絨毯に生えた黒カビを自力で落とす方法はある?!
絨毯やカーペットは敷きっぱなしにしていることが多く、裏側を見ることはあまりないでしょう。
そのため、カビが発生していることに気付きにくく、発見した時にはカビが広範囲に渡っていたということは少なくありません。
また、絨毯にカビが発生すると、美観を損なうだけでなく、健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
特に小さな子供や高齢者は、アレルギーや呼吸器系の疾患を引き起こす危険があるため注意が必要です。
この記事では、自宅でできる黒カビの除去方法と予防策について詳しく解説します。
適切なカビ取りと予防対策を実践して、清潔で快適な生活環境を維持しましょう。
目次
1.絨毯にカビが発生するとどんな悪影響があるの?
絨毯にカビが発生した時に、観葉植物や家具を置いて隠したりする方がいますが、これはカビの繁殖を助長する間違った対策です。
カビはただの汚れではないため、隠しているうちにさらに範囲を広げる恐れがあります。
そしてその間に様々な悪影響を及ぼす恐れがあるのです。
1-1.健康への影響
絨毯にカビが発生すると、まず大きな健康への影響が懸念されます。カビの胞子を吸い込むことで、アレルギー反応が起こることがあります。これには、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状が含まれます。特にアレルギー体質の人や喘息を持っている人は症状が悪化する可能性があります。また、カビの胞子は気道に入りやすく、気管支炎や喘息を引き起こすリスクがあります。さらに、カビに直接触れることで皮膚炎を引き起こすこともあり、かゆみや発疹が出ることがあります。特に小さな子供や高齢者、免疫力の低下している人にとっては、これらの健康リスクがより深刻な問題となります。
1-2.美観と生活環境への影響
絨毯にカビが発生すると、見た目にも悪影響が及びます。黒や緑、白などの斑点として現れるカビは、絨毯の美観を大きく損ないます。さらに、カビが発生することで不快な臭いが広がり、部屋全体の空気が悪化します。この臭いは取り除くのが難しく、特に湿度が高い環境では悪化しやすいです。また、カビは絨毯の繊維を分解し、劣化を早めます。その結果、絨毯の寿命が短くなり、早期の交換が必要になることがあります。こうした美観と生活環境への影響は、家庭の快適さを大きく損ない、ストレスや不快感を引き起こす原因となります。
1-3.家具や建物への影響
絨毯に発生したカビは、そのまま放置すると家具や建物自体にも悪影響を及ぼします。カビは湿気の多い場所で特に広がりやすく、絨毯だけでなく、床や壁、家具などにも繁殖することがあります。これにより、カビが広がった場所の構造材が劣化し、修繕が必要になることがあります。また、カビの発生は建物の構造部分にもダメージを与える可能性があり、長期的には建物の価値を損なうことになります。さらに、カビが広がることで、他の物品や設備にも悪影響を及ぼし、全体的な生活環境が悪化します。
1-4.経済的な影響
絨毯にカビが発生すると、さまざまな経済的な影響が生じます。まず、カビの除去には専門のクリーニングサービスを利用する必要があり、その費用がかかります。特にカビが広範囲に広がっている場合や深く根付いている場合、クリーニング費用はさらに高額になったり、買い替えることになるでしょう。さらに、カビが家具や建物の構造部分に広がると、修繕費用がかかる場合もあります。賃貸の場合は、退去時に費用を請求されることも考えられます。また、カビが原因で健康被害が発生すると、医療費が増加することも考えられます。アレルギーや呼吸器系の疾患に対する治療費や薬代がかかり、通院のための時間や労力も経済的な負担となります。
2.自力で絨毯のカビを除去する方法
1.絨毯にカビが発生するとどんな悪影響があるの?でお伝えした通り、絨毯のカビを放っておくと様々な悪影響が引き起こされる恐れがあるため、カビを見つけたら早急に対処しましょう。
2-1.重曹と消毒用エタノールで除去する
用意するもの
- 重曹
- 消毒用エタノール
- 歯ブラシ
- 布
- ドライヤー
