カビが生えにくくなる洗濯用洗剤ってあるの?

【お悩み】
最近、抗菌や消臭、洗濯槽のカビ予防に特化した衣類用洗剤が販売されていますが、洗剤を使うことで、衣類のカビを取ることはできるのでしょうか?
また、カビを防ぐための洗濯方法のコツがあれば教えてください。

洗うだけで、除菌や消臭のできる洗濯洗剤は、忙しい私たちの味方ですよね。洗濯時に使用することで、ニオイの元となる原因をとり除いたり、洗濯槽のニオイ予防にもつながるので、とても便利です。

では、これらの衣類用洗剤をつかうことで、衣類のカビを防ぐことができるのでしょうか。

ここでは、抗菌、消臭に特化した洗濯用洗剤のカビ予防効果の有無について、また衣類のカビを防ぐための対策方法について解説していきます。

1.カビが生えにくくなる洗濯用洗剤はある?

最近では洗濯洗剤や柔軟剤で除菌、抗菌効果や洗濯槽のカビ防止ができるとうたっている製品がたくさん販売されています。

洗濯槽の防カビ効果があるという洗剤の某メーカーAにカビが発生している衣類のカビを落とすことはできるのか、衣類のカビを予防する効果はあるのか問い合わせたところ

「衣類のカビを落とすことはできない」との回答がありました。また

「洗濯槽のカビの発生を防ぐことはできますが、衣類に対してのカビ防止については確認していない」

とのことでした。

同じ質問を某メーカーBにもしてみたところ、洗濯することで衣類に付着したカビは洗い落とせると思いますが、衣類のカビ予防効果というのは伝えていないとのことでした。

これらのことをふまえると、洗濯槽のカビを予防する洗剤はありますが、それは洗濯機が新品の状態で洗濯槽にカビが発生していない場合での防カビに限られたものであり、既にカビが発生している場合にカビを除去することはできません。

さらに、衣類のカビを予防できるという市販の洗剤は私が調べた限りではありませんでした。

■関連記事■衣類のカビを酸素系漂白剤で落とす際の注意点

2.本当に効果はある?

除菌・抗菌効果がある洗剤や柔軟剤を使用すればある程度はカビが生えにくくなるかもしれませんが、洗剤だけでカビを予防するというのは困難であると考えられます。

洗濯槽のカビも軽度なものであれば洗濯槽用のカビ取り洗剤等で落とせるかもしれませんが、カビが発生して時間が経過してしまっている頑固なものは物理的にこすって洗い流さないと落とすことができない汚れもあります。

除菌・抗菌効果がある洗剤や柔軟剤も、すべての菌やウイルスを除去するわけではありませんと注意書きがされています。

また、服にカビが発生している場合に白カビであれば、通常の洗濯と洗剤で見た目上、落とすことはできます。

しかし、カビは5マイクロメートル(0.005ミリメートル)という目に見えないくらいの小さな胞子でできており、わたしたちの目に見える状態になったときにはかなりカビが成長した状態ということになります。

白カビであればカビの根が繊維の奥深くに入り込んでいるということは少ないため、通常の洗濯で落とすことができますが、カビの菌を除菌しているわけではないので時間が経過すれば再びカビが目に見える状態になってくることが考えられます。

3.洗濯洗剤の選び方

最近では洗濯洗剤でも液体洗剤、粉末洗剤、ジェルボールなどさまざまな種類の商品が販売されています。

さらに中性洗剤や弱アルカリ性洗剤など洗剤の液性も分かれています。

どれを使ったら良いのかわからないという方のために服のカビを予防するおすすめの洗剤選びのポイントをご紹介します。

①液体よりも粉末洗剤

液体洗剤は、弱アルカリ性と表示されていても、洗濯するときには水で薄まり、中性に近くなります。

粉末洗剤なら弱アルカリ性を保てますので、カビや黄ばみの原因になる皮脂汚れを落としやすいです。

②酵素が入っている洗剤

服にカビが発生する大きな原因は皮脂汚れです。

衣類の繊維を分解し、奥に入り込んだ皮脂やたんぱく質汚れを除去するはたらきがある酵素が入っているものを選びましょう。

③弱アルカリ性の洗剤

カビやカビの原因となる皮脂汚れには中性のものよりも頑固な汚れもしっかり落としてくれる弱アルカリ性の洗剤の方が有効です。

しかし、弱アルカリ性の洗剤は使用することができない素材のものもありますので説明や注意書きをよく読むことが必要です。

■関連記事■洗濯用洗剤のつかいすぎはカビの原因になるって本当?!

