カビ臭い衣類を天日干ししたらカビ対策したことになるの?

肌寒くなってきて冬物のコートやカーディガンを久しぶりに出したときになんだかカビ臭いという経験はありませんか?

今日着たかったのにカビ臭いと着ることができずに困ってしまいますよね。

カビ臭い衣類をすべてクリーニングに出すとなると費用も結構かかりそうだし、できれば自宅でなんとかしたいという方も多いと思います。

今回は天日干しによる日光消毒でカビは殺菌できるのか?という疑問や衣類にカビが発生する原因と対策からクリーニングを利用すべきか?という疑問にもお答えしていきます。

1.天日干しはカビ対策になる?

結論から言うと、天日干しはカビ対策になります!

カビは日光に長くさらされる場所では生育することができません。

日光に当てる天日干しにより太陽光に含まれる紫外線によってカビを殺菌することができます。

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太陽から発散される紫外線はカビにとって大敵となります。

晴れた日に日光に当てることで、紫外線と乾燥によってカビを死滅させることができます。

カビは30℃より高温になるにつれて死滅していき、青カビや黒カビなどは55~60℃になると10分以内でほとんど死滅します。

例えば、夏の晴れた日に布団などを天日干しすると、布団の表面温度は50℃近くになります。

黒い布やカバーをすると表面温度はさらに上昇し、速く乾燥させることもできてカビを殺菌することもできます。

カビを殺菌させるためには乾燥も重要です。

カビの増殖には水分が欠かせないので、速く乾燥させるためにも日光に当てることは有効といえます。

2.衣類にカビが生える原因

カビは20℃以上の温度、湿度60%以上、栄養分となる汚れがある環境で発生します。

衣類に付着した汗や汚れをしっかりと落とし切れていない状態やしっかり乾いていない状態でしまうと汚れの上にカビが生えたりもします。

他にも、洗濯機の洗濯槽にカビが発生している場合には、洗濯している最中に衣類にカビや雑菌が付着してしまっています。

また、新品の衣類など、デンプン糊をつけて長い間しまっておいてもカビが発生します。

カビは一度繁殖するとなかなか落とせず、再発してしまうということもあります。

一見通常の洗濯で落とせたように見えても、目に見えない菌糸が服に残っていたりすることがあります。

すると、時間が経過してからカビが再発してしまうのです。

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3.どのくらいの時間干せば良いのか?

綿布にブドウ球菌を含む水を染み込ませ日光に当てて菌数を計測した実験では、気温5℃、湿度40%の晴れの日に日光がよく当たる屋外に天日干しして、10分、30分、60分の時間経過ごとに菌数を検査したところ、開始直後の菌数8100万cfu(cfuは菌量の単位)でした。

これに対し10分間日光に当てたものは1万3000cfu、30分間で360cfuとなり、60分間は0cfuとなり、菌は検出されませんでした。

また、日陰に置いたものは10分間で1600万cfu、30分間で470万cfu、60分間で270万の菌が残存していました。

カビではなくブドウ球菌ですが、これらの実験から気温の低い冬場でも晴れた日であれば、天日干しによる日光消毒が有効であるということがわかりました。

日光消毒とは、日光がよく当たる屋外で消毒したい物を日光にさらし、紫外線を利用して殺菌する方法です。

一日のうち太陽の高度がもっとも高くなる12時前後が紫外線の量が多く、日が沈むにつれて紫外線の量は落ちていくので、日光消毒をする時間帯は湿度も低い10時から14時頃がおすすめです。

また季節によっても紫外線の強さは変わってくるので、夏であれば1~2時間、冬であれば2時間~3時間程度日光に当てるのが効果的です。

布団などの場合は太陽に当たっている面の日光消毒は効果がありますが、表面だけの消毒になってしまうので、2時間程度干したら裏返して両面まんべんなく日光に当てることが大切です。

4.天日干しに適する素材と適さない素材

紫外線を吸収しやすい色や素材の衣類は長時間にわたって天日干しすると、変色や生地が傷むなどの劣化が起きてしまいます。例えば、シルクやウールは紫外線に長時間当てると変色する恐れがあります。この場合は風通しの良い日陰で陰干しするなどして、素材の劣化を防ぎましょう。

長くても2時間程度で取り込むようにしたり、直射日光を避け、日陰干しするなどの注意や工夫が必要です。

天日干しで日光消毒する際には、洗濯表示を確認し、素材を傷めない方法で行いましょう。

5.衣類の臭いを防止する方法

衣類の臭いを防止するために大切なことは、しっかりと洗濯することです。

カビや雑菌が付着した衣類は、50℃程度のお湯につけて殺菌すると臭いが発生するのを防ぐことができます。

また、洗濯機の洗濯槽が汚れてカビや雑菌が発生していることも衣類が臭う原因になります。

定期的に洗濯槽の掃除をしてカビや雑菌が衣類に付着しないようにし、洗濯の際にお風呂の残り湯を使用するのはなるべくやめましょう。

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洗濯したあとの衣類はなるべく速く乾燥させるようにしましょう。