- マスク
- ゴム手袋
ドーバー パストリーゼ77
出典:amazon
注意事項
- 換気をしながら作業しましょう。
- 消毒用エタノールは引火性があるので、火気厳禁です。
- 絨毯の染色方法によっては色落ちしてしまうおそれがありますので、目立たない端などで試してからおこなうようにしてください。
手順
①重曹ペーストを作る
②カビの部分に重曹ペーストを塗り、歯ブラシでこする
③硬く絞った布で重曹ペーストを拭き取る
④乾いた布で拭き取り、ドライヤーで絨毯を乾かす
⑤消毒用エタノールを吹きかける
- ①重曹ペーストを作る
ぬるま湯に重曹を溶かし、重曹ペーストを作ってください。
ぬるま湯と重曹は1:1の割合を目安にしてください。
- ②カビの部分に重曹ペーストを塗り、歯ブラシでこする
カビの部分に重曹ペーストを塗り、歯ブラシで擦ってカビを除去します。
- ③硬く絞った布で重曹ペーストを拭き取る
硬く絞った布で絨毯を拭き、重曹ペーストを拭き取ってください。
- ④乾いた布で拭き取り、ドライヤーで絨毯を乾かす
乾いた布で拭いて、絨毯の水分を拭き取ります。
そしてドライヤーを使ってしっかり乾燥させましょう。
- ⑤消毒用エタノールを吹きかける
消毒用エタノールを吹きかけてカビを除菌します。
再度ドライヤーで乾かして終了です。
2-2.着色したカビを酸素系漂白剤で除去する
洗濯機で洗えるサイズのものは酸素系漂白剤を入れて洗濯をすることでカビを除去できます。
洗濯したあとはしっかりと乾燥させましょう。
湿気が残ったままだとカビが発生する原因となってしまいます。
洗濯できないサイズのものは以下の方法でカビを除去していきましょう。
用意するもの
- 酸素系漂白剤
- 布
- ドライヤー
- マスク
- ゴム手袋
グラフィコ オキシクリーン
出典:amazon
注意事項
- 肌が荒れてしまうおそれがありますので必ずゴム手袋をしてください。
- 色落ちや変色のおそれがありますので目立たない場所で事前に確認してから作業をするようにしましょう。
- 塩素系漂白剤を使用すると脱色してしまいますので必ず酸素系漂白剤を使用してください。
手順
①カビの部分に酸素系漂白剤を吹きかける
②しばらく放置したあと、硬く絞った布で拭き取る
③乾いた布で拭き取り、ドライヤーで乾かす
- ①カビの部分に酸素系漂白剤を吹きかける
カビが発生している箇所に酸素系漂白剤を吹きかけます。
- ②しばらく放置したあと、硬く絞った布で拭き取る
カビの様子を見ながら15分~1時間程度放置してください。
そして固く絞った布で拭き取ります。
漂白剤が残らないように何度も拭き取ってください。
- ③乾いた布で拭き取り、ドライヤーで乾かす
乾いた布で水分を拭き取ったあと、ドライヤーでしっかりと乾燥させましょう。
3.クリーニングを業者を利用する
絨毯にカビが発生したらすぐに対処することが大切です。
一般的に絨毯やカーペットをクリーニングに出す目安は、3か月に1回程度、小さなお子様やペットがいるご家庭では1~2ヶ月に1回程度が良いとされています。
絨毯やカーペットは一見目立った汚れがないように見えても毎日直接肌に触れるものでもありますので意外と汚れているのです。
こまめに掃除や洗濯を心がけたいですが、忙しいという方やそんなにこまめにクリーニングに出せないという方も多いと思います。
そこで、カビが発生しやすい梅雨の時期や暖房を使用することでダニの繁殖が始まる時期の年2回はクリーニングをするのがおすすめです。
絨毯やカーペットのクリーニング料金は材質などによっても変わってきますが一般的な絨毯であれば4,000円~が目安となっています。
絨毯は大きいしクリーニング店に持っていくのが大変という方には宅配サービスを実施している店舗もあります。
また、オプションで防ダニ加工等をしているクリーニング店もあります。
絨毯やカーペットにカビが生えたときに今回ご紹介した方法でカビが落とせなかったり、材質によっては消毒用エタノールや酸素系漂白剤が使用できないことがあります。
その場合には無理に自力でカビを除去しようとせずにクリーニング店を利用しましょう。
4.絨毯の白い粉や黒ずみはカビ?対処方法は?
