【カビのプロが教える】白カビが生えたギターケースのカビ取りと6つのカビ対策

「押入れにギターを保管していたら、ギターケースに白い斑点みたいなものが付いていた」

「梅雨になるとギターケースにカビが生えてしまう。良い対策はないのだろうか」

大事なギターを持ち運ぶ時や保管する時に重宝するのが、ギターケースです。

ケースに入れておくことで、ギターを傷や汚れから守ることができるのですが、実は保管状況によってはカビが発生してしまうことがあります。

また、ケースにカビが生えるだけで済むならまだいいですが、場合によってはギターにまでカビが移ってしまうことも考えられます。

お気に入りのギターや高級なギターがそのようになってしまったら、非常にショックでしょう。

そこで今回、ギターケースにカビが生えてしまった時の対処方法について解説いたします。

ギターとギターケースをカビから守るための対策も紹介するので、是非参考にしてみてください。

この記事でわかること
・ギターケースにカビが発生した時のデメリット
・ギターケースのカビ取り方法
・自力でカビ取りできない時の対処方法
・ギターケースにカビが生える原因
・ギター&ギターケースのカビ対策方法

1.ギターケースにカビが発生するとどんなデメリットがあるの?

ギターをケースに入れたまましばらく放置していると、久しぶりに使おうとした時に白い斑点のような物がたくさん付着しているということがあります。

「白い汚れが付いているだけだから、このままでいいや」と放置する方もいますが、実はその白い斑点は白カビである可能性が高いのです。

白い菌糸を這わせながら増殖していき、白い綿のようなものが付着しているように見えるのが白カビの特徴です。

白カビは根が浅いため、カビの中でも比較的除去がしやすいのですが、根が浅いということはそれだけ飛散しやすいということにもなります。

そのため、一気に範囲を広げてしまう危険があるので、注意が必要です。

そして、ギターケースのカビは見た目の悪さだけでなく、他にもデメリットがいくつかあります。

ここでは特に大事なことを詳しく解説いたします。

1-1.ギターにもカビが移ってしまう

白カビはただの汚れとは違うため、時間経過とともに徐々に繁殖していきます。

そのため最初はケースの一部分に発生していたカビが、気付いたらケース全体に広がっているということがあります。

ケースにカビが生えるだけならまだいいですが、そのカビがギターにも移ってしまうことがあるのです。

ギターにカビが生えると、湿気や微粒子が楽器内部に侵入し、音質に変化をもたらす可能性があります。

特にアコースティックギターの場合、木材の状態は音響的な性能に直接影響を及ぼすため、音質が悪くなってしまうこともあるのです。

また、カビがギターの表面や内部に広がると、木材や塗装にダメージを与えることがあります。

木材の腐食や変形、塗装の剥がれ、金属部品の錆びなどが発生し、ギターを劣化させてしまうかもしれないので注意が必要です。

1-2.健康被害の恐れ

カビの胞子は空気中に放出され、吸入することでアレルギー反応を引き起こす可能性があります。

このカビのアレルギーは、アレルギー性鼻炎や皮膚炎、気管支喘息などを引き起こす原因になります。

また、アスペルギルス症や夏型過敏性肺炎など、重篤な症状のある肺炎を発症する危険もあります。

アレルギーに敏感な方、免疫力の低下した方は、普通の人が大丈夫なカビでも発症することがあるので、注意しましょう。

2.【対処方法①】ギターケースのカビ取りを自力で行う

白カビは表面に発生するカビのため、自力で対処できることが多いです。

ただし間違ったカビ取りをすると、カビを悪化させる可能性があります。

例えば、ギターケースを濡れ雑巾で拭くだけで白い汚れが目立たなくなるので綺麗になったように感じるかもしれません。

しかし、カビはそれだけでは死滅しません。

しかもカビは濡れた場所を好むため、濡れ雑巾で拭くことでカビの繁殖を促す恐れもあります。

そのため、ギターケースをカビ取りする時は、消毒用エタノールを使用するようにしてください。

ちなみに、エタノールは濃度によって呼び方が変わります。

一番濃度が高いものが無水エタノールで、エタノール濃度が99.5%以上のものを指します。

そして消毒用エタノールは、エタノール濃度が大体70~80%前後のものです。

無水エタノールは濃度が高いため、こちらの方が効果がありそうですが、実は殺菌や除菌には消毒用エタノールの濃度が一番効果があると言われています。

エタノールは濃度70%の時に最も高い殺菌能力を発揮し、この濃度が高くなっても低くなっても殺菌効果が激減します。

そのためカビ取りには、消毒用アルコールの濃度を使用するのがベストなのです。

参考:文部科学省カビ対策マニュアル[基礎編]

