ビデオテープやカセットテープのカビ取り方法

ビデオテープやカセットテープは感動を時を隔てて新鮮に伝える情報記録メディアです。

久しぶりに懐かしいビデオテープを見てみようかな?カセットテープを聴いてみようかな?と思ったときにカセットの窓からテープに白や黄色のものがついていてびっくり!なんてことはありませんか?

テープ面には磁性粉末が塗布してあり、もしこの部分にカビが繁殖すると、記録された情報の再生にノイズなどが生じることがあります。

保存状態が劣悪な環境に長期間ビデオテープやカセットテープを保管すると、カビが繁殖する可能性があります。

また、テープ部分を指で触ってしまうと、皮脂や手あかなどが付着し、その汚れを栄養源にしてカビが発生します。

既にカビが発生しているビデオテープやカセットテープをカビが発生していないものと一緒に保管していると、カビが繁殖してしまうこともあります。

ビデオテープやカセットテープは大切な思い出が記録されていることも多いです。

大切な思い出をカビから守りましょう。

カビが生えたビデオテープやカセットテープを再生するとどうなるの?

テープはケースなどに入れて収納されているため、カビが付着することはほとんどありません。

しかし、ビデオデッキにカビが発生したテープをセットすることでカビの伝染が生じる可能性があります。

また、テープに付着した皮脂や手あか、ホコリなどの汚れを栄養源としてカビが増殖します。

ビデオテープは密閉されており、ホコリなどの汚れが付着しにくい構造なのですが、何らかの形でホコリや汚れ、湿気がテープに付着してしまうと密閉された状態が逆にカビを繁殖させてしまうのです。

カビが生えたビデオテープやカセットテープはそのまま再生してしまうと、異臭がしたり、映像や音がノイズだらけで乱れたり何も見えなくなったりします。

このような状態で再生していると、テープの癒着があり、テープが切れてしまいます。

さらに、ビデオデッキやラジカセの故障につながることがありますので絶対に再生しないでください。

ビデオテープのカビを取り除く方法

ビデオテープのカビ取りをする際には分解する必要があるため、自信のない方は業者に依頼するのが確実で安全です。自己責任でおこなってください。

使用するものは以下のものです。

  • 洗浄液または無水エタノール
  • タオルまたは不織布タイプのウエットティッシュ

出典:Amazon

まず、ビデオテープを分解し、テープを取り出します。

洗浄液または無水エタノールをつけて固く絞ったタオルまたはウエットティッシュでテープの両面をはさむようにしてゆっくりと拭いていきます。

※注意点※

・ビデオテープは小さなネジなどの部品がありますのでなくさないように気を付けましょう。

・ビデオテープにカビが生えていると、テープ同士が癒着していることがあり、無理に引き離そうとするとテープが裂けてしまうことがあります。

・分解したあとに元に戻すときにホコリや汚れがテープに付着しないようにしましょう。

・ティッシュを使用するとテープに細かい毛羽立ちが残ってしまうことがありますので注意してください。

ビデオリワインダーを使用したカビ取り方法

ビデオリワインダーとは、ビデオテープの巻き取りの機械です。ビデオリワインダーにはクリーナー機能がついているものがあります。

クリーナー機能を使用すると、1~2分でカビを除去することができます。

しかし、カビを除去することができても、テープの内部に奥深くカビが根付いていることがあり、時間の経過とともにカビが再発するおそれがあります。

そのため、カビが取れたらDVDなど、他のメディアへダビングするのがおすすめです。

※注意※

ビデオリワインダーは現在生産中止となっており、入手するにはオークションやリサイクルショップなどを利用する必要があります。

しかし、もともと定価が高く、現在は生産中止されていることから高額で販売されていることが多いため、業者に依頼する方が安く済む場合が多いです。

軽度の汚れであれば、VHSクリーナーを使用するという方法もあります。

カセットテープのカビを取り除く方法

無水エタノールを水で薄めて脱脂綿につけてやさしくはさんでゆっくり拭いていきます。

拭き取ったあとは乾燥させて、他のメディアにダビングしましょう。

※注意点※

古いカセットテープはテープ部分が劣化していることが多く、強く拭くと切れてしまいます。

ビデオテープやカセットテープのカビ予防方法

ビデオテープやカセットテープは押し入れや引き出し、ダンボールなどに入れて保管している方も多いと思います。

押し入れや引き出し、ダンボールの中は空気が滞留しやすいため、ときどき開放して空気を循環させましょう。

湿気がこもらないように保管場所に除湿剤を置いておくのも良いでしょう。

湿度の低い冷暗所や、専用の保管庫で保存する方法もあります。

比較的簡単にできるカビ予防の保管方法は、ジップロックに入れて密閉するのがおすすめです。

ビデオデッキやラジカセ本体のクリーニングも定期的におこなうようにしましょう。

皮脂がカビの栄養源になりますので、テープ部分には指で触れないように、取り扱いにも注意しましょう。

専門の業者へ依頼するのが一番おすすめ

一度カビが生えてしまったビデオテープやカセットテープはカビを取り除けたとしても、カビが再発することが多いです。

そのため、ビデオテープやカセットテープのカビ取りクリーニングだけでなく、劣化による傷やテープが切断されてしまっていても不具合を補修してくれたり、DVDやCD、HDDなどの希望のメディアにダビングするサービスをおこなっている業者もあります。

古いテープを再生できるデッキは今では市販されていないことも多く、大切な思い出を長期保存するためにも劣化の心配がなく、場所を取ることもないDVDやCDなどのメディアにダビングするのがおすすめです。

ビデオテープが見れなくなってしまったけれど、修理にかかる料金が高いからあきらめようかな?と思ってしまう方もいるのではないでしょうか?

業者やプランによりますが、お手頃な業者では料金はビデオ1本あたり1000円ほど、10本以上で急ぎでない場合には1本100円でできるプランなどもあるので、一度相談や見積もりをしてもらうのも良いでしょう。

※注意点※

業者に依頼する場合には、著作権の関係でご家庭で撮影したホームビデオが対象となります。

ダビングの許可のないテレビ番組や市販品やレンタル落ちなどのもの、公序良俗に反するビデオは取り扱っていないので注意してください。

まとめ

ビデオテープやカセットテープは、大事な思い出が詰まっているからこそ早いうちにカビを取り除いて修復したいものです。

・カビが生えたビデオテープやカセットテープを再生すると、本体だけでなくデッキなどの故障にもつながるのでやめましょう。

・自力でカビ取りは困難なため、業者に依頼するのが一番おすすめです。

・ビデオテープやカセットテープはカビが生えてしまう前にDVDやCDなど他のメディアにダビングしておきましょう。

・カビが発生してしまう前にカビ予防をすることがとても大切です。

<参考文献>

・西野敦『抗菌剤の科学part2』1997年、工業調査会