晴れた日に天日干しをすることや、乾燥機を使用したり、アイロンをかけるなどが有効です。

乾燥機やアイロンを使用する際には、衣類の表示を確認してから行うようにしましょう。

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6.衣類のカビの除去方法

用意するもの

  • 酸素系漂白剤(ワイドハイターやオキシクリーンなど)
  • ぬるま湯
  • バケツや洗面器、ゴム手袋など

出典:Amazon

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①40℃くらいのお湯に酸素系漂白剤をよく溶かします。

②カビが生えた衣類を浸け込みます。

③30分程度放置したあと通常の洗濯をして完了です。

※注意点※

必ず換気をしながら作業してください。

ウールや絹などタンパク質の繊維や木製ボタンなど自然素材の飾りがついた衣類には使用できませんので注意してください。金属部品も変色する恐れがある為、注意してください。

7.衣類のカビの除去方法~頑固なカビの場合~

用意するもの

  • 粉末の洗濯洗剤
  • 粉末の酸素系漂白剤
  • 固形石けん
  • 歯ブラシ
  • ぬるま湯
  • バケツや洗面器など

出典:Amazon

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①汚れが気になる部分を濡らし、固形石けんをこすりつけます。

②歯ブラシを使用して汚れをこすり、薄くなってきたらすすぎます。

③ぬるま湯に粉末の洗濯洗剤と粉末の酸素系漂白剤を溶かし、衣類をつけ置き洗いします。

つけ置きする時間は1時間を目安に汚れ具合をチェックして適宜調節してください。

④汚れが落ちたら通常の洗濯をして乾かして完了です。

※注意点※

ぬるま湯を使用する際に、白い服は約40℃くらい、色物は約30℃くらいにしてください。

8.衣類の保管場所の注意点

衣類を保管する際にカビを発生させないようにするために重要なことは以下になります。

①保管場所の湿度管理

衣類を保管する際にクローゼットやタンスなどにしまうという方は多いと思います。

クローゼットやタンスはときどき開放して風通しをよくすると湿気がこもるのを防ぐことができます。

部屋に湿度計を設置し、湿度が60%以下になるように管理するとカビが発生するのを防ぐことができます。

湿度を下げる方法は、扇風機やサーキュレーターで空気を循環させたり、換気扇を回したり、除湿機や除湿剤を設置する、エアコンのドライ運転などさまざまな方法があります。

出典:Amazon

エステー ドライペット クローゼット用

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出典:Amazon

②衣類を長期保管する際におすすめなグッズ

光触媒加工された衣類カバーが販売されています。

光触媒とは、太陽光や室内の蛍光灯などの光に反応し、カビの発生を抑制する物質のことです。

服を保管する際に、かぶせておくだけで服をカビやホコリやにおいから保護することができます。

100円ショップでも取り扱いがある店舗もありますので手軽に入手できるのも便利です。

クリーニングに出したあとのビニールのカバーは空気を通さずに湿気がこもってカビが生えてしまう可能性がありますので通気性の良い不織布でできたカバーを使用するようにしましょう。

9.クリーニング店に依頼

コートやカーディガンなどの素材によっては、自宅で水洗いできる素材と水洗いできない素材があります。

水洗いできない素材の場合には、費用はかかってしまいますがクリーニング店に依頼した方が安心です。

最近では、宅配クリーニング店も増えており、忙しい方や一度にたくさんクリーニングに出したい場合などでも便利に利用できるようになっています。

衣類にカビが発生している場合に、白カビであれば通常のクリーニングで除去することができます。

黒カビの場合には通常のクリーニングだけでは落とすことができませんので、シミ抜きなどを別途依頼する必要があります。

また、クリーニング店によっては、洋服の防カビ加工を実施している店舗もあります。

ご家庭でできるカビ防止対策と併せておこなうとより効果的にカビを防ぐことができます。

10.ガス滅菌による衣類のカビ取り

天日干しができない衣類や、クリーニング店での除カビが難しい衣類などには、ガス滅菌を用いた除カビがおすすめです。

高い技術力によって生み出されたガス滅菌法を用いることで、衣類や小物類をまとめて除カビできる方法です。

ハーツクリーンではガス滅菌の自社工場で、安全性に考慮した除カビ作業を行っております。1箱(140サイズ)~

受付しておりますので、カビ臭い衣類や小物類をまとめて除カビしたい方に喜ばれています。

<参考文献>

・朝倉邦造『カビのはなし‐ミクロな隣人のサイエンス‐』2013年、朝倉書店

・新名史典『ビジュアル図解洗浄と殺菌のはなし』2013年、同文舘

・高麗寛紀『図解入門よくわかる最新抗菌と殺菌の基本と仕組み』2012年、秀和システム

・産経新聞:2014年2月14日(金)掲載記事

・中村祐一『おうちで簡単洗濯上手』2010年、大泉書店

・三田村美保『お気に入りを長く着る衣類のお手入れ洗濯・しみ抜き・つくろい・しまい方』2016年、NHK出版

・本橋ひろえ『ナチュラル洗剤で安心・ラクチンおそうじ虎の巻』2016年、ディスカバー

・幕内和博『今すぐ役立つ!「洗い方・乾かし方」の早引き便利帳』2012年、泰文堂

・池田豊『洗濯・衣類のきほん』2007年、池田書店