2-1.事前準備

用意するもの

  • 消毒用エタノール
  • 酸素系漂白剤(必要な場合)
  • マスク
  • ゴム手袋

カビの胞子を吸い込んだり、手が荒れたりするのを防ぐために、マスクとゴム手袋を身に付けましょう。

カビの胞子が飛散する恐れがあるため、作業は屋外で行うか、換気をした部屋で行ってください。

また色落ちや変色の恐れがあるため、目立たない箇所に消毒用エタノールや酸素系漂白剤を付けて、問題がなければカビ取りするようにしてください。

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2-2.カビ取り手順

①消毒用エタノールを吹きかける
②落ちない時は酸素系漂白剤で拭き取る
③風通しの良い場所でしっかりと乾かす

①消毒用エタノールを吹きかける
ギターケースに消毒用エタノールを吹きかけて、しばらく放置した後、布で拭き取ってください。
つるつるしている素材なら擦ってもいいですが、そうでないなら擦ると繊維の奥にカビが入り込んでしまうので、軽く布を押し付けるような感じでカビ取りをしましょう。

②落ちない時は酸素系漂白剤で拭き取る
消毒用エタノールには漂白効果がないため、落ちない時は酸素系漂白剤を使用します。
ぬるま湯に酸素系漂白剤を溶かして、それを布に染み込ませて、ギターケースを拭きましょう。
その後、酸素系漂白剤が残らないように、水で濡らした布で拭いてください。

③風通しの良い場所でしっかりと乾かす
水分が残っているとカビの原因になってしまうので、風通しの良い場所でしっかりと乾かしましょう。
直射日光に当てても問題ないギターケースなら、日光消毒をすることで更にカビの菌を死滅させることができます。

3.【対処方法②】ギターケースのカビ取りをプロに任せる

あまりにもカビの範囲が広いと、自力でカビ取りしても完全に除去しきれないことがあります。

カビは少しでも残っていると再発する可能性があるので、徹底的にカビ取りをしたいならプロに任せるのが一番でしょう。

3-1.クリーニング店に持っていく

近所のクリーニング店に持っていって、綺麗にしてもらうという方法があります。

ただしお店によっては、受け付けていないところもあるのでお店に持っていく前にお店のホームページや電話などで確認した方がいいでしょう。

店舗への持ち込みのメリットは、カビが発生している箇所を見せながら、店員と直接話せることでしょう。

要望を伝えやすいですし、受け取りの際もその場で仕上がりを確認できるので安心です。

3-2.宅配クリーニングを利用する

最近は宅配クリーニング業者が増えているので、こちらを活用するのもいいでしょう。

ギターケースは少し特殊なので、クリーニング店によっては受付していなかったり、素材によっては断られてしまったりすることがあります。

そのためクリーニング店に持っていくよりも、インターネットで宅配クリーニング業者を探した方が効率的です。

また、店頭に持っていく手間がないので、忙しい人にはうってつけでしょう。

そしてギターケースのカビにお困りであれば、通常のクリーニング業者ではなく、カビ取り専門のクリーニング業者をおススメします。

カビ取り専門のハーツクリーニングなら、医療機器の滅菌処理にも使われているほど強力なエチレンオキサイドガス(EOガス)を使用したガス滅菌を行っているので、カビの菌(真菌)や害虫の卵などを死滅させることが可能です。

通常のクリーニング業者でも除菌を行っているところはありますが、カビの菌は非常にしぶといので根絶しないことがあります。

カビが残っていると再発する恐れがあるため、二度とカビを発生させたくないなら徹底的に滅菌することが重要なのです。

4.【対処方法③】ギターケースを新しいものに買い替える

ギターケースは特殊なので、衣類のクリーニングよりも料金が高いことがほとんどです。

そのため、ギターケースの値段によっては、クリーニングに出すよりも新しく購入した方が安いことがあります。

数万円するようなケースや、替えの効かない大事なケースなら、クリーニング業者に出すことをおススメしますが、ナイロン製のソフトケースなど安価で購入でできるもので、特に思い入れがないようなら、いっそのこと買い替えてしまった方がいいでしょう。