絨毯に現れる白い粉や黒ずみは、必ずしもカビによるものではありませんが、放置するとカビの発生につながることがあります。これらの現象は、接着剤の劣化や皮脂汚れが原因であることが多いです。ここでは、白い粉と黒ずみの正体とその対処方法について詳しく解説します。
4-1.絨毯を洗濯すると出る粉末
絨毯やカーペット、ラグには裏面と表面をくっつけるための接着剤が使用されています。これが時間の経過で加水分解により劣化して粉末のようなものが出ることがあります。砂埃のように見えますが、これは砂ではなく、劣化した接着剤の残骸です。絨毯をクリーニングに出した場合でも同様に粉末が出ることがあります。この接着剤の劣化は避けられないため、こまめに絨毯を裏返して掃除機で粉末を吸い取るようにしましょう。定期的な掃除で、これらの粉末の蓄積を防ぎ、絨毯を清潔に保つことができます。
4-2.絨毯の黒ずみを落とす方法
カビが生えているわけではないけれど、絨毯が黒ずんでしまっていることはありませんか?この黒ずみは、足の裏の皮脂汚れが原因であることが多いです。そんなときは重曹水を使用すると絨毯がキレイになります。
用意するもの
- 重曹水
- スプレーボトル
- 布
手順
①重曹水を作ってスプレーボトルに入れる
②絨毯全体に重曹水を吹きかける
③固く絞った布で絨毯を逆立てるように拭く
④ドライヤーでしっかりと乾燥させる
5.絨毯にカビが発生する原因とは?
カビが発生する場所には4つの発生条件が揃っているものです。
- 高湿度
- 温度
- 栄養源
- 酸素
これらの条件が揃うと、カビは急速に繁殖し、絨毯を汚染することになります。ここでは、絨毯にカビが発生する具体的な原因について詳しく説明します。
5-1.高湿度の環境
絨毯にカビが発生する主な原因の一つは、高湿度の環境です。湿度が60%を超えると、カビの繁殖が非常に活発になります。特に梅雨時期や冬季は室内の湿度が上がりやすく、カビが発生しやすい状態になります。湿気がたまりやすい窓際や浴室近くに敷かれた絨毯は特にリスクが高いです。湿度が高い状態が続くと、絨毯の繊維が湿気を吸収し、カビが発生するため、定期的に湿度をチェックし、除湿機やエアコンを活用して湿度をコントロールすることが重要です。また、窓を開けて換気を良くすることも効果的です。湿度管理を徹底することで、カビの発生を防ぐことができます。
5-2.水分の吸収
結露やキッチン周りなど、水分が多い環境も絨毯にカビが発生する原因となります。例えば、窓ガラスの結露が原因で水滴が絨毯に落ちたり、キッチンでの水の飛び散りが絨毯に吸収されたりすると、湿った環境ができあがり、カビが繁殖しやすくなります。特に、結露が多い冬季や調理中に水を頻繁に使うキッチン周りは注意が必要です。こうした場所に絨毯を敷く場合は、定期的に乾燥させることが大切です。結露が発生したらすぐに拭き取る、キッチンマットを使用するなどの工夫が必要です。また、吸水性の良いマットや防水性のあるラグを選ぶことも、カビ対策として有効です。
5-3.暖かい環境
カビは20〜30℃の暖かい環境で特に活発に繁殖します。これは、室内の温度がカビの成長に適した範囲に入ることが多いためです。暖房を使用する冬季や、夏季にエアコンを使用していない時期など、室内が暖かくなるとカビが繁殖しやすくなります。暖かい環境はカビの成長に理想的な条件を提供するため、定期的な温度管理が必要です。例えば、冬季には適切に換気を行い、室内の温度を調整することが重要です。また、温度が上がりすぎないようにするために、エアコンやファンを使用して適度な温度を保つことも有効です。これにより、カビの発生を抑えることができます。
5-4.汚れなどの栄養源
絨毯は埃や汚れなどが蓄積しやすく、カビはそれを栄養にして繁殖します。
例えば、以下のようなものがカビの栄養源になります。
- ホコリ
- 汗
- 皮脂
- 髪の毛
- ペットの毛
- 食べ物のカス
これらが蓄積することで、カビの繁殖が促進されます。
絨毯に栄養源が蓄積しやすい原因の1つとして、簡単に洗濯できないということが挙げられます。
普段の絨毯の手入れは掃除機をかけたり、粘着テープのコロコロでホコリや髪の毛などのゴミを取り除くだけになりがちです。
しかし、粘着テープは表面の汚れしか取り除くことができないため、絨毯の毛の奥に隠れているダニやウイルスは除去できません。
そのため、掃除して綺麗にしているつもりでも、知らず知らずのうちにカビの栄養源が溜まっていってしまうのです。
