乳酸のカビ取り剤とは?!その効果やカビ取り方法に迫る
カビ取りと言えば漂白剤や消毒用エタノールのイメージがありますが、実は乳酸を使ったカビ取り剤というものがあります。今回は乳酸のカビ取り剤について、その効果やカビ取り方法についてご紹介していきます。
目次
1. 乳酸のカビ取り剤とは?
1-1. 乳酸のカビ取り剤の特徴
乳酸を含む有機酸(酢酸やクエン酸)には抗菌作用があります。乳酸の成分がカビの内部に働き、カビのpHを低下させ、その結果酵素等が障害を受け修復不可能な状態となりカビが死滅します。乳酸のカビ取り剤の主な特徴として、
- 手肌に優しく安全性が高い
- 素材の脱色・変色の心配がない
- カビ取り剤特有の塩素臭がない
- 洗浄効果も併せていることが多い
- 漂白作用がない
といったことが挙げられます。
乳酸のカビ取り剤は弱酸性であるため肌に優しいです。一般的なカビ取り剤にある塩素臭もなく、非塩素系であるため素材の脱色や変色の心配もありません。人にも素材にも優しいカビ取り剤と言えるでしょう。また、塩素系漂白剤は有機物(汚れ)が付着しているとその効果が弱まってしまいます。ですので、漂白剤使用前にまずは洗剤等で汚れの除去をする必要があります。
ですが多くの乳酸カビ取り剤には界面活性剤が入っており、それが汚れの洗浄の役割を果たしてくれます。一つでカビの殺菌と汚れの洗浄もおこなってくれるのです。しかし、乳酸系カビ取り剤には漂白作用がないためカビの色素を除去することができません。殺菌はできても色素は残ってしまうことがあります。
1-2. 安全性が高いと殺菌効果が弱いのでは?
肌にも素材にも優しい乳酸のカビ取り剤ですが、安全性が高いとその分殺菌力も弱いのでは?と思ってしまうかもしれません。
しかし、市販の乳酸系カビ取り剤はカビに効くように濃度が調整されています。そのため、漂白効果はあまりありませんが殺菌力に関しては塩素系の漂白剤にも劣らない力があるのです。
2. どんな場所のカビ取りに適している?
2-1. おすすめの使用場所
乳酸のカビ取り剤は、素材へのダメージが少ないため家中のあらゆる場所や物に使うことができます。浴室はもちろん、キッチンやトイレ、畳やフローリング、カーテン、窓、クローゼット、壁紙など家の様々な場所で使うことができます。低刺激なカビ取り剤なため子供部屋やお年寄りが過ごす空間での使用もおすすめです。
2-2. 使えない場所は?
基本的にどんなものにも使える乳酸のカビ取り剤ですが、一部使えないものもあります。具体的には
- 大理石
- 人工大理石
- ステンレス以外の金属
- ニスが塗ってあるもの
です。乳酸を含む有機酸は大理石や金属を腐食させてしまいます。これらの素材に乳酸のカビ取り剤を使ってしまうと黒ずんでしまうことがあるため使用はやめましょう。ちなみに、ステンレスは腐食に対して耐性があるため酸素系漂白剤や乳酸のカビ取り剤は使用することができます。使用できない素材については商品のラベルに記載がありますので確認の上、使うようにしましょう。
3. 乳酸のカビ取り剤を使ったカビ取り方法
3-1. カビ取りの手順
では実際に乳酸のカビ取り剤を使ったカビ取り方法です。
~用意するもの~
- マスク
- ゴム手袋
- ゴーグル
- 乳酸系カビ取り剤
- ブラシや歯ブラシ(必要に応じて)
~手順~
① マスク、ゴム手袋、ゴーグルを身に着け身体を保護します。
② 表示に記載の使用方法に従い、カビ部分に乳酸のカビ取り剤を吹きかけます。
③ 商品に記載の時間だけ放置します。
④ 時間がたったらカビの状態を確認し、カビが残っているようであればブラシなどで軽く擦ります。
⑤ カビ取り剤を拭き取りまたは洗い流します。
⑥ 干せるものは天日干しまたは陰干しします。
3-2. カビ取りの際の注意点
乳酸のカビ取り剤を使ってカビ取りをするにあたって注意すべきことが2点あります。一つ目は、カビ取り剤が残らないようしっかり拭き取る(洗い流す)ということです。
基本的に安全に使える乳酸のカビ取り剤ですが、カビ取り剤を噴射後、拭き取りや洗い流しを十分にしないとシミになってしまうことがあります。
水回りのように洗い流せる場所での使用であれば問題ないですが、衣類や布製品に使用する場合は、カビ取り後は洗濯することをおすすめします。
また壁紙や畳、ソファ、木製品など水分を吸収しやすい、かつ簡単に洗えないものについては、硬く絞ったタオルでカビ取り剤が残らないようしっかりと拭き取りましょう。
二つ目は身体の保護についてです。乳酸のカビ取り剤は肌に優しい成分ですが、カビに直接触れたりカビの胞子を吸い込んだりしないためにもマスク、ゴム手袋、ゴーグルを着用して作業しましょう。
4. 乳酸のカビ取り剤を使っても落とせなかった場合は?