5.ギターのカビ取りやメンテナンスも行う

ギターケースにカビが生えていると、中に保管しているギターにもカビの胞子が付着している可能性があります。

せっかくケースのカビ取りをしても、再びカビが生えているギターを入れることで、ケースの中でカビが再発してしまうかもしれません。

また、カビが生えたギターは音質が悪くなったり、ギターの寿命を縮ませてしまったりする可能性があるため、ギターのカビ取りやメンテナンスはしっかりと行いましょう。

カビはアルコールに弱いですが、ギターに使用すると傷んでしまう恐れがあるため、ギター用のケア用品を使ってカビ取りするようにしてください。

6.ギターケースにカビが生える原因

カビ取りをしたり、ギターケースを新しい物に買い替えたりしたとしても、その後の使用方法や保管環境が悪いと、カビが再発するリスクがあります。

カビ対策をお伝えする前に、まずは何故ギターケースにカビが生えてしまうのが、その原因を詳しく解説します。

カビは以下の4つの条件が揃っている時に発生するものです。

  • 水分もしくは高湿度(60%以上)
  • 適度な温度(20~30℃)
  • 栄養源(埃や皮脂など)
  • 酸素

では、どのようにしてこの4つの条件がギターケースに揃ってしまうのか見ていきましょう。

6-1.保管場所が高湿度の環境

カビは湿気が溜まっている場所を好むため、高湿度の環境に置いているとカビが発生しやすくなっています。

押入れやクローゼット、物置など、密閉された空間は湿気がこもりやすいため、そのような場所に長期間置いているとカビが発生してしまうことがあります。

また、季節によって湿度も変わってきます。

冬場は比較的乾燥していますが、日本は多湿の気候のため春から秋頃までは湿度が高い傾向にあります。

特に梅雨の時期など雨が多い時は、自然と高湿度の環境になってしまうので、意識して除湿しなければいけないのです。

6-2.ギターケースに水分を含んでいる

ケースに入れてギターを持ち運んでいると、雨に打たれてケースが濡れてしまうということがあると思います。

また、夏の時期にギターケースを背負っていると、ケースに汗が染み込んでしまうということもあるでしょう。

その後、しっかりとケースを乾かせばいいのですが、もし乾燥が不十分の状態で押入れなどに保管してしまうと、ケースに含まれている水分によってカビが生えてしまうことがあるのです。

6-3.ギターケースの汚れが栄養源になる

カビは繁殖する為に栄養源が必要です。

そしてカビは、埃や塵、手垢などあらゆる汚れを栄養源にします。

ギターを外に持ち運ぶとそれらが付着しやすいですし、自宅の中に保管していたとしても、放置したままだとケースに埃がかぶっているということもあるでしょう。

そしてギターケースは、衣類などと違って簡単に洗濯ができないので、汚れが蓄積しやすいものです。

もし汚れが溜まった状態で、湿度の高い場所などに保管していると、カビが一気に繁殖してしまうこともあるのです。

7.ギター&ギターケースのカビ対策

6.ギターケースにカビが生える原因でお伝えした通り、カビは「水分・湿度」「温度」「栄養源」「酸素」の4つの条件が揃っている環境で発生しやすいものです。

そのため、ギターケースのカビを防ぎたいのであれば、その条件を揃いにくくする必要があります。

ここでは簡単にできるカビ対策を6つ紹介するので、是非試してみてください。

  • 保管場所の湿度を下げる
  • 風通しの良い場所に置く
  • ケースの中に湿度調整剤を入れる
  • ケースが濡れたらしっかりと乾かす
  • ギターを長期間入れっぱなしにしない
  • ギターとケースの手入れを定期的に行う

