木酢液はカビとりに使える?!使用方法や注意点は?

「木酢液を使って除カビできると聞きました。なるべく塩素系のカビ取り剤は使いたくないので、家にある木酢液でカビ取りができると嬉しいのですが、もし使えるのでしたら使用方法を教えてください。」

1. 木酢液でカビ取り

1-1. 木酢液でカビ取りは可能?

結論からお伝えすると、成分だけをみると木酢液でカビ取りは可能です。ただし、木酢液の特性上、屋内で使用するのには向いておらず、除カビ目的で使う場合は限られた場所や物に対してしか使用できないのが実際のところです。

1-2. 木酢液とは?

そもそも、木酢液とはどのようなものかご存じでしょうか。木酢液とは、木炭を製造する際に発生する煙を冷却することでできる水溶液のことです。

色は赤褐色をしており、質がよいものほど透明度も高くなります。木酢液の多くは農業や園芸の分野において、防虫対策や土壌改良、肥料の吸収促進などに利用されています。家庭では、ガーデニングや入浴剤として取り入れられています。木酢液の構成成分のうち約90%が水で5%が酢酸、残り5%がフェノール類やアルコール類を含む数百種類の有機化合物です。木酢液に含まれる酢酸がカビの消毒に作用していると言われています。

ちなみに、木酢液と並んで紹介されるものに竹酢液があります。細かな成分に違いはあるものの、大きくは原材料が木か竹かの違いであり、用途や使用方法はほぼ同じです。

2. 木酢液を使用する際の注意点

木酢液を使ってカビ取りすることは可能ですが、使い方を間違えるとかえってカビを増やしてしまったり、カビ部分がダメージを受けたりすることがあります。木酢液をカビ取りに使う際には、

  • 濃度
  • におい
  • 着色

に特に注意が必要です。

2-1. 濃度

木酢液は原液のままではなく、希釈して使用します。例えば、土壌改良目的で木酢液を使った場合、高濃度(20~30倍程度)で希釈することでカビやその他土壌病原菌を消毒することができ、200~400倍程度で希釈すると一部のカビやその他微生物を活性化させると言われています。木酢液を除カビ目的で使用する場合は、高濃度で希釈する必要があります。

2-2. におい

木酢液は無臭ではなく、燻製のような臭いと酢のツンとしたにおいがあります。このにおいが虫や害虫を寄せ付けないようにしたり、生ごみや排水口の臭い、カビ臭などに対して消臭効果を発揮します。

土壌であれば数日程度でこのにおいは分解されますが、屋内で使用してしまうと使う場所によっては臭いが残ってしまいます。水で洗い流せる場所であればしっかり洗い流せば取れますが、カビが生えているからと壁や床、大型の家具、衣類やクローゼットなどに吹きかけてしまうとしばらくはスモーキーな臭いに悩まされることになってしまいます。

においを抑えたものも販売されていますがそれでも多少のスモークの臭いと酸のにおいがあります。

2-3. 着色

木酢液は黄褐色~赤褐色をしています。そのため、木酢液を吹きかけると吹きかけた場所が茶色くなってしまうことがあります。そしてその着色は一度ついてしまうとなかなか取れません。いくら木酢液がカビ対策になると言われても、吹きかけたところが茶色くなってしまいそれが取れないとなると後々大変です。

2-4. 木酢液の使用に適しているのは?

木酢液の使用上の注意点を考えると、室内のカビ取りに木酢液を使用することはやめたほうがいいでしょう。また、外壁などのコンクリートのカビ取りにもおすすめしません。

着色してしまうだけでなく、木酢液の酸によりコンクリート(アルカリ性)が腐食する可能性があるからです。ですので、木酢液は本来の使用用途である農業・園芸用として使用するのが賢明です。

ご家庭で、家庭菜園やガーデニングをされている方はそれらの防虫・防カビ対策にご使用ください。他にも、大量の水ですぐに洗い流せる浴室の排水口のカビ除去や消臭としてであれば使ってもいいでしょう。

木酢液を入浴剤として使用するとアトピーや水虫(白癬菌というカビの一種)の改善に効果がある、といわれており、実体験も多いですが実は医学的根拠には乏しいのです。木酢液が白癬菌の発育を抑制する効果を認めた実験もありますが、発育を抑制するにはかなり長い時間(数時間~数十時間)を要することが分かっており、実際に木酢液を入れたお風呂で水虫を改善させるのは現実的ではないとされています。

