干し椎茸など乾物のカビを防ぐ保存方法

「開封した干し椎茸を久々に使おうと思ったら、カビのようなものが生えていました。乾物にはカビが生えないと思っていたのでショックです。カビを防ぐための保存方法やおすすめの保管場所があれば教えてください」

カビは水気があるところに生えるイメージがあるため干し椎茸のように乾燥したものにカビが生えるというのは想像しにくいですよね。

しかし干し椎茸のような乾物も保存方法によってはカビが生えてしまうことがあります。そこで今回は干し椎茸などの乾物のカビを防ぐ保存方法や乾物に生えるカビについてご紹介していきます。

1. 乾物の保存方法

1-1. 保管場所

乾物の保管場所は高温多湿を避けた冷暗所に保存する、というのが一般的なイメージではないでしょうか。常温で長期間保存できるのが干し椎茸などの乾燥食品のメリットです。

ですが、乾物の使用頻度や季節、保管場所の湿度などによっては冷蔵や冷凍保存の方がよい場合もあります。水分のない乾物にカビが生える原因は、その保管場所と保存方法にありますので適切な場所で保管する必要があります。

まず、常温でよい場合ですが、

  •  乾物の使用頻度が高い
  •  湿度が低い冬場

このようなときには常温保管でもいいでしょう。よく使う乾物を冷蔵庫や冷凍庫で保管してしまうと出し入れする際の温度差によって乾物が湿気やすくなってしまうからです。

もちろん、常温だからとどこでも置いてよいわけではなく高温多湿・直射日光を避け、通気性の保たれた場所に保管することが前提です。また、湿度が低くなる冬場も基本的には常温保管で大丈夫です。

続いて、冷蔵庫での保存がよい場合は

  • それなりに乾物を使う機会は多いが保管に向いている場所がない
  • 使い忘れて期限が切れてしまったりカビが生えてしまったことがある
  • 湿度が高くなる夏場や梅雨時期

キッチンを含め、お住まいの家自体の湿度が高かったり、保管したいと思う場所の湿度が高い・温度差が大きいといった場合は、常温での保管は向いていません。

家の床や壁、押入れやキッチンなど住宅そのものにカビが生えやすい傾向にある家は通気性が悪い、日当たりが悪いことが多いです。同時に部屋の空気中を大量のカビの胞子が浮遊していると考えられます。そのような空間に乾物をそのまま保管してしまうとカビが生えやすくなります。

保管に適した場所がなさそうであれば、湿度の低い冷蔵庫での保存をお勧めします。また、冷凍庫や床下収納、シンク下などに保管していてうっかり期限を切らしてしまったりカビが生えてしまったことがある方は、保存が効き、目につきやすい冷蔵庫での保存がいいでしょう。湿度が高い夏場や梅雨時期も冷蔵庫での保管がおすすめです。

最後に、冷凍庫での保存がよい場合ですが、

● 乾物の使用頻度が低い

このような場合は常温でも冷蔵庫でもなく冷凍庫に保存するのがよいでしょう。乾物をたまにしか使わないご家庭でも、冷凍保存することで長期保存が可能になります。

1-2. 一番は冷蔵保存がおすすめ

乾物=常温保存というイメージを持つ方も多いですし、間違いではありません。ですがこれは通気性が保たれ、湿気が溜まりにくい昔ながらの家の造りだったからこその保存方法と言えます。

最近では気密性の高い住宅が増えており家自体にカビが生えやすくなっています。もちろん、水分をなくした状態である乾物ですから常温で保管していても他の食材に比べるとカビは生えにくいです。しかし居住環境によっては常温での保存が不向きなこともあるので、冷蔵庫が最も無難な保存場所と言えるでしょう。

2. 乾物の保存方法

2-1. 密閉保存

乾物を保存する際はジッパー付きのビニール袋などに入れ、できるだけ空気を抜き完全に口を閉めて保存します。その際、袋の中に食品用の乾燥材も一緒に入れます。

これは常温保存の場合は必ず行い、冷凍・冷蔵保存でもやっていただくとよい方法になります。空気を抜き密閉することでカビやその他の微生物が利用できる酸素をできるだけ少なくすることができます。また乾燥材を入れることで乾物を湿気らせずカビを防ぐことができます。

