カビとウイルスの違いとは?!

インフルエンザウイルスや、ノロウイルスなど昨今ではウイルスによる感染症が話題となっておりますが
カビとウイルスは一体どのような違いがあるのでしょうか。

また、カビもウイルスと同じような殺菌方法で良いのでしょうか。
今回は、私たちの暮らしに影響を与えるカビやウイルスの生態とその対策方法について
解説していきたいと思います。

ウイルスとカビは同じもの?違うもの?

まず、ウイルスとカビは違いがあるものかという問いに関する答えは
「違うもの」と言えます。
人間の肉眼では確認できず、顕微鏡を通してしか観ることのできないという共通点はあるものの、大きさも性質も全く別のモノです。

カビの特徴

カビは、酵母や糸状菌の真菌類に属するものです。また、細菌とも似て非なるものです。
細菌は、単細胞生物(核を持たない)ですがカビは糸状菌の菌糸の太さが5マイクロメートル以上で真核生物(核を持つ)と呼ばれる生物です。

カビは、胞子を飛ばして定着し、菌糸を生やすことで増殖します。

カビや細菌の全てが悪さをするわけではなく基本的には人類と共存しています。

中には、チーズ、かつお節、味噌など我々にとって身近にある食材に活用されているものもあります。
しかし、中には増殖し人類に悪影響を及ぼすものや、免疫力が低下したときに悪さをするものもあります。

では、一方ウイルスはどのような性質をもつ微生物なのでしょうか。

カビの好む環境

カビが好んで増殖しやすい場所は、ジメジメとして日当たりが悪く(湿度60%以上)、汚れ、ホコリ、皮脂、手垢、食品などの栄養源が豊富で酸素があるところです。栄養源といってもほとんどの有機物や無機物がカビにとっての栄養源となります。

家の中でいうと掃除の行き届いていないお風呂場やトイレ、湿気の多い北側の部屋、地下室、靴箱などです。

ウイルスの特徴

ウイルスは、核酸をタンパク質の膜が包んだ微小粒子のことです。細菌やカビ(真菌)よりもかなり小さく数十ナノメートル~数百ナノメートルです。細胞の100~1000分の1ほどの大きさで、電子顕微鏡を用いて確認します。

(ナノメートルはマイクロメートルの1000分の1)

また、ウイルス自らで増殖はしません。他の生きた細胞に侵入し、細胞の機能を利用して子孫ウイルスを増殖します。

ウイルスを除菌・殺菌する方法

ウイルスはその種類によって、性質も形状も様々です。例えばノロウイルスのように次亜塩素酸ナトリウムでの殺菌が望ましいウイルスもあれば

インフルエンザウイルスのようにエンベロープという膜をもつウイルスには、消毒用アルコールでの殺菌が有効な場合もあります。

基本的には、手洗いや手の触れる部分(ドアノブなど)の消毒を徹底することが予防につながりますが、接触感染ではなく飛沫感染するものもあります。

食品などから感染しやすいノロウイルスでは、食材を一定温度加熱することで防ぎます。また、糞便による感染も起こる為、トイレ後の手洗い・消毒は感染予防のために重要です。

参考:厚生労働省「インフルエンザの拡大を防ぐために」

参考:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」

カビを除菌・殺菌する方法

カビを殺菌するためには、物理的殺菌の場合「乾燥」や「高温殺菌」(日光消毒など)など、また化学的殺菌法の場合「消毒用アルコール」や「塩素系カビ取り剤」を用いたカビ取りなどが有効です。

カビの死滅は、細胞死と呼ばれ細胞が永久に増えなくなった状態のことを指します。また、極端な低温や極端なph、乾燥などで細胞内の代謝バランスが崩れ、酵素が機能を失うと細胞死につながります。

ウイルスによる感染やカビの増殖を防ぐために

冬季は気温が低下し、湿度が下がるためインフルエンザなどウイルスによる感染症が増えやすい時期でもあります。

一方カビの被害は主に梅雨時期など気温が上がるときに発生しやすいですが、近年は冬でも室内の気温が高くまた結露などが原因のカビ発生もありますので、年中発生するものと意識して対策することが大切です。

つまり、基本的な対策は共通するところがあります。そのために、ウイルスによる感染を防ぎつつカビの増殖も防ぐには

  • 換気をこまめに行うこと
  • 手が触れる部分のこまめな消毒
  • 消毒剤による除菌作業(テーブルや壁を拭くなど)
  • トイレ後の手洗い徹底とこまめなトイレ掃除
  • 衣類の洗濯・消毒

つまり、清潔に保ちこまめな除菌・殺菌作業がウイルスによる感染症やカビの予防対策につながります。

快適な住環境が私たちの身体を守る

また、家中のカビが増殖することによって、カビ毒などの影響を受け私たちの身体に害がもたらせたり、免疫機能に影響を及ぼすこともあります。

つまり、暮らしの清潔が私たちの健康ともつながっているのです。

こまめなお掃除、手洗いなどを徹底することで身体を守りましょう。

まとめ

カビとウイルスは異なるものです。カビは光学顕微鏡で確認できますが、ウイルスはずっと小さく電子顕微鏡を用いないと確認することができません。

また、カビは真菌類で自ら増殖することができますが、ウイルスは他の生物の細胞を利用して増殖するという特徴があります。

しかし、こまめなお掃除や除菌などを行うことでカビやウイルスのリスク因子を取り除くことは、感染症やカビの害を防ぐために有効といえます。

換気や掃除、除菌などを定期的に行うことで、ウイルスやカビの影響から守りましょう。