラーで落とせるの?という疑問にお答えし、珪藻土の壁のカビ予防方法などもご紹介していきます。
目次
1.珪藻土の壁に生えたカビはカビキラーで落とせるの?
カビキラーやカビハイターをはじめとする塩素系のカビ取り剤は浴室内で発生したカビの除去を目的としているため、カビ取り剤として使用した場合、水でしっかりと洗い流す必要があります。ごく一部の小面積に使用し、すぐにふき取る程度でしたら使用することも可能ですが、そうでないなら、室内の珪藻土の壁のカビ取りに使用するのは難しいでしょう。
また、気を付けていただきたいことがカビキラーは漂白剤なので、壁が脱色されてしまう可能性があることと、カビキラーの臭いが残ってしまう可能性があるということです。
1-1.珪藻土ってどんなもの?
珪藻土とは海や湖畔などの水中に生息する植物性プランクトンの珪藻が海底や湖底にたまり、それが長い年月をかけて徐々に分解され、二酸化ケイ素を主成分とした化石となります。
ちなみに、よく乾燥材として使用されているシリカゲルはこの二酸化ケイ素を加工して作られたものです。
この珪藻の化石からできた岩石が珪藻土なのです。
珪藻土を固めるために、製品によって固化材を使用しています。
この固化材の配合や使用している材料は製品によっても異なるため、カビに強いものと弱いものがあるのです。
また、湿気を吸ってくれるため壁材や不純物を取り除くためのろ過や耐火性と断熱性に優れているため七輪の材料やバスマットやコースターなどの水切りとしても使用されています。
珪藻土の表面にはミクロレベルの小さな穴がたくさん開いており、この穴が水分を吸収しています。
そして、珪藻土はこの吸収した水分を放出する性質もあるので手入れをすることで長く使用することができます。
1-2.珪藻土にカビが生える原因
カビは、温度20℃~30℃、湿度60%以上でカビの栄養分となるホコリや汚れなどがある環境であればどこでも発生します。
珪藻土には室内の湿気を吸収する働きがあることからカビが発生しにくいというイメージがある方も多いのではないでしょうか?
しかし、珪藻土にはカビの菌を殺菌したり、抑制するというようなはたらきはありません。
また、珪藻土も無限に湿気を吸えるわけではないのです。
私たちは体から一日に4.0リットルも水分が発生するのです。
炊事では1.6リットル、家事で1.0リットルと、意外と多くの水分が発生しており、一日に発生する水分の合計はなんと9.4リットル、一か月で282リットルもあるそうです!
珪藻土がこの湿気を吸収し、換気をしないでいると部屋の湿度がすぐに上がってしまうことがわかります。
珪藻土が吸った湿気を放出できないでいるとやがて湿気を吸わなくなってしまうのです。
他にも、珪藻土の壁に飲み物や醤油などの調味料が飛び散ってしまったりしたものを放置してしまう、畳の湿気が原因でもカビが発生したりします。
珪藻土の壁にカビを発生させないためには、日ごろの掃除と湿気対策が効果的です。
1-3.珪藻土を掃除するときの注意点
珪藻土は強くこすったりすると壁が削れてしまいます。
そのため、掃除機がけや拭き掃除はせずにハタキや乾いたスポンジなどでそっとホコリを払う程度にしましょう。
軽いシミや汚れは消しゴムを使用すると落とせるものもあります。
また、珪藻土のカビや汚れはサンドペーパーを使用して削り取るという方法もありますが、室内の壁の場合削りカスが大量に出ると掃除も大変になります。
カビが発生している場合には削りカスにもカビの菌が含まれているため、削りカスが舞って室内にカビをまき散らしてしまうことになるだけでなく、吸い込んでしまうと呼吸器官に影響が出る可能性もあるため珪藻土の壁のカビ取りにサンドペーパーを使用するのはあまりおすすめできません。
2.珪藻土のカビ取り応急処置
2-1.消毒用エタノールを使う方法
消毒用エタノールはカビの殺菌ができますが、カビを漂白する作用はありません。
そのため、珪藻土の壁にカビによる着色がある場合には、その2の方法でカビを除去しましょう。
用意するもの
- 消毒用エタノール(70~80%濃度)
- スプレーボトル
- 布
- マスク
- 手袋
①珪藻土の壁のホコリをハタキなどで落としておきます。
②珪藻土の壁のカビが発生している箇所と周辺にもまんべんなく消毒用エタノールをスプレーします。
③布でやさしく水分を拭き取り、しっかり乾燥させます。
(部屋の換気、エアコンや扇風機、サーキュレーター、ドライヤーを使用するとすばやく乾燥させることができます。)
※注意点※
消毒用エタノールで色落ちしてしまうこともあるので、必ず目立たない場所で事前に問題がないか試してから全面におこなってください。