4.洗濯にお風呂の残り湯を使用しても良い?

お風呂のお湯をそのまま捨ててしまうのはもったいないからと洗濯に使用しているというご家庭もありますよね。

衛生微生物研究センターによりますと、お風呂のお湯の中の細菌数は入浴前は40だったのが2人入浴後には110まで増え、3人入浴後には360にも増え、さらに一晩放置すると250000と約1000倍増えているということが報告されています。

お風呂の残り湯には、体の汚れであるたんぱく質が混ざっています。

そのお湯で洗濯すると、服にたんぱく質が付着し汚れをつけてしまうのです。

お風呂の残り湯使用OKという洗剤もありますが、服をきれいにするためには残り湯を使うことはあまりおすすめできません。

しかし、お湯と洗剤が合わさると汚れが落ちやすくなるので残り湯を使用する場合には、すすぎのときだけはきれいな水を使用するようにしましょう。

5.洗濯槽のカビに注意しましょう。

洗濯槽にカビが発生している場合、洗濯機自体が臭う場合や洗濯しているのに衣類が臭うことや黒いペラペラした海苔のようなゴミが衣類に付着していることがあります。

これは、洗剤の溶け残りや衣類に付着した皮脂や汚れなどがカビの栄養分となり、カビが増殖したものです。

洗濯機の洗剤投入口や糸くずフィルターはこまめに掃除していますか?

こちらもお手入れをしないとカビが発生しやすくなります。

■関連記事■洗濯槽のゴミ取りネットはこまめに掃除しないとカビの原因に?!

6.洗濯槽のカビ取り方法

糸くずフィルターを外し、洗剤や柔軟剤投入口などの見える部分は歯ブラシなどを使い汚れを落としましょう。

  • 粉末タイプの酸素系漂白剤を使用する。
  • 洗濯槽クリーナーを使用する。

グラフィコ オキシクリーン

出典:amazon

ジョンソン 洗たく槽カビキラー

出典:楽天市場

洗濯槽は月に1回程度掃除をしてカビを取り除くようにしましょう。

用意するもの

・中性洗剤

・洗濯槽クリーナー

①洗剤ケースや糸くずネットなどの取り外し可能なパーツを取り外し、ぬるま湯に浸けて中性洗剤をスポンジにつけて汚れを落とします。

②洗濯機の高水位までお湯を入れ、粉末の酸素系漂白剤または洗濯槽クリーナーを入れて洗濯機を5分程度回して一時停止します。

③カビや汚れなどが浮いてくる場合にはネットなどですくい取り除きます。

④再び5分程度洗濯機を回し、カビや汚れなどが浮いてこなくなるまでくり返します。

⑤汚れが浮いてこなくなったら通常のコースで洗濯機を回して終了です。

⑥洗濯機の内部を乾燥させるため、終了後はしばらくフタを開放しておきましょう。

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7.洗濯槽のカビ取りをする際の注意点

洗濯槽のカビを取る際に、粉末タイプの酸素系漂白剤または洗濯槽クリーナー等を使用してカビや汚れを落とすのですが、カビや汚れがひどい場合には1度できれいに落としきれないことがあります。

2~3回多めにすすぎをしたり、何度か洗濯槽クリーナーを使用することで落とし切れることもあります。

洗濯槽をつけ置きすると、カビや汚れがはがれて浮いてきます。

これをネットなどですくって取り除き、また洗濯機を回して洗剤を混ぜたあとしばらく放置して浮いてきたカビや汚れをすくう作業を複数回くり返すのですが、複数回くり返してもカビや汚れがなくならず何度も出てくることがあります。

これは、洗剤によって洗濯槽にこびりついたカビや汚れがはがれてきているためなのですが、頑固なカビや汚れは1度ではなかなか落としきれずに少しづつはがれてきます。

そうすると、いつまでも洗濯機が使えない状態になってしまったり、次に洗濯する際に衣類にカビや汚れが付着してしまうことがあります。

洗濯機を購入してから3年以上経過しているか、こまめに洗濯槽の掃除やカビ予防をしていなかった場合には洗剤だけで洗濯槽のカビを落とすのはかなり困難になります。

8.洗濯槽と服のカビ予防方法

①洗濯後はフタを開放し、洗濯槽を乾燥させる。

洗濯機を使用したあとはフタをしめずに開放しておきましょう。

すぐにフタを閉めてしまうと、洗濯機の中の湿度が高い状態になってしまいカビが発生しやすくなります。

洗濯槽乾燥機能がついている洗濯機の場合には活用するとカビを予防することができます。

②洗濯機に衣類を入れたままにしない。

洗濯機に洗濯する前の衣類を入れて洗濯カゴ代わりにしたり、洗濯後に衣類をすぐに干さずに放置していませんか?

