車のエアコンがカビ臭い!対策方法は?!

「暑いので、車に乗ると冷房を入れるのですが、カビ臭くて窓を開けてしまいます。芳香剤でごまかしているのですが、カビと芳香剤が混ざり合って気分が悪くなってしまいます。車のエアコンのカビって自分でお掃除できるのでしょうか?」

車のような小さな空間にカビ臭が充満するのは気持ちが悪いですよね。

何とかしたくてもそうしたらいいのか・・・と手の打ちようがなく困っている方もいるかもしれません。そこで今回は車のエアコンにカビが生える原因や自分でできるカビ対策についてご紹介していきます。

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1. 車のエアコンのカビ取り方法

エアコンのカビ臭の発生源には主に、

① エアコンフィルター

② エバポレーター(熱交換器)

の二か所が考えられます。送風口のすぐ近くからカビ臭がきていると思いきや、カビ臭の元はフィルターやエバポレーターといった送風口からは少し離れた場所で発生しているのです。

今回はエアコンフィルターとエバポレーターそれぞれについてカビが生えたときの対応についてお伝えしていきます。

1-1. エアコンフィルターのカビ

国産車のエアコンフィルターの多くはグローブボックスを取り外した奥にあり、自力でも手が届くパーツです。

フィルターを取り外して自力でカビ取りができれば費用も安く抑えられていいですよね。しかし、車のフィルターは洗浄されることを前提に作られておらず、汚れがたまったりカビが生えた場合は交換が基本の対処法になります。

カーエアコン専用の洗浄剤やカビ取り剤を使ってカビ取りをする方法もあり、確かにカビはある程度取れ、臭いも軽減されることもありますが取り切るのは難しく、水気が残ると新たにカビが生えてしまうことがあります。

何より、フィルターが変形してしまいフィルターとしての機能が落ちてしまいます。一時的に漂白剤を使ってカビ取り・乾燥させて使用するのはいいですが、あくまでも応急処置としておこない、できるだけ速やかに交換しましょう。交換する際は、抗菌・防カビ加工がされたものがおすすめです。自力での交換に自信がないようでしたら整備工場やディーラーにお願いしてもいいでしょう。

1-2. エバポレーターのカビ

エアコンフィルターを交換してもカビ臭がなくならない、そもそもエアコンフィルターが比較的きれいな状態だった、という場合はエバポレーターにカビが生えている可能性が高いです。

カビ対策として、結論をお伝えするとエバポレーターのカビ取りはプロに任せた方がよい、となります。エバポレーターはエアコンフィルターのさらに奥底(インパネ内部の下辺りが多い)にあります。

そして多くの場合フィルター以上にエバポレーターにカビが生えており、車のカビ臭の根源ともいえます。しかし、エバポレーターに到達するには大掛かりな分解をしなければなりません。

エアコンフィルターまではアクセスできても素人がエバポレーターに触れることはなかなか難しいです。

車種によっては車に詳しい方や自動車整備士さんでも分解に時間がかかることがあります。下手に触ると部品の破損や、エアコンユニット全体の故障につながることもありますのでエバポレーターのカビ取りは整備工場やディーラーといったプロにお任せすることをおすすめします。

セルフでカビ取り・洗浄する方法として専用の洗浄剤を、エアコンフィルターを取り出した場所から、ノズルを通してその奥にあるエバポレーターに向かって噴射する方法があります。

しかし、周囲に薬剤が飛び散ってしまうことがあるため養生が必要であったり、カビが取り切れず残ってしまうこと、残った薬剤が原因でカビが増殖してしまうなどのマイナス面もありますのでセルフでのエバポレーターのカビ取りは控えた方がいいです。車整備の専門業者に依頼すると、専用の薬剤を使ってエバポレーターを高圧洗浄することでカビや汚れを徹底的に落としてくれます。

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2. 車のエアコンにカビが生える原因

車のエアコンにカビが生える原因には次のようなことが考えられます。

2-1. フィルターのメンテナンスをしていない

車のエアコンフィルターは住宅のエアコンの室内機内にあるフィルターと同じ役割をしています。車内から空気を取り入れ、エバポレーターにより冷たい空気に変えて車内に戻します。

原理は室内エアコンと同じです。そのためフィルターには車内から入ってきたホコリが付着しています。

また、普段外気導入をよく使う方は外からの塵や埃、砂や落ち葉、花粉などが大量に付着します。車に詳しくなく、フィルターの存在を知らなかったという方もいるかもしれませんがフィルターの汚れの除去や交換などのメンテナンスをせずにいると、ホコリを栄養源にフィルターにカビが生え、送風口を通して車内にカビ臭を放ってしまいます。

2-2. 車内の掃除をしていない

エアコンを内気循環で使用していると車内に浮遊している埃やカビの胞子がフィルターに付着します。つまり、フィルターにホコリが大量に付着しカビが生えているということは車内が汚れているとも言えます。

車で汚れや埃が付きやすいのは、フロアマット、座席シートの隙間、ハンドル、シフトレバー、ドリンクホルダー、ダッシュボードです。ハンドルやシフトレバー、ドリンクホルダーには人の皮脂や垢、食べ物の汚れが付着しています。これらは車内の悪臭の元であり同時にカビの栄養源でもあります。

車は移動することで日光にさらされたり窓を開けることで風通しがよくなることもあり、実際に目に見える形で車内にカビが発生することは少ないです。ですが、汚れや埃を栄養源にしたカビの胞子は車内を浮遊しており、エアコンを内気循環で稼働させると同時にフィルターやさらにその奥に付着してカビを繁殖させてしまいます。