消毒用エタノールは珪藻土の一部分だけにスプレーすると色がそこだけ浮いて目立ってしまうこともありますので、スプレーするときは周辺の壁にもまんべんなくした方が良いです。
消毒用エタノールは引火することがありますので、完全に乾燥するまでは火気厳禁です。
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2-2.次亜塩素酸水を使う方法
カビキラーなどの通常のカビ取り剤は水で洗い流しが必要なため、珪藻土の壁に使用することが難しいです。
さらに、塩素系漂白剤が使用されているため、珪藻土の色落ちや壁にダメージを与えてしまいます。
その場合には、次亜塩素酸水を使う方法もあります。
通常のカビ取り剤より高価になりますが、珪藻土の壁以外の場所にも畳、布団、木材などにも使用できるタイプのものもありますので購入しておくと便利です。
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出典:Amazon
2-3.プロレベルのカビ取りをするならカビ取りマイスターキット
カビ取り業者のハーツクリーンが開発したカビ取り剤のカビ取りマイスターキットは、実際に業者が使用している液剤を誰でも使えるように改良した商品です。
そのため自宅でプロレベルのカビ取りができますし、危険な成分は含まれていないため珪藻土の壁のカビ取りにも使用できます。
3.珪藻土の壁のカビ予防方法
3-1.湿度管理をしましょう。
珪藻土の壁の付近に湿度計を設置し、湿度が60%以上になっていないか確認しましょう。
湿度が65%を超えると、結露が発生し、カビやダニも発生しやすくなります。
快適な室内湿度は、夏は55~65%、冬は45~60%と言われています。
冬などの乾燥する時期に加湿器を使用する場合にも加湿のしすぎに気を付けましょう。
カビを予防しつつ、お部屋を快適な環境にするには、湿度50%前後に保つのが良いでしょう。
3-2.湿度を下げる工夫をしましょう。
湿度を下げるためには
①湿度が低い天気の良い日に窓を開けて換気をする。
②調理や入浴後は換気扇を回す。
③エアコンのドライ運転や除湿機を使用する。
④扇風機やサーキュレーターを使用して室内の空気を循環させる。
⑤家具を置く場合には壁から少し離して(5センチ程)置く。
などの工夫があげられます。特に結露が生じている場合には、カビがあっという間に広がる可能性があるため、換気や除湿をしっかりと行って、カビを防ぎましょう。
3-3.カビ防止剤を使用する。
珪藻土のカビを除去したあとに、カビ防止剤を使用することでさらに強力にカビを予防することができます。
珪藻土に使用できるカビ防止剤はホームセンターやインターネット等で購入することができます。
ハーツクリーンで独自開発しているカビ取り剤の「クリーンプロテクション」は、除カビ剤と防カビ剤どちらも入っているので、用途に応じて使う事ができます。
珪藻土だけでなく、壁紙やフローリングのカビ取りにも使用できますので、カビ取りしつつカビの再発を防ぐための防カビ加工をしたい方におすすめです。
3-4.壁のリフォームでカビ対策
珪藻土は、吸湿性が高いため、湿気は吸収してくれるのですがそれ自体が湿気を含みカビやすい素材です。そのため、もしも珪藻土のカビが再発して、根本的にカビ対策をしたい場合には「壁を違う素材に変更する」ためのリフォーム工事をおすすめします。
また、カビ発生を機に「結露の起こりにくい内装にしたい」「換気扇を設置したい」「カビの生えた汚い壁を一掃して美しい壁にしたい」という方は、リフォーム工事を行うことでカビの再発を防いでいきましょう。
広範囲にカビが生えている場合には、壁を塗り替えるという方法もあります。
しかし、壁を塗り替えても普段のお手入れや環境によってはカビが再発してしまうことも考えられます。
また、カビ取り専門業者であれば、珪藻土の壁のカビ取りだけでなく、カビの原因から普段のお手入れ方法なども教えてもらうことができます。
まとめ
珪藻土は吸湿性が高く、カビの生えやすい素材です。カビキラーはお風呂場など洗い流すことのできる場所でのカビ取りには適していますが、洗い流すことのできない珪藻土の壁には、おすすめしません。
そのため、珪藻土にカビが生えたら応急処置として消毒用エタノールや次亜塩素酸水を使う方法がありますが、珪藻土は繊細な素材であるため、できればカビ取り業者に依頼して、しっかりとカビ取りをされることをおすすめします。
また、珪藻土の壁に何度もカビが再発してしまう場合にはカビ取りと同時にリフォーム工事を行い、カビの生えにくい壁紙に変更する工事も検討してみると良いでしょう。
<参考文献>
・高橋矩彦『簡単!住まいのDIYマニュアル壁塗り[珪藻土・漆喰]』2016年、中央精版
・鈴木昌子『壁塗り実例&実践百科』2014年、学研