カメラレンズにカビが発生する理由と安全な除去方法|保管場所や日常ケアのコツをプロが伝授

カメラやメガネのレンズに白い斑点やくもりが・・・。それ、もしかしたらカビかもしれません。

カメラやレンズにもカビが生えるの?と疑問に持つ方も多いでしょう。
この記事では、レンズにカビが発生する原因と安全にカビを取り除くための手順、さらに日常のお手入れ方法保管のポイントまで、プロの視点で詳しく解説します。

レンズにカビが生えると、写真の質が落ちてしまったり、レンズの寿命を縮めることにもなりかねません。
大切なカメラやメガネを長く使うためのヒントとして、ぜひお役立てください。

この記事で分かること
・レンズにカビが生える原因
・カメラのレンズのカビを取る方法
・カメラのレンズのお手入れ方法
・レンズのカビを防ぐ保管方法

レンズにカビが生える原因

カビが発生しやすい条件は、気温20℃以上、湿度60%以上です。

ここにカビの栄養分となるホコリや手あかなどの汚れが加わることでカビが発生します。

「レンズには栄養分になるようなものはなさそうなのになぜ?」

と疑問を持つ方もいると思います。

レンズ自体にはカビの栄養分となる要素はありませんが、レンズに付着した手の皮脂やホコリがカビの栄養源となっているのです。

食品や建材などのように、そのものが栄養源となってカビが発生するものと、直接カビの栄養にならないものでもカビが発生することもあります。

カビは温度、湿度、栄養分の三つの条件がそろうことで発生します。

レンズに付着した油分というのは拭き取っても微量に残っています。そのわずかな油分を栄養源として少しずつ長い時間をかけてカビが繁殖していくのです。

また、少しの湿気があれば比較的乾燥した場所でも生育できるカビもいるのです。長い時間をかけて繁殖したカビはしつこく、簡単には落とせないのです。

これがレンズにカビが生える原因です。

レンズにカビが生えるとどうなるの?

カメラのレンズにカビが生えた場合には、多少であれば写真写りに影響はありませんが、カビが繁殖していくと写真にカビが写り込んでせっかく撮った写真を台無しにしてしまいます。

また、カビが発生しているコンタクトレンズやメガネを使用し続けると、目のトラブルの原因となります。

特にコンタクトレンズの場合には目に直接つけるものなので、カビが生えてしまったら絶対に使用しないで捨てるようにしてください。

カメラのレンズのカビ取り方法

カメラのレンズの表面に生えたカビを取る方法です。

精密機器ですので、傷や故障などを防ぐためにも基本的には、カメラのメーカーや修理業者に問い合わせすることをおすすめしますが、応急処置として活用できる除カビ方法をご紹介します。

用意するものは

  • レンズクリーナー
  • 中性洗剤またはシェービングフォーム
  • メラミンスポンジ
  • ブロアー
  • クロス

①レンズを分解します。

②レンズに中性洗剤またはシェービングフォームを少量つけてメラミンスポンジで拭きます。

③カビが落ちたらレンズを水でよく洗います。

④水分を拭き取り、クロスで指紋や汚れがつかないようにしながら、ブロアーでホコリを飛ばします。

※注意点※

メラミンスポンジは強くこすってしまうとレンズを傷つけてしまうので注意してください。

カメラのレンズの表面に生えた軽度のカビであればこの方法で対処できますが、レンズの内部にまで生えたカビは対処が困難となります。また、カメラは精密機器のため、分解すると故障の原因となります。表面だけのカビ取りでは落とし切れなかった場合はカメラメーカーやカメラ屋の修理を依頼しましょう。

出典:Amazon

レンズの保管場所にも気をつけましょう。

保管する部屋自体にも気を付け、通気性を良くし、掃除をしてホコリなどを除去しましょう。メガネやカメラをしばらく使用する予定がないときはしまったままにせずにときどきメンテナンスをするのが良いでしょう。

カメラをバッグや押し入れの中にしまっておくとカビが生える原因になりやすいです。

バッグや押し入れは空気が滞留しやすく、湿気もこもりやすいのでカビが繁殖する条件が整っています。その状態でカビの栄養源となるものがあればどんどんカビが繁殖していってしまいます。

カメラの保管場所で一番良いのは防湿庫ですが

家にない!買っても置く場所がない!という方も多いと思います。

そこでおすすめなのが、密閉できるケースにカビ防止剤と押し入れ用などの乾燥材を一緒に入れてカメラを保管するとカビを防止することができます。

カメラのレンズの手入れ方法

用意するもの

  • ハケ(ホコリがくっついてしまわないように静電気を帯びないものがおすすめです。)
  • ブロアー
  • マイクロファイバークロスなど

①ハケでレンズの外側の砂やホコリを払い落とします。

②マイクロファイバークロスで保護フィルターを拭きます

③レンズキャップのホコリをブロアーで吹き飛ばしレンズに装着します。

ブロアーを吹き付けるときにはレンズを下に向けて吹き飛んだホコリがまたレンズにつかないようにしましょう。

レンズの内側(ボディ側)は触れていなければ皮脂などで汚れていることはないので指で触ったりクロスで拭く必要はありません。

出典:Amazon

出典:Amazon

カメラやメガネのレンズのカビを予防する方法

定期的にお手入れしよう

使用した後のレンズの掃除や手入れは入念に、定期的に拭き取りなどをするようにしましょう。カメラやメガネなどを使わないときは、ホコリがつくのを防ぐために必ずケースに入れて保管してください。