2-3. エバポレーターから発生する結露

冷房使用時、エバポレーターでは車内から取り込んだ熱を冷たい空気に変える際に結露が発生しています。発生した結露は車の底から排出されるようになっています。

よく停車していた車の下が濡れているのを見かけますがそれはエバポレーターから流れ出た結露水なのです。しかしエバポレーターはエアフィルターよりもさらに奥にあるため発生した結露を拭き取ることはできません。エバポレーターは濡れたままになってしまうためやがてカビが発生してしまいます。

2-4. 車内での喫煙

タバコの煙に含まれるタール(ヤニ)はカビの栄養源になります。タバコを吸いながらエアコンを稼働させるとフィルターにヤニが付着します。ヤニは植物性の油脂ですのでべたつきがあります。

タバコを吸うと部屋の壁が黄色く少しべたついているのはヤニのせいです。タバコに含まれるタールはそのものがカビの栄養源になるだけでなく、そのべたつきも合わさってより強力な汚れとなってフィルターにこびりついてしまうのです。

そのような状態でエアコンを運転させるとタバコの臭いとカビ臭が混じった風が吹き出してしまうのです。実際、喫煙車と禁煙車では喫煙車の方が圧倒的にエアコンフィルターにつくカビの量が多いことが分かっています。

2-5. ペットを乗せることがよくある

ペットを乗せる機会が多いこともエアコンのカビ臭の原因になります。ペットを一緒に乗せていると、毛や唾液、ダニが車内に付着します。エアコンの稼働とともに毛やダニがエアコンフィルターにつきます。実際、ペットをよく乗せる車のエアコンフィルターには毛がからまっていることがあります。

ペットの毛、ダニのフンや死骸もカビの栄養源になってしまうのです。特にペットをケージに入れずにそのまま座席シートやフロアマットに乗せている場合は飛散する毛やダニの量も増えるので注意が必要です。

2-6. 駐車場所が日陰になっている

防犯対策や車を傷めないようにときちんと雨風から守れるガレージに停めていたり、マンションの機械式駐車場に停めていることも実は車内のエアコンにカビを生えやすくさせています。

車の運転後、すぐに日陰の駐車スペースに車を停め、そのまま翌日まで車を動かさないと夜間にカビが繁殖します。朝一番、出勤前にエンジンをかけたときにカビ臭が強くでるのはそのためです。

炎天下に車を置いておくことはカビのリスクは減りますが車の劣化を早めますし防犯対策としても心配になると思います。駐車場所も自由に決められるものではありません。ですが、対策がないわけではありませんのでその方法については後程ご紹介したいと思います。

3. 補足~カーエアコンのカビは冬季にも注意~

車のエアコンのカビが発生・増殖するのは主に冷房を使う夏場です。しかし、冬になり暖房を使用するようになるとエアコン内部が乾燥すると同時に、夏季に繁殖したカビが送風口から胞子を車内にまき散らします。

夏を終えて、冬になり暖房を使い始めたときにカビ臭が強く出やすいのでそのときはエアコンフィルターやエバポレーターにカビが大量発生している可能性が高いです。

4. 車のエアコンのカビ臭を防ぐには

車のエアコンのカビ臭の原因はフィルターについた塵やホコリが元になり、それらを栄養源にしてカビが発生しています。エバポレーターの結露もカビの大きな原因です。ではエアコンフィルターやエバポレーターにカビが生えるのを防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。

4-1. 定期的な車内の掃除

フィルターに付着するホコリやカビの胞子を少しでも減らすために、フロアマットの汚れを落とす、飲食物の汚れは拭き取るなどし、車内はできるだけきれいな状態に保ちましょう。乗車後、最初の数分は窓を開けて空気の入れ替えをするのもおすすめです。

4-2. ペットはケージに入れる

ペットをよく車に乗せる方はケージに入れてあげることをおすすめします。もちろん嫌がるワンちゃん、猫ちゃんを無理に入れる必要はありませんがエアコンフィルターに毛が付着するのを防ぐことができます。

4-3. 定期的にエアコンユニットのメンテナンスを

少なくとも年に一回はエアコンフィルターを交換し、エバポレーターの洗浄を行いましょう。

4-4. エンジンを切る前にエアコンをオフにし外気導入する

エンジンを切る10~15分前を目安に、エアコンを切り外気導入に切り替えます。そうすることでファンだけが回り、エバポレーターの湿気を乾燥させカビの発生を防ぐことができます。

先ほどお伝えした、駐車場が日陰になっている方には特におすすめです。ちなみに、内気循環ではエバポレーターにカビが生えやすくなりますが、外気導入ではエバポレーターに結露は発生しませんので常時外気導入で運転するのもエバポレーターのカビ対策としては効果的です。ただし、外気導入にするとフィルターは汚れやすくなるため定期的な交換が不可欠になります。

また、花粉が多い時期や空気が悪い場所を運転する際にはダイレクトに車内に臭いが入ってきますので、そのときは一時的に内気循環に切り替えるなどの工夫が必要です。

5. まとめ

今回は車のエアコンのカビ対策についてお伝えしてきましたが、まとめると

● 車のカビ臭の主な発生源は、エアコンフィルターとエバポレーターの二か所

● エアコンフィルターにカビが生えた場合は交換が基本。エバポレーターのカビ取りは業者に依頼する

● 車のエアコンにカビが生える原因は、エバポレーターの結露とエアコンフィルターの汚れ

● 車のエアコンのカビを防ぐにはこまめな車内の掃除と定期的なエアコンのメンテナンスをおこなう。外気導入による運転もカビ予防には効果的。

となります。これからはエアコンの使用方法も含めてカビ対策を心掛けてみてください。

<参考>

トヨタ自動車

チューリッヒ

濱田信夫 『カーエアコンとカビ汚染』 2004 におい・かおり環境学会誌