木酢液を入れたバスタブが茶色くなり、色が取れなくなることもありますので使用にあたっては注意が必要です。

3. 木酢液でのカビ取り方法

カビ取り効果はあるものの使用場所が限られてしまう木酢液ですが、それでも使ってみようと思われる場合は、次の方法で行ってみてください。

~用意するもの~

  • マスク
  • ゴム手袋
  • 木酢液
  • スプレーボトル
  • 歯ブラシやブラシ

~手順~

① マスク、ゴム手袋をつけてカビに触れないように身体を保護します。

② スプレーボトルに既定の濃度で希釈した木酢液を入れます。

③ カビの生えている部分に希釈した木酢液を吹きかけます。

④ 歯ブラシやブラシを使ってカビを擦り落とします。

⑤ 水で十分に洗い流します。

カビ取りの際には、浸け置きや長時間の放置はやめましょう。カビの殺菌には高濃度で希釈する必要があるためそれを放置すると強い臭いが長時間残り、素材を茶色く変色させてしまいます。

4. 木酢液の選び方

木酢液と一口にいっても、世の中に出回っている木酢液の品質にはかなりばらつきがあります。木酢液を購入する際には次の項目をすべて満たしているものを選びましょう。

  • 排煙温度(木酢液を抽出する際の温度)が80~150℃のもの
  • 色に濁りがなく、黄褐色~赤褐色をしている
  • 木酢液を採取後3ヶ月以上静置し、不純物である油膜と木タールを取り除いているもの
  • 原材料に建築廃材を使っていないもの

逆に、不良品は濁りがあるものや、タールがろ過できておらずべたつきを感じるものもあります。

5. 木酢液以外のカビ取り剤

質問者様としてはできるだけケミカルなものを使いたくない、とのことで自然由来の成分である木酢液を検討されましたが、木酢液以外にも人体に少ないカビ取り剤があります。その中でも

  • 消毒用エタノール
  • 過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)

がおすすめです。いずれもナチュラルクリーニング(自然由来の成分や食品由来の成分を使った掃除)で用いられるアイテムで、カビの消毒・殺菌ができます。消毒用エタノールは吹きかけるだけで手軽にカビ除去・カビ予防ができ、手指消毒にも用いられるほどの安全性の高さです。

過炭酸ナトリウムは衣料用漂白剤の成分でもあり、カビの除去だけでなくある程度であればカビの色素も落とすことができます。どちらも素材を傷めず、屋内・屋外問わずさまざまな場所で利用が可能です。

ナチュラルクリーニングのカビ取り術

また、これら以外でもカビ取り業者が独自で販売している家庭向けのカビ取りキット「カビ取りマイスターキット」もあります。

実際に業者が使用している物を家庭向けにしたもので、効果と安全性ともに高いものになっています。

木酢液以外にもカビ除去ができるアイテムはいろいろありますのでそれらも含めてカビ取り剤を選ぶのがようでしょう。

6. まとめ

今回は、木酢液でカビ取りは可能なのか、についてお伝えしてきましたが、まとめますと以下の通りとなります。

● 木酢液でカビ取りは可能だが、木酢液の特性上、用途や使用場所が限られる。

● 木酢液は、主に農業や園芸作業において防虫、土壌改良、微生物活性、肥料の吸収促進等の目的で利用される。

● 木酢液をカビ取りに使用するにあたっては、その濃度とにおい残り、着色の恐れがあることに注意する。

● 木酢液をカビ取りに使用する際は高濃度で希釈する。

● 木酢液はものによって品質にばらつきがあるため、製造過程や原材料、見た目の透明度をみて選択する。

● 木酢液以外で人体に影響が少ないカビ取り剤には、消毒用エタノールと過炭酸ナトリウムがある。他にも、カビ取り業者が家庭向けに販売しているカビ取り剤を試すのも一つの方法。

木酢液は、便利ですがニオイがなかなか強いため、園芸用などに使うようにしましょう。

<参考>

● 日本木酢液協会

● 渡邉久美、住吉和子 他 『白癬菌に対する木酢液の発育抑制・殺菌作用』 2004 岡山大学医学部保健学科紀要

● 長野県 林業総合センター 技術情報No.105 『木酢液の採取条件と品質』 2001