また、湿気がついているとカビが生える原因となってしまいますので、乾燥させてから保管しましょう。

一眼カメラのレンズに保護フィルターがついているか確認しましょう。ついていない場合は購入することをおすすめします。

保護フィルターはむき出しになっているレンズの表面をホコリや傷から守ってくれます。

保管場所にも注意

カメラやメガネの保管場所にも気を付けましょう。

押し入れや引き出しなどは空気が滞留し、湿気がたまりやすいです。そのため、定期的に開放して換気をしましょう。

■関連記事■押入れは開けっ放しが正解?白カビを防ぐ対策&カビ取り方法を徹底解説

メガネは汚れが気になってきたらときどき水で洗いましょう。

汚れがひどい場合には中性洗剤を使用して洗ってください。

その後にレンズ、フレームの部分も水分をティッシュやタオルでしっかりと拭き取り、最後にメガネ拭きなどでやさしくホコリや汚れを拭き取りましょう。

※注意点※

  • お湯を使用するとレンズが膨張したり、フレームが曲がるなど破損してしまいますので必ず水を使用してください。
  • 洗剤を使用する場合には食器洗剤などの中性洗剤にしましょう。
  • せっけんなど酸性やアルカリ性のものを使用するとレンズのコーティングが剥がれてしまいますので注意してください。
  • べっ甲フレームなどのメガネは水で洗うのもNGです。
  • その場合にはクリーナーを使用するかメガネ店で洗浄してもらいましょう。

専門業者に依頼してレンズのクリーニングとメンテナンスをしましょう。

メガネの専門店、カメラの専門店やクリーニングの業者に依頼してレンズのカビをクリーニングすることができます。

料金はレンズの種類やカビの度合いによって変わってきますので、見積もりを依頼すると良いです。

お金はかかりいますが,自己流でレンズのカビを除去しようとしてかえって劣化させてしまった!なんてことにならないようにプロにおまかせしてしまうというのも安心なひとつの方法です。

特に高価なレンズを使用している場合にはカメラ専門店を使用した方が良いでしょう。

カメラ専門店であれば、メーカーからの修理認定を受けているところもあり、保証期間が長いです。

まとめ

カメラやメガネのレンズに白い斑点やくもりが現れたとき、それがただの汚れではなく「カビ」である可能性は十分にあります。レンズにカビが生えると、撮影した写真の画質が落ちるばかりか、レンズ自体の寿命にも関わります。メガネやコンタクトの場合は、衛生面の問題から目の健康を損なうリスクもあるため、決して軽視できません。

カビは「湿度」「温度」「栄養源(皮脂・ホコリなど)」がそろうことで発生します。特にレンズに付着したごく微量の皮脂やホコリが長期間放置されることで、少しずつ繁殖してしまうのです。

カメラのレンズにカビが生えてしまった場合、軽度であれば表面を中性洗剤や専用クリーナー、ブロアーなどを使って除去できることもあります。ただし、内部にまでカビが進行しているケースでは、無理に分解せず、専門の業者にクリーニングを依頼するのが賢明です。自己流での分解や清掃は、レンズや機器を傷めるリスクがあるため注意が必要です。

また、レンズにカビを生やさないためには、日常のケアと適切な保管が欠かせません。使用後の拭き取り、ホコリ除去、乾燥させてからの収納が基本となります。防湿庫があれば理想的ですが、密閉ケースに乾燥剤と防カビ剤を入れて保管するなど、家庭でも実践できる対策は多くあります。

メガネについても、レンズの材質やフレームの素材に応じて適切な洗浄・乾燥を行い、清潔な状態を保つことがカビ予防につながります。特にべっ甲フレームなど水に弱い素材のものは、専門のクリーニングや店舗でのメンテナンスを利用しましょう。

カビは一度発生すると落とすのが難しく、再発しやすいのが特徴です。だからこそ、「予防」と「早期発見・早期対処」が何よりも大切です。大切なカメラやメガネを長く使い続けるために、日々のケアと適切な保管を習慣にしましょう。必要に応じてプロの手を借りることも、安心して機器を守るための有効な選択肢です。

■関連記事■プロジェクターのレンズのカビを防ぐ方法
■関連記事■メガネケースのカビ取り&カビ対策!メガネの鼻パットの汚れについても解説
■関連記事■カビが生えたテープをそのまま再生したらどうなる?安全にカビを取り除く方法を徹底解説

<参考文献>

・朝倉邦造『カビのはなし‐ミクロな隣人のサイエンス‐』2013年、朝倉書店

・リンダ・コブ『そうじの女王が教える世界一のそうじ術』2008年、エクスナレッジ

・日本防菌防黴学会『菌・カビを知る・防ぐ60の知恵』2015年、化学同人