洗濯する前の衣類には、汚れや湿気があります。

洗濯する前の汚れた衣類を洗濯機に入れていると、洗濯機に汚れや湿気が移ってしまいます。

衣類の汚れがひどい場合には洗濯する前に予洗いや洗剤でつけ置きするのがおすすめです。

洗濯が終了したら、洗濯物をなるべく早く取り出して干すようにしましょう。

③コインランドリーやクリーニング店を活用する。

コインランドリーの乾燥機はガス乾燥機がほとんどで、ガス乾燥機は80℃以上の高温でカビなどの菌を死滅させることができます。

梅雨の時期など洗濯物がなかなか乾かない時はコインランドリーの乾燥機を有効活用しましょう。

普段のご家庭での洗濯とクリーニングには違いがあります。

ご家庭での洗濯は、水を溶媒として汚れを落とすのに対し、クリーニングは有機溶媒によって汚れを落とします。

普段の洗濯では落とせない汚れもクリーニングで落とせることがあります。

9.洗濯槽のカビ取り業者への依頼

洗濯機を分解し、クリーニングを実施している業者があります。

金額の相場は完全に分解するか部分だけ分解するかや洗濯機の種類によって変動しますが、おおよそ1万3千円~3万円程度になります。

洗濯槽を分解しクリーニングするのはドライバーがあれば自力でもできなくはないですが、結構な重労働になります。

購入してから3年以上経過している場合やこまめに洗濯槽の掃除をしていなかった場合は一度洗濯槽の分解クリーニングを検討するか、新しいものに買い替えるか検討した方が良いでしょう。

洗濯槽のカビ取りを実施したあとや新しいものに買い替えたあともこまめに洗濯槽クリーナーを使用したり、洗濯槽のカビ予防を心がける必要があります。

衣類のカビ臭さが取れない場合

衣類のカビ臭さが落ちない場合や着物など手洗いが難しい衣類のカビには繊維を傷つけにくい「ガス滅菌法」というカビ取り技術もあります。

出張ガス滅菌車のサービスも行っておりますので、クローゼット内の衣類を全て除カビしたい時などにご活用ください。

10.まとめ

・洗濯槽のカビを予防する洗剤はあります。

・衣類の防カビ効果を伝えている洗剤は今のところありません。

・しかし、衣類のカビを防ぐ方法は洗剤以外にもあります。

・カビが生えにくくなる洗剤とプラスしてカビ予防方法を実践していきましょう。

・洗濯槽のカビは業者に依頼するか買い替えも検討しましょう。

<参考文献>

・松本忠男『カビ・ホコリ・菌を撃退!家の「正しい」掃除ワザ』2019年、宝島社

・井野澄恵ほか『驚きの汚れ落ち!掃除&洗濯のスゴ技ベスト』2019年、宝島社

・齋藤勝裕『汚れの科学』2018年、SBクリエイティブ株式会社

・松本忠男『カビ・ホコリ・菌を撃退!家の「正しい」掃除ワザ』2019年、宝島社

・中村祐一『おうちで簡単洗濯上手』2010年、大泉書店

・三田村美保『お気に入りを長く着る衣類のお手入れ洗濯・しみ抜き・つくろい・しまい方』2016年、NHK出版

・本橋ひろえ『ナチュラル洗剤で安心・ラクチンおそうじ虎の巻』2016年、ディスカバー

・本橋ひろえ『ナチュラルおせんたく大全』2020年、主婦の友社

・幕内和博『今すぐ役立つ!「洗い方・乾かし方」の早引き便利帳』2012年、泰文堂

・池田豊『洗濯・衣類のきほん』2007年、池田書店

・井野良介『暮らしの「スゴ技」大百科』2014年、宝島社

・おそうじ本舗『おそうじ本舗の速攻そうじ術』2016年、宝島社