東急ハンズで手に入るカビ取り剤をカビ取りのプロが分析!
数多くのバラエティに富んだ生活雑貨を扱う東急ハンズですが、カビ取り剤の種類も非常に豊富です。そこで今回は東急ハンズにあるカビ取り剤の成分やおすすめのアイテムとその用途、適切なカビ取り場所などについてご紹介していきます。
目次
1. カビ取り剤の種類と成分
1-1. カビ取り剤の種類
今回実際に東急ハンズに足を運び、どのような種類のカビ取り剤があるのか調べたところ、防カビ・除カビ関連の商品は
● 塩素系カビ取り剤
● 非塩素系カビ取り剤
● 防カビ剤
● 排水口洗浄剤
● エアコンカビ対策用品
に分けられ陳列されていました。カビ取りに関する商品の数は100種類近くあり、スプレータイプやジェルタイプ、シールタイプ、置き型タイプなどその用途も多種多様です。
1-2. カビ取り剤の成分
東急ハンズにあるこれらのカビ取り剤にはどのような成分が使われているのでしょうか。市販のカビ取り剤に使われる成分で多いのが、
- 次亜塩素酸ナトリウム
- 有機酸
- エタノール
- 界面活性剤
- 過炭酸ナトリウム
になります。
塩素系カビ取り剤
カビ取り剤のパッケージに『塩素系』と書かれていれば、その主成分は次亜塩素酸ナトリウムです。
次亜塩素酸ナトリウムは強力な殺菌・消毒・漂白作用を持ち、カビの殺菌と同時にカビの色素も除去することができます。
非塩素系カビ取り剤
有機酸やエタノール、界面活性剤、過炭酸ナトリウムは非塩素系のカビ取り剤の成分として使われています。酸を使用したカビ取り剤の中でも、東急ハンズには乳酸を主成分としたカビ取り剤が販売されていました。
乳酸でカビ取り?と思われるかもしれませんが乳酸を含む、クエン酸や酢酸と言った有機酸には酸によるカビの繁殖を抑制する効果があります。界面活性剤は陽イオン界面活性剤または両性界面活性剤にカビへの殺菌作用があります。
陰イオンや非イオン界面活性剤にはカビ取り効果はありません。エタノールは短時間で手軽にカビを除去することができます。揮発性がありほとんど残留しないため幅広い場所やモノに使うことができます。
過炭酸ナトリウムは衣料用漂白剤に使われている成分です。非塩素系カビ取り剤の中でも唯一漂白効果があります。漂白効果は塩素系漂白剤ほど高くはありませんが、その分色柄物にも使えるというメリットがあります。
1-3. 成分ごとの用途
① 次亜塩素酸ナトリウムが主成分のカビ取り剤
次亜塩素酸ナトリウムが主成分のカビ取り剤は、黒や青などの色素があるカビに対して使います。浴室やキッチン、洗濯機といった水回り、無地の壁や床、外壁といった住宅の中でもカビが生えやすく、かつ頑固なカビには強力な漂白効果がある次亜塩素酸ナトリウムが入った塩素系漂白剤が効果的です。一方で、脱色や変色の恐れもあるため色柄物や皮革製品には使えません。また、金属腐食性もあるので金属類にも使うことはできません。次亜塩素酸ナトリウムは有機物(汚れ)があると効果弱まるので使用の際は予め汚れを落としてからカビ取りをします。
② 有機酸
酸を使ったカビ取り剤には、クエン酸や酢酸、乳酸といったものがありますが、これらはあくまでカビの成長を抑制するものであり殺菌まではできません。
ただし成分としては自然由来のものであり人体にも無害です。小さなお子様やペットがいるご家庭にはおすすめです。クエン酸や酢酸、乳酸単体ではカビの殺菌はできないため、酸に加えて界面活性剤などの殺菌効果がある成分も一緒に含んでいるものを選ぶといいでしょう。
③ エタノール
昨今のコロナの影響もあり消毒用エタノールは私たちにとって非常に身近なものになっています。エタノールはスプレーするだけで簡単にカビを死滅させることができます。
アルコールの揮発性によって素材に残ることもないため洗い流しの必要もありません。使う場所を選ばないエタノールですが生え始めのカビや軽度の白カビ、漂白剤が使えない色柄物や金属、皮革製品には特にエタノールがおすすめです。
④ 界面活性剤
先ほどもお伝えしましたが界面活性剤の中でも、陽イオン界面活性剤と両性界面活性剤にはカビの殺菌効果があります。界面活性剤には陰イオン界面活性剤もあり、身近なものでいうと石鹸やシャンプーがあります。カビの殺菌に効果はありませんが、汚れの洗浄効果は優れています。