6.3か月に1回はしたい絨毯の掃除方法
日々の掃除は掃除機を使用してなるべくこまめにするようにしましょう。
さらに3か月に1回程度は重曹粉を使用した掃除がカビとダニを除去するのに有効です。
用意するもの
- 重曹
- 掃除機
シャボン玉石けん 重曹
出典:amazon
手順
①絨毯に重曹粉を振りかけ、10分ほど放置します。
②掃除機を強いモードに設定し、1秒間に20cmを目安に一方向に動かして重曹粉を取り除きます。
ゆっくりと時間をかけて吸引するのがダニを取り除くポイントです。
回転ブラシつきの掃除機の場合には、前に押すのではなく後ろに引くことを意識しましょう。
重曹の性質と使い方
重曹は弱アルカリ性で、油や皮脂などの酸性汚れを中和して落とすことができます。
人体や海にも含まれている天然の物質で、環境を汚染することなく人体にも無害なので、洗剤の代わりとして安心して使用することができます。
重曹には、細かい粒子でクレンザーのように磨くものの表面を傷つけずに削り落とす研磨作用、湿気やにおいを吸着する働きである消臭作用・吸湿作用、酸性の物質と触れたり、熱を加えると反応して汚れを浮き上がらせることができる発泡・膨張作用があります。
粉のまま使う
掃除したい場所や物に振りかけて使用します。
湿気を吸収し、消臭効果があります。
重曹水にして使う
65℃以上のお湯に重曹を溶かしたものが重曹水です。
熱を加えることで、重曹のアルカリ度が上がり、汚れが落ちやすくなります。
ペーストにして使う
重曹と1:1の割合で混ぜて水に溶かして使用します。
ペーストにすることでカビなどの汚れに密着し、長く留まることができます。
ゴムパッキンや壁など垂れ流れてしまいやすい場所の掃除に適しています。
※注意点※
重曹が使えない製品は、アルミ製品、畳、加工されていない木です。
いずれも変色やシミの原因となりますので、これらの製品には重曹は使用しないようにしましょう。
7.絨毯のカビ予防方法
7-1.こまめにゴミや汚れを取り除く
ホコリや髪の毛、食べ物のカスなどゴミを掃除機で除去しましょう。
重曹粉を使用して掃除機で吸い取るとカビやダニの予防になるだけでなく、絨毯の消臭にも効果的です。
汚れがひどい場合には消毒用エタノールとぞうきんで拭き取ると絨毯の除菌もできて清潔です。
洗濯できる絨毯は汚れてきたら洗濯してしっかりと乾燥させましょう。
汚れと水分を取り除くことでふわふわの柔らかい絨毯になります。
また、絨毯を掃除する際にはめくって裏面にも風通しをすると裏面のカビも防ぐことができます。
7-2.部屋の湿度管理をしましょう
部屋に湿度計を設置し、60%以下になるように心がけましょう。
晴れた日などは窓を開けて換気したり、除湿機やエアコンのドライ機能などを使用して湿度が低くなるように調節をすることがカビ予防に大切です。
また、エアコンなどは定期的にフィルター掃除を行うようにしましょう。
7-3.キッチンの絨毯は敷かない方が〇
キッチンの下に絨毯やマットを敷いているというご家庭もいらっしゃるかと思います。
キッチンの床は食材や水滴が飛び散り汚れやすい場所です。
絨毯やマットを敷くとカビや細菌、ダニが繁殖しがちなので、できれば敷かない方が賢明です。
7-4.絨毯の除菌方法
こまめに絨毯を除菌することでカビが発生するのを防ぐことができます。
用意するもの
- 消毒用エタノール
- 布巾
①固く絞った布巾に消毒用エタノールを吹き付け、表面をなでるように拭きます。
※ポイント※
湿気が残るとカビの原因となりますが、消毒用エタノールは揮発性が高いので安心です。
汚れがひどい場合には消毒用エタノールを直接スプレーして汚れを浮かせて布巾で拭き取りましょう。
8.まとめ
・絨毯にカビが生える原因はゴミや汚れと湿気によるものです。
・こまめに掃除機をかけてゴミを取り除きましょう。
・汚れがひどい場合には重曹や消毒用エタノールを使用し、除菌もしましょう。
・絨毯のカビを除去するには酸素系漂白剤を使用しましょう。
・部屋の湿度管理をしてカビを予防しましょう。
・絨毯のクリーニングを利用するのもおすすめです。
<参考文献>
・櫻井英一『ちょこっとそうじで家中ピカピカナチュラル素材でエコそうじ』2016年、つちや書店
・谷口直美『重曹の達人が教える重曹そうじ徹底チェック201』2009年、双葉社
・本橋ひろえ『ナチュラルおそうじ大全』2019年、主婦の友社
・松本忠男『カビ・ホコリ・菌を撃退!家の「正しい」掃除ワザ』2019年、宝島社