7-1.保管場所の湿度を下げる

カビは湿度が60%を超えたあたりから活動を始めるため、湿度が高い時は除湿して湿度を60%以下に保つようにするのが望ましいです。

室内の湿度が高い場合は、エアコンの除湿機能などを活用して、湿気を取り除くようにしましょう。

また押入れなどに入れて保管している場合は、除湿剤を置いて保管場所の湿気を取り除いてください。

湿気は下の隅の方に溜まることが多いので、その辺りに置くようにすると効率的に除湿してくれます。

また除湿剤は効果がなくなってしまうとそれ以上湿気を吸い取ってくれなくなるので、こまめに確認して、必要であれば新しい除湿剤と交換するようにしてください。

7-2.風通しの良い場所に置く

密閉した場所は湿気がこもりやすいため、できるだけ風通しの良い場所に置くことをおススメします。

とはいえ、押入れの中や部室の中など決められた場所に置くしかない場合もあると思います。

もし密閉空間に置く場合は、定期的に扉を開けたりして、換気するようにしましょう。

換気することで保管場所にこもっている湿気を外に逃がし、新鮮な空気を取り込むことができます。

7-3.ケースの中に湿度調整剤を入れる

カビは湿度の高い場所で発生しやすいため、湿度を抑えることが重要です。

しかし、ギターの場合、乾燥しすぎるとギターが割れたり、剥がれたりすることがあります。

一般的に湿度40~50%がギターにとって最適と言われています。

そのため湿度を上げすぎず、下げすぎず、ちょうど良い湿度にしなければなりません。

ギターケースの中に除湿剤を入れると湿気を取りすぎてしまう可能性があるので、楽器用の湿度調整剤を入れるようにしましょう。

これでギターにとって最適の湿度に保つことができるでしょう。

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7-4.ケースが濡れたらしっかりと乾かす

カビは水分を好むため、濡れている場所は恰好の生育場所になってしまいます。

もしギターケースが雨などで濡れてしまったりした時は、そのまま放置することはしないでください。

中に入れているギターを取り出し、風通しの良い場所でしっかりとケースを乾かしましょう。

7-5.ギターを長期間入れっぱなしにしない

趣味でギターを弾いている方の場合、忙しかったり、自分の中でのブームが去ったりすると、しばらくギターに触らないということがあるでしょう。

また頻繁にギターを弾いている方でも、複数のギターを持っていると、滅多に引かないギターというのも出てきます。

そうなると、ギターケースに入れたまま長期間保管されるということがあると思います。

密閉した空間は湿気がこもりやすいため、長期間放置することでカビが発生しやすくなります。

そのため、ギターを弾かない場合でも、たまにケースから出すようにしてください。

これでケースの中に溜まった湿気を外に出すことができます。

7-6.ギターとケースの手入れを定期的に行う

カビは埃や皮脂など、あらゆるものを栄養源にして繁殖するものです。

栄養源のある場所では繁殖するスピードが早くなるため、まずは栄養源を絶つことが重要です。

ギターは手で触るものなので、手垢など付きやすく、これがカビの栄養になってしまいます。

汚れが付着したままケースにしまうとカビが繁殖しやすくなるので、定期的に手入れを行ってください。

また、ケースの中や外も、埃や砂埃などが付着していることがあるので、洗ったり拭いたりして清潔に保つようにしましょう。

カビはアルコールに弱いので、ケースに消毒用エタノールを吹きかけるというのも効果的です。

8.まとめ

今回はギターケースにカビが生えた時の対処方法やカビ対策について解説していきました。

もしギターケースにカビが生えてしまったら、以下の方法で対処してください。

①消毒用エタノールを吹きかける
②落ちない時は酸素系漂白剤で拭き取る
③風通しの良い場所でしっかりと乾かす

もしこれでカビ取りができないようなら、新しいギターケースに買い替えるか、クリーニング業者に依頼してカビ取りしてもらうようにしましょう。

カビ取り専門のハーツクリーニングなら、カビに特化したクリーニング業者なので、徹底的にギターケースのカビ取りをすることが可能です。

ケースのカビにお困りの方は、是非検討してみてください。

そしてギターケースのカビ取りが終わったら、今度はカビ対策を行いましょう。

  • 保管場所の湿度を下げる
  • 風通しの良い場所に置く
  • ケースの中に湿度調整剤を入れる
  • ケースが濡れたらしっかりと乾かす
  • ギターを長期間入れっぱなしにしない
  • ギターとケースの手入れを定期的に行う

この記事によって、ギターやギターケースのカビで困っている方の悩みが解決することを祈っております。

【カビのプロが教える】白カビが生えたギターケースのカビ取りと6つのカビ対策