2-2. 大量にある場合は小分けにして保存

乾物が大量にある場合は、使用する分を小分けにして保存するのもおすすめです。常温で保存する分、冷蔵する分、冷凍しておく分など使うタイミングや量に応じて小分けにして保存します。まとめて保存してしまうと出し入れするたびに温度差によって乾物が湿気やすくなりカビのもとです。冷凍保存していると全部が凍ってくっついてしまい使いにくいという難点もあります。

3. 干物は乾物?

魚介の干物は乾物と同じように水分を減らし保存性を高めています。しかし、干し椎茸や切り干し大根、乾燥わかめなどの乾物ほど水分を抜いているわけではありません。

干物には柔らかさとおいしさを保つために適度に水分が残っています。その分、乾物と比べると腐敗やカビのリスクは高く、賞味期限は冷蔵で2週間、冷凍でも一ヶ月ほどです。冷凍しておけばそれなりに長持ちしますが油分が酸化し食材が劣化していきます。植物性の乾物ほど保存は効きませんので注意してください。

4. 乾物にカビが生えてしまったら?

乾物のような水分が限りなく少ない食品にはどんな種類のカビが生えるのでしょうか。そしてカビが生えてしまった乾物は食べても大丈夫なのでしょうか。

4-1. 乾物に生えるカビはどんなカビ?

乾物のような低水分活性食品には乾燥した場所を好む好乾性カビが生えます。

具体的には、ユーロチウムやワレミア、ペニシリウムといった種類のカビです。ユーロチウムは青緑色(一部黄色)の集落をつくり、今のところ毒性の強いカビ毒は報告されていないようです。

ワレミアは茶色の集落を作り、糖度の高い食品に生える特徴があります。毒性はありません。この中で最も注意すべきなのがペニシリウムです。いわゆるアオカビと呼ばれるカビですが、約150種類あるペニシリウムの中にはカビ毒を産生するものもあります。

4-2. 食べても大丈夫?

乾物にカビが生えてしまったら残念ですがその乾物は処分した方がよいです。乾物に生えるカビには毒性のないものが多いですが、ペニシリウムの一部の種のようにカビ毒を産生するものもあります。

ユーロチウムとペニシリウムは見た目が似ており素人目には区別がつきにくいということもあります。カビが生えて湿気た乾物はおいしくないですし、毒性がないと言い切れない以上カビが生えてしまった乾物は処分した方がいいでしょう。

5. まとめ

今回はカビを防ぐ乾物の保存方法と保存場所、乾物に生えるカビについてお伝えしてきましたがまとめると、

● 乾物にカビが生える原因は保管場所と保存方法にある。

● 乾物は使用頻度や季節、居住環境に応じて常温・冷蔵・冷凍保存のいずれかを選択する。冷蔵保存が無難。

● 常温・冷蔵・冷凍保存いずれの場合も、保管の際は空気を抜き、密閉できる袋に食用乾燥剤とともに入れて保管する。

● 使用するタイミングや使用量ごとに小分けにして保存してもよい。

● 干物と乾物は似ているが、干物は適度に水分があるため乾物よりもカビが生えやすい。

● 乾物に生える主なカビには、ユーロチウム・ワレミア・ペニシリウムなどがある。ペニシリウムの一部の種類にはカビ毒を産生するものもあるため、正体が分からない以上カビが生えた乾物は食べない方がよい

となります。乾物だからカビは生えない、と油断せず食・生活環境に合わせて保存方法を工夫していきましょう。

<参考>

  • 『カビとカビ毒』 東京都福祉保健局
  • 農林水産省
  • 宇田川 俊一 『食品における真菌(カビ)汚染と危害』 1987 食品衛生学雑誌
  • 高鳥浩介・久米田裕子 『カビのはなし ミクロな隣人のサイエンス』 2013