そのため、両性界面活性剤は殺菌・洗浄の両方の性質を持っていると言えます。(陽イオン界面活性剤には洗浄効果はほぼありません)カビ取りしたい場所やモノにカビだけでなく多くの汚れも付着しているようであれば、両性界面活性剤入りのカビ取り剤を選ぶといいでしょう。
⑤ 過炭酸ナトリウム
過炭酸ナトリウムは酸素系漂白剤に使用されている成分です。衣料用の漂白剤の成分になっているものですので、ある程度であればカビの色素に対する漂白効果も発揮します。塩素系漂白剤と違い、脱色や変色の恐れは少ないため衣類やカーテン、カーペット、クッションカバー、靴といった色柄物の布製品や竹・木製品に使うことができます。また、過炭酸ナトリウムには臭いがないため塩素系漂白剤特有のツンとした臭いが苦手という方にもおすすめです。
2. 東急ハンズにあるおすすめのカビ取り剤
東急ハンズにある数多くのカビ取り剤の中でも、特におすすめのアイテムをご紹介します。
① かびとりいっぱつ
【鈴木油脂工業】
ジェルタイプで垂れ落ちにくく、頑固なカビにも強力に効いてくれます。尖端が細くなっているので浴室や窓のパッキン、タイルの目地におすすめです。放置時間が1~24時間と少々長めに放置しなければいけませんが、その分奥までしっかり浸透しカビを除去してくれます。垂れ落ちず密着してくれるので高いところのカビ取りにも使うことができますし、上からラップやキッチンペーパー等で抑えて浸透させる手間も必要ありません。
鈴木油脂工業 かびとりいっぱつ
出典:Amazon
② けつろ・抗カビスプレー
【日本ミラコン産業】
こちらはカビ取り剤ではなく防カビ剤ですが、カビ対策にはおすすめのアイテムになります。
除菌・殺菌作用はありませんがカビが生えやすい場所に吹きかけ、しばらく放置・乾燥することで3か月程度はカビの発生を防いでくれます。結露によるカビが発生しやすい浴室や洗面所、窓のサッシへの使用に適しています。梅雨にはカビが生えやすくなるためその前に抗カビスプレーでカビ被害を防ぐのもいいのではないでしょうか。
日本ミラコン産業 結ろ・抗カビスプレー
出典: Amazon
3. まとめ
今回は東急ハンズにあるカビ取り剤について種類や成分、用途などについてお伝えしてきましたがまとめると、
● 東急ハンズには大きく分けて塩素系カビ取り剤と非塩素系カビ取り剤があり、他にも排水口やエアコンのカビに特化したものや防カビアイテムなど多くのカビ取りに関する商品がある。
● カビ取り剤の成分に使用されるものとして多いのが、塩素系では次亜塩素酸ナトリウム、非塩素系では界面活性剤やエタノール、過炭酸ナトリウムや有機酸(乳酸や酢酸)を使用したものがある。
● 水回りの色素のあるカビには次亜塩素酸ナトリウム配合の塩素系カビ取り剤が適している。色柄物に生えたカビには過炭酸ナトリウム配合の酸素系漂白剤を使用する。安全性重視であれば有機酸が主成分のものを選ぶ。漂白剤が使えないもののカビ取りにはエタノールや界面活性剤が主成分のものがよい。
となります。東急ハンズには数多くのカビ取り関連の商品があり、その成分や形状、用途も様々です。たくさんありすぎて何を選べばよいか分からないという方はカビの生え方や場所に合うものを選んでみましょう。
どのカビ取り剤を選んで良いか分からないという方へ
市販のカビ取り剤では上手くカビ取りができなかった場合には、業者レベルの液剤であるカビ取りマイスターキットもおすすめです。
カビ取りマイスターキットは、刷毛やカップなどすぐにカビ取り施工するための道具もセットになっており、準備が簡単です。またカビ再発を防ぐための防カビコーティング剤もセットで付いておりますので、プロのような工程でご自宅の除カビをしたい方に喜ばれています。
また、自力でカビ取りをしてもカビが再発してしまった、カビの範囲が広すぎて自分では難しそうという、壁紙の裏などカビ取りとリフォーム工事も行いたいという場合には、カビ取り業者へご相談ください。
ハーツクリーンでは、過去5000件のカビ取り実績から、無料で調査し最適なカビ対策方法をご提案いたします。
<参考>
- 高鳥浩介 久米田裕子 『カビのはなし ミクロな隣人のサイエンス』 NPO法人カビ相談センター
- 健栄製薬
- 浜田信夫 中村正樹 『種々の界面活性剤の生育に与える影響』