乳酸のカビ取り剤には、カビの殺菌効果はあるものの、カビの色素までは落とせないことがあります。生え始めのカビであれば除去できることもありますが、根強く生えた黒や青カビなどは除去し切れず残ってしまうことがあります。乳酸のカビ取り剤を使ってもカビを落とすことができないときは、
- 残った部分は漂白剤を使う
- カビ取り業者に依頼する
- カビ取り業者が販売しているカビ取りキットを使う
という方法があります。残ったカビが小規模であったり薄いシミ程度であればご家庭にある塩素系または酸素系漂白剤で落とせることがあります。ただし、乳酸の酸と漂白剤のアルカリ成分が混ざると有毒な塩素ガスが発生するため、乳酸のカビ取り剤を使用した後漂白剤を使う場合は、カビ取り剤を十分に洗い流してから漂白剤を使うようにします。
また、残ったカビの範囲が広い場合やカビの色素が色濃く残っているような場合はたとえ漂白剤を使っても除去し切れないことがあるため、カビ取り業者に相談し、カビの除去を依頼するという方法もあります。
他にも、カビ取り業者が独自に販売しているカビ取りキットを試してみるという手もあります。
カビ取りマイスターキットは、プロのカビ取り業者が実際のカビ取り現場で使用しているカビ取り剤を一般向けに改良したものです。
乳酸のカビ取り剤を含め、市販のカビ取り剤が効かない、業者に依頼すると費用がかかる・・・とお悩みの方は試してみてもいいかもしれません。
5. おすすめ乳酸系カビ取り剤
乳酸系カビ取り剤の中でもおすすめのアイテムの2つご紹介します。これらはオンラインショップや東急ハンズ、ロフトやホームセンター等で購入することができます。
① カビナイトNeo 飛雄商事株式会社
発酵乳酸の強力な除カビ作用でカビを10分で98%以上除去する優れものです。乳酸配合量を30%以上増量したカビナイトStrongも販売されています。
飛雄商事 カビナイトNEOストロング
出典:Amazon
② 乳酸カビトリーナー アズマ工業株式会社
液だれしにくい泡状のスプレーになっておりカビにピンポイントで効いてくれます。
アズマ工業株式会社 乳酸カビトリーナー
出典: Amazon
6. まとめ
今回は乳酸のカビ取り剤についてその効果や使用方法についてお伝えしてきましたが、まとめると
● 乳酸のカビ取り剤にはカビの発生を抑制し、殺菌する効果がある。
● 乳酸のカビ取り剤は弱酸性で非塩素系なため、塩素系カビ取り剤特有の刺激臭や脱色・変色の心配がなく、人にも物にも低刺激なカビ取り剤となっている。
● 乳酸のカビ取り剤には漂白効果がないため、カビの色素は残ってしまうことがある。
● 乳酸のカビ取り剤は、家中のほとんどの場所や物に対して使うことができるが、大理石や人工大理石、ステンレス以外の金属は腐食し変色することがあるため使うことができない。
● 乳酸のカビ取り剤でもカビが落ちなかったら、漂白剤を使う、カビ取り業者に依頼する、カビ取り業者が販売しているカビ取りキットを試してみるという方法がある。
<参考>
- 山本泰、東 和男、好井久雄 『有機酸類の抗菌性』 1984 日本食品工業学会誌
- アズマ工業株式会社