革製ブーツのカビ取り方法
久しぶりに取り出したブーツがなんだかカビ臭い!そんな経験はありませんか?
日本は一年を通して高温多湿であるため、カビが発生しやすい環境なのです。
さらに、革製のブーツは革そのものがカビの栄養源であるため、一度根深いカビが発生するときれいに取り除くのは困難になります。
そのため、カビは発生させないことがとても大切です。
今回はそれでもカビが発生してしまった場合の対処法やカビ予防方法をご紹介していきます。
革製ブーツにカビが発生する原因とは?
カビが発生する条件は、温度20℃~30℃、湿度60%以上、汚れなどの栄養源の3つの条件がそろったときです。
革製ブーツは動物の革でできており、タンパク質が主な成分のためカビが発生しやすい素材です。
革はそもそもカビが発生しやすい素材なので、そこに汚れや湿気が加わるとさらにカビが発生しやすくなってしまいます。
革製ブーツのカビの原因となるのは、皮脂や汗、砂ぼこりや泥、雨に濡れたなどの汚れと湿気が原因です。
黒カビ以外は自宅でのケアが可能です。
カビには種類があり、白カビ、青カビ、赤カビ、黒カビなどがありますが基本的には黒カビ以外は自宅でのメンテナンスが可能です。
黒カビは革の色によってはとても目立ちますし、菌が根深いので対処が難しくなります。
黒カビが発生した場合には皮革専門店へカビ除去を依頼することをおすすめします。
革製品のケアグッズ
持っておくと便利な革製ブーツのケアグッズの一例です。
ご自分のブーツに最適な品を見つけましょう。
〇ライニガースプレー
革製品に付着しているカビや余分なグリースなどを取り除くリムーバーです。
〇レノマットリムーバー
スムースレザーに使用する強力なクリーナーです。
革製品のカビ、余分な光沢剤、塩吹きをしっかり取り除くことができます。
〇プレミアムディアマント
スムースレザー、デリケートレザー、ソフトレザー全般に使用できるクリームで、栄養補給や防水効果がある乳化性のクリームです。
〇サフィールユニバーサルレザーローション
スムースレザー全般に使用できるビーズワックスベースのローションです。
汚れ落としや栄養補給の効果があり、革に柔軟性を与えてひび割れを防止します。
〇サドルソープ
皮革製品用の石けんで、雨のシミや汗の塩による汚れを落とし、皮革に栄養と柔軟性を与えます。
〇ミンクオイル
乾燥した皮革の表面に潤いや柔軟性、防水性を与えることができます。
主にオイルドレザーの靴のお手入れに使用します。
〇防水スプレー
雨の日に水の侵入を防ぐだけでなく、汚れを防止する役目もあります。
スプレーするときには、全体に素早くかけることがポイントです。
革製ブーツのベーシックメンテナンス
水洗いやオイルによる加脂を行うことで革に悪影響が出ることもあります。
ご自身のブーツの注意書き等を十分に確認してから作業してください。
クリームなどで油分を補うのは毎回する必要はありません。
10回履いたら1回程度を目安にオイル切れを起こさないようにしましょう。
1、サドルソープで水洗い
靴用のシャンプーであるサドルソープを使用し、油や泥汚れ、汗のシミなどの溜まった汚れを落とし、履きジワを改善する効果があります。使用する際は革に傷がつかないよう優しく洗いましょう。
2、傷のタッチアップ
長い間ブーツを使用していると、摩耗により表面に傷がつくことがあります。
ブーツの傷は履き込んでいる証としてそのままにしておくということもできますが、気になる方は革用染料を使用して色ツヤを復活させることができます。
3、ミンクオイルを入れる
ミンクオイルを使用すると表面に適度なツヤ感をもたせることができます。
クリームほどではないですが、ミンクオイルは革をやわらかくする作用があるため、使用量や頻度には気を付けましょう。
目安としては数か月に一度程度で、長期保管する前や後に使用するのがおすすめです。
革製ブーツのカビ取り方法その1
薄いカビがポツポツ生えている程度の軽度なカビであれば、アルコールを使用して対処することができます。
ご家庭にアルコールがない場合にはトイレお掃除用シートなど除菌効果があるウエットティッシュなどでも代用することができます。
用意するもの
・消毒用アルコール
・布2枚
①乾いた布でブーツの表面のカビを払います。
②布に消毒用アルコールを染み込ませ、ブーツのカビを拭き取ります。
③カビを拭き取ったら風通しの良い屋外で2~3日日陰干しします。
※注意点※
使用した布にはカビが付着していますので、作業が終わったら処分するようにしてください。
消毒用アルコールはカビの状況や革のコンディションによっては色落ちが生じる場合があります。
色落ちしてしまった場合には色付きの乳化性クリームを使用することで回復させることができます。
乾燥させる際には革の変質や変色のおそれがあるため、直射日光を避けた風通しの良い場所にしましょう。
ドーバー パストリーゼ77
出典:Amazon
革製ブーツのカビ取り方法その2
用意するもの
・新聞紙
・ブラシ
・コロニルライニガースプレーまたはサフィールレノマットリムーバー
・クロス2枚
・ディアマントまたはユニバーサルレザーローション
①新聞紙を敷き、ブーツをブラッシングしてカビを払い落とします。
②コロニルライニガースプレーまたはサフィールレノマットリムーバーをクロスに取り、カビが生えていた部分を擦ります。
③クリームタイプのディアマントかリキッドタイプのユニバーサルレザーローションを清潔なクロスに取り、ブーツに塗り込んで栄養分を補給していきます。
※注意点※
コロニルライニガースプレーまたはサフィールレノマットリムーバーは目立たない場所で試してから使用するようにしてください。
カビを除去したあとは革の栄養分も取れてしまうので補給するようにしましょう。
ライニガースプレーを使用した場合には、2~3日経ってからでないと栄養分が入っていかないので注意してください。
革製ブーツのカビ取り方法その3
用意するもの
・皮革製品用のカビ取りスプレー
・綿クロスや化粧用コットンパフ(着古した綿Tシャツ等でも可)
・新聞紙
①新聞紙などの汚れても良いものを敷き、綿クロスに皮革製品用のカビ取りスプレーを染み込ませます。
②カビが生えた部分を拭き取っていきます。
③カビが生えた部分以外にも全体に皮革製品用のカビ取りスプレー吹き付けます。
④直射日光を避け、風通しの良い場所でブーツをしっかり乾燥させます。
※注意点※
カビ取りスプレーは必ず皮革製品用のものを使用するようにしてください。
ブーツに発生したカビが黒カビや赤カビの場合には痕跡が残ってしまうことがあります。
カビ取りに使用した綿クロスはカビが付着していますので、他の物に使用するとカビが発生してしまう原因となります。
カビ取りが終わったら処分するようにしてください。
ブーツを乾かす際には直射日光に当てると革が変質してしまったり、変色してしまうこともあるので日陰に干しましょう。
コロンブス レザーキュア カビ用ミスト
出典:Amazon
ブーツの時短お手入れ
出かける直前にさっとできる時間がないときのブーツのお手入れ方法です。
普段のお手入れがしっかりと行われていれば時短でのお手入れが可能です。
用意するもの
・ブラシ
・ナイロンストッキング
・化粧用コットンパフ
①通常のお手入れで使用するブラシでブーツ全体をブラッシングします。
②ストッキングに化粧用コットンパフを入れたもので乾拭きします。
靴箱の環境にも注意しましょう。
ブーツを履いたあとは汗や湿気をブーツが吸収しています。
そのまま靴箱に収納すると、ブーツだけでなく靴箱にもカビが発生する原因となります。
履いたあとは陰干ししたり、扇風機やサーキュレーターの風を当てて湿気をとばしましょう。
靴箱には除湿対策として、すのこや新聞紙を敷いたり、除湿剤を置くのもおすすめです。
新聞紙や除湿剤はブーツの中にも入れておけば、より効果的なカビ予防にもなります。
新聞紙や除湿剤は湿気を一度吸ったら、新しいものと交換するようにしてください。
エステー 備長炭ドライペット
出典:Amazon
皮革専門店にクリーニングに出しましょう。
革製ブーツを長く履いていきたいのであれば、カビの状況が深刻になる前に専門店にクリーニングを依頼することも検討しましょう。
カビの状況が悪化すればするほど、費用もかさんでしまったりカビの色素が浸透してしまい元のような状態に戻せなくなる可能性もあります。
ご自身でのカビ取りが難しかったり、自信がない場合やなかなか時間がないという場合には専門店に依頼するのが安心です。
また、専門店ではクリーニング以外にも革製ブーツの修理や交換、リカラー等も行っているところもあります。
いずれの場合にもカビや破損の進行の度合いによって費用が高くなってしまうので早めに対処するようにしましょう。
まとめ
・革製ブーツはカビが生えやすいのでお手入れが大切です。
・ブーツにカビが生える原因は湿気と汚れです。
・ブーツのカビの程度によってカビ取り方法がいくつかあります。
・ブーツを保管する環境にも注意しましょう。
・皮革専門店のクリーニングを利用しましょう。
<参考文献>
・飯野高広『大切な靴と長くつきあうための靴磨き・手入れがよくわかる本』2017年、池田書店
・風早健史『男のレザーグッズ・メンテナンスBOOK』2010年、成美堂出版
・高橋矩彦『BOOTSブーツ完全マニュアル』2011年、スタジオタッククリエイティブ
・髙橋矩彦『革のリペア&メンテナンス』2010年、スタジオタッククリエイティブ
・一間堂株式会社『モノ・メンテナンス』2016年、実業之日本社
・上田哲司『紳士靴完全バイブル』2019年、ナツメ社